テント泊登山装備の軽量化をしようと考えた時にインパクトを及ぼすことができるアイテムの一つにテントマットがあります。そして登山での使用に適した軽量なテントマットとしておすすめなのがエアマットもしくはクローズドセルマットです。
登山用テントマットとして人気のあるサーマレストの中で最も人気があるエアマットに「ネオエアーXライトNXT」があります。またクローズドセルマットでは「Zライトソル」。この2つのテントマットを比較してみると以下のような違いがあります。
種類 | ブランド | モデル名 | サイズ | R値 | 重量 | 価格(税込) |
エアマット | サーマレスト | ネオエアーXライトNXT | 51×183cm | 4.5 | 370g | ¥39,600 |
クローズドセルマット | サーマレスト | Zライトソル | 51×183cm | 2.0 | 410g | ¥9,020 |
エアマットはクローズドセルマットと比較すると約4倍価格が高く、重量に大きな差は見られません。そしてどちらも重量は400g前後で決して軽いアイテムとは言えません。
対して僕が知っている中で最も軽量なエアマットとクローズドセルマットを比較すると以下のような違いがあります。
種類 | ブランド | モデル名 | サイズ | R値 | 重量 | 価格(税込) |
エアマット | サーマレスト | ネオエアーウーバーライト | 51×183cm | 2.3 | 250g | ¥42,900 |
クローズドセルマット | 山旅 | 1.5厚|ULテントマット | 50×180cm | 2.1 | 251g | ¥8,390 |
R値はさほど変わらず、重量もほぼ同様で価格は約1/4で手に入れることができます。山旅のULマットはエアマットと異なり自分の好みのサイズでカットすることができるので、より軽量化が可能です。
山旅ULマットは業界1、厚みの種類が豊富で最も寝心地が良く断熱効果の高い1.5cm厚以外に、1.2cm、1cm、0.7cm、0.5cmと5種類の厚みから選ぶことができます。全てのマットは長さ180cm以外に160cm、人気のある製品においては170cmの長さも取り揃えています。
モデル名 | サイズ | R値 | 重量 | 価格(税込) |
1.5厚|ULテントマット | 50×180cm | 2.1 | 251g | ¥8,390 |
1.2厚|ULテントマット | 50×180cm | 1.7 | 179g | ¥6,490 |
1厚|ULテントマット | 50×180cm | 1.4 | 146g | ¥5,690 |
0.7厚|ULテントマット | 50×180cm | 1.0 | 103g | ¥5,490 |
0.5厚|ULテントマット | 50×180cm | 0.7 | 74g | ¥5,390 |
今回はこの山旅ULマットの寝心地の違いと使用できるシーズンについて、また山旅ULマットのおすすめの使い方について紹介をしていきます。
山旅ULマットの素材
山旅のULマットはこれからテント泊装備の軽量化を行う初心者の方にとっても、すでに軽量化を実践していて、より軽くしていきたいと考える上級者の方にも満足していただけるようにマットの厚みの種類を豊富にして選べるようにしました。
どの厚みのマットでもゴツゴツとした岩や石の当たりを体で感じづらい化学発泡PEフォームです。素材はポリエチレン樹脂を元とした独立気泡体のポリエチレンフォームで、気泡は極めて細かく柔軟性に富んだソフトな感触が特徴です。独立気泡体なので非吸水性で濡れて重くなることがありません。表面部分に水が染み込むことがありますがフラットなのでタオルなどで拭くことができます。
また高い断熱性があるので保温材としても使用される素材です。だからテントマットとして使用することで地面からの冷えを抑制し寒さによって目が覚めてしまうことを防いでくれます。
