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テント泊装備の軽量化:具体的で実用的なTips

テント泊装備の軽量化:具体的で実用的なTips

登山テント泊装備を軽量化することで上り下りの歩きで体力を温存することができるとともに、それによって気持ちに余裕が生まれて山で過ごす時間に楽しさが生まれます。今回は僕が実践したテント泊装備の具体的で実用的なTipsを紹介します。

まずは簡単な経歴と軽量化をしようと思ったきっかけについて

若かりし頃の白馬岳登山

僕は登山を始めて10年以上経過するんですけれども、昔テント泊をした時には重装備でテントで2kg、シュラフ600g・・・と積み重なってベースウェイト10kgぐらいありました。当時は体力もなくてもう2度とテント泊はやりたくない!なんて思ったこともしばしばだったんです。

そんな時に双六小屋で短パン、Tシャツ、すごく小さなザックでテント泊装備を背負っている人を見て、あんなに軽快に登山を楽しめるんだ!と思って、そこから今持っている装備を改めて、徐々に軽量化を進めてきました。その結果今では3シーズンの登山でベースウェイトで4.4kgまで落とすことができました。

ベースウェイトとは

装備の軽量化を考える上で最もポピュラーかつスタンダードな測り方がベースウェイトです。これは水、食料、燃料、日焼け止めや虫除けスプレーなど消費アイテムを除外したザックの総重量のことを言います。

この測り方によって日数、行程に関係なく登山者の装備の比較をすることが可能になります。

ザックの総重量なので行動着、行動着のポケットの中に入れたアイテムなどは除外されます。

ベースウェイトで5kg以下にまで重量を落とすことで登山は劇的に変化する実感を得ていますので、皆さんにもぜひ知ってもらいたいと思って実際に僕が行ってきた軽量化のポイントを紹介していきます。今後荷物を軽量化していきたいんだよなという方には参考になる情報になると思います。ぜひ最後までご覧ください。

自分が使っている道具の重量を計る

まずはじめに自分が使っている道具の重量を計ってみましょう。今自分が使っている登山道具の重量を測ったことありますか?重い荷物を背負って登山をしている当時はバックパックの中に全て詰め込んだ状態で重さを測ったことはあったのですが、どの荷物がどれだけの重量かということについては、全く把握していませんでした。

このような状態で荷物を軽量化しようと考えても、手当たり次第となってしまって、どれだけの重量を減らすかといったこともわからないし、何を買い替えればいいのかという手段も明確にできないので、まずは自分の持っている道具を全て漏れなく測るということから始めましょう。

僕はベースウェイトでどれだけの重量があるのか?ということを把握するために3シーズンで1泊2日想定のテント泊装備をリストアップして、製品を買い換えたらメンテナンスを行うというようにしています。こういうリストを作っておくと、登山装備を準備する時の忘れ物チェックにもなるのでおすすめです。

装備リスト(Google スプレッドシート)

次からは実際に装備を軽量化する実践編に移っていきます。

テントの軽量化を行う

はじめて八ヶ岳に登った時

自分の装備の重量を見てみると、最も重いのがテント、ザックの2つだと思います。これら2つの重量のある装備を軽量化するのが最もインパクトがあると思います。まず初めにテントの軽量化についてお話をしていきます。

はじめて購入したテントはヒルバーグ ソウロ(最小重量で2kg)

テントを選ぶ時にはダブルウォールで自立式、重量は最小重量といってテント本体、レインフライ、ポールの3点の合計重量で1kg未満のものを選びましょう。登山で使用するテントだから耐久性に優れた素材で強度に優れたテントを選びがちです。この考え方は全く間違っていないのですが、装備を軽量化しようと考えた時には必ず軽いものが欲しくなるので、まだテント持っていない人はできるだけ軽いものを購入するのがおすすめです。

僕も最初は耐水性に優れ、破れづらい40デニールの厚手の生地を使用した2kgもあるテントを使用していました。このテントは今でもソロキャンプに出かける時には愛用していますが、山に登るような山岳用テントには950gの軽いテントを使っています。

MSRのハバハバシールドはメッシュが少ない(最小重量で950g)

もっと軽いテントもあるのですがテント本体に使用している生地がほとんどメッシュで、秋になると寒い思いをしたくないことから、メッシュ素材が少ないテントがおすすめです。もしも夏にしかしようしないよ。っていう方でしたらメッシュ素材が多いより軽量なテントでかなり軽量化できます。

NEMOのホーネットエリートオズモは本体に多くのメッシュが使用されている

ここ最近最も軽量なダブルウォールテントにNEMOのホーネットエリートオズモがありますが、このテントは最小重量で657gとめちゃくちゃ軽いのですが、テント本体の多くにメッシュ素材が使われているので、自分がどのような季節にテント泊をするのか考えて選びましょう。レビュー動画があるので気になる方はチェックしてみてください。

