まるで「プリンみてぇな山」と形容されるおいしそうな田代山。そのまっ平らな山頂はというと、高山植物が咲き誇る大湿原。400種類の高山植物が咲き乱れ「山上の楽園」と呼ばれるほどのすばらしい光景をつくりだしています。
尾瀬国立公園のなかでも、ほぼここにしか咲かない花があるとても希少な湿原で、登山初心者から花好きのベテラン登山者までとても人気のある山です。
「ここは天国?」と、つい言葉に出てしまう田代山は、東北百名山・花の百名山に選定されています。
田代山の魅力は湿原に咲く高山植物と背景の山々
福島県南会津郡舘岩村と栃木県塩谷郡栗山村の境界にある帝釈山脈の一座で、太平洋側と日本海側を分ける日本分水嶺の一端を担っています。
今から数百万年前、田代山付近で大規模な噴火が発生し流れ出た火砕流が堆積し凝固。その後侵食を繰り返し形成された台地状の山です。
単一の台地状湿原というのは世界的にも稀と言われており、その面積は約25ha東京ドーム5.3個分です。
山の名前 | 田代山 |
エリア | 福島県南会津郡/栃木県塩谷郡 |
標高 | 1,926m |
基本情報 | 田代山の天気・地図 |
【魅力1】田代山山頂湿原はまさに秘密の花園
田代山山頂湿原は、尾瀬国立公園の特別保護地区に指定されており、400種にもおよぶ高山植物の宝庫。季節によって様々な花たちが咲き競い、来訪者を歓迎してくれることでしょう。
また帝釈山へ向かうと現れる「オサバグサ」の群生は、「高山植物の楽園」の尾瀬でさえもほとんど見ることができないといわれる貴重な花。福島県の絶滅危惧種Ⅱ類に指定されているのです。見頃は6月中旬~下旬。
【魅力2】田代山山頂からの眺望と天国への道
山頂からの眺望はすばらしく、会津駒ヶ岳や燧ヶ岳、そして日光連山、遠くには飯豊連峰・吾妻連峰の山々を見渡すことができます。
さらに山頂の池塘に空の青が映り込めば、周囲の山々とのコントラストにより絶妙な景観をつくりだします。
6月下旬、ワタスゲがゆらゆらと綿毛を付ける時期に木道を歩けば、そこはまるで天国への道なのかもしれません。
田代山の初心者に最適なおすすめの登山コース/ピストン
田代山へは2つの登山ルートがあります。よく整備されているため登山を始める人にはうってつけのコースとなっています。
猿倉登山口から田代山湿原コース/ピストン
スタート | 猿倉登山口 |
ゴール | 猿倉登山口 |
コースタイム | 4時間30分(休憩50分含む) |
距離 | 6.8Km |
累積標高 | 上り743m/下り691m |
難易度/体力 | ★☆☆☆☆/★★☆☆☆ |
- 猿倉登山口→(80分)小田代→(20分)田代山湿原→(20分)田代山避難小屋 上り 120分
- 田代山避難小屋~( 20分)田代山湿原→(10分)小田代→(70分)猿倉登山口 下り 100分
猿倉登山口から田代山山頂湿原を一周し同じコースを戻ります。
猿倉登山口に水洗トイレがありますので済ませておきましょう。ここから山頂までトイレはありません。
登山口から10分ほどで水場があります。この先水場はありませんのでここで確保してください。
小田代まで急な上りが続きます。歩道は整備されていますので、自分の体力に合ったペースで進みましょう。
クマが冬眠していたというネズコのクマ穴を過ぎ、小田代に出れば視界が開け、山々の眺望とともに少しづつ高山植物の花たちを見つけることができます。
山頂湿原に足を踏み入れればそこは別世界。春から秋にかけ400種類にもおよぶ高山植物が、「私を見て!」と競い合うように、そしてけなげに咲き乱れているのです。
反時計回りの一方通行になっている木道はゆっくり歩いても一周約50分。半周ほど歩けばきれいな真新しいトイレ(有料100円)と、ひと休みできるスペースにベンチなどが整備されていて、ここでお昼をとることができます。
少し歩くと避難小屋を兼ねた弘法大師堂があり、この場所が一番高い地点で1,971mになります。
猿倉登山口へのアクセス
マイカー
- 猿倉登山口へは東北自動車道の西那須野塩原ICを下りたら国道400号線を塩原温泉方面へ右折。
- 自然に国道121号線に出ますので、そのまま会津若松・南会津方面へ直進します。
- 野岩鉄道会津鬼怒川線の高架をくぐり、信号を国道352号線を尾瀬・魚沼方面へ左折。
- 舘岩広域観光案内所を過ぎたら県道350号栗山舘岩線を栗山方面へ左折。
- ここから猿倉登山口までは約18Kmです。途中から未舗装になります。
