今年の5月に横浜から滋賀に単身赴任で来てはや4ヶ月。徐々に生活も慣れてきた。
当初は『全く知らない土地で僕のマウンテンライフはどうなることか…』と思ったけど、ちょっと住んでみたら『ここは本当に楽しめるところが多い』と気づいた。
まず、住んでいるところから3kmも走れば裏山(三上山)があるし、クロカンコースを持った広大な公園(希望が丘文化公園)がある。そして電車に1時間ものれば、西は京都・比良山地、東は霊仙山・伊吹山など様々な山が出迎えてくれる。どちらから攻めようか、迷ったけど長くトレランできそうな比良山地に行ってみることにした。
ちょっと比良山地についてネットでしらべると、
南東を琵琶湖で、西と北を安曇川で丹波高地から区切られた南北約20km、東西約15kmの山地。北北東-南南西方向に走る2本の稜線からなる。南は比叡山へ繋がり、北は野坂山地へ繋がる。
一般に、西(安曇川)側を「奥比良」と呼び、東(琵琶湖)側稜線のうち、釈迦岳から堂満岳の一帯を「北比良」、それ以南の蓬莱山・権現山の一帯を「南比良」、釈迦岳以北の岩阿沙利山・岳山の連なる標高500~700mの尾根を「リトル比良」と呼ぶことが多い。
とある。
パッと地図をみて先ず驚いたのが、取り付きが異様に急登なのと登山道がやたら多いということ。しかも補給するところは限られてそうだ。その中から、それなりに長め且つキツめで、補給もなんとかなりそうな縦走路を上手くつないでいくと、和邇駅から出発して権現山~蓬莱山~武奈ヶ岳~蛇谷ヶ峰~朽木温泉てんくうまで、約35km(累積標高2600D+m)というコース取りになった。
まさに、南から奥比良を一気に走破するような贅沢なコースだ。ただ、やはり補給箇所は少なくて、蓬莱山にあるびわ湖バレイと武奈ヶ岳手前の沢の2箇所となる。期待と不安が入り混じりながら、いよいよ湖西線の和邇駅から出発!
和邇駅から権現山の登山口までは、ロードでそこそこ走らなければいけない。残暑もあり、登山口に取りつくころには大量に発汗(笑)
信越五岳100mileの練習も兼ねているので、権現山の林道はすべて走り、頂上までの約100mUPの急登はパワーウォークで進む。
結局、駅から権現山までは、1時間20分ほどで到着。駅から約8キロで、累積標高が900mもあり、かなりタフなのぼりだった。パンツはおろか靴下まで汗でビショビショになり、結構疲れてしまった。
ここから蓬莱山までは、気持ち良い稜線を進む。晴れていれば、右手に琵琶湖が見えて、とても見晴らしの良い素晴らしい稜線だが、今回はガスっていて、琵琶湖は見えず。
途中オオクワガタの雌が縦走路を歩いていた(笑)
北比良・奥比良方面への縦走
そうこうしている内に蓬莱山に着き、びわ湖バレイのロープウェイ駅付近でコーラとポカリを補給。このびわ湖バレイは、冬はスキー場だが、夏はびわ湖テラスという琵琶湖を見渡せる絶景のテラスやレストランがあり、観光客で大変にぎわっている。
写真は、山頂にあったハンモック。気持ちよさそう!
是非、今度奥さんを連れてビールを飲みに来たら最高だろうな~と思いながら、びわ湖バレイを後にする。
いよいよここから、北比良・奥比良方面への縦走となる。
途中、ゲレンデのくだりで大きな雌鹿が横切っていく。ゲレンデはよくみると鹿の糞がたくさんある。なるほど、ここが、相当鹿が多い地域だということが良くわかった。てことは、やはり熊も結構いるのかな~、なんて考えながらクマ鈴を鳴らすようにして先に進む。
ここから、鳥谷山を経由して金糞峠へと進むのだが、なんと鳥谷山の分岐でロストして、擂鉢山方面へ行ってしまう。なんとかロストに気づきもどったものの30分ほど無駄にしてしまった。荒川峠から南比良峠までの間も踏み跡が薄く、かなり不明瞭で注意が必要だ。
ここで、ふと気づく。びわ湖バレイを後にしてから、全く登山者やトレイルランナーに会わないのだ。関東のトレイルランニングフィールドでは高尾や丹沢、奥多摩にしても必ず多くの登山者やトレイルランナーと会うのに!
