アウトドアに持ち出すカメラ。その選択肢は実に幅広い。
一眼レフカメラ。
広角やマクロ、望遠、単焦点など選択可能なレンズ。一瞬を切り取る優れたレスポンス。一眼レフ機がはき出す画は、群を抜いている。
ラフに扱えるのは防水コンデジ。
ただでさえ雨の多い日本のフィールド。加えて、川や海でのアクティビティとなれば「水対策」は必須。そのままポケットに突っ込める防水コンデジはストレスなくフィールドで使用できる。
「デジカメなんでカメラじゃない。フィルムに限る。」という人もいるだろう。でもやっぱり使い勝手はデジカメに軍配が上がるかな。
僕が選ぶのは、一眼レフ機でも防水コンデジでもない。SONYのコンパクトデジタルカメラRX100。
一眼レフ機の画質にはもちろん及ばないのだけれど、ポケットからさっと取り出してシャッターを切る、という行為はコンパクトカメラにしかできない。一眼レフ機にしかとれない写真もあれば、コンパクトカメラにしかとれない写真も、ある。僕はそう思う。
トレイルランニングやファストパッキング。装備のコンパクトさと、軽量さを求められるこれらのアクティビティには大きなカメラは合わない。
1.0型のセンサーを搭載していて、広角側F1.8の明るいカールツァイスのレンズ。コンパクトデジタルのカテゴリーでは、ほかを凌ぐ画質を誇る。焦点距離はフルサイズ機換算で広角側で28mm。光学ズームを用いて望遠側は100mm。大きな山容を収めることもできるし、ある程度遠くから動物を捉えることもできる。
シャッタースピードや絞りの設定も、一眼レフ機と同等の操作感で、稜線に広がる星空も写すことができる。
雨の日にも、水中写真にも
普段はそのまま持ち歩くけれど、雨が降りそうなときや、川をジャブジャブ歩くフライフィッシングなどでは防水対策をする。ロール式の防水パックや、もっと簡易に済ますのであればジップロック、これらに入れれば防水だって苦にならない。ハウジングに入れれば、水中写真だって撮れる。ハウジングに入れたRX100の写真は、防水コンデジの画を凌ぐ。
僕が地味に気に入っているのは、USB給電が可能という点(今では一般的なのかな)。長旅ではバッテリーの充電が気になるところ。海外トリップでも、USBケーブルさえあれば、飛行機の中やカフェで充電ができる。バッテリーチャージャーを持ち歩けば、スマートフォンと兼用で給電ができる。
実はこのRX100、発売は2012年。誕生してからすでに5年が経っている。数年ごとにモデルチェンジを繰り返し、現在は5代目の『RX100Ⅴ』が発売されている。しかしSONYは初代から5代目まで、現在も並行して5つの機種を販売している。Wi-Fiや可動式のモニターなどのギミックが追加されてきたが、最もシンプルなのは初代。代を重ねても僕にとって魅力的な進化はこれといってなかった。
入れ替わりが激しいデジタル機器の世界で、今なお生き続ける初代RX100。僕はこのRX100を5年間使用している。
「大事に、大事に。」とは言い難く、アウトドアのフィールドでラフに扱い、かなり無茶をさせてきた。その間メーカー修理に出すこと計3回。保証内なのでもちろん無料。修理で交換した部品を集めれば、一台組めそうなほど。(タフじゃない、といわれればそれまでなんだけれど。)
故障する度に、一瞬次の世代のモデルが頭をよぎるのだけれど、迷わず修理に出してきた。
帰ってくる度にほっとする。ああ、まだ使えるな、と。僕の中では思い入れが強いカメラ。永く使うこと。物に対する、一番の愛情表現じゃないかな。