六甲山は兵庫県神戸市を中心に東西約30kmに伸びる山塊です。神戸の市街地に鎮座する山であるため、山頂からは1,000万ドルと称される美しい夜景が見られることで有名です。
六甲山は落葉広葉樹の森林でおおわれており、秋には山全体が赤や黄色に色づきます。標高931mの低山である六甲山は初心者でも登りやすく、ロープウェーやケーブルカーで山頂付近まで行くこともできるので、紅葉シーズンは多くの行楽客でにぎわいます。
【秋のおすすめ登山】六甲山の基本情報と魅力
六甲山の名前の由来は難波(大阪)の向こうにある山のムコ山からきています。ムコに六甲の字があてられ六甲山(ロッコウサン)と呼ばれるようになりました。
六甲山は江戸時代から明治時代にかけて、樹木の伐採や花崗岩の採掘が行われるなど、荒れた禿山になってしまったことがあります。明治の後期から禿げた六甲山に緑を取り戻すために植栽を100年かけて行った結果、現在のような美しい六甲山の姿を取り戻すことができました。
山の名前 | 六甲山 |
標高 | 931m |
エリア | 東海・北陸・近畿(兵庫県) |
詳細情報 | 六甲山の地図・天気 |
【秋のおすすめ登山】六甲山の基本情報
六甲山は古代から山岳修行の場になっていました。仏教の伝来とともに山岳寺院が建てられ、平安時代には空海が摩耶山天上寺と再度山大龍寺を建立したと伝えられています。
江戸時代の末期に神戸港が開港すると六甲山の麓には外国人居留地がつくられ、山頂に外国人の山荘がいくつも建てられました。これにより、六甲山ではレクリエーションとしての登山活動が行われ、近代登山発祥の地と呼ばれるようになったのです。現在の六甲山は神戸のランドマーク的な存在で、全国各地から多くの観光客が訪れています。
六甲山が登山客でもっともにぎわうのは、紅葉の美しい10月〜11月です。紅葉シーズンの六甲山は登山道が渋滞するほど混み合います。
六甲山の麓には有馬温泉や武田尾温泉などの有名な温泉が湧いていて、登山のあとに温泉につかって疲労を洗い流すという贅沢なスケジュールで楽しむ人も多くいます。
【秋のおすすめ登山】六甲山の魅力その①|山肌をおおう美しい紅葉
六甲山の紅葉のシーズンは10月中旬から11月下旬です。六甲山には11種類のカエデが生息していて、その中でも濃い橙色に色づくウリハカエデが山肌を真っ赤に染める光景は圧巻です。六甲山の紅葉はカエデ以外にもブナやシラキ、ハゼノキなどの落葉広葉樹も自生しているため、赤と黄色が入り混じった幻想的な紅葉が見られます。
六甲山の中でも特に紅葉で有名なスポットは裏六甲にある紅葉谷(もみじだに)です。登山ルートが最近まで通行止めになっていましたが、2022年7月に通行止めが解除されたため再度紅葉シーズンの紅葉谷に熱い視線が注がれています。
【秋のおすすめ登山】六甲山の魅力その②|山頂から見下ろす大阪湾や瀬戸内海の絶景
六甲山の最高地点からの眺めは絶景で、大阪や神戸の街を一望できます。山頂からは眼下に大阪平野が広がり、その向こう側には生駒山が見えます。大阪湾の先には大和葛城山や金剛山が望めるでしょう。さらに、瀬戸内海に目を移すと淡路島や家島や小豆島を見ることができます。
特に紅葉の季節は六甲山の黄色と赤のグラデーションとあわせて、これらの眺望を楽しめます。
【秋のおすすめ登山】六甲山の魅力その③|ロープウェーで紅葉の六甲山を空中散歩
六甲山は登山をしなくても、ロープウェーで空の上から紅葉を楽しめます。六甲有馬ロープウェーは有馬温泉駅から出発して標高875mにある六甲山頂駅を結んでいます。全長が2,764mあり、約12分間の空中散歩を楽しめるのです。六甲有馬ロープウェーは交通手段でありながら、アトラクションの要素も兼ね備えています。紅葉シーズンはロープウェーから赤や黄色に染まる美しい山肌が広がり息を呑む光景が見られるでしょう。
ロープウェーは標高差441mを最大28.17度の勾配を駆け上がるため、六甲山頂駅に到着すると標高差で少しひんやり感じます。紅葉シーズンの六甲山は防寒対策をして、ロープウェーからの景色を楽しんでください。
【秋のおすすめ登山】六甲山の難易度別登山ルート
