能郷白山(のうごうはくさん)は標高1,617m。「二百名山」のひとつで、岐阜県本巣市、福井県大野市にまたがる、パノラマビューの山です。往復4時間以内で登れるため、初心者も安心して歩ける日帰り登山ができます。
そこで今回は、能郷白山の魅力とおすすめ登山コースを紹介します。
能郷白山の基本情報と魅力
両白山地北部の加越山地の加賀白山に対して、南部の越美山地の主峰が能郷白山です。能郷谷のふもとに能郷集落があるため、能郷白山と呼ばれています。別名「白山」「能郷山」「権現山」とも言われることも。
加賀白山一帯が「両白山地」と呼ばれるのは、「加越山地」と「越美山地」を合わせた言い方なのです。白山を開山した泰澄大師が、加賀白山から見えた能郷白山を、翌年の718年に開山した経緯があります。
能郷白山 | 詳細情報 |
都道府県 | 福井県・岐阜県 |
山域 | 両白山地 |
標高 | 1,617m |
山の紹介 | 能郷白山の基本情報と山頂付近の天気 |
その1|能郷白山登山の魅力は花の多い山
花が咲きやすい標高と気候のため、春から夏の間は美しい高山植物が花開いています。花のシーズンが終わると、紅葉も見事な能郷白山です。
その2|名峰を遠望するパノラマビューの稜線歩き
白山と御嶽山がとても目立ちます。古代に噴火しなければ、富士山よりも標高が高かっただろうと、しっかりと見極められるでしょう。「山の博物館」のように、日本の名峰をずらりと眺められる能郷白山です。山頂からは、伊勢湾も眺めることができます!伊吹山や鈴鹿山脈、奥美濃の山々も手前にシッカリ見られます。北アルプスも望める展望です。
その3|尾根が歩きやすく、ハイキング気分で楽しめる
歩きやすく、ゆったりとした気分で歩けるから、山頂や尾根付近は高原のが広がってるかのような、クマザサの緑が美しいです。往復4時間未満だから、きっと余力があるので楽しさも倍増するでしょう。山ごはんやお弁当を楽しむ時間と心も、充分にあるのではないでしょうか。
能郷白山の難度別おすすめ登山コース2ルート
能郷白山は日帰りで登れるのも、人気がある理由のひとつです。
ここでは、初心者からも楽しめる難易度AとBの、能郷白山を満喫する、2つのコースをご紹介します。
※難易度は、ヤマレコを参照。歩行時間は「標準1.0」
登山コース | 難易度 | コースタイム |
①温見峠(ぬくみ) | 初心者 | 3時間50分 |
②能郷谷 | 中級者 | 9時間43分 |
②能郷谷は30-150%のスピードで登山をしている方に最適です。7時間ぐらいで終了するようです。地図表記の標準タイムである、9時間43分を参考にしてください。
早速、各コースの具体的なルートを見ていきましょう。
①温見峠登山口の 初心者コース|能郷白山
安全に初心者が登れるように、標識がとても充実しています。頂上から4等分した位置に距離標が設置されています。頂上が⓪で登山口は㉑の小さな番号札もあるので、参考になるでしょう。
ロープやハシゴもありますが、通常の登山道だと用意はないほどです。温見峠登山口は、初心者の運動能力と思考を考慮し、山頂まで導いてくれる登山道です。
能郷白山 | 温見峠登山口 |
必要日数 | 日帰り登山 |
コースタイム | 3時間50分 |
歩行距離 | 4.5km |
累計標高 | 596m |
難易度 | 初心者 |
温見峠の難易度、景色や登山ルートの様子をご説明いたします。
難易度はAとBクラス | 温見峠 登山ルートの様子
温見峠 行動予定とコースタイム(休憩含まず) |
06:00 温見峠 - 08:25 能郷白山 - 09:50 温見峠 |
コースタイムは、往路2時間25分と復路1時間25分で、合計3時間50分です。
06:00 温見峠 標高1050m
⑯〜⑫付近は、急な尾根で落石や滑落しやすい場所が稀にあります。ハシゴは全部で5つあります。
⑪〜⑩付近は、雨が降ったあとは泥で滑りやすいかもしれません。
⑨ コロンブスピーク 標高1492m
徐々に視界が開けてきます。
奥美濃の遠望が美しい稜線。あらゆる山々が見えてきます。
08:25 能郷白山
スペースは広めなので、山ごはんが楽しめます。そこそこ人がいるので、きっとバナーで料理する場所が確保できないかもしれない。美味しいお弁当を持っていくと良いはずです!
