斜里岳は北海道の知床半島の付け根にある火山で、日本百名山にも選ばれている山です。
沢登りの箇所が多く、合計時間に差が出るため、初心者の方よりは経験のある中級者以上の方へおすすめとなっています。
本記事では難易度別のルートや、登山口へのアクセス方法、付近の駐車場情報も紹介しています。
他にも斜里岳の魅力や、よくある質問、近くの観光スポットなども紹介していますので、ぜひ最後まで読んでいってくださいね。
斜里岳ってどんな山?基本情報と魅力紹介
斜里岳は、アイヌ(主に北海道を拠点にしている先住民族)からオンネヌプリとよばれ、神の山として崇められていました。オンネヌプリとは大きい山、年寄りの山という意味です。
また、シャリはアイヌ語のサリからきていて、斜里川の水源地だったため、よばれるようになったと言われています。
山の名前 | 斜里岳(しゃりだけ) |
都道府県 | 北海道 |
標高 | 1,547m |
よく登山される時期 | 7月~9月 |
詳細情報 | 斜里岳詳細情報 |
魅力その①次々と現れる滝の道
斜里岳の沢登りルートでは多くの滝を見ながら登れます。
7つの滝があり、それぞれ「羽衣ノ滝」「万丈の滝」「竜神ノ滝」「水連ノ滝」「見晴らしノ滝」「七重ノ滝」「霊華ノ滝」という名前が付けられています。
中には滝の真横を通る場所もあり、間近で滝の迫力を感じられるのではないでしょうか。
魅力その②尾根や山頂からの素晴らしい眺望
晴れている日の斜里岳は、眺望も素晴らしいです。稜線上の馬ノ背からは一気に眺望が広がり、山頂まで絶景を楽しみながら進んでいけます。
山頂からは、羅臼岳や阿寒の山々、すぐ下にはオホーツク海も望めます。
摩周湖や、サロマ湖といった湖も望むことができ、山頂から見渡す山と雲も幻想的な雰囲気です。
魅力その③様々な花を楽しめる
斜里岳では雪解けの頃から、エゾルリソウや、フタマタタンポポ、イワブクロなど他にも様々な花が咲き始めます。
エゾルリソウは可愛らしい瑠璃色の花を咲かせる人気の高い花ですが、近年自生種が減っており、絶滅危惧種となっています。
フタマタタンポポは名前にもあるようにタンポポにそっくりな花です。しかし、タンポポとは違いキク科の植物で、花茎がふたつ以上に分岐する特徴を持っています。
イワブクロは火山系の山に多い植物で、岩場に生えることと、花冠が袋の形をしていることが名前の由来と言われています。淡い紫色の花を咲かせるのが特徴です。
斜里岳の難易度別おすすめ登山コース
斜里岳の難易度別おすすめ登山コースを、3つ紹介していますので、登る際の参考にしてください。
斜里岳は中級者以上の方におすすめの山となっていますので、コース紹介も中級者向け以上の難易度となっています。
- 定番人気!滝を見ながら沢を登る周回コース
- 尾根を歩いて山頂へ!往復登山の尾根コース
- マイナーコースでガマ岩を探しに!三井往復コース
定番人気!滝を見ながら沢を登る周回コース
斜里岳登山口→下二股→上二股→馬ノ背→斜里岳→馬ノ背→熊見峠→下二股→斜里岳登山口 |
こちらは、定番の沢登り周回コースです。難易度は中級者向けとなっています。
斜里岳登山口からスタート後、下二股まで約1時間半かけて登って行き、下二股からの旧道が沢登りのスタート地点です。
下二股から上二股までは沢登りが続いていきます。滝を楽しみながら、ときには滝の真横を登って進んでいきます。
沢登りが終わり上二股まで到着したら、馬ノ背まで進んでいきましょう。馬ノ背まで行ったら、眺望を楽しみながら頂上まで登って行きます。
頂上のすぐ下には斜里岳神社の鳥居と祠がありますので、お参りするのも楽しみのひとつです。
山頂での景色を楽しんだら、下山していきます。帰りで旧道の沢を下るのは大変危険なため、新道の尾根を歩いて戻っていきましょう。
熊見峠をこえて下二股まで戻ってきたら、スタート地点まで行きと同じ道を進んで斜里岳登山口へと到着です。
合計時間 | 7時間12分 |
休憩時間 | 46分 |
距離 | 9.5km |
上り | 1,072m |
下り | 1,069m |
尾根を歩いて山頂へ!往復登山の尾根コース
斜里岳登山口→下二股→熊見峠→上二股→馬ノ背→斜里岳→馬ノ背→上二股→熊見峠→下二股→斜里岳登山口 |
こちらは、新道の尾根道を登って山頂まで向かうコースです。難易度は中級者向けとなっています。
斜里岳に登ってみたいけど沢登りは苦手という方は、こちらのコースがおすすめです。
しかし、尾根コースでも旧道と新道との分岐である下二股までは渡渉箇所も多いので気を付けましょう。
下二股からさらに登って行った上二股の近くには、竜神ノ池という池があり、神秘的な雰囲気を味わえます。
そして、尾根コースの醍醐味はなんと言ってもその眺望です。斜里岳は沢登りコースが定番ですが、天気が良い日には尾根コースを楽しむのも良いのではないでしょうか。
合計時間 | 5時間4分 |
休憩時間 | 20分 |
距離 | 10.5km |
上り | 1,142m |
下り | 1,142m |
マイナーでも魅力がいっぱい!三井往復コース
三井岳登山口→斜里岳→三角点→三井岳登山口 |
こちらは、マイナーなコースですが、ガマ岩やコース上部から見る圧巻の岩壁などが魅力的なアスレチック要素のあるコースです。難易度は中級者から上級者向けとなっています。
なかなか登り応えのあるコースなので、「自分の実力を試したい!」という方はぜひ挑戦してみてください。
スタート地点は三井岳登山口となっており、スタートしてからしばらくは涸沢を歩いていきます。
