ブラックダイヤモンド初のULバックパック『ベータライト45』は、現在非常に人気でウルトラライト思考の登山者に注目を浴びています。この商品はブラックダイヤモンドが得意とするランニングパック開発で培った全てを投入した力作で他社のザックにはない機能が盛り込まれています。今回はブラックダイヤモンドの『ベータライト45』のスペックを紹介し、実際に背負ってロングハイクを楽しんできた結果、僕自身が感じた良いところ、そして改善してほしいポイントを紹介していきます。
ブラックダイヤモンドの『ベータライト45』のスペック
- 容量:45L
- 素材:本体=Ultra200/補強=Ultra400
- フロントポケット=デュアル4ウェイストレッチメッシュ
- 総重量:890g
- 最小重量:521g(背面パッド、ヒップベルト、ステー、ストラップ取り外し時)
ブラックダイヤモンドのベータライトには30Lと45Lの2種類の容量が用意されています。今回紹介する45Lは長期縦走登山に適した容量です。2つの容量の主な違いは45Lには以下の3つの機能が追加されています。
- 2本のアルミフレームを搭載
- 肩の上にスタビライザーが追加
- 正面に備えられたメッシュポケット上部が延長されバックルで固定が可能
素材にはUltra200とUltra400と呼ばれる「ChallengeOutdoor」社が開発したUHMWPEを含む新素材で、UHMWPE(67%)、完全リサイクルされた高強度ポリエステル(33%)に、防水性のフィルムを内側にラミネートして構成されています。200という数字は生地の厚さでデニール表記されています。
200D以外に100D/400D/800Dと複数ラインナップしていますが、軽量性と耐久性のバランスに優れた200Dをベータライト本体に、そして補強すべきボトム部分に400Dを使用しています。
耐久性だけでなくにはシームシーリング処理がされており耐水性を確保した作りも特徴です。
この素材とダイニーマとの大きな違いは引裂強度がUltraが約3倍、UV耐性による色やけ防止がUltra方が高いとされており、ザックでの使用に置き換えてみると、岩場の多い登山や紫外線の強い稜線上を長い時間歩くと言ったシーンに適した素材と言えます。
ショルダーストラップにはトレイルランニングザックによく見られるポケット付きのショルダーストラップで、スマホや行動食、水筒などザックを下ろさずとも手に取ることができるように作られています。
ウエストベルトにはリップストップ素材のポケットが左右に備わっており、マチがついているので大きなアイテムを収納するのにも適しています。僕の場合はサングラスをケースごと収納していました。このウエストベルトは取り外しが可能で、軽量化したり好みに合わせて改変することができます。
フロント部分は大きなストレッチ性のメッシュポケットが備わっており、レインジャケットやレインパンツなど雨が降ってもすぐに取り出したいアイテムを収納しておくのに便利です。さらに両サイドにはリップストップ生地の大型ポケットを装備しています。
背面にはメッシュパネルが備わっており通気性を確保しています。背面の内側に2本のアルミニウム製フレームと背面パッドが搭載されており、多くの荷物を収納してもザックが崩れしない特徴があります。このフレームも背面パッドも取り外しして省略することでザックの軽量化を行うことができます。
開口部はロールトップで閉じるスタイルで防水性に優れているだけでなく、容量が少ない時にはロール数を増やして容量の調整をすることができます。また非常に広く開くので素早い出し入れができるのも魅力の一つです。
追加でランニング用のヒップバッグを『ベータライト45』に取り付けることができます。ベータライトサテライトバッグと呼ばれるこのアイテムは4Lの容量で重量は145gです。内側にはメッシュポケットが備わっており、単体での使用にも適した作りです。このヒップバッグを『ベータライト45』に取りつけておくことで、アタックザックのような使い方も可能です。
ULバックパック『ベータライト45』のレビュー&改善して欲しいポイント
今回ベータライト45に装備重量約10キロを背負って登山をしてきました。非常に軽量ながら背負い心地に優れたザックで、収納スペースが設けられているので、装備の軽量化にインパクトを及ぼすだけでなく、登山中に物の出し入れがしやすい他のザックにはない機能が備わっています。
ショルダーハーネスに取り付けられたポケットについては好みが分かれるところだと思います。トレイルランナーさんがよく使用している細長いソフトフラスコが収納できるポケットは、少し直径が大きい水筒を入れると出し入れが少しきつく感じます。また少し多めに行動食をポケットに収納しておきたい僕にとってはもう少し多くの容量が欲しいと感じました。
僕のようなスタイルで登山をする人にとっては、ボトルホルダーやポケットなどは外付けできるタイプの方が良いのではないかなと感じます。
ザックのサイドに設けられた大きなポケットの上部のストレッチバンドは強いのであやまって入れたものが落下しない安心感はありますが、例えばチェーンアイゼンやサングラスケースなどの少し大ぶりなものを収納すると出す時に引っかかるので取り出しづらいというデメリットがあると思いました。ここも好みが分かれるポイントだと思います。
そしてこのポケットにテントポールをさして、ザックのサイドに固定したいと思っても、コンプレッションベルトがザックの上部に備えられているのでテントポールが短いと届かず固定することができません。僕の場合はザックの中に長ものは収納するタイプなのですが、サイドに固定する場合は注意が必要です。
今回紹介したブラックダイヤモンド初のULバックパック『ベータライト45』は価格が税込みで5万2,360円で、6万円以上するダイニーマ製のザックなどと比較するとかなりコストパフォーマンスに優れているんじゃないかなと思います。これから装備の軽量化に力を入れていきたいと考えている人にとって候補になるザックだと思いますのでぜひチェックしてみてください。
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