「熊野古道」は2004年にユネスコ世界文化遺産に登録されて今年でちょうど20年。
憧れの「熊野古道、いつかは」なんて言っていたら回り切れません。
1000キロもある大縦走路のうちの「中辺路」の「近露」まで歩いた前回の続き、泣いても笑っても最終日!古来より多くの人々が目指した「熊野本宮大社」まで歩きます。
(写真 大きさ日本一の大斎原(おおゆのはら)大鳥居)
二日目【発心門王子~熊野本宮大社】約三時間で歩くことができる初心者向けコース。
発心門王子~熊野本宮大社コースを歩くためのアクセス方法
前日は川湯温泉泊、旅館の送迎サービスがあったので車で送って頂きました。
川湯温泉 8:00出発→ 発心門王子前 8:30到着
※バスの場合
川湯温泉 8:07発 →発心門王子バス停 8:37着 (紀伊田辺6:16発の便です)
(龍神バス 時間は2024年2月現在のもの)
バス下車後、発心門王子へは350m(徒歩約5分)逆走することになります。
※車の場合
一旦「熊野本宮大社」の駐車場に車を止めて、バス乗車。(上で紹介した同じバスに乗る)
熊野本宮大社前 8:20発 →発心門王子バス停 8:37着
4/1~11/30に訪問するなら、この時期のみ運行の始発バス
熊野本宮大社前 7:20発 →発心門王子バス停 7:35着
もあります。
※明光バスのサイトが龍神バスも含めて全便載っているのでわかりやすいです。
https://meikobus.jp/kumanokodo/
発心門王子~熊野本宮大社コースの行程(日帰り)
- タイム4時間(休憩込) 距離8.2km のぼり230m くだり485m
- YAMAPのコース定数10やさしい
発心門王子→水吞王子→伏拝王子→三軒茶屋跡→ちょっとよりみち展望台→祓殿王子→熊野本宮大社
時間があったので更に →大斎原(おおゆのはら)
昨日の続きなら「近露」からスタートですが、今日のうちに広島に帰らないといけないので、「近露→発心門王子」はワープします。昔の人はこうはいかなかったから大変ですね。
発心門王子の前で送迎車を見送った後、静まり返った雰囲気に背筋が伸びました。
8:40 発心門王子
「発心」とは仏道に入り、修行への志を固めることを意味するそうです。
新しい決意をもって門をくぐるという場所でもあります。
ここからいよいよ熊野本宮大社の聖域に入らせていただきます。
決して派手ではない鳥居が森と融合して趣深いです。
奥に見える発心門王子の社殿に旅の安全を祈願してスタートです。
ここから右手へ下っていくと、すぐにスタンプ台があります。
スタンプ帳は昨日滝尻にある熊野古道館で購入していて、滝尻王子から近露王子まで8個集まっています。今日はスタンプ帳を5ページ飛ばして発心門王子から集めていきます。
8:40 発心門王子休憩所とバス停
今日は朝から傘をさすほどの雨が降っています。
バス停そばの屋根付きの休憩所に寄って、トイレを済ませたりレインパンツをはいたり準備にちょっと時間がかかりました。
連れはレインパンツをはきましたが、私はもともと撥水効果のあるパンツだったのでそのままで歩きました。
アスファルト道がほとんどで、後半出てきた土の道はかなり水浸しだったものの、ゲイターを付けるような箇所は最後まで出てきませんでした。
このコースでは傘が本当に役に立ちました。
後ろが長くなっていてザックまですっぽりカバーしてくれるお気に入りの軽量傘です。
モンベル ロングテイル トレッキングアンブレラ ¥7,040(税込)
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9:20 水呑王子(みずのみ)
静かな集落を歩いていると左側に水吞王子の碑と二体のお地蔵さまが現れました。
今回の熊野古道歩きで楽しみにしていた場所の一つです。
一番右のお地蔵さまは「腰痛地蔵」(こしいたじぞう)、腰痛にきくと信じられているお地蔵様です。こうやって見ただけではわかりませんが、胴体が上下真二つにわかれて持ち上げることができるからびっくりです。
おさい銭を間に挟むように置いて胴体を戻して、腰の部分を撫でて祈願するという、一風変わった参り方をします。
そういう説明や名前など全く書いてないので、ほとんどの人が見逃がしそうです。
