登山にある程度慣れてくると、憧れの山にチャレンジしたくなる時期が訪れます。北アルプスに登ってみたい、山小屋泊をしてみたい。
そんな「憧れの山」を目指すためのトレーニングにおすすめなのが、高尾山から奥高尾にある小仏城山まで縦走する往復コースです。
6月に初めて小仏城山までソロ登山してきたので、登山コースの詳細とレポートをお届けします。6月の暑い日でしたが、川や緑、自然の音色に癒されながら楽しい山行となりました。
高尾山と小仏城山の見どころ
都心からさほど離れていないのに、大自然を満喫できる高尾エリア。高尾山とその奥にある小仏城山(こぼとけしろやま)の魅力をご紹介します。
多彩なルートを持つ高尾山
東京を代表する山であり、観光地としても人気の高尾山。年間300万人ほどの登山者が訪れる、登山のメッカです。標高599mながら、登山初心者から中級者も楽しめる多彩なコースが魅力です。高尾山山頂の展望台からは、雄大な丹沢の山々や、晴れた日には富士山までも望むことができます。
絶景と食を楽しめる小仏城山
小仏城山は、奥高尾と呼ばれるエリアにある標高670.3mの山。高尾山から小仏城山の山頂までは、2.3kmほどの道のりで、約60分で到着します。小仏城山山頂からの眺望は、ミシュラン観光ガイドで3つ星を獲得したほどの美しさ。山頂には2つの茶屋があり、城山名物のなめこ汁や味噌田楽、かき氷などのメニューがそろい、ひと息ついて食事をするのにぴったりです。
私が選んだ登山コース
京王線高尾山口駅〜6号路(琵琶滝コース)〜高尾山山頂〜小仏城山〜高尾山山頂〜3号路〜京王線高尾山口駅
高尾山の登山コースは,6つの自然研究路と稲荷山コース、中級者向けの陣場山コースがあります。一番メジャーな1号路(表参道コース)は、ケーブルカーやリフトで登ることができるので、普段登山をしない人や高尾山が初めての人におすすめのコースです。
私が今回選んだのは、川や滝見鑑賞を楽しめる6号路(琵琶滝コース)。梅雨の暑い時期だったので、少しでも涼を感じながら、水の音に癒されたかったので選びました。結果は大正解!
高尾山山頂駅よりもずっと涼しく、爽やかな風を感じられる気持ちいいコースです。高尾山は常に混んでいるイメージがありましたが、6号路は静かに落ち着いて山登りを楽しめました。手つかずの自然もたくさん感じられます。
高尾山山頂から小仏城山へは初めて行くので、もみじ台と一丁平を通り、階段のアップダウンを繰り返す王道コースを選びました。
高尾山〜小仏城山の登山レポ
高尾山口駅からスタートし、高尾山山頂経由で小仏城山までの登山レポートです。
高尾山口駅から6号路登山口までのアクセス
京王線新宿駅から京王線高尾山口までは、北野駅で乗り換えて約60分で着きます。
高尾山口駅の改札を出て右側に進み、レストランやカフェが並ぶ通りを道なりに3分ほど歩くと、ケーブルカーの清滝駅に到着。
こちらは朝の9時半頃の様子です。この時間はまだ人がさほどいませんが、連日雨が降っていてやっと快晴になったからか、多くの登山客や観光客を見かけました。
6号路登山口までは、ケーブルカーの隣の脇道(写真の左側の道)を直進します。
しばらくは舗装された川沿いの道を歩きます。
この日は6月中旬だったので、色とりどりの紫陽花が綺麗に咲いていました。
四季の移ろいを感じ、すでに心が弾みます。
高尾山山頂まで川の音を楽しむ
写真を撮りながら10分足らずで、登山口に着きました。ここからいよいよ6号路に入ります。
小さな滝や川を脇に眺めながら歩いていきます。
この日の八王子市の最高気温は31℃でしたが、ここは別世界。風がひんやりとしてジメジメした感じが一切なく、快適そのものでした。川の流れる音を聴いていると、心も足取りもふわっと軽くなる感じがします。
6号路は左の道ですが、右側の道を進んですぐの場所に琵琶滝があります。
この琵琶滝は、高尾山薬王院の修験者たちが滝行を行う場所で、一般の人も滝行体験に参加できるそうです。
また先ほどの分岐に戻り、6号路を進んでいきます。琵琶滝を過ぎたところから、道中にベンチが数カ所設置されていました。こんなふうに山を純粋に楽しむ人たちの姿を見ると、ほのぼのした気持ちになりますね。
途中、稲荷山コースに向かう分岐がありました。
ここから6号路は、沢を登る道に入ります。といっても、水がチョロチョロと流れているだけなので、一般的な登山靴でも大丈夫でした。
暑い日は特に気持ちがいい道のり。沢を歩くのはほんの数分でしたが、ここが私にとって、今回の登山のハイライトです。
さて、最後に待ち構えたのは、長い長い階段。きつい階段があると耳にはしていましたが、階段の多い六甲山系によく登っていたので楽勝だろうと思っていました。
しかし、川沿いを抜けると暑さが増し、その中で登る階段はなかなかハードでした。木々は綺麗なんですけどね。
階段を登った後にベンチで行動食タイム。雪山登山でエネルギー切れになったことがあるので、それ以来行動食をこまめに摂るようになりました。
舗装された道路が見えたら、山頂まではあと少し!
