絶景を楽しめる穴場の山-アナバーマウンテン『中央アルプスの伊那前岳』
多くの人たちがその山域で名が通っている山に向かっていくのだけど、その山から非常に近い、名前が知られていない山で、実に素晴らしい景色を楽しめることがあります。アナバーマウンテンではこのような人が少ない穴場の山を紹介していきます。
第1回となる今回の山は中央アルプス、山域にある「伊那前岳(いなまえだけ)」です。
伊那前岳とは
伊那前岳は標高2883mで、〒長野県上伊那郡にある山です。駒ヶ岳ロープウェイのしらび平から千畳敷駅に到着すると、正面に千畳敷カールを見て右手に位置する山が伊那前岳です。
伊那前岳までのアプローチ
伊那前岳までもっとも簡単にアプローチするためには駒ヶ岳ロープウェイを利用します。千畳敷駅から約1時間かけて乗越浄土(のっこしじょうど)まで向かいます。場所まで来るとほとんどの人が宝剣山荘・木曽駒ヶ岳方面に向かうのですが、これとは反対側に約15分歩くと伊那前岳に到着します。
だから伊那前岳までの寄り道はおおよそ30分程度で、木曽駒ヶ岳の登山プランに組み込みやすい場所に位置します。伊那前岳に向かう人は乗越浄土付近に荷物をデポしておけるスペースがあるので、そこにザックを置いて向かうことができます。乗越浄土から伊那前岳は標高差のない稜線歩きです。
この稜線を歩いていると途中に「和合ノ頭(わごうのかしら)」という標高2911mの山を通ります。和合ノ頭からは千畳敷の絶景を楽しむことができるので、多くの人がここまで来て乗越浄土に戻ってしまいます。ここから伊那前岳は約30mほど標高を落とすことになるので、おそらくですが「標高が低い場所に行っても対して景色は変わらない」と思い込んでしまうのだと思います。
伊那前岳からみる絶景
伊那前岳まで来ると、その素晴らしい絶景に疲れが吹き飛ぶこと間違いなしです。伊那前岳からの絶景をポイントごとで紹介をしていきます。
中央アルプスの全体像を楽しめる
伊那前岳からは最も標高が高い2956mの木曽駒ヶ岳から、2931mの宝剣岳、そこから南に延びる長い稜線と2864mの空木岳(うつぎだけ)を見渡すことができます。百名山は登ると達成感がありますが、このように近い他の山から見渡すと、その美しさに惚れ惚れします。
北アルプス・美ヶ原・八ヶ岳・東北の山を一望できる
伊那前岳は目の前に遮る山が少ないため北アルプス・美ヶ原・八ヶ岳・東北の山を一望できます。北アルプスにおいては尖った槍ヶ岳を探すことができ、美ヶ原は頂上が平らで何もない草原を見つけることができるなど、様々な山をゆっくりと眺めながら答え合わせをする楽しさは伊那前岳からの景色ならではです。
上から眺める千畳敷カール
ロープウェイの千畳敷駅から北東に向かって降りて行くと剣ヶ池があります。
この剣ヶ池から眺める千畳敷カールも非常に美しいのですが、伊那前岳からみる千畳敷カールもまた鳥になったような気分で景色を楽しむことができます。カールの形状や登山を楽しむ人たち、またロープウェイが駅を行き来する様など、ジオラマを見ているような楽しさを味わうことができます。
南アルプスを横から楽しめる
伊那前岳から真東に目を向けると正面に甲斐駒ヶ岳、そこから右に北岳、荒川岳、赤石岳と静岡に向かって伸びていく南アルプスの山域を楽しむことができます。そして南アルプスの向こう側には富士山も眺めることができます。
長野県駒ヶ根市を一望できる
乗越浄土(のっこしじょうど)を背にして伊那前岳を通り過ぎそのまま北御所林道を歩いて行くことで下山することができます。この下山道の稜線を眺めて目を上げると長野県駒ヶ根市を一望できます。街と山との距離が短く、密集している建物や畑など、町の形を楽しむことができるのも伊那前岳ならではです。
下山して街からは、伊那前岳や千畳敷を見ることができるので、「先ほどまであそこに居たんだ」という思いに浸ることができるのも楽しいです。