温見峠の地図と標高 ↓ヤマレコ
難所や難易度の高い所エリア
難所というほどではありませんが、コロンブスピークまでは、少し歩きにくいです。ハシゴが5ケ所ありますが、どちらかというと、地形の保護のためのものでしょう。
温見峠まとめ|能郷白山
尾根が広いので、とても歩きやすいコースです。登りにくいエリアが、登山開始と終了時点なので、安心して登れるのではないでしょうか。4時間未満で登山が終了するので「今日は遅めに開始♪」ができそうですが、クマザサの尾根は、直射日光の威力はかなりのものです。やはり、朝から歩くほうがよいでしょう。
②能郷谷 登山口の 中級者コース|能郷白山
能郷白山 | 能郷谷登山口 |
必要日数 | 日帰り登山 |
コースタイム | 9時間43分 |
歩行距離 | 15.8km |
累計標高 | 1,449m |
難易度 | 中級者 |
能郷谷の難易度、景色や登山ルートの様子をご説明いたします。
難易度はAとBクラス | 能郷谷 登山ルートの様子
能郷谷登山口の滝めぐり 行動予定とコースタイム(休憩含まず) |
05:00 能郷谷林道ゲート - 06:35 能郷谷登山口 - 08:12 二合目 - 09:32 前山 - 09:49 五合目 - 10:50 能郷白山 - 11:34 五合目 - 11:56 前山 - 12:41 二合目 - 13:33 能郷谷登山口 - 14:43 能郷谷林道ゲート |
コースタイムは、往路5時間50分と復路3時間53分で、合計9時間43分です。頂上から6等分した位置に距離標と、⓪〜㊴の小さな番号札もあるので、登山の参考にしてください。歩行距離の15.8kmうち、7km以上が林道で、登山道は9km未満です。
05:00 能郷谷林道ゲート
3.4kmを約35分かけて歩く林道です。林道上に沢の流れ込みもあってビックリ!荒れた舗装になり、割れたり陥没したりもありますが、徒歩で進むには特に問題ないです。
06:35能郷谷登山口
まずは、仮設の橋「希望の橋」を渡ることから登山がスタート。その後は、いきなり急登が続きます。ブナや広葉樹が美しいのが救いです。1/6を過ぎると、登りが緩やかに。
08:12 二合目
道は広めの稜線。すでに展望が広がって、南東がよく見える180度の見晴らしです。これから歩く尾根も眺められます。たまに緩やかな登りになりますが、引き続き尾根をグイグイと登ります。
3/6からガレ場になり、軽くやせ尾根気味の登山道になって、石がちらほら増えてきます。それほどヤッカイな巨石はなく、多少は足場を選ぶ程度です。
09:32 前山
歩くに気持ちがよい吊り尾根のブナ林ですが、天候が荒れることがある立地と地元では認識されています。正面に能道白山が見え、とても綺麗。4/6は平坦になってきます。
いったん1400m相当まで、吊り尾根をゆっくりと下ります。
09:49 五合目
登り返し地点。急な登りですが、道幅もそこそこあるので、自分のペースとピッチで歩けます。比較的登りやすく、あまり癖がありません。
10:50 能郷白山
スペースは広めなので、山ごはんが楽しめます。そこそこ人がいるので、きっとバナーで料理する場所が確保できないかもしれない。美味しいお弁当を持っていくと良いはずです!
能郷谷の地図と標高 ↓ヤマレコ
難所や難易度の高い所エリア
渡渉(としょう)ポイントが真っ先にあります。「希望の橋(仮設)」があるので、濡れずに渡れるはずです。地図表記の標準コースタイムですと、休憩なしで9時間43分を必要とします。1.3〜1.5倍のスピードで歩ける方向きのコースです。
能郷谷まとめ|能郷白山
パノラマビューの時間帯が長時間の登山コースです。空気が澄んだ晴天に登ると、歓喜の登山になるはず!!広葉樹が多く茂っているので、紅葉シーズンの登山もおすすめです。2023年現在では、週末でも2,3人しか利用しないようです。すいている登山道で、自然を独占できるでしょう。
Q&A 能郷白山登山を楽しくするために、山旅旅に質問!!
Q1. 能郷白山と白山の違いや、日本中に白山があるのが不思議です。
白山が総本宮で、いわゆる「本社」です。能郷白山は白山の御神体を分霊した山のひとつで、同じように分霊した山が、全国に2000ほどあります。それぞれが、白山信仰をしている山のひとつなのです。白山で修行した修験者が非常に多く、日本全国をくまなく巡ったため、白山信仰が広がりました。
Q2. 能郷谷登山口は難易度がBか、中級者コースかどちらですか?