*水引地区~猿倉登山口は、11月中旬~6月第2日曜日(山開き)までは通行止めです。
*猿倉登山口駐車場までは約18Kmですが、水引地区を過ぎると約13Kmは未舗装路になります。すり減ったタイヤはパンクの危険がありますので、念のためタイヤの整備をしておくことをおすすめします。
*携帯電話は圏外になります。
☆県道350号栗山舘岩線(栃木県側)は、現在法面崩壊により全面通行止めです。なお、解除時期は未定。(注意)県道栗山舘岩線は栃木県側へは通り抜けできません。
駐車場情報
収容台数 | 約40台(路肩含む) |
料金 | 無料 |
利用期間 | 6月第2日曜日(山開き)~11月中旬 |
標高 | 1,406m |
トイレ | あり(有料100円) |
自販機 | なし |
鉄道~タクシー利用
東武浅草特急、会津高原尾瀬口駅で下りたらタクシーで約80分。(タクシーは事前予約制)
▼東武鉄道の詳細はこちらから
東武鉄道お客様センター TEL 03-5962-0102
時刻表|東武鉄道公式サイト
▼シャトルタクシーの詳細はこちらから
(株)みなみあいづ TEL 0120-915-221 または 0241-62-2250
【予約制】シャトルタクシーのご案内
馬坂峠登山口から帝釈山~田代山湿原縦走コース/ピストン
スタート | 馬坂峠登山口 |
ゴール | 馬坂峠登山口 |
コースタイム | 6時間30分(休憩40分含む) |
距離 | 7.8Km |
累積標高 | 上り619m/下り623m |
難易度/体力 | ★☆☆☆☆/★★☆☆☆ |
- 馬坂峠登山口→(60分)帝釈山→(90分)田代山避難小屋~田代山湿原~(50分)田代山避難小屋
上り200分(木道一周含む) - 田代山避難小屋→(90分)帝釈山→(50分)馬坂峠登山口
下り140分
馬坂峠登山口から帝釈山を経由して田代山へ向かい、山頂湿原を一周し同じルートを戻ります。
登山口駐車場には20台ほど駐車可能。きれいなトイレが設置されていますが有料(100円)です。
こちらのルートもよく整備されていますので迷う心配はありませんが、水場はありませんので事前に準備は必要です。
登山開始からほどなくオサバグサの群生地があらわれ登山者を歓迎してくれます。山開き(毎年6月第2日曜日の8:00~12:00)には馬坂峠登山口にて記念バッジが配布されます。山行の良い記念になるでしょう。
特に難しいところもなく1時間ほどで帝釈山に到着です。ここからは東に那須岳、南に日光連山、西は燧ヶ岳と会津駒ヶ岳などが見渡せます。
田代山へは小さいアップダウンを越えながら最後の上りで田代山避難小屋に到着です。
弘法大師堂ときれいなトイレに感謝しつつ湿原へ。木道を約50分かけて歩きますが(反時計回り)、湿原最大の池塘である弘法沼付近でちょうど約半周。避難小屋に戻ったら帝釈山へ向かい下山します。
馬坂峠登山口へのアクセス
マイカー
- 馬坂峠登山口へは東北自動車道の西那須野塩原ICを下りたら国道400号線を塩原温泉方面へ右折。
- 自然に国道121号線に出ますので、そのまま会津若松・南会津方面へ直進します。
- 野岩鉄道会津鬼怒川線の高架をくぐり、信号を国道352号線尾瀬・魚沼方面へ左折。
- 32Kmほど先、国道401号線へ左折。
- 尾瀬国立公園台倉高山・帝釈山登山口の案内板を見たら左折。
- ここから馬坂峠まで約15Km、途中から未舗装路路になります。
*冬季11月中旬~6月第2日曜日(山開き)までは通行止めです。
*馬坂峠登山口駐車場までは約15Kmですが後半は未舗装路になります。すり減ったタイヤはパンクの危険がありますので、念のためタイヤの整備をしておくことをおすすめします。
*携帯電話は圏外になります。
収容台数 | 30台(路肩含む) |
料金 | 無料 |
利用期間 | 6月第2日曜日(山開き)~11月中旬 |
標高 | 1,787m |
トイレ | あり |
自販機 | なし |
鉄道~タクシー利用
東武浅草特急、会津高原尾瀬口駅で下りたらタクシーで約130分。(タクシーは事前予約制)
▼東武鉄道の詳細はこちらから
東武鉄道お客様センター TEL 03-5962-0102
時刻表|東武鉄道公式サイト
▼シャトルタクシーの詳細はこちらから
(株)みなみあいづ TEL 0120-915-221 または 0241-62-2250
【予約制】シャトルタクシーのご案内
田代山のQ&A
Q:田代山の花の見頃はいつ?
