昨今の材料の高騰に加え、30数年ぶりの円安を受け、ハイレベルな素材を使用している登山靴は軒並み価格が高騰し、雪山対応モデルは一般的に7万〜10万という価格帯になっています。そんな中、税込5万600円のマンタテックGTXは「価格は抑えつつも手抜きはなく、スカルパのデザイン、機能、クオリティーの高さ」という点に気づいたユーザーから注目を集めています。今回はスカルパの雪山登山靴『マンタテックGTX』の特徴、履き心地の良さを紹介します。
雪山登山靴『マンタテックGTX』の特徴
雪山登山靴の特徴は保温性が高く、硬いソールで雪山を切り込みやすく、アイゼンの装着がしやすく作られています。様々な雪山登山靴があるなか、スカルパの『マンタテックGTX』はどのような特徴があるのかを紹介します。
封入されている保温材と材質
マンタテックGTXに封入されている保温材はゴアテックスデュラサーモです。この保温材は中綿がずれづらくフィット感が高いのが特徴です。保温性が高いだけでなく通気性にも優れているので足の蒸れから起こる冷えを軽減することができます。
アッパーには3mm厚の耐水スエードにより、雨は雪などで保水しづらく、耐久性に優れています。
タンやくるぶし周りには通気性に優れた化繊素材を使用しており、コストを抑えつつパフォーマンスに優れたデザインに昇華させています。
ワンタッチクランポン対応
登山靴には、クランポンを引っかけるための「コバ」と呼ばれる部分があるタイプと、無いタイプがあります。
コバの有無によってクランポンの装着方法は主に「バンド式」、「セミワンタッチ式」、「ワンタッチ式」の3つに分かれます。マンタテックGTXはセミワンタッチ式で、コバがかかとのみに付いている登山靴です。
上位モデルにモンブランGTXがありますが、こちらの雪山登山靴はワンタッチ式です。
例えばガンガン雪を蹴り込んでいくような登攀、例えばアイスクライミングや3000m級の山々を積極的に登る方はモンブランの方がおすすめですが、マンタテックGTXが税込5万600円なのに対して、税込8万3,600円なので価格差があります。f 自分がどのような雪山登山を楽しみたいかでコストを抑えて登山靴を購入するのが良いと思います。
これから雪山を始めてみたいという方や雪山初心者の方におすすめの登山靴です。
グリップ力の高さ
アウトソールにはビブラム®ペンタックスプレシジョンXTを使用しています。このアウトソールは岩場でのグリップ力、一般登山道における歩きやすさを兼ね備えたソールです。つま先部分はフラットになっているので力が入りやすく、約0.5cmの深いラグとラグパターンによる排水性はぬかるんだ雪道でもソールに泥がつきづらく歩きやすいです。
雪山登山靴『マンタテックGTX』の履き心地の良さ
雪山登山靴にも様々なモデルがあり、スカルパのマンタテックGTXは歩行の動きを妨げない柔軟性があるのが特徴です。足首を自然に曲げることができるので勾配のある登山道での歩きやすさは抜群です。
保温性能においては価格の安さからは想像できない温かさに驚きました。十分な保温材が封入されており、足型がゆったりめなので窮屈に感じないだけでなく血流が循環するせいか足先の冷えを軽減しているように思います。保温性能においては例えば厳冬期シーズンにおける赤岳縦走、燕岳への小屋泊登山などコースにおける雪山登山でも十分対応可能です。
足の血流が悪くなると凍傷リスクが高まるので厚手のソックスを履いてもしっかりと指を動かすことができるモデルが良いと考えている中、マンタテックGTXは僕の場合は窮屈に感じづらい登山靴です。実際に雪山登山をしていて指に痛みが生じてしまわないように、登山専門店に出かけて厚手のソックスを履いて試すように心がけましょう。
重量は880g(サイズ42、片足)で、スカルパの上位モデル『モンブランGTX』よりも110g軽量で、雪山初心者の方にも歩きやすい登山靴に仕上がっています。