水吞王子を後にすると、今日初めての土の道になります。
わらのミノをかけているお地蔵様。寒くないようにと地元の方がお世話しているそうです。
たくさんの人がお参りした形跡があるので、このお地蔵さまも何かに効き目があるのにちがいありません。
集落のある場所に一旦降りると、目の前には奈良県との県境、果無(はてなし)山脈が広がっているのが見えました。中央に見えるのはご当地富士の「三里富士 782.7m」です。
小高い場所に歩き進めると屋根付きの休憩所とトイレ、スタンブ台がありました。
コーヒーの文字がありましたが売店らしき所は閉まっていました。
10:15 伏拝王子(ふしおがみ)
休憩所の前にある石の階段を21段上がりきった場所に、伏拝王子の碑がありました。
古来の人はここで初めて熊野本宮大社の姿をとらえることができて、ありがたくて伏して拝んだことからついた名前だそうです。
奥に見える碑は和泉式部(平安時代の女流歌人)のもの、ここで無念の敗退を強いられた場所です。ここまで厳しい道のりを歩いてきてあと少しだったのに、さぞ悔しかったことでしょう。
また階段を21段下りてルートに戻ると再び土の道になりました。
このコースはほぼ針葉樹に囲まれた林道でとても雰囲気のいい道をずっとゆるく下っていきます。雨の日をわざわざ選んでくる人もいるそうで、こういう所を歩いているとわかる気がします。
10:40 三軒茶屋跡
熊野古道「小辺路(こへち)」と合流する三軒茶屋跡に出てきました。
今は無人の休憩所とトイレがあるだけです。そのすぐ先に「九鬼ヶ口関所跡」があります。
これは復元されたもの、かつてはここを通るには通行手形と通行料が必要だった場所です。
本当だったら真っすぐ進むところ、左手に寄り道しているのには理由があります。会えました!この季節にしか見ることのできない「森の妖精」の可憐な姿!
わずか1~2センチのこの小さな花はバイカオウレンです。名前は梅の花に似ているところからきています。訪問したのが2月25日だったのでもう花は咲き終わりでした。
でもこの可愛い姿を見ることができて本当に嬉しかったです。
この後は木の根っこの階段状の道の続く、今日一番山道っぽい所を歩いていきます。
「ちょっとよりみち展望台」と書いてある分岐があったので、こんなお天気で展望は期待できないけどせっかくなので左手へ寄り道することにしました。(後で合流します)
11:15 ちょっとよりみち展望台
5分ほど登っていくと視界が開け、目の前に現れたのは美しい雲海でした。
ここは綺麗な夕日が見える場所らしいです。
本当なら大斎原(おおゆのはら)の鳥居が見える場所、よく見ると下の方にうっすら見えます(笑)(最終的に行けたらあそこまで行く予定の場所です)
雨はまだまだ降りやまず、道は水浸しでちょっとした川のようになっています。
終始優しい下りで危険な個所はありませんが木の根っこは滑りやすいので気を付けて歩きました。
11:45 祓殿王子(はらいどの)
急に山道は終わり急に民家のある所に出て、熊野本宮大社まであと400mとなりました。
鳥居もすぐに見えてきて、うっかり通り過ぎそうになった右手に祓殿王子がありました。
祓殿王子とは、長い道中の汚れやけがれを祓い、御本宮に参拝する前に身を清める場所だそうです。両脇に御神木があって趣深い場所です。
参拝を済ませたらいよいよ熊野本宮大社へ向かいます。
11:50 熊野本宮大社
見えていたのは裏門、「おつかれさまでした」の垂れ幕にほっと肩をなでおろしました。
この後まもなく雨はやみました。熊野の神様にどうやら歓迎されているようです。
まずは拝殿にお参りしました。
年末の風物詩、テレビニュースで年末によく見かける、宮司さんが大筆で書いて【来年の一文字】を発表するのが実はここ熊野本宮大社でした。
拝殿に掲げられている「今」は2021年末、「力」は2022年末に発表されたものです。
ちなみに2023年末は「運」、今年2024年(令和6年)の干支「たつ」にちなんで「多くの人が昇り竜のように幸運をつかんでほしい」という願いが込められているそう。
「運」の文字はどこか見つけられなかったけど、しっかり運はつかんできたと思います!
