雪山登山中にトラブルが発生すると心を冷静に対処するのが困難な場合があります。ソロで雪山登山に登る時は一人で様々なトラブルに対処しなければいけません。生きて帰ることを目的に絶対に持ち物に加えるべきエマージェンシーキットを紹介します。
雪山に登るということ
3シーズンの登山とは全く異なった自然環境だからこそ、それゆえに美しくもあり、また想定外の出来事が起こる可能性が高いのが雪山です。準備を怠ると命の危険が高くなるため、持ち歩くべき登山装備を入念にチェック・メンテナンスすることはもちろん、夏山とは異なったエマージェンシーキットを準備し、想定外のトラブルに対処することが重要です。
山岳遭難事故は7、8月だけの統計で見ても2023年で遭難者は過去最多の809人となっています。この数値は過去の年と比較して増加傾向にあります。自分の体力をわきまえて気を引き締めるようにしましょう。
雪山登山用エマージェンシーキット
3シーズンで持ち歩くファーストエイドキットの他に雪山登山ではこれから紹介するアイテムを追加するようにしています。
エマージェンシーシート
夏山で持ち歩くエマージェンシーシートはモンベルのマルチシートやSOLのエマージェンシーヴィヴィを使いますが、雪山では必ずツエルトを持参します。トレッキングポールと細引を使えば簡易テントを作ることができます。雪山では雪を掘って風除けを作り、その上からツエルトとポールを使って立てると強い風の中でも停滞することができます。また何人かで一緒にツエルトで体を覆うだけでも冷たい風をしのぐことができます。
ガス・ガスストーブ・クッカー
停滞した時にお湯を作ることができるだけで体を温めることはもちろん、高い安心感を得ることができます。水がなくとも雪を溶かして水を作ることができるのは、雪山で一晩明かさなくてはいけない時に大変心強い味方となります。
高い火力と高いエネルギー効率を両立させ、ガスの消費量を半分に抑えることができる携行性に優れたJETBOILのマイクロモがおすすめです。
ライター防水ケース&予備ライター&防水マッチ
雪山で火を作ることは遭難時に自分の居場所を伝える手段にもなるし、標高が高く寒い場所では火が付きづらいこと、雪などで濡れてしまったら火を起こすことが困難になることから、フリント式ライターの中でもイソブタンを使用しているBICのライターを防水ケースに入れたもの、さらに予備のライター、防水マッチを加えて、「必ず火を起こすことができる」自信のある道具を持ち歩くようにします。何があってもこの自信があるだけで落ち着いた行動が可能になります。
ライターケースはAmazonで安く購入できるアイテムよりも強い防水性のある山旅の防水ケースがおすすめです。
サバイバルマッチは防風、耐水性能を備えたUCOのマッチが優れています。
ワイヤーと固定ストラップ
雪山用の歩行道具であるアイゼン、ワカン、スノーシュー。また滑走道具であるスキーブーツ、ビンディング、スキー板、スキークランポンなどが故障してしまい装着することができないと大きな事故につながります。このような時に便利なのがワイヤー、ストラップです。ザックや登山靴、登山ザックの補修にも活用できます。
ブラックダイヤモンドのスキーストラップは様々なストラップの中でもゴムが柔らかくストレッチするので固定するので使いやすいです。
予備のヘッドランプ
ヘッドランプをなくしてしまった、故障してしまった、電池がなくなってしまったといった事故は致命的です。明かりがないと何もすることができなくなるので小型なヘッドランプは必ず準備しましょう。
ペツルのイーライトは重量26gで非常に軽量ながら40ルーメンの明るさで、伸縮性ヘッドバンドの後部にホイッスルがついており、緊急時に使用できます。
プライヤー
ワイヤーを使った補修以外に、雪山で必要な道具の修理にも活用することができます。補修を目的に使うので、コンパクトで軽量なものよりも使い勝手に優れたモデルを選択するようにしましょう。
プライヤーをメインツールにしたマルチツール「レザーマン(LEATHERMAN) FREE P4 FRP4」が使いやすく便利です。21種類の機能を備えたハイスペックなモデルで実用性の高いマルチツールが欲しい方におすすめです。本体に搭載されたマグネット機能によりツール開閉時の抵抗や摩耗を軽減するのもグローブをした状況で便利です。
体温計
雪山登山で寒くなると熱が出ても気づきづらく、体のだるい原因がわからなくなることがあります。この時に体温計で熱を測ることで、体調不良の原因を突き詰めることができる可能性が高まります。
Bluetoothでスマホに記録されグラフで体温変化を知ることができるSmart内蔵体温計がおすすめです。
着替え
宿泊する登山では着替えを持ち歩く方も多いと思います。雪山登山に出かける時は日帰りでも着替えを持ち歩くようにしましょう。汗でウェアが湿った状態で停滞すると急激に体が冷えてしまいます。ベースレイヤー、アンダーウェア、ソックスなど体に直接触れる着替えがあるだけでも、気化熱による体温の低下を防ぐことができます。
替えの手袋
山の中で濡れたものを乾かすことはできないと考えましょう。そのように考えて濡れる可能性が高く濡れては困るものの代表格が手袋です。ジップロックなどに入れて濡れない状態で替えの手袋を準備しましょう。
オールシーズン持っていく道具
以下のアイテムは夏山登山でも持ち歩いているものなので、あえてここでは紹介していません。これらの道具はオールシーズンに必要なアイテムです。
- ファーストエイドキット
- モバイルバッテリー
- 非常食
- 紙地図
- ホイッスル
- 靴紐
- ダクトテープ
- 浄水器
- 防寒着
濡れては困るものはドライバッグを使う
使おうと思った衣類が濡れてしまうと使い物にならなくなります。雪山では雪がザックの中に侵入して溶けることで濡れる可能性が高いです。このようなことがないように防寒着、手袋、着替えなど濡れては困るものをまとめてドライバックに収納するようにしましょう。