金糞峠を過ぎて、武奈ヶ岳へ向かう道はこんな沢沿いの道を通る。
水が冷たくて、おいしい!ここで最後の補給をする。沢沿いは涼しくて、これまでの疲れが一気に吹っ飛んだ。
武奈ヶ岳(日本200名山)までは、ここから約300mUPほどありそこそこ登る。この辺になると、有名な山なだけあり、登山者が結構登っている。
ようやく山頂が見えてきたと思ったら、パッと視界が360度に広がった。そこは、まるでアルプスのような景色で、森林限界を超えた山からの景色のようだった!
武奈ヶ岳は積雪と強風の影響により、稜線は樹木が生育しないため近畿地方では屈指の眺望と聞いていたが、まさに京都・滋賀の山々が見渡されて、素晴らしい景色だった。晴れの日には、遠く御嶽山や白山をも望むことができるようだ。
武奈ヶ岳の頂上でカロリーメイトを食べ、名残惜しいがまだ先はあるので進む。今度は奥比良の蛇谷ヶ峰を目指す。
ここから先も全く人の気配がない。少しさみしい気持ちと、独り占め的な楽しさで進んでいくと、すばらしい稜線にでた。
ここは地図でみると、釣瓶岳とイクワタ峠の間にある稜線なのだが、木が少なくて気持ち良いダウンヒルに加え、琵琶湖やまわりの山が視界に飛び込んできて本当に最高な気分にさせてくれた!!間違いなく、今回のトレランで一番のお気に入りスポットとなった。
その後、地蔵山を抜けると高島朽木トレイルランレース(フェアリートレイル)のコースの一部を走ることになる。このパートはほぼ下り基調でとても走りやすい。まさに終盤のご褒美コースだ。
だけど、ここまですでに25kmほど走ってきて、足がかなり疲れている。標高も下がってきているので、かなり暑く感じられる。
途中、少し水が出ているところを発見して思わず、頭から水をかぶる(笑)
結局、武奈ヶ岳以降は人に会うことはなく、最後の山である蛇谷ヶ峰に到着。ここからの眺めも大変すばらしい!琵琶湖がドーンと見えて、スタートしてから6時間半が経過していたが、今までの大変さが吹き飛んでしまった。
少し休憩した後に、朽木温泉てんくうに向かう。あとは下りだけなので、ほんの30分ほどで温泉に到着。約7時間でロングトレイルが終了した。
温泉に入ってさっぱりした後は、温泉からのシャトルバスで朽木中学校前に無料送迎があり、そのあと、安曇川駅行のバスに乗ることになる。朽木中学校前でシャトルを降り、安曇川駅行のバスを待っている間、ローソンがあり、そこですかさず「インドの青鬼」と「じゃがりこ」を購入。
バスに揺られ、IPAとじゃがりこを堪能しながら、今回のロングトレイルを振り返り、なんとも言えない満足感で家路についたのであった。
今回の滋賀、比良山地のロングトレイルを振り返ると、まずその山深さ、急峻さにびっくりしたのと、なにより、入山している人の少なさに驚いた。季節的に夏で、暑い時期だったからとはいえ、関東では普段味わえないような贅沢な独り占めトレイルを満喫できて本当に楽しかった。
まだまだ、色々なルートが取れると思うので、是非どんどん開拓していきたくなる山域だが、雪がたくさん降るようなので、秋くらいまでが限度の様子。なので、まずは秋あたりに、関東のトレイルランナーたちとセッションを開催できないかな~とうっすらと妄想している今日この頃である。