クライマーの安全確保をすることを「ビレイ」と言いますが、ビレイジャケットは、ビレイヤーのために作られた防寒ジャケットであり、シェルの上に重ね着することを想定してデザインされています。今回紹介するモンベルのフラットアイアンパーカーはビレイヤーの使いやすい機能を備えたパーカーです。
僕はビレイをすることはないのですが、雪のある寒い場所に出かける時に今回紹介するような防寒性に優れたジャケットがあると何かと便利なことが多く、フラットアイアンパーカーは税込みで1万9800円という価格に似つかわしくない優れた機能を備えています。今回はモンベルのフラットアイアンパーカーのスペック、使いやすく暖かなデザインの特徴、ビレイ以外における僕なりの使い方について紹介をしていきます。
フラットアイアンパーカーのスペック
フラットアイアンパーカーはモンベルの化繊綿「エクセロフト」を使用したジャケットです。このエクセロフトを使用したラインナップの中で最も保温性に優れ、冬季クライミングでの仕様に適したスペックを備えています。
平均重量は524gで、素材はモンベルの防水透湿素材「ドライテック」に、表地は12デニールのバリスティックエアライト・ナイロンリップストップを使用し、裏地には20デニールのバリスティックナイロンタフタを使用しています。この裏地は静電気が生じづらいように加工が施されています。
中綿に使用されたエクセロフトは軽量性に優れた「U.L.サーマラップシリーズ」の構造とは異なり、3枚差し構造と言ってシングルキルト構造に、生地をもう1枚加えて冷気の侵入を防いでいます。これによって体から出た暖まった空気を逃さず、また表地から裏地まで縫製糸が貫通していないのでコールドスポットができにくい保温性に優れた構造を採用しています。
使いやすく暖かなデザインの特徴
冬季クライミングにおけるビレイヤーは、絶え間なく降り注ぐスノーシャワーに耐えながら、低温下で長時間のビレイを強いられます。また積雪などでコンディションが悪い過酷な条件下でもビレイヤーはその場から離れることはできません。このようなシーンにおいて体が濡れないように、防水透湿素材「ドライテック」の採用の、ジッパーには高い止水性のあるアクアテクトジッパー、雨が侵入しないようにドローコードやベルクロテープで体にフィットしたデザインが採用されています。
フロントジッパーはダブルジッパーが採用されていてハーネス操作やパンツのベルト操作がフロントジッパーを閉めたままでも容易に行うことができるように作られています。
また体が熱くなった時に通気を確保するのにも便利です。アクアテクトジッパーは開け閉めが硬くグローブをしたままの開け閉めがなかなか面倒だと感じることが多いのでジッパーの開け閉めを容易にするレオニスのファスナーすべりをジッパーに塗るようにしています。
袖口はベルクロテープでフィット感を調整することができ、裾はポケットの中にドローコードの先端がついているのでこれを引っ張ることでフィット感を調整することができます。
裾部分のフィット調整は裾の中に内蔵されたコードロックのボタンを押しながら引っ張る必要があり、両手を使う必要があります。またグローブをしたままだとコードロックのありかを見つけづらく、またポケットの中にグローブをした状態でドローコードの先端を見つけづらいため、個人的にはコードは外に出ている方が使いやすいと感じます。
ポケットはジッパー付きの左胸ポケット、左右にジッパー付きのハンドウォーマーポケットが備わっています。ハンドウォーマーポケットは手の甲に当たる部分に起毛素材が使用されていてグローブをしていない状態で手を入れた時には暖かく感じます。
内側には左右にポケットが備わっており左手側はジッパーなしの大きなポケットがあり、この部分にはゴーグルやグローブなどを収納しておくのに便利です。右手側は同じくジッパーなしの大きなポケットと外側にジッパー付きポケットが備わっていますジッパー付きポケットはギリギリiPhoneを収納することができます。僕が持っているiPhoneはケースに入れた状態で縦15cm、横7.5cmです。
フードはヘルメットをした状態でも被ることができ、ヘルメットをしていなくてもしっかりと顔にフィットし、さらに視界を妨げないようにベルクロテープが後頭部に備わっています。フードの周囲のフィットはジャケットの内側に設けられたコードを、襟の中に設けられたコードロックボタンを押しながら調整します。フロントジッパーを開けないと調整できないのは寒い場所や季節においては使いづらく感じます。
後頭部に設けられたコードは先端とコードロックが近い位置にあるのでグローブをした状態でもフィットさせやすく使いやすく感じます。
視界を妨げないように設けられたベルクロテープはモンベルのフード付きタイプのウェアのほとんどについています。グローブをした状態では調整しづらいのでアクティビティをする前に調整しておくことをおすすめします。
ビレイ以外における僕なりの使い方
これだけ暖かく、雪が降っても風が吹いてもしっかりと体を温めてくれるジャケットで税込1万9800円というのはコストパフォーマンスに優れているなと感じます。このジャケットは普段使いすることはほとんどないので冬になると車の中に置いておくことが多いです。
スキーに出かけた時、スキーの準備をする時に着用したり、車についた雪をブラシで落とすときや、温泉に入った後体を冷やさないように着用するなど、アウトドアアクティビティ中に着用するというより、前後で着用して体を冷やさないようにするためのウェアとして位置付けています。
また人が少なく虫もいない寒い季節におけるキャンプでも着用することが多いアイテムです。
ジャケットなんだけれどもコートのようにお尻までしっかりと隠してくれるので非常に暖かく感じる防寒着です。