涸沢の道は石で足場が悪いので、気を付けて進んでいきましょう。
そのまま登って行き、標高1,175メートル地点でガマ岩へ到着です。正面から見ると岩が顔のように見えてきます。
ガマ岩からはだんだんと傾斜がきつくなっていき、ロープを伝って登る場所やガレ場も出てきます。
非常に危ない道もあるので、しっかりと足場を確認しながら進んでください。
運が良ければ、登っている途中で眼下に壮大な雲海を望むことも出来るでしょう。
ここまで来たらラストスパートです。しかし、最後にまた急登が待っています。
そして、急登を登り切り山頂へと到着です。往復コースなので、来た道を通り登山口まで下りていきましょう。
合計時間 | 6時間46分 |
休憩時間 | 1時間25分 |
距離 | 8.7km |
上り | 1,088m |
下り | 1,090m |
斜里岳付近の駐車場情報
斜里岳に登る際に利用できる駐車場を紹介します。
清岳荘駐車場
営業期間は6月下旬から9月下旬(令和5年の営業期間は6月22チェックインから9月24日チェックアウトまで)
利用協力金が100円かかる為、登山ポスト横の箱にお金を入れてください。
宿泊したい場合は、清岳荘ホームページに宿泊予約先が記載されていますので、そちらからご利用ください。
駐車台数 | 約45台 |
登山ポスト | あり |
トイレ | あり(大人は有料) |
自販機 | あり |
住所 | 清里町江南872番地 |
斜里岳の登山口へのアクセス方法は?
今回は、本記事のコース紹介で使用している清岳荘登山口と、三井岳登山口へのアクセス方法を紹介します。
どちらの登山口も、駅からはバスがないので車でのアクセスがおすすめです。
清岳荘登山口
公共交通機関の場合
清里町駅からタクシーを利用してください。
車の場合
- 阿寒ICから157km(約2時間40分)
近くにICが無く、最寄りICからでも2時間半以上かかります。 - 女満別空港から61km(約1時間)
- 中標津空港から81km(約1時間15分)
- 釧路たんちょう空港から128km(約2時間15分)
三井岳登山口
公共交通機関の場合
清里町駅からタクシーを利用してください。
車の場合
三井岳登山口はGoogleMapに表示されないため、付近までの地図を載せておきます。
下記で説明しているルートは、清里町駅からのルートです。
- 清里町駅から、道道946号へ入ります。
- 道道946号を進み、道道1000号へ入ります。
- 道道1000号と道道945号の間にある砂利道を、豊里方面へ進んでください。
- 砂利道を進んでいくと、シカの侵入を防ぐためのゲートが出てくるので、扉を開けて進みます。通った後は必ず扉を閉めてから進んでください。
- ゲートをこえたら標識に従い、林道を西側へ進みます。
- 進んでいくと分岐が出てくるので、分岐を左へ曲がってください。
- そのまま道なりに進んでいけば、登山口に到着します。
- 車は登山口入口に4台ほど止められるスペースがあるので、そちらに止めるようにしてください。
斜里岳に関するQ&A
斜里岳に関する質問3つと回答を紹介しますので、参考にしてください。
- 斜里岳登山の服装は?
- 登山道にトイレはありますか?
- 日帰りでの登山は可能?
斜里岳登山の服装は?
斜里岳は沢登りや渡渉箇所で、足首辺りまで水につかる場合が多いので、防水の登山靴と登山用スパッツは用意しておいた方が良いでしょう。
もし濡れてしまっても大丈夫なように、替えの服を用意しておくと安心です。
標高が上がると、天候によっては真夏でも肌寒く感じるので、羽織れる服を1枚持っていくのもおすすめです。
登山道にトイレはありますか?
登山道にトイレはないので、携帯トイレを使用しましょう。テントブースは上二股に設置されています。
また、清岳荘で携帯トイレの販売と回収を行っています。
日帰りでの登山は可能?
中級者以上の方で健脚者であれば、基本のコースは7時間前後で戻ってこれるので、日帰り登山は可能です。
しかし、斜里岳登山はとても体力が必要となっています。
毎年、お昼ごろからスタートする方々が日没までに下山できず、遭難騒ぎが起きてしまっています。
そのため、計画をしっかりと立てて早い時間から余裕を持って登るようにしてください。
スタートが遅くなってしまうようであれば、清里町付近の宿泊施設か清岳荘に1泊して、次の日の早朝に出発した方が良いでしょう。
斜里岳付近の観光スポット
斜里岳のある知床半島は、雄大な自然が魅力的な場所です。今回は自然のスポットを2つ紹介します。
- 天に続く道
- 知床五湖パークサービスセンター
天に続く道
天に続く道は、国道224号から国道334号をまっすぐに伸びている道路です。
果てしなく続く道が天まで届きそうに見えることから、天に続く道とよばれています。
特に日没前後の夕方は、夕陽に照らされた幻想的な雰囲気を楽しめるのでおすすめです。
知床五湖パークサービスセンター
知床五湖パークサービスセンターは、知床五湖園の中にある休憩施設で、お土産や軽食が販売されています。
有名なのは、コケモモソフトクリームや鹿肉バーガーです。
園地内には五湖フィールドハウスもあり、2つの方法で散策ができるようになっています。
無料で安全に散策ができる高架木道と、有料でツアーに参加するか、ガイドからのレクチャーを受けて散策する地上遊歩道です。
どちらも、北海道の大自然を楽しめるようになっているので、ぜひ行ってみてください。