登山者にとって必携のアイテムといえるレインウェア。山の天候は変わりやすく、晴れ予報を信じて歩いていると突然の豪雨に見舞われて大変な思いをした、なんて経験がみなさんにもあるのではないでしょうか。ウェアが雨に濡れた状態を放置したまま長時間歩くと、気づかないうちに体温が奪われ、最悪の場合、低体温症に陥って動けなくなる可能性があります。そんなリスクを回避するためにも、ザックの中にレインウェアが一着あれば安心ですよね。多少の雨であればコンビニやホームセンターで手に入るレインコートでもしのぐことができるかもしれませんが、最悪の事態を想定して準備するなら、信頼性の高いアウトドアブランドが発売している機能性に優れたレインウェアを一着持っていたいところです。良いレインウェアの条件としては、防水性能や透湿性、耐久性などが挙げられますが、近年各ブランドが独自の高機能素材を続々と開発していて、「軽さ」や「動きやすさ」、日常生活でも使える「汎用性」といった面も重要視されるようになってきました。また、環境に有害とされるフッ素化合物を使用していない「PFCフリー」であるかどうかも、レインウェアを選ぶ際の大事なポイントとなっています。近年、各ブランドの激しい開発競争によって目覚ましい進化が続いているレインウェア。その中から、機能性や環境への配慮などの面からおすすめのモデルを15点紹介します。
レインウェア選びのポイント①機能性
レインウェアに求められる最大の機能は、雨をシャットアウトする「防水性」と、ウェア内の湿気を発散する「透湿性」です。この2つを高いレベルで兼ね備えている素材として代表的なのが「ゴアテックス」ですが、ほかにも各メーカーから質の高い防水透湿素材が開発されています。さらにディテールで大事なのが首元や袖口、裾といったウェアの開口部分の性能です。水の侵入を防ぐために止水ファスナーやドローコードが使われているか、通気性を良くするためのベンチレーターが設けられているか、などはチェックすべき重要なポイントです。また、頭部を雨から守るフードのフィット感や視界性の良さも、実際に着用して確認したいところです。細部までしっかり作り込まれたレインウェアであれば、どんな悪天候の中でも快適さをキープしてくれます。
レインウェア選びのポイント②汎用性
せっかく高いお金を払って手に入れたレインウェアだから、山だけでなく街でも着たいですよね。そんなユーザーの要望を受けて近年、各ブランドからタウンユースを意識したモデルが次々に登場しています。普段使いができるかどうかを分ける大事なポイントが「着心地」。かつてレインウェアといえば「重くてゴワゴワ」というイメージで街では使いづらいものでしたが、最近は素材や加工技術の進化によって着心地がしなやかになり、防水透湿性能を落とすことなく軽量化されたモデルもたくさん発売されています。カラーリングも多様になってきました。以前は悪天候時に「目立つ」ことが重視されていたためビビットなカラーのものが多かったですが、近年は落ち着いた色合いのレインウェアが増え、街中でも違和感なく着られるようになっています。
レインウェア選び方のポイント③環境面への配慮
ここ数年、各メーカーから「PFC不使用」「PFCフリー」をうたった製品が続々と登場しています。PFCとは「フッ素化合物」と呼ばれる化学物質で、アウトドア・ウェアなどの生地に撥水加工を施す上で非常に効果が高く、長く利用されてきました。しかし近年、PFCの中に含まれる物質が人体に有害で、自然界で分解されにくいため環境にも悪影響を及ぼすことが指摘されたことによって、各メーカーがPFC不使用の製品づくりに取り組むようになりました。登山者をはじめアウトドアでの活動を趣味にするユーザーは、地球環境への意識が高いと思います。環境にやさしい製品かどうか、購入する際にしっかりとチェックしましょう。
モンベル「ストームクルーザージャケット」
