ドイターのグラビティ エクスペディション45+は、ドイターのザックの中で2番目に軽量なマウンテンアルパインカテゴリーに属するバックパックです。無駄を削ぎ落とし軽さを実現しつつも快適な背負い心地を維持したアルパインクライミングや縦走登山など長い距離を歩く山行におすすめのモデルです。
今回はドイターのグラビティ エクスペディション45+のスペックを紹介し、このモデルに採用されている機能について、実際の背負い心地や使いやすさをレビューしながら紹介していきます。
グラビティ エクスペディション45+のスペック
ドイターの50L代のバックパックの中で最も軽量なデュラセント44+10に次いで2番目に軽量なモデルに位置付けられます。
- デュラセント44+10:容量54Lで重量は890g
- グラビティ エクスペディション45+:容量57Lで重量950g
60gの差ですが、サイドポケットが備わっていたり、ウエストベルトによる腰荷重のしやすさとポケットがあることによる収納力など、これから登山装備の軽量化に力を入れていこうと考えている人にとっても扱いやすいデザインに仕上がっています。
表地の素材は140デニールのナイロンリップストップで、岩や地面に擦れやすいボトム部分には600デニールのポリエステルが採用されています。
メインの収納スペースは1気質でハイドレーションを収納することができるポケットが背面側に備わっています。トップ部分は12L分の容量を拡張できます。ポケット部分の開け閉めが容易なのも特徴です。
サイドにはザックを正面から見て右手側に縦長のポケットが備わっています。トレッキングポールやテントポールなど長物を収納するのに便利です。
雨蓋はジッパー付きのポケットで、すぐに取り出したい行動食やレインウェアなどを収納するのに便利なスペースが確保されています。容量を少なく行動する場合は取り外しが可能なので、ザックの軽量化を行えます。ちなみに雨蓋だけの重量を測ったら80gでした。
ウエストベルトはザックを背負った時に右手側に来るほうにはジッパー付きポケットが備わっており、左手側にはギアループが備わっています。この辺りのデザインはアルパインクライミング向けにデザインされていると言えます。
サイドに設けられたコンプレッションベルトは非常に長く作られているので、長くすればザックのフロント部分にクローズドセルマットを固定させることができます。またザックにロープを固定させる時にもトップとサイドに設けられたベルトを使うことができます。
冬季登山におけるピッケルの固定も可能で、シーズン活用することができるザックに仕上がっています。
グラビティ エクスペディション45+に備わっている機能と背負い心地
ドイターは世界初となる通気性を考慮した背面システムの開発を行い、これによって一躍世界中のアルピニストたちに支持された歴史を持ちます。グラビティ エクスペディション45+においても軽量ながらも通気性を備えた凹凸のあるフォームパッドを採用しており、背中の汗を抑制します。他のドイターのザックと比較すると軽量化にシフトしているので背中の通気性は若干劣るように感じます。
フレームは内蔵されていて逆U字形状でザックの中の荷物をしっかりと固定させる働きがあります。このフレームがあるかないかで装備容量にもよりますが背負い心地に大きな差を感じます。このフレームは取り外しすることができ、取り外すことで約70gの軽量化を行うことができます。雨蓋、フレームの両方を取り外すことで150gの軽量化が可能です。
ショルダーハーネスは通気性に優れた素材を採用し、少し固めのクッション性のあるフォームが内蔵されています。これは1kg以内の軽量なザックと比較したとき、クッション性があるタイプだと感じました。
ウエストベルト部分は柔らかく通気性のある素材で、幅が最も長いところで約11cmあり、クッション性は少ないですがしっかりと腰に固定させることができます。腰荷重に優れているザックとは言えませんが、軽量な装備を収納することを前提に考えれば必要十分なクッション性だと思います。
背負い心地はさすがドイターのザックと感じさせてくれます。ショルダーハーネスの荷重バランスを前後で調整できるアジャストメントストラップは、ザックの重みをしっかりと背中に寄せることができ、自分の体の状況に応じて簡単に調整が行えるチェストストラップも非常に使い心地がいいです。
僕は登山中の水分補給やエネルギー補給、また日焼け止めやリップクリームなどをすぐに取り出せるように、ザックのショルダーハーネスにボトルホルダーやポケットを外付けするタイプなのですが、このザックはハイドレーションのホースを通すゴムバンドがショルダーハーネスに取り付けられているので、外付けしたいアイテムをカラビナと連結させるのに便利です。
今回紹介したグラビティ エクスペディション45+に限らず軽量なザックというのは、パックウェイトでおおよそ10キロ以内の登山装備を収納するのに適したザックであり、10キロ以上だと、よりクッション性に優れたショルダーハーネスやウエストベルトを備えているザックの方が、ザックの荷重が体に食い込みづらく快適な登山が可能になります。軽量だから良いという考え方はザックに関しては間違いですので、自分が持ち歩く装備と一緒に考えるようにしましょう。