六甲山には20以上の登山ルートが存在しています。その中には初心者でも登りやすい登山道から、上級者向きのバリエーションルートなどさまざまな難易度があります。今回紹介するのは初心者でも登山可能で、紅葉が楽しめる登山ルートを3つ紹介します。
- 芦屋川〜有馬温泉縦走ルート
- 東おたふく山登山口〜有馬温泉縦走ルート
- 紅葉谷道〜六甲ガーデンテラスルート
【秋のおすすめ登山】六甲山の紅葉と岩登りを楽しめる|芦屋川〜有馬温泉縦走ルート
①芦屋川駅→30分→②高座の滝→1時間→③風吹岩→1時間10分→④雨ヶ峠→1時間20分→⑤一軒茶屋→10分→⑥六甲山→2時間20分→⑦虫地獄登山口(休憩時間1時間含む)
必要日数 | 日帰り登山 |
総コースタイム | 6時間30分(休憩時間1時間含む) |
距離 | 12.0km |
累積標高 | 1,137m |
難易度 | ★★☆☆☆ |
阪急芦屋川駅から山頂を目指し、さらに有馬温泉側の裏六甲に下山するルートで紅葉と登山を楽しみました。
阪急芦屋川駅からロックガーデン登山口までは30分ほど芦屋の高級住宅街を歩きます。
大阪湾を背にして坂道を登るとロックガーデン登山口に到着します。
登山口から滝の茶屋を抜けると落差約10mの高座の滝です。
高座の滝を越えて、ロックガーデンに入り岩登りが始まりました。六甲山のロックガーデンは日本のロッククライミング発祥の地としても有名です。
岩登りは1時間ほど続きます。
岩の道を登り切ると風吹岩があらわれました。
風吹岩には登ることができ、岩の上からは大阪の街と大阪湾を一望できます。
風吹岩を過ぎて雨ヶ峠に差し掛かりました。登山ルートの途中にはゴルフ場を通り抜ける区間があります。登山道は広葉樹の樹林帯で、紅葉の美しい色合いが目に飛び込んでくるでしょう。七曲から登山道は急登が続き徐々に体力が奪われます。
あたり一面の紅葉が心の支えです。
勾配のある坂を登り切ると一軒茶屋があらわれました。山頂手前にはトイレもあるのでここで用を足すことができます。
ついに六甲山の最高峰に到着です。山頂からは360°のパノラマが広がり、黄色や赤に染まった六甲の山々と大阪湾、瀬戸内海が見渡せます。
山頂から展望を楽しんだあとは、有馬温泉方面へ下山を開始しました。有馬温泉側への下山は道幅も広くなだらかでとても歩きやすい道です。
山頂から約1時間30分で有馬温泉側の登山口である虫地獄登山口に到着しました。
【秋のおすすめ登山】六甲山芦屋川ルート駐車場情報
標高 | 30〜60m |
駐車場の種類 | コインパーキング |
駐車料金の相場 | 1,100円/日 |
トイレの有無 | なし |
登山ポストの有無 | なし |
芦屋川ルートのロックガーデン登山口には登山者専用の駐車場はありません。駐車場は阪急芦屋川駅周辺のコインパーキングに止めてください。
【秋のおすすめ登山】岩登りを回避し山頂を目指す|東おたふく山登山口〜有馬温泉縦走ルート
①東おたふく山登山口バス停→1時間50分→②東お多福山→2時間20分→③一軒茶屋→10分→④六甲山→3時間10分→⑤虫地獄登山口(休憩3時間30分含む)
必要日数 | 日帰り登山 |
総コースタイム | 7時間30分(休憩3時間30分含む) |
距離 | 9.3km |
累積標高 | 765m |
難易度 | ★★☆☆☆ |
ロックガーデンの岩登りを避けたい人は、東おたふく山登山口から東お多福山を経由して六甲山の最高峰を目指すルートがおすすめです。
阪急バスの東おたふく登山口バス停から登山道に入ります。登山道を進むと東おたふく山と土樋割峠の分岐点があらわれました。分岐で東お多福山を選び山頂を目指します。
紅葉で赤く色づいた登山道を進み、東お多福山山頂に到着しました。
山頂から15分ほど行くと雨ヶ峠の分岐点で、ここからは芦屋川ルートと合流します。雨ヶ峠からは約1時間で六甲山山頂に到着です。
六甲山山頂で紅葉と眺望を楽しんだあとは、裏六甲の有馬温泉側へ下山しました。
【秋のおすすめ登山】東おたふく山登山口ルート駐車場情報
標高 | 450m |
駐車場の種類 | コインパーキング |
駐車料金の相場 | 990円/日 |
トイレの有無 | なし |
登山ポストの有無 | なし |
東おたふく山登山口ルートには登山者専用の駐車場はありません。駐車場は周辺のコインパーキングに駐車してください。
