「CQ,CQ,CQ、こちらは二王子、青い空、飯豊に響く青春の鐘」。
アマチュア無線家の歌を引用した紀行文の中の一節らしいのですが、何とも言えないこのフレーズ、妙に心惹かれませんか?
飯豊連峰の展望台と言われる二王子岳は、まさにことば通りのすばらしい眺め。静寂の中、青い空~鐘の音~風の音・匂い~鳥のさえずりが頭に浮かんできそうですね。
というわけで今回は、飯豊連峰の前にデカい顔してどっしりと腰を下ろす二王子岳のご紹介です。
二王子岳とはどんな山?その魅力とは?
二王子岳は新潟県新発田市にあって越後山脈の北部に位置する山。古来より信仰の対象で、登山口の二王子には大きな社殿を持つ二王子神社、登山道沿いには一王子社、三王子社、九合目付近に奥の院があります。
「にのじさん」として親しまれてきた二王子神社は、農業生産諸業の守護神として崇められ、昔は修験道の霊山として羽黒山とともに名高い神域でありました。しかし、近年の農業を取り巻く環境の変化により、米作に関する行事も次第に消滅してしまいました。
二王子神社は天保七年の創建から2度焼失し、現在の本殿は昭和42年に再建されたものです。境内にはキャンプ場が併設されており、拝殿が管理棟になっているという珍しい神社。
二王子岳の標高は1400mとそれ程高い山ではありませんが、麓から眺めると横に長い巨大な山塊は存在感があり、冬は豪雪地帯ゆえニノックススキー場や山頂の「エビのしっぽ」が有名です。
圧倒される飯豊連峰と青春の鐘
「あの鐘を鳴らすのはあなた♪」。
山頂からの抜群の眺望と美しく全容を見せる飯豊連峰。大日岳、御西岳、飯豊山、北股岳など飯豊連峰の高峰が描く稜線の景色はまさに絶景であり、天気が良ければ日本海や越後平野、弥彦山、角田山、そして朝日連峰まで見ることができます。
よく山頂に設置されている見渡せる山々の展望図。しかしここにある展望図に描かれているのは飯豊連峰だけ。いかにここが、飯豊連峰を観る最高の展望台なのだということを語っていますね。
「青春の鐘」は今から半世紀ほど前、新発田市の勤労青少年ホーム内の登山サークルが建設したもので、現在は2010年に建設された3代目だそうです。冬には積雪のため11月に入ると避難小屋へ鐘が収納され、そこに雪が吹きつけ樹氷のように凍り付くと「エビのしっぽ」に姿を変えるのです。
年間の登山者数1万人を誇る人気の秘密は、西側から見る飯豊連峰の美しい稜線を仰ぎながら青春の鐘を鳴らすことですが、積雪4~5mにもなる冬山登山も人気があります。
山の名前 | 二王子岳(にのうじだけ) |
エリア/都道府県 | 東北/新潟県 |
山域 | 飯豊連峰 |
標高 | 1,420m |
基本情報 | 二王子岳 難易度・天気などの最新登山情報 |
難易度別登山ルート
登山道は麓の二王子神社からのみ開かれているので山頂まではこの一本道を進んで行く形になります。よく整備された山で足場はしっかりしているため安全に登ることができます。唯一、鎖がかけられた箇所が1ヵ所ありますが問題なく登れます。
1・二王子神社登山口~二王子岳
必要日数 | 日帰り |
コースタイム | 7時間1分 |
距離 | 10.3Km |
累積標高 | 1,209m |
難易度/体力 | ★★★☆☆/★★★★☆ |
コースタイム詳細
- のぼりタイム 3時間53分
二王子岳登山口→(1時間20分)→一王子神社(三合目)→(50分)→定高山(五合目)→(1時間25分)→三王寺神社→(15分)→分岐→(3分)→二王子岳 - くだりタイム 3時間8分
二王子岳→(3分)→分岐→(15分)→三王寺神社→(1時間10分)→定高山→(35分)→一王子神社→(1時間5分)→二王子岳登山口
コース詳細
二王子神社へ向かって林道を進めば駐車場に着きます。
立派な二王子神社です。キャンプ場を利用する際は拝殿が管理棟になっていますので手続きをしましょう。
ベンチやテーブルが設置されています。トイレもここにありますので済ませておきましょう。
キャンプ場の奥が登山道入り口です、水場がありますので利用しましょう。登山届もここで提出できます。
序盤は緩やかな傾斜の道。階段もよく整備されています。
最初は気持ちのいい沢を渡ったりしながら進みます。濡れた石の上は滑りやすいので注意して登りましょう。
一合目、ここまで約15分。本格的な登山道はここからになります。階段が永遠に続くんじゃないかと気持ちが萎えそうになりますが頑張りましょう。
