1月・2月は日本で一番寒い時期で、都内近郊で雪を楽しめる時期でもあります。雲取山や奥多摩周辺の山で雪景色が楽しめるので、この時期にはテントを背負って雪の中の生活を思う存分楽しむのが年初めで必ず行う儀式になっています。
都内近郊でも2,000メートル付近でテントを張れば、夜中にはマイナス10度ぐらいまでにはなるので、環境に合わせた装備は必須になりますが、その中の1つにシュラフがあります。
安心感のあるメーカー-ウエスタンマウンテニアリング
ウエスタンマウンテニアリングは1970年にスリーピングバッグ作りからスタートしたメーカーで、羽毛製品としての信頼が周りの山仲間の意見を聞いても非常に高く、僕が登山を始めた時から憧れのメーカーの1つでした。
寒がりな僕にとって、厳冬期で身体を温かく保ってくれるシュラフは命をも守ることだ!と言い聞かせ、高価ではありましたがウエスタンマウンテニアリングのシュラフを選ぶことに決めました。様々なメーカーがウエスタンマウンテニアリングのシュラフの構造を参考にしているといった情報も、シュラフを研究している某ブログで書かれており、またインプレッションでもウエスタンマウンテニアリングの評価は非常に高くて決めました。
冬用シュラフ-プーマゴアウィンドストッパー
ウエスタンマウンテニアリングのシュラフの種類は豊富で、日本で流通されているものだけでも、14種類ほどあるんじゃないかと思います。
軽量なものから大きく分類すると、エクストリームライトシリーズ→マイクロファイバーシリーズ→ゴアウインドストッパーシリーズとなっていて、プーマはゴアウインドストッパーにあたります。
ゴアウインドストッパーシリーズはシェル素材に防風性、撥水性、通気性に優れたウィンドストッパーを採用していることが特徴で、マイクロファイバーシリーズは撥水性に優れたマイクロライトXPを採用しているという違いがあります。ゴアウインドストッパーを採用しているので、厳冬期時に特に心配な結露による濡れ対策に、シュラフカバーを使用する必要がないのもいいところです。
ゴアウインドストッパーシリーズは僕が知っている限りでは6種類あって、使用温度域がマイナス10度のアパッチから、マイナス40度のパイソンまでとあり、プーマはパイソンに次ぐマイナス32度の使用温度域となっています。
ウエスタンマウンテニアリングのシュラフの機能美
マイナス32度まで耐えうるのは単純にダウン量を増やしているだけじゃなく、非常に考えられた機能が備わっているからなんです。
使用温度域が変わることで、ウエスタンマウンテニアリングのシュラフは以下の点において機能に変化をつけています。
・シェル(先ほどお話した外側の生地の違い)
・バッフル構造
・ダウン重量(ロフトが異なる)
・ダウン入り襟巻のありなし
・オーバーサイズドラフトチューブのありなし
上記の機能はシュラフの使用温度域の違いによって変化をつけているところですが、シュラフ全体で共通している機能もあります。
・ディファレンシャルカット
・リバースディファレンシャルフード
・サイドジッパーの噛込み防止
・2ウェイスライダー
それぞれ説明すると、ディファレンシャルカットはシュラフの外側の径と内側の径の縫製が異なっているというもので、簡単に言えば立体裁断になっているということです。リバースディファレンシャルフードは、同じ考え方でフード部分の立体裁断を指しているもので、どちらもこの技術により、シュラフ全体に身体を包み込まれるよう気持ち良さを実感できます。この包み込まれ感は極上です。
サイドジッパーの噛込み防止はジッパーのサイドに補強テープが装備されています。柔らかなシェルが、ジッパーの噛込みでスムーズに開閉できないストレスに見舞われることがなくなります。
2ウェイスライダーはYKK社製のもので、ロッキングタイプで操作をしなければ移動しづらい、いわば何かの拍子にジッパーが空いてしまって就寝中寒くなるという心配が少なくなります。またあまりにもシュラフが暖かく、思った以上に外気温が高くて暑くて寝苦しいという時にはジッパーの調節で、外気温を取り込むことができます。
ウエスタンマウンテニアリングのシュラフの機能変化
次に使用温度域の違いによって変化のある機能についてですが、プーマのバッフル構造の特徴はVブロックサイドバッフルといって、ハイロフトの暖かさを最大限に活かすためにシュラフの側面にV字でブロック化されたバッフルが追加されており、シュラフの側面もロフトが保たれる構造になっています。また側面が別の構造となっている為に、ダウンの偏りを防ぐことにもつながっています。
ダウン入りの襟巻はその名の通り、首の全周をカバーするようにダウンの入った襟巻がシュラフにくっ付いていて、首や肩の保温性を高め、シュラフに溜まった暖かな空気をフードから逃がさない施しも兼ね備えています。実際に使用してみて、この襟巻の有り無しはシュラフの暖かさを左右する大きな機能という印象を感じるので、3シーズンで持ち歩いているシュラフで寒さを感じるときは、衣類などを襟巻代わりにしてシュラフの中の暖かな空気を逃がさないように心掛けています。
オーバーサイズドラフトチューブはジッパーの内側上下に装備された2本のドラフトチューブがあるのですが、これがジッパーを締めることで噛みあい、ジッパーからの寒気侵入をシャットアウトします。
ウエスタンマウンテニアリング-プーマの重量と嵩張り
プーマのシュラフのロフトは23センチと高く、平均重量は1,670グラムです。ダウン重量が1,050グラム入っており、1,000グラム越えはプーマと最上位のパイソンのみです。
ストレージザックに入れて普段は保管しています。ギュウギュウに詰めたザックから、ストレージザックに移し替えた途端に、それこそぶわっと膨らむ様を見ると、ウエスタンマウンテニアリングのダウンの質の良さを感じます。