モンベルのアルパインウェアの中で最も軽量でコンパクトに持ち運びできるのが今回紹介するダイナアクションパーカです。今回はこのダイナアクションパーカが属するモンベルのアルパインウェアの種類と特徴、ダイナアクションパーカのスペック、ダイナアクションパーカが備える機能、最後にサイズの選び方について紹介します。
モンベルのアルパインウェアの種類
モンベルのアルパインウェアは雪山登山やバックカントリースキー、アイスクライミングなど雪上でのアクティビティ向けに開発されたウェアで、ジャケットタイプにおいては保温材なしのアルパインジャケット、保温材入りのアルパインジャケットの2つのタイプに分けることができます。
保温材がない一枚地タイプのジャケットは、防水透湿性素材に表地と裏地をサンドイッチした生地構造なのに対して、保温材入りタイプは防水透湿性素材と保温材に表地と裏地をサンドイッチした生地構造です。
保温力の調整が容易な保温材がない一枚地タイプは、運動量や気温の変化に対応しやすく汎用性の高さが魅力です。保温力の高い保温材入りタイプは、厳冬期の雪山登山やゲレンデスキーなど脱ぎ着が少ないアクティビティで安心の高さが魅力です。
今回紹介するダイナアクションパーカは保温材がない一枚地タイプのジャケットで、その中でも最も軽量で、防水透湿性素材にゴアテックスを使用しているモデルです。
モンベルのアルパインウェアの特徴
モンベルのアルパインウェアは雪上での様々なアクティビティを安全かつ快適に楽しむためにデザインされています。見た目はレインウェアのようにも見えますが、アルパインウェアはレインウェアとは違う特徴を備えています。違いについて3つのポイントでお話をしていきます。
ポイント1:雪面での滑りにくさ
雪山では、傾斜のある雪面で転んで止まることができなくて滑落する危険が想定できます。そのためにピッケルやアイゼンなどのギアが必須アイテムとして数えられるわけですが、アルパインウェアの生地表面にも微細な繊維のねじれによって滑り止め効果を発揮するように作られています。このねじれによって高い摩擦力と雪の付着を軽減する特徴があります。
ポイント2:高い耐久性
雪山登山ではピッケルやアイゼンなど鋭利な装備を使用して登山をすることになります。また夏道が雪に覆われているため、ルートファインディングが重要であり、標高が低い場所では樹林をかき分けるような場所を歩いたり、岩稜帯を進むようなシーンもあります。このような状況下でアルパインジャケットが破れてしまっては大変です。このようなことを軽減するために強度の高いシェル素材を使用しています。
ポイント3:防水透湿性
3シーズンとは異なり雪山では冷たく強い風、雪の付着などによって急激な体温低下がリスクとなります。このような環境下で肌が冷たさを感じないように防風性を高め、さらには汗の蒸れを外に逃がす防水透湿素材でドライな状態を保つ素材を採用しています。
ダイナアクションパーカのスペック
ダイナアクションパーカはゴアテックス製アルパインジャケットの中で最も軽量なモデルです。以下は保温材がない一枚地タイプのジャケットの一覧と平均重量です。
- ダイナアクションパーカ:372g
- ストリームパーカ:462g
- フレネイパーカ:486g
- ミディパーカ:466g
※Men'sモデル比較
そしてそれぞれのアルパインジャケットが使用している防水透湿素材が以下のようになっています。
ダイナアクションパーカ
- ゴアテックスファブリクス3レイヤー(30デニール)
- フード・脇:ゴアテックスパックライトプラスファブリクス2レイヤー(12デニール)のハイブリッド
- GORE®C-ニット™バッカーテクノロジー
ストリームパーカ
- ゴアテックスファブリクス3レイヤー(70デニール)
- GORE®C-ニット™バッカーテクノロジー
フレネイパーカ
- ゴアテックスファブリクス3レイヤー(70デニール)
ミディパーカ:
- モンベル独自の防水透湿性素材ドライテック(50デニール)
C-ニット™バッカーテクノロジーは裏地の技術のことで、ニットと呼ばれるように編み物です。非常に細い糸を使いしなやかで着心地が柔らかな特徴があります。
この一覧からもわかるように重さを左右してるのは主に表生地の厚みで、最も軽量なダイナアクションパーカは30デニールのアンチグリース・バリスティックナイロン・タフタを使用しています。この表生地が厚いことで冷たい風や雪から身を守る機能が向上するので、気候や標高に応じて選択するようにしましょう。
ダイナアクションパーカが備える機能
