夏山のテント泊においては、スリーシーズンの中でもシュラフ、防寒着、レインウェアなどのアイテムを軽量化することができるので最も軽い登山装備で歩くことができます。しかしながら、僕の場合は、ウルトラライトすぎてリスクが生じたり、気持ち良さが損われる事は避けています。今回は軽量なんだけれども、快適かつリスクが少ない夏山のテント登山装備をカテゴリーごとで紹介をしていきます。
今回、紹介するにあたってベースウェイトと言う考え方を取り入れます。これからテント登山の装備を軽量化しようと考えている方にとって有益な情報になると思いますので、ぜひ最後までご覧ください。
ベースウェイトという考え方
ベースウェイトとは、水、食料、燃料、日焼け止めやリップクリームなど消費アイテムを除外したザックの総重量を指します。
この考え方は、登山装備を軽量化するハイカーの間で最もスタンダードな測り方です。この考え方によって、ハイキングや登山の行程に関係なく、装備の重量を比較することが可能です。
例えば、1泊2日の登山装備と2泊3日の登山装備とでは食料、燃料の量が異なります。この2種類の行程における装備重量を比較すると確実に2泊3日の登山装備が重くなってしまいます。ベースウェイトであれば行程に関係なく、装備重量の比較が容易に行えます。
ベースウィイトはあくまでも背負うバックパックの重量であり、着用しているもの、ポケット内に収納しているものは省きます。
夏山の登山におけるレインウェア&ザックカバー
夏山でも高所では雨風によって気温が大きく変化します。ですので、長期縦走登山や天気が不安定な場合は、ここで紹介するレインウェアではなく、より耐候性に優れたものに変えることもあります。
- ストライクトレイルジャケット:115g・透湿性40,000g
- ストライクトレイルパンツ:125g・透湿性40,000g
- レインカバー:113g
- 雨確定の場合は、傘を持っていくことも:178g
耐水圧20,000mm、透湿性40,000g/m2-24h(B-1法)の防水透湿性を備えているのがストライクトレイルジャケットとストライクトレイルパンツです。トレイルランニング向けのレインウェアで、しっかりと雨から身を守りながらも抜群の透湿性で汗をかきづらく行動することができます。
カバーはシートゥサミットのパックカバーを活用しています。最初の展開で、僕が持っているのは50から70リットルをカバーするMサイズです。Mサイズで113gと僕が知っている中では、最も軽量なバックカバーです。
夏山の登山における防寒着
夏山の防寒着においては最軽量級のダウンジャケットとダウンパンツをセレクトしています。フィルパワーが高いものだと軽量化を行うことができます。
- Rabミシックアルパインライトジャケット:257g
- ネイチャーハイクのダウンパンツ:230g
※シュラフと防寒着は山旅のドライバックLサイズ全て収納
Rabのミシックアルパインライトジャケットは、Rabのダウンジャケットの中で最も軽量なモデルです。Rabはシュラフからスタートしたブランドで、ダウンの質に定評があり、コストパフォーマンスも高く軽量なんだけれども、しっかりと体を温めてくれる耐候性の高いデザインが気に入っています。
ネイチャーハイクのダウンパンツは、850フィルパワーのダウンを使用しているにもかかわらず、非常に価格が安くコストパフォーマンスの高さから愛用しています。
夏山登山におけるテント泊装備
軽量化でインパクトのある装備で代表的なのが、テント、シュラフ、テントマットです。この3つのアイテムの軽量化を行うことで、全体的な装備重量を減らすことが可能です。
- クロスオーバードーム:348g
- テントポール:290g
- ペグ&ガイラインセット:43g
- 山旅ULマット:103g
- 結露を拭くためのセイムタオル:17g
- シートサミットスパークSP1:374g
- SOLエマージェンシーヴィヴィ:150g
- タイベック銀シート:182g
- 着替えと枕:420g
- サンダル:150g
テントは、シングルウォールテント「クロスオーバードーム」を夏山登山では使用することが多いです。テント本体は348グラムと非常に軽量で、ポールを含めても約630グラムで軽量なダウォールテントと比べてもかなり軽くコンパクトに持ち運ぶことができます。