【秋のおすすめ登山】裏六甲の紅葉谷を歩く|紅葉谷道〜六甲ガーデンテラスルート
①六甲有馬ロープウェー有馬温泉駅→3時間10分→②六甲ガーデンテラス→1時間15分→③雲ヶ岩→35分→④六甲有馬ロープウェー六甲山頂駅→20分→⑤六甲有馬ロープウェー有馬温泉駅(休憩時間1時間含む)
必要日数 | 日帰り登山 |
総コースタイム | 5時間20分(休憩時間1時間含む) |
距離 | 11.7km |
累積標高 | 770m |
難易度 | ★★☆☆☆ |
神戸電鉄の有馬温泉駅から温泉街を抜けロープウェー駅の脇から登山道に入ります。
紅葉谷を経由するコースは沢沿いを歩くルートで、沢を数回渡らなくてはいけません。
紅葉谷は六甲山の中でも特に紅葉が美しく景色に心を奪われます。
登山道は緩やかな坂ときつい坂がおりまざった楽しいコースです。
紅葉の美しい沢沿いの登山道を登り切ると、極楽茶屋跡に到着しました。極楽茶屋跡からは六甲山縦走路で六甲ガーデンテラスへ向かいます。大阪湾を眺めながら六甲山中継所を通過し六甲ガーデンテラスに到着です。
六甲ガーデンテラスでは見晴らしデッキと見晴らしの塔からの眺望を満喫しました。
六甲ガーデンテラスをあとにして雲ヶ岩を見物し、帰路は六甲有馬ロープウェーで紅葉に染まる六甲山を上から眺めながら、約12分の空中散歩を楽しみました。
【秋のおすすめ登山】六甲有馬ロープウェー有馬温泉駅駐車場情報
標高 | 420m |
駐車スペース | 40台 |
駐車料金 | 平日1,200円/日 土日祝1,600円/日 |
トイレの有無 | あり |
登山ポストの有無 | なし |
紅葉谷道を利用する場合、ロープウェーの有馬温泉駅駐車場を利用するのが便利です。
【秋のおすすめ登山】六甲山のQ&A
六甲山に関する質問は、紅葉シーズンの疑問について多くいただいています。
Q.六甲山の紅葉の見頃はいつ頃ですか?
A.六甲山の紅葉の見頃は10月中旬から11月下旬です。山頂付近はブナ林が多いため黄色く色づき、麓はウリハカエデ中心の濃い橙色に染まります。六甲山の10月中旬から11月下旬は、麓から山頂まで色の違いをグラデーションで楽しめます。
Q.六甲山の紅葉シーズンはどのような服装がよいですか?
A.六甲山の10月中旬から11月下旬の気温は3〜15℃と幅が広いため、夏と冬の両方の装備を想定して出かけましょう。メリのウールの長袖のシャツにTシャツの重ね着と薄手から中厚のロングパンツの装いで、気温に応じて羽織れるジャケットを持っていくのがおすすめです。
Q.六甲山は初心者でも登山可能ですか?
A.六甲山は初心者でも登山可能です。地元では小学生の遠足のコースにもなっている山です。コースによっては岩場があるため一部注意して登らなければいけない箇所はありますが、登山靴をはいていれば誰でもチャレンジできます。
【秋のおすすめ登山】六甲山の登山口へのアクセス・各種情報
六甲山は神戸市の市街地に鎮座しているので、登山者専用の駐車場は少なく公共交通機関でのアクセスがおすすめです。
また、兵庫県内の山に登る場合の登山届は、提出先に決まりがなく家族や職場、警察など、どこに提出しても構いません。提出方法はオンライン登山届受理システムのコンパスを使うか、警察署に郵送、FAX、直接持参による方法で提出します。
【秋のおすすめ登山】六甲山のロックガーデン登山口へのアクセス
芦屋川ルートのロックガーデン登山口へのアクセスは公共交通機関を使ったアクセスがおすすめです。車でアクセスする場合は、芦屋川駅周辺にあるコインパーキングに駐車して登山口を目指してください。
【秋のおすすめ登山】六甲山のロックガーデン登山口への公共交通機関でのアクセス
ロックガーデン登山口の最寄り駅は、阪急神戸線の芦屋川駅です。芦屋川駅からは徒歩で約30分かかります。
芦屋川駅からロックガーデン登山口までの標高差は約100mで、芦屋の高級住宅街の坂道を歩きます。
【秋のおすすめ登山】六甲山のロックガーデン登山口への車でのアクセス
阪神高速3号神戸線の芦屋ICから芦屋川駅周辺までは、3.5kmで約11分です。車は芦屋川駅周辺のコインパーキングに駐車してください。
芦屋駅周辺からロックガーデン登山口までは徒歩約30分です。
【秋のおすすめ登山】六甲山の東おたふく山登山口へのアクセス