ダイナアクションパーカが備える機能を見ていきながら、実際に登山やスキーをしている時にどのようなメリットがあるのか紹介をしていきます。
ストレッチ性
ダイナアクションパーカは名前からも想像できるようにストレッチ性に優れる素材を身頃と袖に使用してダイナミックな動きに追随します。アイゼンやビンディングを調整するのにかがみこむ動作や、鎖場やはしごに手をかけるなどしてもジャケットが突っ張って行動しづらい、といったことが軽減されます。
フードや脇に採用したGOREパックライトプラス
GOREのバックライトプラスは2レイヤー、12デニールで軽量なだけでなく透湿性にも優れています。だから着用しながら行動していても発汗量を抑えることができます。逆に言えば冷たく強い風に吹かれた時に最も冷えを感じやすい部分でもあるので、自分が楽しむアクティビティの内容を吟味して、この機能がメリットなのかデメリットなのかを把握する必要があります。
汗蒸れを素早く排出するピットジップ
脇の部分にはジャケット内の汗蒸れを素早く排出することができるピットジップが備わっています。
フードのデザインと構造
フードをした状態でも視界を妨げず、しっかりと風から頭や耳顔を守り、ヘルメットとゴーグルをした状態でフードをかぶって行動しやすいようにデザインされています。
トライアクスルフードは顔の周囲、首回り、つばの上下の3方向からフードを調整することができるので、良好な視界を確保しながら頭の動きに追随します。
エアレーションシステムは、ジッパーを最上部まで上げてフードをしても、呼気によってサングラスやゴーグルが曇りづらいように呼気をウェア外に排出する素材が口元部分に備わっています。これによって口元の凍りつきも抑えます。
立体パターンはヘルメット着用の有無にかかわらずフィット感が得られるようにデザインされています。
ハーネス着用時に便利なダブルジッパー
フロントジッパーにはダブルジッパーが採用されているので、上からも下からも開くことができ、ハーネスを取り付ける時にロープ操作に干渉しにくい仕様です。また上からも下からもジッパーを開けてジャケット内の汗蒸れを素早く排出することもできます。最下部にはスナップボタンが付いているので、ジッパーを開けた時に風でバタつかないように止めておくことができます。
ポケットの数とデザイン
ポケットは全部で5つ備わっており、ザックのウエストハーネスが干渉しない位置にジッパー付きのポケットが左右2箇所、内側には左手側にジッパーなしのポケット1箇所、右手側にジッパー付きポケットが1箇所、左の胸部分にジッパー付きポケットが1箇所です。
内側のポケットはストレッチ性に優れたポケットが備わっているので、ジッパーなしの方には厚手のグローブやゴーグルを収納するのに便利で、ジッパー付きの方にはスマートフォンを冷やさず収納するのに便利です。外側のジッパーは止水ジッパーで開閉が硬いので着用前にスムースライダーを塗るのがおすすめです。
冷気を遮断するフィット調整
袖口はベルクロテープでしっかりと手首にフィットさせることができます。
ウエスト部分には簡易的なウィンドスカートが備わっていて、左右のジッパーポケットの中にあるドローコードの先端を引っ張ることでフィット感を高めることができます。さらに裾の部分にもドローコードが備わっており、内側のフロントジッパー付近から出ているドローコードの先端を引っ張ることでフィット感を高めます。
コードを緩める時はどちらもジャケットの内側についているコードロックを指で押して緩めます。
サイズの選び方
最後にサイズ感においては身長180cm65kgの僕でMサイズを着用しています。薄手のメリノウールTシャツに250g以内のミドルレイヤーを着用することを想定したサイズです。雪山登山ではポケットに凍らせないように様々なものを収納することが多いので少し大きめのサイズでポケットを有効活用することも視野に入れるようにしましょう。僕の場合は少し暖かくなる3月後半以降のバックカントリースキーでの着用を想定しているので、ポケットの中には厳冬期登山の時ほど多くのものを収納するイメージを想定していません。
例えばゴーグルはサングラスになるし、厚手のグローブは中厚手に変更することが多いです。また水もザックに外付けしても凍ることが少なくなるのでハードシェルの中に水筒を入れることもなくなります。
サイズを選ぶ時には実際に着用するベースレイヤーとミドルレイヤーを着用した状態でハードシェルを着用して体が動きやすいか、胸を振りやすいかなどの確認が大切です。