ふと見上げてみると、鮮やかな緑にそっと差し込む木漏れ日。そっと包み込まれるような優しい気持ちになりました。
山頂の手前にあるトイレ。さすが観光地なだけあり、綺麗に整備されています。
トイレの前にそのまま飲める水を汲めるスポットもあります。
ここを登りきったら山頂です。他のコースから来た人たちで賑わっていました。
山頂となると、やはり人が多いです。
展望台の大見晴台から眺める丹沢の山々。高尾山には何度も来たことがありますが、登山にハマってから来たのは初めて。いつ見ても感動します。
残念ながら富士山は見えませんでした。夏場は湿気により雲が多いので、富士山をすっきり見れる日はめったにないとか。しかしこの日の早朝は、富士山がくっきりと見えたという話を登山者の方が教えてくれました。
階段ばっかり…小仏城山山頂への道のり
景色を堪能したところで、いざ奥高尾・小仏城山へ!
高尾山山頂から約10分歩くと、山々を展望できるもみじ台に着きます。写真を撮っていませんが、なめこ汁が名物の茶屋、細田屋がこのベンチ前にあります。近くにトイレもありました。
もみじ台を抜けると人がまばらになり、鳥の鳴き声が響き渡って一気に秘境感が増しました。この静けさがたまらない。
階段を下ったかと思えば、ひたすら登りが続きます。
木陰で休憩できるスペースやベンチがある一丁平に到着。トイレも設置されています。一丁平から小仏城山山頂まではトイレがないので注意してください。
さらに進んでいくと、展望台に着きました。
屋根付きの休憩スペースでエネルギー補給。ソロ登山のときは時間を節約したいので、コンビニで買ったものを食べることが多いです。
さっ、まだまだ階段が続きます。正直、高尾山6号路の階段よりもきついです。おそらく日差しをもろに受けるので、暑さで体力を消耗していたからかなと思います。汗っかきの私にはつらい……。
ここを登り切れば、小仏城山頂上!
高尾山山頂から小仏城山まで、休憩も含めて50分ほどで到着しました。ただし私は少し早めのペースで登っていたので、通常は60分〜70分くらいかかります。
標高表示板のすぐそばには高尾山と市街地を一望できるスポットがありました。
名物茶屋でビールをいただきます
小仏城山の山頂には、春見茶屋と城山茶屋が並んでいます。
城山名物らしい特大サイズのかき氷を楽しそうに食べている人がたくさんいて惹かれました。夏の山頂で食べるキンキンのかき氷は、たまらなく美味しいんだろうなと思いつつ、お腹が心配だったので断念。
代わりにビールを1杯いただきました。山頂で飲むビールはいつも美味しいけど、暑いときは格別。サービスのおつまみが嬉しい。
城山茶屋の前からも雄大な山景色が見れました。
「富士山、見えないですね〜」「でもいい天気でよかったですね」
知らない人とこんな何気ない会話を自然にできてしまうのが、山のすごいところ。都会ではせかせかとしている人が多いけど、山ではその瞬間瞬間をゆったりと楽しんでいる人ばかり。人を和ませてくれて、笑顔にさせてくれる。だから、私は山が好きなんだな、と思った瞬間でした。
帰りは高尾山山頂まで同じルートを通り、6号路ではなく3号路を通って下山しました。登山初心者の方は、帰りは1号路でケーブルカーを使うほうがいいかもしれません。
高尾山口駅から高尾山山頂経由、小仏城山往復の歩行距離は、約13kmでした。
普段から登山や運動をしている人なら、この距離は問題ありませんが、下山の際は無理をせずケーブルカーで降りるのも選択肢です。
途中からエンドレスに続く階段や暑さで疲れましたが、終始聴こえる自然の音に心から癒されました。
また山が赤く染まる、紅葉の時期に訪れてみたいです!