デメリットは表面が傷つきやすいのですが、これによってクッション性が損なわれたり、断熱性が損なわれるようなことはほぼありません。また非常に軽いので風に飛ばされる心配をしなくてはいけません。だからテント場でテントマットを放置しなければいけない時は、カラビナを取り付けられる山旅のマットストラップで、ザックに固定しておくことをおすすめします。
山旅ULマットの寝心地の違い
今までエアマットを使っていて、もしくはテント泊をしたことがない方が、初めて山旅のULマットを使おうと考えた際に、多くの方が寝心地の良さを気にされると思います。寝心地の良さを犠牲にせず軽量化を行いたい方は1.5cm厚か1.2cm厚がおすすめです。
1.5cm厚は最も寝心地がよくR値も2.1と高いので3シーズンの登山で問題なく使えるスペックの高いクローズドセルマットです。
1.2cm厚は1.5cm厚と比較すると約70gも軽くなって、さらに価格も180cmの長さで比較すると約2,000円も安くなる、寝心地の良さと軽量性を両立したクローズドセルマットです。寝た時のクッション厚は1.5cm厚と比較すると0.3cmの違いですがかなり大きな差を感じると思います。こちらは春から夏のテント泊登山で快適に寝ることができるクローズドセルマットです。
1cm厚は山旅ULマットの中では中間的な厚みですが、スタンダードというより軽量化に振り切ったーマッククローズドセルマットと言えます。エアマットを使用している人が1cm厚の山旅ULマットを使用して寝ると、寝心地が悪くなったと感じる方が多いと思います。しかしながら180cmの長さで146gという圧倒的な軽さは、エアマットで最も軽量なネオエアウーバーライトより100gも軽量化を行うことができます。100gはカップヌードルビッグが101g、玉ねぎ半玉が約100gです。1.2cm厚同様に春から夏のテント泊登山で快適に寝ることができるクローズドセルマットです。
1cm厚を選ぶのだったら、思い切ってもっと軽量化をしてしまえ!と考えるならば0.7cm厚、0.5cm厚のセレクトでかなり軽量化を行います。0.7cm厚の場合は180cmの長さで103g、0.5cm厚では74gなので、カップヌードルレギュラーサイズ78gよりも軽いです。0.5cm厚においては半身用として100cmの長さにカットしてしまえばわずか41g。世界最軽量級のマットです。夏山登山での使用、3シーズンであれば比較的標高が低いテント場であれば冷えを感じづらいクローズドセルマットです。この後お伝えするおすすめの使い方ではオールシーズン使用することができます。
山旅ULマットのおすすめの使い方
ULマットの素材でお話しした通り、フラットな表面であること、保水をして重くなりづらいことから食事中の座布団のような使い方も可能です。また丸めたまま座れば厚みのある座布団というかベンチのような使い方が可能です。
また0.7cm厚、0.5cm厚の薄い山旅ULマットであれば、既存のスリーピングパッドと併用して使うことで、冷たく感じやすく負荷のかかる腰の部分の断熱性とクッション重ねることでR値はシンプルに足し算することができます。例えば1cm厚の山旅ULマットがR値1.4で、0.5cm厚の山旅ULマットがR値0.7なのですが、この2つのマットを重ねれば2.1になります。
0.5cm厚の山旅ULマットを2枚重ねれば1cm厚の山旅ULマットを使用しているのと同じクッション性と断熱性を得ることができます。このように複数のクローズドセルマットを時と場合によって使用することで、幅広い季節と山の標高に対応したマットとして使うことができます。
冬の登山であればマットの下に追加して地面からの冷えを軽減したり、もしも登山中にビバーグをして体温低下が著しい場合は、ダウンジャケットなどを着用した上からマットを体に巻いて体幹を温めるような使い方ができます。
この時注意が必要なのはダウンシュラフやダウンジャケットを使用する時に体の熱をダウンに移動させて保温力を向上させる必要があるので、体とシュラフの間にクローズドセルマットを挟むと逆に寒くなってしまいます。これはとあるサイトで紹介されていますが、あまりお勧めできません。特に寝返りを打つ人は、寝づらくて仕方がないと思います。