大きめの石がゴロゴロ出てきます。石に張り付いた葉っぱは滑りやすいですから気を付けましょう。登山口から約40分にある神子石、天然シェルターです。するともうすぐ二合目になります。
一王子神社を過ぎると三合目到着。水場の看板あり。
三合目避難小屋。しっかり休憩をとりましょう。ここを過ぎると道は平坦なところと坂が交互に現れ、体力的にはずっと楽になります。
定高山(994m)五合目到着です。休憩できるスペースがあります。ここから油こぼし(7合目)まで約40分です。
この管理、整備された登山道。ここまで手入れが行き届いている登山道は他に知らないという声多数。階段が意外にキツイですが六合目からは緩やか、そしてまた階段が続きます。
油こぼしは唯一の危険場所。鎖場ですが距離は短いので特に心配はいりません。通過すれば七合目になります。
三王寺神社を越せば平坦な道となり、展望の良さと相まって快適に歩を進めることができます。
山頂付近の池塘、琵琶池。
正面に奥の院が見えてきたら間もなく山頂。
オレンジ色でかまぼこ型の避難小屋が見えてきます。そして小屋の右脇から山頂広場へ。
飯豊連峰を切り取るように青春の鐘が下がる門型の櫓。西大日岳~大日岳、御西岳~飯豊本山~烏帽子岳~北股岳、そして朳差岳が。圧倒的な光景を目にすることができます。また、山頂は広いため休む場所には困りません。
登山口駐車場
へのアクセスと各種情報
二王子岳登山口(田貝登山口) 二王子神社 登山者用駐車場 妹背滝
駐車台数 | 70台 |
駐車料金 | 無料 |
標高 | 297m |
トイレ | 有り |
住所 | 957-0333 新潟県新発田市田貝2010 |
- 日本海東北道路の聖龍新発田IC下車
⇒県道7号および県道202号などを経由して13㎞地点「二王子温泉」「二王子神社」などの看板で左折
⇒2㎞ほど進み南俣林道~さらに3㎞進むと二王子神社に到着 駐車場は神社手前の橋を渡って右側
※南俣林道は冬季閉鎖期間があります、下記HPでご確認ください。
二王子岳概要|新潟県新発田市公式ホームページ
※新発田駅からはタクシーかレンタカーを利用。バスは平日の数本しか利用できませんので現実的ではありません。
(株)下越タクシー配車センター 0120-232245
駐車場手前の橋
二王子岳のQ&A
Q:二王子岳の山開きはいつ?
二王子岳の山開きはいつですか?
A:毎年5月の最終日曜日
毎年5月の最終日曜日を山開きと定め、一年間の登山者の安全を祈願します。なお、一般の参加はできないようです。
Q:二王子岳は一般的に車登山前提の山?登山口は奥宮から?
今年の山登りの候補の1つに新潟にある二王子岳を考えています。 登山ルートについては概ね調べ終え、特段難しい山ではないと判断し是非登ってみたいと考えているのですが、二王子神社までのバスが無いことがわかりました。車が無いため新発田駅から二王子神社まで歩くしかないのですが、アプリで調べてみると 15キロくらい駅から離れているみたいです。これでは徒歩で3時間はかかりそうです。 また二王子神社も里宮と奥宮で少し離れていますが、登山口となる二王子神社は奥宮からの認識で良いですか?登山口から山頂までだいたい4時間なので、里宮からなのか奥宮なのかからで総距離が変わりそうです。新発田駅から二王子岳まで全て歩くとなるとざっと片道8時間くらいでしょうか。現実的ではないです。 一般的に車登山前提での山なのでしょうか?なるべく車を使わずに登り切りたいと考えているのですが…。
A:車前提、登山道は麓の奥宮から
麓の奥宮の前からが登山道です。距離が長いだけで厳しい山ではないですがクルマがないなら基本日帰りは厳しいです。神社前のキャンプ場か避難小屋での宿泊を前提に考えたほうが無難。基本的には車で行くのが前提の山であり、ここに限らず新潟の山はだいたいそうです。行くのならタクシーかレンタカー利用を勧めます。奥宮に登山者用の駐車場がありますが昼前には9割くらい埋まっていることが多いです。
二王子岳周辺の山旅スポット
新発田城址公園(しばたじょうしこうえん)
新発田城は、別名「あやめ城」とも呼ばれ、初代新発田藩主溝口秀勝(みぞぐちひでかつ)侯が慶長3年(1598年)に築城し、3代宣直(のぶなお)侯のときに完成しました。国指定重要文化財、日本百名城に選定されています。
