長野県と富山県の県境にまたがる野口五郎岳は北アルプスの人気縦走路「裏銀座縦走コース」上にあり、人気を集めています。山頂からは素晴らしい展望が広がり、また道中様々な高山植物の姿を目にすることができます。今回は野口五郎岳の2つの難易度別登山ルートと、アクセス、駐車場情報を紹介します。
野口五郎岳の基本情報と魅力
野口五郎岳は標高2924mで北アルプスの南部に位置しています。長野県と富山県の県境です。山頂からは槍ヶ岳など、北アルプスの山々の雄大な姿を望むことができます。高瀬ダムから野口五郎岳を目指すルートは、北アルプスの人気縦走路「裏銀座縦走コース」の一部を成しています。高山植物も豊富で、コマクサやハクサンイチゲなど、たくさんの花々が登山客の目を楽しませてくれます。
山の名前 | 野口五郎岳(のぐちごろうだけ) |
標高 | 2924m |
都道府県 | 富山県、長野県 |
エリア | 北アルプス |
詳細情報 | 野口五郎岳の詳細 |
魅力その①北アルプスの人気縦走路「裏銀座縦走路」を通る
高瀬ダムから野口五郎岳へ登る登山コースは、高瀬ダムから槍ヶ岳を経て上高地へ下る「裏銀座縦走ルート」の一部を成しています。眺めのいい稜線歩きが魅力の、人気のコースです。ただし燕岳から槍ヶ岳へ向かう「表銀座縦走ルート」に比べたら登山客は少ない傾向にあります。
魅力その②山頂からの眺望
山頂からは素晴らしい展望が広がっています。槍ヶ岳の雄大な姿のほか、北アルプスの山々が一望できます。
魅力その③豊富な高山植物
高山植物も豊富です。コース途中の三ツ岳周辺にはコマクサの大群落があります。ほか、チングルマやハクサンイチゲなどの花々も見ることができます。高山植物の見頃は7月、8月です。
野口五郎岳のおすすめ登山コース
【最短で野口五郎岳に向かう初心者向けコース】高瀬ダム~野口五郎岳ピストンコース
1日目
高瀬ダム→40分→ブナ立尾根登山口→4時間→三角点→1時間30分→烏帽子小屋→30分→山頂分岐→20分→ 烏帽子岳→10分→山頂分岐→30分→烏帽子小屋
2日目
烏帽子小屋→1時間30分→三ツ岳北峰→1時間40分→野口五郎小屋→10分→野口五郎岳→5分→野口五郎小屋→1時間30分→三ツ岳北峰→1時間→烏帽子小屋→1時間→三角点→2時間30分→ブナ立尾根登山口→40分→高瀬ダム
必要日数 | 一泊二日 |
総コースタイム※ | 17時間45分 |
休憩時間目安 | 4時間20分 |
距離 | 22.9km |
累積標高 | 2340m |
難易度 | ★★☆☆☆ |
※総コースタイムは休憩時間を含めない時間。
野口五郎岳を往復する登山コースです。序盤の急登さえ頑張ればあとは快適な登りを楽しめます。駐車場のある七倉山荘から高瀬ダムの間は歩いてもよいですが、タクシーを使うと時間の節約になります。
高瀬ダム登山口
標高約1070mの七倉山荘駐車場に約50台の駐車スペースがあります。料金は無料です。登山口のある高瀬ダムまではマイカー規制があるので、タクシーを利用します。歩けば徒歩2時間です。登山ポスト、トイレもあります。
登山コース紹介
1日目
高瀬ダムを出て、不動沢吊り橋を渡ると登山口です。
「ブナ立尾根」という北アルプス三大急坂に数えられる急登が続きます。
三角点を過ぎ、大カンバを越せばブナ立尾根も終わります。この日の宿泊地の烏帽子小屋が見えてきます。
烏帽子小屋に荷物を置き、烏帽子岳に向かいましょう。山頂までは50分ほどです。岩場が出てくるので注意して登ります。
烏帽子岳山頂からの展望を楽しみましょう。
山頂を出て、烏帽子小屋に向かって下ります。
烏帽子小屋は収容人数70名で、宿泊料金は1泊2食付きで1万3000円、素泊まりなら9000円。電話による事前予約が必要です。テント場は1泊2000円。
2日目
烏帽子小屋を出て、三ツ岳方面に進みます。三ツ岳周辺ではコマクサの大群落を見ることができます。
快適な稜線を歩いていくと、野口五郎小屋に着きます。
小屋から10分ほどで野口五郎岳山頂です。山頂からは360度の大展望が広がっています。北アルプスの山々の姿を一望できます。
山頂を出て、往路を高瀬ダムに向かって下ります。
【裏銀座縦走路を楽しむ】高瀬ダム~野口五郎岳~湯俣温泉周回~高瀬ダム周回コース
1日目
高瀬ダム→40分→ブナ立尾根登山口→4時間→三角点→1時間30分→烏帽子小屋→1時間30分→三ツ岳北峰→1時間40分→野口五郎小屋→10分→野口五郎岳→5分→野口五郎小屋
2日目
野口五郎小屋→50分→竹村新道分岐→1時間→南真砂岳→1時間30分→湯俣岳→2時間20分→檜見石展望台→ 30分→湯俣温泉晴嵐荘→2時間30分→高瀬ダム