他にも1kg以内のテントを紹介したレビュー動画もあるので自分のスタイルにあったテント選びにお役立てください。

僕の場合は2つのテントを使い分けていて、雨の確率が少ない1泊2日の登山の場合はヘリテイジのクロスオーバードーム2Gという重量630gのシングルウォールテントを使っています。雨が心配で肌寒くなる季節にはMSRのハバハバシールド1を使っています。この2つを使ってみて思うのはシングルウォールは結露が多いこと、前室がないなど、少しハードルが高いアイテムだと思います。

ザックの軽量化を行う

ザックの重さは1.5kg前後だが背負い心地は抜群

軽量なザックとそうでないザックとの大きな違いは、パッドが入っていて、腰荷重することができ、重量を体全体で分散させることができるモデルであるか否かで、約40Lの容量のあるザックで1.6〜2kgというのがザックの平均重量です。対して軽量なザックの重量は約40Lの容量のあるザックで0.8〜1kgぐらいです。

じゃあ軽量なザックを選べばいいじゃん!という簡単な話ではなく、重量が軽い分ショルダーハーネス、ウエストハーネスのパッドが薄かったり、フレームがないなどで、ザックの中に入れる荷物が重いと腰荷重ができなくて肩に食い込んでしまって、登山中に体が痛くなってしまいます。

だからザックを軽量化することと、装備の軽量化はセットで考えなくてはいけないんです。ザックのウエイトを省いた水、食料、燃料全て含んで10kg以内であればザックの軽量化に勤しんでで良いと思います。

フレームも入って1kg以下のザック

注意点としてはザックを軽量化してベースウェイトを落としたとしても背負い心地が悪いと体幹を使って疲れが生じやすくなるので、今までの経験上ザックを軽量化する時にはフレームレスはやめたほうがいいと思います。体力のある人はフレームレスでもいいんですが、フレームがある軽量なザックというのもたくさん出ているので、そういったものをチョイスした方が買い換えるリスクも少ないと思います。

オスプレーのエクソス、ドイターのデュラセント、ゼログラムのスルーハイカー、ハイパーライトマウンテンギアのWINDRIDER、ULAのOHMなど非常に軽量なザックだけれども全てフレームが入っています。フレームを外してより軽量にすることもできるモデルがあるのもおすすめポイントです。

シュラフの軽量化を行う

次にインパクトがあるのがシュラフです。3シーズン用のシュラフが必要だと考えて快適就寝温度からシュラフを選んでいると例えば人気があるのがモンベルの#3で快適温度が5度、重量が645gなんですが、防寒着として必ず持って行くダウンジャケットやパンツを着用した状態で就寝することを考えると、もっと軽量なもので大丈夫なことが多いです。

また地面からの冷えというのがテントで寝ている時に最も感じやすいので、グランドシート、テント内に敷く銀マット、季節に応じたテントマットと防寒着があれば、かなり軽量なシュラフをチョイスしても寒くて起きることが少ないです。

それらを踏まえて僕の場合は【シートゥサミット】スパークSp1を3シーズン使っていて、快適温度は9度で重量が350gです。この時は夏は半袖短パン、寒くなればダウンジャケット、ダウンパンツを着用して就寝しています。寒さを感じる違いは人それぞれなので、寒がりじゃない人はシュラフカバーだけでもいいかもしれないし、寒がりな人はシュラフは軽量なものをチョイスして、防寒着で調整すると、「やっぱりシュラフもっと軽いものにしとけばよかった」ということも少なくなると思います。

今だとアマゾンで中華製のアウトドアブランドとか、ワークマン、ユニクロとかで防寒着を安く購入できると思うので、防寒着は安いもので試してみるのはいかがでしょう。

燃料の軽量化

続いては燃料の軽量化です。登山で食事をする方の多くが使用しているのがOD缶です。僕もかなりの頻度で使用している燃料ですが、装備の軽量化を重視する山行では固形燃料を使っています。

このOD缶を固形燃料に変えるとOD缶で約200g、ガスストーブで約70g、合計で270gなのに対し、固形燃料の場合は、固形燃料で約80g、五徳が15gなので、合計で100g以下で結構インパクトがあります。

ガス缶は固形燃料に比べて火力が強いこと、火力調整が容易なことから食事を作るシーンでは非常に使いやすいのですが、お湯を沸かすだけで済ませる食事に振り切ってしまえば固形燃料でも十分に事足ります。

最初は固形燃料をちゃんと使えるだろうか?とても心配だったのですが、風防を使うとか、風が少ない場所を選ぶなどすれば、誰でも問題なくお湯を作ることができます。アルコールストーブも装備の軽量化にインパクトを及ぼしますが、固形燃料よりも風の影響を受けやすいので、個人的には固形燃料の方が扱いやすいと思います。

クッカーの軽量化

お湯を沸かすだけなのになぜか大きなクッカーを使っているという方って結構多いと思うんです。大は小を兼ねるという考えで深型クッカーや念のために使うかもしれないという保険でクッカーを2つ以上持って行くとか、フライパンや鍋型クッカーなどでお湯を沸かそうと考えると、クッカーだけで2〜300gとかになっていませんか?