東おたふく山登山口には登山者専用駐車場がないため公共交通機関でのアクセスがお勧めです。車でアクセスする場合は登山口周辺のコインパーキングに駐車してください。
【秋のおすすめ登山】六甲山東おたふく山登山口への公共交通機関でのアクセス
東おたふく山登山口へ公共交通機関でアクセスする場合は、阪急芦屋川駅からバスで東おたふく山登山口バス停で降車します。
バスの所要時間は約12分です。
【秋のおすすめ登山】六甲山東おたふく山登山口への車でのアクセス
阪神高速3号神戸線の芦屋ICから東おたふく山登山口までの距離は約8kmで20分かかります。
車は東おたふく山登山口周辺のコインパーキングに駐車してください。
【秋のおすすめ登山】六甲山の紅葉谷登山口へのアクセス
紅葉谷登山口は神戸電鉄有馬温泉駅から近く、六甲有馬ロープウェーの駐車場が利用できるため公共交通機関と車の両方でアクセスできます。
【秋のおすすめ登山】六甲山の紅葉谷登山口へ公共交通機関でのアクセス
紅葉谷登山口の最寄り駅は神戸電鉄の有馬温泉駅です。登山口までの距離は約1kmで20分かかります。
【秋のおすすめ登山】六甲山の紅葉谷登山口へ車でのアクセス
西宮山口南ICから有馬街道を経由して駐車場のある六甲有馬ロープウェーの有馬温泉駅へ向かいます。西宮山口南ICからロープウェーの有馬温泉駅までの距離は約4kmで、所要時間は10分です。
紅葉谷登山口はロープウェー駅の脇にあります。
【秋のおすすめ登山】六甲山の山旅スポット
六甲山周辺は明治より外国人居留地があった街で、異国情緒あふれる街並みや施設が残っています。さらに、日本の三古泉であり、豊臣秀吉が愛したとされる有馬温泉が麓から湧き出ています。
紅葉に染まる秋の六甲山で登山を楽しんだあとは、神戸の名産品に舌鼓をうち温泉につかって疲れを癒やしてください。
【秋のおすすめ登山】六甲山の山旅スポット|六甲山ジンギスカンパレス
ジンギスカンは六甲山の名物として有名です。ジンギスカンはラム肉を独特の形状をした鉄板で焼く料理で、六甲山ジンギスカンパレスではランチタイムの11:00〜14:00の間、90分食べ放題で大人(中学生以上)1人3,000円で味わえます。
ラム肉は必須アミノ酸が豊富で良質な油である不飽和脂肪酸が多く含まれるなど、健康食材としても近年注目を集めています。疲労回復にも効果があるので、登山後に六甲山ジンギスカンパレスで美味しいいラム肉を思い切り食べてみてはいかがでしょうか。
【秋のおすすめ登山】六甲山の山旅スポット|六甲山QBBチーズ館
QBBチーズ館はベビーチーズで有名な神戸市に本社のある六甲バターが運営する施設です。チーズの歴史を紹介する展示館と本場のチーズ料理が食べられるレストランが併設されています。
QBBチーズ館は六甲山牧場の敷地内にあり、牧場内で飼育されているヒツジやヤギ、ウサギなどに癒やされたあとは、QBBチーズ館内にあるレストランでチーズ料理を堪能してみてはいかがでしょうか。エメンタルチーズを使ったフォンデュや溶かしたラクレットをジャガイモやウィンナーにかけて食べさせてくれる料理など、本場スイスの食べ方でチーズを味わうことができます。
【秋のおすすめ登山】六甲山の山旅スポット|有馬温泉金の湯・銀の湯
金の湯と銀の湯は有馬温泉を代表する日帰り温泉です。
金の湯と銀の湯はそれぞれ泉質が違い、金の湯は赤茶色をしたお湯で、鉄分と塩分を多く含んでいます。銀の湯は、無色透明で炭酸を含んだ温泉とラドン泉の2種類があります。入浴料は金の湯が800円(平日は650円)、銀の湯が700円(平日は550円)です。
時間が許すなら効能の違う2つの温泉につかって、日々の疲れを解消してはいかがでしょうか。ただし、つかり過ぎてのぼせてしまわないように注意してください。
【秋のおすすめ登山】六甲山は自分にあった登山ルートで紅葉を楽しみましょう
秋の六甲山は紅葉が美しく訪れる人を魅了します。登山道もさまざまで、ロックガーデンの岩登りや紅葉谷の沢沿いを歩くルート、ロープウェーで空から紅葉を見下ろすコースなど豊富です。
六甲山の美しい紅葉は自分にあった登山道を選び、気温の差も考慮しながら万全な準備で臨んでください。赤や黄色に染まった六甲山の景色は、日頃の疲れを癒やしてくれるでしょう。