1982年から製造を続けるモンベルのフラッグシップモデル。レインウェアに求められる防水性と透湿性、そして軽量性を高いレベルで兼ね備えています。縫製箇所を極限まで減らした独自のパターンと、しなやかで優れた防水透湿性を備える素材「GORE C-ニット パッカーテクノロジー」を使用することで、悪天候で長時間着用しても快適な着心地をキープします。すっきりとした無駄のないシルエットで、ウインドブレーカーや防寒着としても活躍します。
ザ・ノース・フェイス「クライムライトジャケット」
3層構造のゴアテックスを使用した同ブランドの定番モデルです。表地にエコ素材のリサイクルナイロンを使い、裏地は引っかかりが少なく湿気を含みにくい「マイクログリッドバッカー」が採用されていて、透湿性や軽さ、そして強度のバランスが追求されています。パックを背負ったままでもラクに腕を上げることができるなど動きやすさも十分。レインウェアとして高い完成度を誇っています。
ミレー「ティフォン50000ストレッチ ジャケット」
独自素材の「ドライエッジ ティフォン50000 3L」を使用し、高い防水透湿性と快適な着心地を両立。どんな天候でもウェア内部をドライな状態に保ちます。裏地にはニット素材が配置されていて、肌触りは驚くほどしなやか。適度なストレッチ性も備えており、自然な着心地を実現します。細身のすっきりとしたシルエットは女性にも人気が高く、豊富なカラーバリエーションも大きな魅力です。
ホグロフス「L.I.M GTXⅡジャケット」
261g(メンズLサイズ)と超軽量ながら、GORE-TEX Paclite® PLUS 2.5レイヤー素材を使用して耐久性と快適さを兼ね備えた一枚に仕上がっています。ディテールにもこだわりが詰まっていて、ドローコードで調節が可能なツバ付きフードはぴったりフィットして雨風をシャットアウト。止水ジッパーが付いたハンドポケットはメッシュのベンチレーションを備えていて、通気性も抜群です。
カリマー「WTX LTレインジャケット」
快適性と機能性に優れたレインジャケットです。ソフトな風合いの高機能防水素材が使用されていて、細過ぎず太過ぎないシルエットは使用シーンを問わず着用が可能。ポケットはザックが干渉しないよう適切な位置に配置され、肩回りも腕を上げやすいようにパターンワークが考えられていて、ゴワつきなどを感じさせません。ポケットには抗菌加工素材をが採用されるなど、細部までユーザーの感覚に寄り添った仕様になっています。
マムート「アルトライトHSフーデッドジャケット」
軽くて防水性の高い素材「Alto Light HS」を使用。同ブランドのレインウェアの中でも最軽量のモデルの一つに仕上がっています。素材や製造工程において環境面への配慮も十分になされており、リサイクルポリエステルを使用した2.5レイヤー素材はPFCフリー。脇の下にベンチレーションを備え、フードも調節が可能で、ポケットに収納できるほどコンパクトなのもとても便利ですね。近場のウォーキングから本格的な登山まで、幅広いシーンに対応できる一枚です。
パタゴニア グラナイトクレストレインジャケット
雨天のトレイルで1日中動きつづけるときに理想的なレイン・ジャケットです。防水性と透湿性にすぐれた3層構造で、リサイクルされた漁網を使用し海洋プラスチック汚染の削減に貢献するナイロン素材を使用。生地にも加工にも有機フッ素化合物(PFC/PFAS)不使用です。フォーム入りのつばを備えたフードは効率よく水分を弾き、ヘルメット着用時も未着用時もしっかりと視界を確保します。フロントジッパーとチェストポケットは、水分の浸入を防ぐジッパーとジッパーガレージ付きで、細部にも高い機能を備えています。
ブラックダイヤモンド「ストームラインストレッチレインシェル」
ストレッチ性と防水透湿性を兼ね備えたレインジャケットです。ソフトシェル的な動きやすさを持ちながら、天候の急変にもしっかり対応できる機能性を保持。ゆったりめのカッティングのためレイヤリングしやすく、とても着やすい一枚です。脇下のジップベンチレーションや、クライミングヘルメット対応のフードなど、悪天候時には欠かせない機能を過不足なく装備しています。