ペグ&ガイラインセットは様々なテントに取り付けることができるように、取り外しが容易で、さらにガイラインを固定するのが安易に行え、軽量のものをセレクトしています。このガイラインシステムは様々なアイテムを使った中で、最も使いやすさ、汎用性の高さ、そして軽いと言うことから、多くの人にも使ってもらいたいと思って山旅ショップで販売しています。
全部で5種類の厚みの展開、長さは160センチ、170センチ、180センチから選ぶことができる世界で最も軽量といっても過言ではないクローズドセルマットです。軽さの秘密は発泡倍率で67倍と言う非常に高いスペックでマットを持つと、きっと誰もがあっと驚くような軽さです。
凸凹がなく、雨や水などが溜まらず、また吸水して重くなるようなこともありません。設営も、撤収も、広げる&丸めるだけで完了すると言う手軽さも魅力のテントマットです。
- 1.5センチ厚:快適な就寝をしたい方向け
- 1.2センチ厚:軽量なクローズドセルマットを初めて使ってみようと考えている方向け
- 1センチ厚:快適性と軽量性を兼ね備えたUL思考のハイカー向け
- 0.7センチ厚:0.5センチというUL超上級者向けだと寝心地が悪いと感じた方向け
- 0.5センチ厚:とにかく装備の軽量化をしたい方向け
▼厚みの薄い順でマットを選ぶことができます。
シュラフは撥水ダウンを使用した軽量で暖かく寝心地の良いシートゥサミットのSP1を愛用しています。スリーシーズンで最もよく使用するモデルで、低山で暑いことが想定できる場合はSP0、晩秋で標高が高い場所で、テント泊をするときはSP2というように使い分けています。
SOLエマージェンシーヴィヴィはシュラフカバーとして活用したり、もしもの時に体を温めるエマージェンシーアイテムとしても活用できる汎用性の高さが魅力です。
ダイベックの銀シートはテントのグランドシートとして使っています。目的は、地面からの冷えから身を守ることと、テントの底部分を傷つけないようにするために使っています。アルミ蒸着側をテント側に向けることで熱反射を期待していますが、その効果は不明です。
着替えは山旅のダイニーマ製リバーシブルピローに収納して登山装備に加えています。リバーシブルという名前の通り、裏返すと頭を乗せる柔らかな起毛素材が現れます。その中に登山中に着用していた行動着、アンダーウェア、ソックスなどを入れて枕を作ることができます。
透湿・通気をしないダイニーマ素材なので匂いが気にならず、また着替えを雨などで濡らさずに持ち歩くことができる一石二鳥のアイテムです。
リバーシブルピローの4角にはループが備わっており、この場所に購入すると付いてくるバンジーコードを使って様々なマットに固定することができるので、寝ている最中に枕がマットから落ちることが格段に減ります。
サンダルはテント場に到着して足をリラックスするために使用しています。ポイントは
- 軽くてコンパクト
- 100均で販売されているようなサンダルだと、岩屋石の上に足を乗せたときに、足の裏が痛くなってしまうので、しっかりとしたクッション性が備わっている
とこの2点を踏まえて選びました。
テント泊の軽量化におすすめのクッカー&カトラリー類
登山装備を軽量化したいときには、お湯を作るだけで食事を作ることができるような食材を持ち歩くこと、また必要なお湯の量を考えて必要十分なクッカーを選択することが重要です。
- エバニューTI570カップ(蓋込み):78g
- 山旅ダイニーマ製クッカーケース:4g
- 自作の風防:7g
- 五徳:5g
- フリント式のライターと防水ケース:39g
- ウィルドフォルダカップ&保温ケース:33g
- ウィルドゥフォルダカップビック&保温ケース:59g
- カトラリー:7g
- テーブル:80g
- プラティパス:39g
エバニューTI570カップは570という数字に惑わされず、作ることができるお湯の量は約470ミリリットルです。
このクッカーの中にお湯を沸かすために使う燃料として、固形燃料を使うため、固形燃料用の五徳、火力が弱くならないように風防、高所でもちゃんと火をつけることができるフリント式のライターと防水ケース。このセットを収納します。