新発田城は一般に多くある山城とちがって、政治・経済の中心として交通の便利さを考え、平地につくった平城。石垣がすき間なくかみ合うようにきちんと積まれる「切込はぎ」と呼ばれる美観を重視した技法でつくられ、白と黒が美しい海鼠(なまこ)壁で仕上げられています。
国の重要文化財である新発田城表門や旧二の丸隅櫓、お堀が当時のままの姿で残されており、全国でも例を見ない三匹の鯱を配した三階櫓と、新発田出身の赤穂義士堀部安兵衛の運命を決めたといわれている辰巳櫓が平成16年7月に復元されました。
春の桜の季節、真冬の雪をすっぽりかぶった様子など四季折々の風情があります。
開門時期 | 4月~11月 |
開門時間 | 9:00~17:00 |
入場料 | 無料 |
駐車台数 | 100台 |
TEL(文化行政課) | 0254-22-9534 |
住所 | 新潟県新発田市大手町6丁目 |
五十公野御茶屋(いじみのおちゃや)
新発田藩主溝口家の別邸・茶寮として使われた庭園。御茶屋は洗練された数寄屋造りの建物で、全般に木柄が細く簡素繊細な作りです。夏座敷2部屋は思い切って解放的に造られ、庭園を十分に鑑賞できるようにつくられています。
庭園内の樹木は諸国の名所の種苗を取り寄せて植えたものといわれ、「心」の字をかたどったといわれる池を配し、なかに美しい赤松を植えた島を浮かべ、周りに築山をめぐらした池泉廻遊式庭園です。平成15年8月27日付で国指定名勝となりました。
歴代藩主がくつろいだであろう静かな名庭園を眺めれば、心も癒されること間違いなしです。
公開時間 | 9:00~16:30 |
休館日 | 月曜日(月曜休日の時は翌日) 冬季期間(12月~3月)は閉鎖 |
入場料 | 無料 |
駐車台数 | 20台 |
TEL(文化行政課) | 0254-22-9534 |
住所 | 新発田市五十公野字熊ノ沢4926番地 |
カフェ・ド・ランチ
木々に囲まれ、四季折々の自然を楽しめる五十公野公園の入口にあるイタリアンのお店。陽が差し込む明るい店内はとても居心地よく、公園散策の後ゆっくりくつろぐには最高です。
10種のジェラートのほかオーガニックドリンクやハーブティー、こだわりのコーヒーといったカフェメニューが充実、幅広い世代に人気。近隣で採れる新鮮野菜をたっぷり味わえる『茄子とモッツァレラのトマトソースパスタ』や窯焼きナポリピッツァなど地元の食材をいかしたランチメニューも豊富です。
営業時間 | 10:00~16:00 |
店休日 | 不定休 |
席数 | 31席 |
TEL | 080-7368-3412 |
住所 | 新発田市五十公野4498-1 |
公式ホームページ | カフェ・ド・ランチ |
新発田温泉あやめの湯
湯舟から壮大な二王子岳が一望できる源泉かけ流しの温泉です。ナトリウム一塩化物・硫酸塩温泉で、神経痛・五十肩・筋肉痛・疲労回復・慢性消化器病などに効能があるといわれています。
内湯のみで露天風呂はありませんが、茶褐色の塩化物泉は泉質がよく地元の人たちに愛されている温泉です。温泉スタンドや足湯、飲泉所、そして休憩室もあるのでゆっくり体を休めることができます。
営業時間 | 10:00~21:00 6:00~21:00(日曜・祝祭日) |
定休日 | 第1・3月曜日(祝日は営業・翌日休み) |
日帰り入浴料金 | 大人450円 小人 280円 |
TEL | 0254-26-1173 |
住所 | 新潟県新発田市大字板敷795-1 |
百花の里 城山温泉
新発田市の「新発田城カントリー俱楽部」というゴルフ場の西にある、つるつる、すべすべ肌に優しく保温効果抜群の"とろみの湯"で人気の日帰り温泉施設。
館内はとても清潔で、週替わりで入れ替わる日本庭園に面した露天風呂、内湯、ジェットバス、打たせ湯、サウナ、水風呂があり、無料休憩所では食事もできます。
マッサージ機や足つぼマッサージ機もあるので、山行後の疲れたカラダをほぐしたいときは超おススメですよ。
営業時間 | 10:00~21:00(最終受付20:00) |
飲食時間 | 11:00~20:00(オーダーストップ20:00) |
1階休憩室 | 平日 11:00~15:30 土日祝 11:00~16:30 |
休館日 | 毎週 第1・第3木曜日 |
入館料 | 大人800円 小学生以下500円(3歳未満は無料) |
TEL | 0254-21-2626 |
住所 | 新潟県新発田市浦1040-1 |
公式ホームページ | 百花の里 城山温泉 |