モンベルのレインジャケットは豊富なラインナップとモンベル独自の機能を備えており、さらに価格が高い登山用ウェアが多い中、購入しやすい価格設定だから人気が高いです。中でも今回比較紹介するバーサライトジャケットとトレントフライヤージャケットはモンベルのレインジャケットの中でも軽量性に優れるモデルで、低山ハイクから夏山の縦走登山、トレイルランニング用レインウェアとして活用することができる汎用性の高さが魅力です。
▲緑(左)がトレントフライヤージャケット、青(右)がバーサライトジャケット
今回はモンベルのレインジャケットの中においてバーサライトジャケットとトレントフライヤージャケットがどのような位置づけにあるのか、この2つのモデルを比較した時に重量以外にどのような差があるのか、共通したレインジャケットの特徴とサイズ感という流れで紹介をしていきます。
モンベルのレインジャケットの中における位置づけ
▲緑(左)がトレントフライヤージャケット、青(右)がバーサライトジャケット
2023年時点、モンベルのレインジャケットは10モデル存在します。この10モデルを大きく分けると軽量性に優れるモデル、軽量性と耐久性を両立したモデル、耐久性に優れるモデルと3つに分けることができます。
- 軽量性に優れるモデルは、平均重量が134gから194g
- 軽量性と耐久性を両立したモデルは、平均重量が252gから293g
- 耐久性に優れるモデルは325gから335g
というように100、200、300g台と分かりやすく大別することができます。
また表のように使用されている防水透湿素材別で大別することができ、ゴアテックス素材を使用したものなのか、モンベルのオリジナル素材を使用したものなのかという選び方ができます。ゴアテックスよりもモンベルのオリジナル素材の方が、価格が抑え目に設定されています。
今回紹介するバーサライトジャケットとトレントフライヤージャケットは軽量性に優れるモデルに属し、バーサライトジャケットがウィンドストッパー®ファブリクスバイゴアテックスラボ(防水仕様)なのに対しトレントフライヤージャケットはゴアテックスパックライトプラスファブリックスを使用しています。
モンベルのレインジャケットを細かく比較
メンブレンの違いと表生地のデニール数
▲緑(左)がトレントフライヤージャケット、青(右)がバーサライトジャケット
2つのモデルを大きな違いは、使用しているメンブレンの違い、表生地のデニールの違いが挙げられます。
- バーサライトジャケット:ウィンドストッパー®ファブリクスバイゴアテックスラボ/表:10デニール
- トレントフライヤージャケット:ゴアテックスパックライトプラスファブリックス/表:12デニール
素材の違いによって耐水性と透湿性にも違いがあります。
- バーサライトジャケット:耐水圧30,000mm以上、透湿性43,000g/m²・24hrs
- トレントフライヤージャケット:耐水圧50,000mm以上、透湿性44,000g/m²・24hrs
耐水圧の高さに大きな違いがありますが、登山の使用においてはどちらも十分な耐水圧が備わっています。
そしてこの違いは以下のように平均重量の違いにも反映されています。
- バーサライトジャケット:134g
- トレントフライヤージャケット:194g
その差は実に60gです。この重量差は素材の違いだけではないのですが、それでも実際に触った時の生地の薄さによるしなやかさはかなり違いがあります。次はそれぞれのレインジャケットの違いについて見ていきましょう。
ポケットの違い
バーサライトジャケットにはポケットが一切ありません。対してトレントフライヤージャケットには左胸にジッパー付きポケットが備えられています。
この場所にはスマートフォンを収納するのにちょうど良い大きさです。
ピットジップの違い
バーサライトジャケットにはビットジップがありません。対してトレントフライヤージャケットには大きめのピットジップが備えられていて、通気を促すことができます。
ポケットもピットジップにもジッパーが使用されていますが、部材としてはジッパーは重いものに分類されるので、これらが省かれていることは重量差に大きな違いをもたらしていると考えられます。
共通したレインジャケットの特徴
それ以外については多くの点で共通点があります。この共通点がレインジャケットのデザインの特徴ともなっています。
表生地で使用されているバリスティックエアライト
デニール数は異なりますがどちらも極細の高強力糸を使用したナイロンリップストップ生地を使用しており強度と軽量性を実現しています。バーサライトジャケットは10デニールの薄い素材によってよりしなやかで、レインジャケットというよりまるでウィンドブレーカーを着用しているような感覚です。
K-Monoカットによる防水性と軽量性と耐久性の向上
縫製箇所を極限まで減らしたモンベル独自の「K-Monoカット」を採用しています。
このカットパターンはジャケットの縫製箇所を極限まで減らすことで、その結果水の浸入の原因となるミシンの針穴、縫い代、シームテープ処理の箇所を減らし、肩に縫い目がないので防水性と耐久性を向上させているだけでなく、構成がシンプルだから動きやすさも備えています。
フードのデザインと構造
フードの構造はどちらも共通してフードをした状態でも視界を妨げず、しっかりと風から頭や耳顔を守るフィット感に優れています。トライアクスルフードは顔の周囲、首回り、つばの上下の3方向からフードを調整することができるので、良好な視界を確保しながら頭の動きに追随します。
フードのツバにはそれぞれ固めの芯を入れているので、上から降ってきた雨や雪が顔に当たらないようにガードした作りになっています。この芯の硬さと太さがそれぞれのレインジャケットで異なり、トレントフライヤージャケットのほうがしっかりとした作りです。
独自の縫製技術「スマートソーイング™」
レインジャケットの場合は特に縫製技術にも目を向ける必要があります。縫製する際に左側の生地と右側の生地を重ねた状態で縫製をすると、重なった部分の生地分重くなってしまいますが、生地の縫い合わせの余分な部分を取り除くことで軽量化し、さらに表側に縫い糸が露出しない技術なので強度にも優れしなやかな着心地を実現しています。
フィット感による雨と冷気の侵入
袖口にはベルクロテープが施されグローブの上からでも直接肌にフィットさせる時でも微調整が可能で、袖口からの雨の侵入をしっかりと防ぎます。
裾には左右にドローコードの先端が出ており両手を使って瞬時にフィット調整を行うことができます。
サイズ感
レインジャケットの目的は雨が降った時にジャケット内が濡れないようにすることです。登山中の大きな動きにもしっかりとジャケット内のものが濡れないのかをチェックしてサイズを選ぶことが重要です。
身長180cm体重65キロでサイズMがちょうど良いと感じます。レインジャケットは手をまっすぐ前に出して、しっかりと手首が隠れるか、またよく着用するミドルレイヤーがレインジャケットの裾から出ていないかをチェックするとともに、腕を振る、かがむなどして突っ張り感がないか確認をしてサイズを選ぶようにしましょう。