収納ケースは山旅ダイニーマ製クッカーケースにエバニューTI570カップを収納することで蓋を固定して、ザックの中に収納しておけます。このスタッフバックはヘッドライトを入れることでランタンにもなります。
2024年4月現在、世界最軽量級75g前後で、テーブルだけではない様々なギミックを備えたオリジナリティーが溢れるULテーブルを作っています。テント場でテーブルがあると食事の時間が格段に有意義になるような気がしていてここ最近愛用し続けています。
山旅ダイニーマ製EASYワイドオープンスタッフサックMサイズにこのテーブルはぴったり収納することができ、1番下にテーブル、その上にクッカー、Wildoのフォルダーカップという順番で収納して、その他行動食や食材などを全て詰め込んで持ち歩いています。
カトラリーは7gという極限の軽さに挑戦した先割れスプーンです。『すくう・からめる』がしやすく食事中にストレスを感じません。アルマイト加工済みのアルミニウム素材で、口当たりが優しく、熱いスープでカトラリーが熱くなることがありません。
登山で重要な小物類
カテゴライズしづらい小物類を紹介します。いずれもなくてはならないアイテムが多く、軽量化を行うと言うよりも、極力リスクを減らせる安心感の高いアイテムを選択するようにしています。
- ヘッドライト94g
- エマージェンシーキット285g
- ランタン69g
- 浄水器66g
- モバイルバッテリー186g
- 熊鈴21g
ヘッドライトは、レッドレンザーのMH5を使っています。このヘッドライトは、岩場に明かりを照らすと凹凸がわかりやすく暗がりの中、歩きやすい特徴があります。バンドと本体を取り外して、懐中電灯のように使用することができたり、ザックのストラップに取り付けるなど、汎用性の高さも魅力です。
また、専用充電器にはなってしまうのですが、フル充電した状態で持ち歩くことができること、さらには通常の電池も使用することができるので、電池がなくなってしまったときの対応に優れています。
エマージェンシーキットは山行のプランによって若干持っていくものを変えることがありますが、基本的には小さな傷から大きな傷まで対処することができるように必要なものを持ち歩いています。また久しぶりに登山に出かける時は、必ずエマージェンシーキットの中をいちどチェックして、使えないものは処分、足りないものは追加といったメンテナンスも忘れないようにしています。
エマージェンシーキットを収納するための気を使っていて、自分自身が動けないときに、他人がザックの中からエマージェンシーキットを取るシーンを考えて、誰でもそれがエマージェンシー用スタッフバックであることがわかる視認性の高い山旅のファーストエイドキットポーチを使用しています。
ランタンはHEXERUL3という軽量で明るい、また光の種類を選ぶことができるモデルを使っています。低誘中キャップが備わっているので、虫が多い場所で、ランタンをつけても、虫が集まりづらく、夏場に使用するランタンとしてはとてもオススメです。
浄水器は、様々なモデルを使ってきましたが、フィルターが大きく水の出が良いこと、フィルター孔がソーヤーマイクロスクィーズフィルターを使っています。特に水場が少ない山、水場があったとしても出ているかよくわからない場合、長期縦走登山時にはもしもの時のために携行するようにしています。
モバイルバッテリーはシリコンパワーの10000mAhを使っています。写真や動画を撮ることが多いので、少し容量が多いバッテリーを選んでいます。シリコンパワーはアンカーと比較しても安く、また様々な規格のUSBを尽きるのでお勧めです。
熊鈴はトレイルランニングユーザ向けに開発された軽くて様々な場所に取り付けることができるモデルを使っています。 東京ベルのクリップベルと呼ばれるアイテムで 消音機能も付いています。
細かなアイテムは、探しやすく、まとめやすい山旅のジッパーワイドスタッフバックに収納しています。このように小物類をまとめておくことで、登山中にものを探しやすく「瞬間忘れてしまったと焦る」ようなことがないので、探しやすく、収納力に優れたスタッフバックがあるととても快適な登山を楽しむことができます。