パタゴニアのレインジャケットの中で定番的な位置づけとなるメンズ・トレントシェル3L・レイン・ジャケットは、製品の名前からもわかるように3レイヤー仕様で耐候性に優れ、さらっとした着心地が特徴の、3シーズンの登山から普段使いまで可能なモデルです。今回はトレントシェル3L・レイン・ジャケットの2024年モデルのスペックを紹介し、他のレインジャケットと比較した時の特徴と、実際に着用してのレビューをしていきます。
トレントシェル3L・レイン・ジャケットの2024年モデルのスペック
トレントシェル3L・レイン・ジャケットは、耐候性に優れていながらも非常にシンプルなデザインで軽量かつコンパクトなモデルです。2023年のモデルの重量がMサイズで394gだったのに対し、2024年のモデルは400gと若干ではありますが重くなっています。
ブランド | パタゴニア |
商品名 | トレントシェル3L・ジャケット |
商品説明 | 抜群の防水性/透湿性機能を発揮するH2Noパフォーマンス・スタンダード・テクノロジー採用の3層構造が、長持ちする防水性、耐久性と終日の快適さを提供。 |
価格(税込) | ¥27,500 |
重量 | 400g(M) |
価格は2023年時点で税込22,000円だったのに対し、2024年は税込で2万7500円と高くなっています。
素材は表地に50デニールのナイロンを使用し、メンブレンは、パタゴニアオリジナルのH2Noパフォーマンス・スタンダード、裏地にはトリコットを使用しています。レインジャケットとしては、比較的厚手で、3シーズンでの登山で安心して使用することができる耐候性の高さが魅力です。
H2Noパフォーマンス・スタンダードは、耐水性と透湿性の数字が明記されていません。耐水性においては「H₂Noパフォーマンス・スタンダード」というパタゴニアの紹介ページ上で「最初のキラーウォッシュは20,000mmの水で行われ、その後さらに10,000mmの耐水圧が維持されていることを確認します。」と防水性というタイトルで紹介されています。透湿性においては具体的な数字の明記はなく、これらの数字が明記されていないのは残念です。
他のレインジャケットと比較した時の特徴
パタゴニアのレインジャケットの中でも定番に位置付けられる人気の秘密を紐解いていきたいと思います。
フードのデザイン
レインジャケットの肝となるフードは、2通りの方法で調整が可能です。
顔の左右にある調整部分は、顔の大きさに応じてフードの視界を上下で調整することができます。これは鎖骨あたりに設けられたドローコードで調整します。
頭の周囲にある調整部分は、視界を妨げないようにつばの位置を調整することができます。これは後頭部に設けられたドローコードで調整します。
この2つの調整を上手に組み合わせることで顔とフードの隙間をなくし雨の侵入を防ぐ役割を果たします。最近のレインジャケットの多くはこのように2つの調整機構で頭から顔にフィットするように作られていますが、調整機構が少ないとフードから雨が侵入してしまうリスクが生じるので、レインジャケットを購入する時にフードの調整機構がどうなっているのかチェックすると良いと思います。
ポケットの数とデザイン
ポケットは左右に設けられたハンドウォーマーポケットが2つあるのみです。
左側のポケットにパッカブルすることができ、パッカブルをしたら幅約19cm、高さ約15cm、厚み約12cmの大きさになります。ウィンドブレーカーやトレイルランニングなどで使用できるレインジャケットなどと比較すると決してコンパクトとは言えませんが、3レイヤーの耐候性に優れた素材を使用しているレインジャケットとして考えれば、致し方ないサイズ感だと思います。
ポケットは決して大きいとは言えず、またポケットの開口部分も広くないので収納力は少ないと考えるべきポケットサイズです。レインジャケットに収納力を求めるならば、あまりおすすめすることができないモデルですが、雨が降っている時はあまり物の出し入れをしないと考えれば、必要最低限の大きさだと思います。唯一のデメリットはパッカブルする時に少し押し込むようにして入れるストレスがあります。
雨と冷気の侵入に対してのデザイン
フード以外に雨や冷気の侵入が懸念される箇所に袖口と裾があります。袖口はベルクロテープが施されており手首にフィットします。他のレインジャケットは袖口部分にストレッチ素材が使用されているものが多いですがトレントシェル3L・レイン・ジャケットはストレッチバンドが一切ありません。なのでベルクロテープは必ず使用しないと手首が冷えてしまいます。
裾には左右にコードロックの先端が出ていて、これを引っ張ることで素早く腰にフィットさせることができます。裾にもストレッチバンドが一切ないので、これによって軽量化を行っていると考えられます。
ピットジップのデザイン
ピットジップで使用されているジッパーは止水ファスナーではありません、しかしながらピットジップを開けて雨が入らないように、ジッパーの上にフラップが設けられています。このフラップがあることでピットジップを開けると腕を下げた状態でピットジップ部分が開口して熱を効率よく外に排出します。これは狙ったデザインなのか不明ではありますが、よくできていると感じます。
フラップがあることでジッパーが開けづらいということはありませんが、ジッパータブに使われている細引きが2mm程度と細くてグローブを使っているとつかみづらいです。ここは改良して欲しいです。
またピットジップの長さがもう少し下まで設けられているとより通気を行うことができるので良いのですが、すぐ下にポケットが配置されているようなデザインなので、おそらくこの長さが限界なのだと思います。
実際に着用してのレビュー
僕は身長180cm弱、体重65kgで、着用しているのはSサイズです。夏はTシャツの上にレインジャケットを羽織るようなスタイルだとちょうど良いのですが、ミドルレイヤーを着用すると少しタイトに感じます。なのでMサイズでも良かったかなと思っています。
また肩傾斜が撫で肩のためか、手を上げると裾がめくり上がってしまいます。これは着用した時のシルエットがかっこよく見え、腕が動きやすくなるので、致し方ないところではありますが、ザックのウエストベルトをしっかり締めている時は手をあげた時に少し突っ張り感があります。
全く同じ400gという重さのパタゴニアのレインジャケットに「メンズ・グラナイト・クレスト・レイン・ジャケット」がありますが、このレインジャケットと比べるとパリパリとした素材感でしなやかさは少ないですが、ハリがあって耐候性に優れていると感じることが多いです。なので初春や晩秋の高所登山で安心感が高いレインジャケットです。