必要日数 | 一泊二日 |
総コースタイム※ | 18時間 |
休憩時間目安 | 4時間20分 |
距離 | 30.7km |
累積標高 | 3060m |
難易度 | ★★★☆☆ |
※総コースタイムは休憩時間を含めない時間。
人気の縦走路「裏銀座縦走路」を通って湯俣温泉に下りる周回コースです。爽快な稜線歩きが楽しめます。
高瀬ダム登山口
標高約1070mの七倉山荘駐車場に約50台の駐車スペースがあります。料金は無料です。登山口のある高瀬ダムまではマイカー規制があるので、タクシーを利用します。歩けば徒歩2時間です。登山ポスト、トイレもあります。
登山コース紹介
1日目
高瀬ダム~野口五郎岳ピストンコースと同じ道を野口五郎小屋に向かって歩きます。
宿泊地の野口五郎小屋に着いたら、荷物を置いて山頂に向かいましょう。10分ほどで山頂に着きます。山頂からは360度の大展望が広がっています。
野口五郎小屋がこの日の宿泊地です。宿泊料金は1泊2食付きでひとり1万2000円。素泊まりならひとり8000円。宿泊には電話での事前予約が必要です。
なお、野口五郎小屋にはテント場がありません。テント泊を計画している人は烏帽子小屋を宿泊地にするとよいでしょう。烏帽子小屋のテント料金は1泊2000円です。
2日目
野口五郎小屋を出発して、真砂岳方面に向かいます。
竹村新道分岐を左に曲がり、竹村新道を進みます。
樹林帯の中を進むと、やがて湯俣温泉です。
湯俣温泉から2時間30分ほど林道を歩くと出発地の高瀬ダムに着きます。
野口五郎岳のQ&A
野口五郎岳の名前の由来は?
「野口」は長野県大町市の野口集落の名前からきています。「五郎」は大きな石が転がっているという意味の「ゴーロ」を「五郎」としたものです。歌手の野口五郎の名はこの山から取ったものです。
野口五郎岳の登山シーズンはいつ?
野口五郎岳の登山シーズンは7月~10月です。7月と8月が高山植物の見頃の時期です。10月は紅葉が見頃です。
野口五郎岳の天気・気温は?
野口五郎岳の山頂付近の7月から10月の気温は表のとおりです。夏は午後から天気が崩れやすいので注意しましょう。落雷や夕立が発生しやすくなります。なるべく午後の早いうちに山小屋へ着くようなスケジュールを立てるとよいでしょう。また、雨具を忘れずに携帯しましょう。野口五郎岳は標高が3000m近いので、山頂付近は夏でも気温が下がります。防寒具は必携です。
月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 |
最高気温(℃) | 23.1 | 21.6 | 17.5 | 16.4 |
最低気温(℃) | 9.1 | 0.4 | 1.9 | -5.0 |
登山口へのアクセス・各種情報
高瀬ダム登山口
登山口情報
七倉山荘駐車場に約50台の駐車スペースがあります。料金は無料です。登山口のある高瀬ダムまではマイカー規制があるので、タクシーを利用します。歩けば徒歩2時間です。登山ポスト、トイレもあります。
登山口までのアクセス
公共交通機関:JR信濃大町駅からタクシーで高瀬ダムへ。
マイカー:長野道安曇野ICから約40㎞で七倉駐車場へ。
野口五郎岳周辺のおすすめ山旅スポット
湯俣温泉 晴嵐荘
登山コース途中の、標高1534m地点にある温泉です。泉質は単純硫化水素泉で、露天風呂もあります。日本の登山史に残る著名な登山家が拠点として利用したことでも有名です。入浴料は一人1000円。営業期間は7月中旬~10月中旬。
葛温泉 高瀬館
泉質は弱アルカリ性低張性高温泉で、露天風呂もあります。北アルプスの山々を眺めながらゆったりと湯につかれます。「葛温泉」の名前は、江戸時代に飢饉の際に里の者が食物になる葛を探しに山に入ったときに温泉を発見したことに由来すると言われています。登山口の高瀬ダムのそばにあるので、下山後に汗を流せばさわやかな気持ちになれます。利用時間は10:00~20:00。料金は大人700円、子供400円。
葛温泉 温宿かじか
登山口の高瀬ダムのそばにある温泉です。露天風呂「慶長の湯」、内湯「高野槙の湯」があります。源泉かけ流しで、泉質は単純温泉です。下山後に立ち寄ってみてはいかがでしょうか。日帰り入浴の利用時間は10:00~15:00。入浴料金は大人850円、子供500円。
道の駅アルプス安曇野ほりがねの里
地元の特産物や新鮮な農産物が手に入ります。食堂もあり、750円で日帰り定食が食べられます。営業時間は8:30~17:30。定休日は年末年始。