①温見峠側は難易度がAです。②能郷谷は、難易度がBです。距離が長いため、中級者以上の健脚者におすすめです。長距離は中級者以上が最適です。自分の歩行時間をコントロールでき、遅れたらピッチを上げれる(下げない)体力が必要ですものね。中級者の方が一緒に登るなら、初心者の方もチャレンジできるでしょう。
Q3. 渡渉(としょう)って何ですか?
川や沢など水がある所を渡ることです。長時間になる場合は、ウォーターシューズに履き替えて沢を進むこともあります。昔から沢登りには「沢靴」があり、地下足袋のような靴を履いていました。沢登りも登山も一足でよい靴もあります。
能郷白山への登山口情報とアクセス方法
能郷白山の登山口は2つ。「温見峠(ぬくみ)」と「能郷谷」です。
能郷白山の登山口情報 | ①温見峠 | ②能郷谷 |
駐車料金 | 無料 | 無料 |
駐車台数 | 数台と路駐 | 数台 |
登山届ポスト | あり | あり |
登山口のトイレ | 仮設あり | 神社にあり |
避難小屋 | なし | なし |
道中のトイレ | なし | なし |
能郷白山への行き方|交通情報
能郷白山神社あたりから道が悪くなります。国道157号線は、ネット上で「日本三大酷道」のひとつと言われるほど。すれ違い困難なので、対向車が来ると本当に困る道です。登山者にとっては、たまに登山に行くと遭遇する程度の公道ではあります。20kmの山道なので「運転が登山より疲れる」と言われています。
①温見峠登山口 | 能郷白山
岐阜県 大野神戸IC(東海環状自動車道)より 1時間16分/58.9km
滋賀県 木之本IC(北陸自動車道)より 2時間08分/89.5km
②能郷白山登山口|能郷白山
岐阜県 大野神戸IC(東海環状自動車道)より 47分/37.8km
滋賀県 木之本IC(北陸自動車道)より 1時間23分/68.8km
能郷白山周辺のおすすめ山路スポット
能郷白山周辺の山路スポットをご案内します。国道157号線が荒くなる前に、いくつかの魅力的な山路スポットがあります。安全に降りて来れたら、休憩がてら立ち寄ってみてはどうでしょうか。
ここでは、能郷白山周辺でしか楽しめない、貴重な山路スポットをご紹介します。
【ジビエ料理工房 風の蛍】|道の駅 織部の里もとす
Google Mapは、山道を降りた「樽見駅」からのルート案内です。お値打ち価格でジビエ料理(鹿肉)が食べられるのです!!人気はシビエの串カツ1本350円!ハンバーガーもあり、メニューが豊富です。オーナーさんは、自分でお肉を解体して売っているのです。
営業時間は9:00-16:00(水曜定休日)です。
【淡墨桜】天然記念物|根尾谷・淡墨公園
樹齢1500年以上の一本桜で、三大巨桜または日本五大桜のひとつ。100年以上前から衰えてきてますが、その都度治療を受けて再生をしています。樹齢1500年以上だから、桜が咲いてなくても、一目見に行く価値がある大木です。
【能郷白山神社】能と狂言の重要無形民族文化財|能郷谷登山口
能楽の源流を祭礼奉納が継承され続けている、貴重な神社です。重要無形民俗文化財になっています。奈良時代からの口伝えで、二十二曲も代々にわたり受け継がれています。能が分派する前の古いスタイルで、文化的に非常に貴重と認知されています。毎年、4月13日に演じられる神事芸能です。
登山口に行く前に、ちょっと立ち寄って参拝してはどうでしょうか。
奥美濃の最高峰を堪能しよう!!|能郷白山のまとめ
能郷白山の2つの登山コースを紹介しました。
温見峠はコースタイムも短く、比較的楽に登山ができます。能郷谷は7km以上の林道歩きがあるので、実際の登山距離は約9kmぐらいです。
能郷白山は岐阜県の「奥美濃」という地域の最高峰です。そのため、南の眺めも素晴らしく、岐阜県の美濃地区が全て見渡せる稜線と尾根です。どちらのコースも最初に急登があり、荒々しい道になっています。管理が丁寧にされているので、標識をよく見ていれば安全に登れるでしょう。能郷白山の標識は、手作りが多くて可愛らしいです。