さて右手に回ってこの神門をくぐった先にあるのは、いよいよご本殿です。
ただ残念ながらここからは撮影禁止、個人的に記念写真を撮るのはいいけど、聖域になるので撮影はここまでです。簡単に特徴を書くと
- 社殿は決して派手でなく出雲大社のような茶色を基調とした色でした。
- 檜皮葺(ひわだぶき)の立派な屋根が特徴です。
- 第一から第四殿まで(順番は違うけど)一列に並んでいます。
- 正式には左からお詣りするそうです。(そうしました)
- ここはまさにパワースポット!神聖な空気に包まれてちょっと緊張しました。
詳しくは熊野本宮大社公式サイトで見ることができます。
http://www.hongutaisha.jp/worship/
裏門から入ったので どうしても逆走の運命、こちらが正面鳥居です。
全国に5000とある熊野神社の総本宮、二日間に渡って貴重な体験をさせて頂いたので
深々と一礼してここでゴールです。
ここからはすぐ目の前の「本宮大社前バス停」に向かうつもりでしたが、「大斎原大鳥居 徒歩5分」の看板が目に入りました。
バスが来るまであと15分しかないけど ここで終わったらもったいない!
最後にもう一個スタンプも押せるし、大急ぎで行くことにしました。
大斎原(おおゆのはら)は熊野本宮大社がかつてあったところです。
大水害に見舞われる前はこの場所に御本宮はありました。
川の中州の田んぼに囲まれたこの鳥居は、高さ33.9m 横幅42mで日本一の大鳥居です!
鳥居をくぐってあの林の間を真っすぐ行くとスタンプ台があってさらに奥まで行くと境内があります。でも聖域とあって境内地は無断撮影禁止でした。
だからやはりここから先の写真は撮っていません。
ぜひ自分の足で歩いて、神聖な場所の空気を肌で感じてきてほしいです。ちなみに本宮大社前 12:40発 →田辺駅前 14:48着バスには間に合いました。
約2時間のバスの旅、朝旅館で受け取ったおにぎり弁当はここでようやく登場しました。
(途中「なかへち美術館」でトイレ休憩があります)
※熊野本宮大社前のお土産屋さんに到着するまで、今日の道中全く食べ物を買う場所がありませんでした。私たちは旅館に朝食と昼用のおにぎり弁当がついていたので困らなかったけど、あらかじめ食料はしっかり準備して持ち歩いてください。
※二日間に渡っておさい銭を入れる機会が多く、それを見越して小銭をたくさん用意していたけど足りなくなって、社務所で両替をさせて頂きました。
思っている以上に小銭は準備していってください。
※バスはペイペイ支払い対応でしたが、100%の人が決済に時間がかかっていました。
バスは最初から現金と決めて、小銭を持参していたので私達は常にさっと下車できました。
(特に1日目に下車した滝尻ではソフトバンクは〇、auは圏外だったので要注意)
以上が熊野古道二日目【発心門王子~熊野本宮大社】まで歩く人気コースの紹介でした。
途中ワープした歩き残しの道や他のルートもまたぜひ歩いてみたいです。
Youtubeでの紹介動画
【後編】初めての【熊野古道】はここから!【中辺路】の発心門王子~熊野本宮大社の歩き方解説!