コロンビア「エンジョイマウンテンライフジャケット」
独自の防水透湿機能「オムニテック」を搭載した3層構造のジャケットで、高い耐久性とともに、汗による張り付き感が抑えられています。ハーネスを着用した状態でもアクセス可能な両胸部のポケットは、内側が区切られたメッシュポケット仕様のため、デジタル機器や貴重品収納時でも安心。両側を開けばベンチレーションとしての機能も発揮し、ウェア内のムレを防ぎます。フードは後部のドローコードでフィット感を調整可能。携行に便利なスタッフバッグ付きなので、コンパクトに収納できます。
ファイントラック「エバーブレスフォトンジャケット」
独自のファブリック素材「エバーブレス®」を使用し、防水透湿3層生地のレインウエアとして最高クラスの軽さを実現。アウトドアでの動きやすさを徹底的に追及したレインウェアです。ストレッチ性抜群の生地が採用されているため、もも上げや腕上げなど大きな動きが必要な場合でもゴワつきや引っ掛かりを感じさせません。また、裏地にニット地を使用することにより、しなやかな着心地で身体にかかるストレスを軽減し、雨天時の快適な歩行をサポートします。
アークテリクス「ベータライトウェイトジャケット」
軽くて強度に優れたPFCフリーのゴアテックス素材を使用。充実した機能と汎用性が魅力の一着です。軽量性やコンパクトな収納性を損なうことなく、完全な防水・防風性と透湿性を実現。入念なデザインによってストレスフリーな着心地も備えています。ヘルメット対応のフードは、視界を犠牲にすることなく高いプロテクションを発揮。リサイクル素材を30%以上含む原料を使用するなど環境保護にも配慮されており、ディーテールにこだわりが詰まった高機能モデルです。
アウトドアリサーチ「フォーレイⅡジャケット」
「ゴアテックス・パックライト」を使用した同ブランドの人気レインジャケットです。両サイドのダブルジッパーは裾から脇下まで開閉。ベンチレーションをしやすくすることで高い通気性を実現しました。レイヤリングも想定した、ややゆとりのあるシルエットで、本格登山をはじめ幅広いアクティビティに対応。デザイン性も高く、タウンユースでも十分に着こなせる一枚です。
ノローナ「フォルケティン ゴアテックスパックライトジャケット」
薄手で軽量のゴアテックスジャケットです。高い防水性と透湿性を誇り、2.5層構造の裏地は対摩耗性を向上させることによって、サラリとした着心地を実現。汗をかいたときも肌への不快な張り付き感がありません。また、コンパクトに収納できるため、着用しない時間が長い山行においても、ストレスなくザックに入れて持ち歩くことができ、急な悪天候のシーンでもさまざまなアクティビティをサポートします。
サロモン「アウターパス2.5L WPジャケット」
快適さと動きやすさを追求したモデル。耐久性のある素材を使用するとともに、内側に起毛加工などを施すことによって摩擦のない快適な着心地が得られています。フードは頭部にフィットするように調節が可能で、左右2カ所のポケットはジップアップで安心の収納を確保し、落下や紛失を防ぎます。シンプルでモダンなデザインは登山から近場でのハイキング、長時間の通勤にも対応する汎用性の高い一着です。
ゴールドウイン「パーテックスシールドエアマウンテニアリングジャケット」
着心地のよさや携帯性などの利便性を追求した防水シェルジャケット。透湿性と通気性に優れた独自素材を使用することで、悪天候下においてもムレにくく、しなやかな着心地を実現しています。動きを妨げない立体的なパターンの採用などによって、あらゆるシーンでの運動性を向上。ミニマルなデザインはタウンユースにも違和感なく順応します。また両サイドのファスナー付きポケットは、ともに開けることでベンチレーションの機能も果たします。