A:田代山の花の見頃は6月から7月で、春から夏にかけてはヒメシャクナゲやチングルマ、ワタスゲやニッコウキスゲ、タテヤマリンドウなど。
夏から秋にかけてはサワランやイワショウブ、エゾリンドウやモウセンゴケなどなど多種多様な高山植物が咲き乱れます。
また、山開き(毎年6月第2日曜日)に合わせて咲くオサバグサは帝釈山一帯にしか咲かない貴重な花。6月の中旬から下旬にかけてはワタスゲの綿毛も揺れる時期。この貴重な瞬間を見逃さず山行を楽しみましょう。
花の百名山 田代山「花図鑑」 | 尾瀬国立公園 田代山登山案内
Q:栃木県側から登山口まで行けますか?
A:県道350号栗山舘岩線(栃木県側)は、現在法面崩壊により全面通行止めです。県道350号栗山舘岩線を通って栃木県側から田代山へ行くことはできません。*開通時期は今のところ未定です。
問い合わせは下記へ
- 県道栗山舘岩線(栃木側)栃木県日光土木事務所保全部
TEL 0288-53-1221 - 県道栗山舘岩線(福島側)福島県山口土木事務所業務課
TEL 0241-72-2234 - 馬坂林道安ヶ森林道 日光栗山行政センター産業建設係
TEL 0288-97-1133
田代山周辺の観光スポット
木賊(とくさ)温泉 岩風呂
足元から45℃の温泉がコンコンと湧き出るため、空気に触れることなく100%の源泉に浸かれる。
岩を掘った野趣あふれる浴槽など、温泉マニアの間では一生に一度は訪れたい秘湯中の秘湯。
千年以上の歴史があります。
過去、水害により何度も流されましたが、そのたびに全国の温泉ファンから寄付が寄せられ再建されるということです。
営業時間 | 24時間 |
定休日 | なし |
料金 | 300円 |
浴室 | 混浴 |
駐車場 | 5台 |
その他設備 | 女性専用脱衣室あり 女性用「湯あみ着」を近くの宿や・商店にてレンタルできます(有料300円) |
▼詳細はこちらから
木賊温泉岩風呂|南会津町観光物産協会
湯の花温泉
約700年前、鎌倉幕府の時代に発見された温泉で、「弘法の湯」「湯端の湯」「天神湯」「石湯」と4つの個性的な共同浴場があります。
営業時間 | 6:30~21:30(湯端の湯は6:00~) |
定休日 | なし |
料金 | 大人300円 子ども150円(4つの共同浴場すべて入浴できます) |
駐車場 | 建物前のスペースまたは近くの商店の駐車場を利用 |
▼詳細はこちらから
湯の花温泉4つの共同浴場|南会津町観光物産協会
そば処曲家
家族同様に大切にされてきた農耕馬と人が一緒に生活する構造になっている家屋、曲家。明治40年の大火で一帯のほとんどの家屋が焼失。その後周辺地域の大工によって一斉に再建されたため統一的な意匠による景観ができあがりました。
そば処曲家は趣のある家屋で会津の地粉「たていわそば」の十割蕎麦が食べられます。
そば処曲家
営業時間 | 10:30~16:00(4月~11月上旬) |
定休日 | 火曜日・木曜日 |
TEL | 0241-78-2340 |
前沢曲家集落
集落の見学は有料です。
開園時間 | 8:30~16:30 |
料金 | 一般300円 高校生以下150円 |
TEL | 0241-72-8977 |