実際に使用するをお湯はどれだけ必要かまず考えましょう。例えばモンベルのリゾッタや尾西のアルファ米であれば160〜170mlのお湯が必要で、フリーズドライのスープを飲む場合は160ml、カップラーメンリフィルが330ml、カレーメシが230mlというように必要なお湯の量を考えると、大体450mlもお湯があれば十分なんです。

そして450mlのお湯を作ることができるクッカーにどのようなものがあるか考えれば、よりコンパクトで軽量なクッカーに変えることができます。僕はエバニューのTi570Cupを使っていますが、蓋がない状態で55gです。このクッカーだけで200〜300g軽量化できる方も多いんじゃないでしょうか?

お湯だけで作る食事が貧相だと思う時は山小屋の食事を取り入れるようにしています。だから縦走登山に出かける前は必ず山小屋が空いているか、どんな食事があるか、水を手に入れることができるかなどを調べます。

使っていない衣類を見直す

登山を始めたばかりって、テント泊中に寒かったらどうしよう?って誰しも考えると思うんです。僕も最初は寒さに不安があって、フリース、着替え用に分厚いソックスやロングスリーブ、ネックウォーマー、ニット帽など装備に加えていたのですが、実際には全然使っていなくって、でもなんか不安でいつも装備に加えてしまっていたんです。

これらの不必要な装備を一気に削ることで装備は一気に軽くなります。

僕の場合は着替えさえも装備に加えずに登山を実行していた時期もあったのですが、さすがに寝る時に気持ち悪くなって、Tシャツ、薄手のタイツ、ソックス、アンダーウェアは装備に加えるようになりました。これらは最も肌に近い部分に着用するアイテムなので、汗や雨で体が冷えてしまった時に着替えるなどのリスク用にも使えるので、今では必要装備に加えています。

装備を兼ねて軽量化

一石二鳥なアイテムを取り入れて装備を軽量化することも可能です。

例えばスタッフバッグの中に入った衣類を枕として活用することで、枕単体を省くとか、クッカーに使用しているスタッフバッグにヘッドライトの明かりを当てることでランタンシェードになるアイテムを活用するとか、シュラフやダウンジャケット、ダウンパンツを収納するスタッフバッグを1つのドライバッグにまとめるなどです。

さらに踏みこんで夏山登山では非常に薄いレインジャケットをつかうので、ウィンドブレーカーと兼用にしてしまうということも以前はしていたのですが、透湿性にかなりの差があること、レインジャケットにストレッチ性があまりないことで動きづらい、と感じたので今ではウィンドブレーカーはレインジャケットとは別にしています。

軽量化を行う時に注意すべきポイント

ここまで登山装備の軽量化におけるTipsを紹介してきましたが、これだけは軽量化をしないようにしましょうという注意点についてお話をします。

リスクになるような軽量化はだめ

軽量化は危険の代表格がレインウェアです。雨が降ると多くの場合気温が下がり、風が強くなります。高所でしかも秋の登山で夏山で使用する薄手のレインウェアを着用すると、雨が当たると体で冷たさを感じ、低体温症の危険があります。

必ず季節と高度から考えられる気温を知って、必要なスペックのレインウェアを選ぶようにしましょう。ゴアテックスを例にすると、夏山登山ではゴアテックスのパックライトなどの薄手のレインウェア、肌寒くなったら3層構造のレインウェアで表地のデニール数は20〜30あると安心です。

山で不便を感じる軽量化はだめ

軽量化をしたことで不便だなあと感じることが多くなり、楽しいはずの登山がつまらなくなってしまっては意味がありません。

例えば薄いテントマットにしたことで寝返りをすると体が痛いとか、ぶっつけ本番で固形燃料を使ってみたら全然お湯が作れないなど、実際に軽量化をして山に行ってみたら「こんなはずじゃなかった」と感じるようなことがないように、事前に自宅やファミリーキャンプなどに出かけて一度試してみるようにしましょう。

楽しみがなくなる軽量化はだめ

登山での楽しみ方は人それぞれです。登山でお酒を飲むことが大好きな人。食事を作ることが大好きな人。写真撮影を楽しみに登山に出かける人。こういう楽しみは軽量化で奪われては意味がありません。この楽しみを最大限に過ごすためにテント泊装備となるベース部分の軽量化を行うという優先順位で考えるようにしましょう。

まとめ

今回はベースウェイトで考えた時の装備の軽量化についてTipsを紹介してきました。行動食、山で食べる食事、水分補給を含めて軽量化を考えることも重要なので、こちらはまた別の記事で紹介します。

Youtube「山旅旅チャンネル」でテント泊装備の軽量化:具体的で実用的なTipsをチェック

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