初夏のこの日、清々しい空気の中でのクライミングは課題克服の緊張感と達成感、涼しい夜は焚火を囲み贅沢なキャンプ飯を。仲間との団欒、美味しい食事と自然の中でのひと時は本当に心地よいもの。そんな2日間をレポートです。
絶景のクライミングスポット、小川山
小川山(おがわやま)は、山梨県北杜市と長野県南佐久郡川上村の境に位置する標高2,418メートルの山。奥秩父山地に属し、特にフリークライミングのメッカとして知られています。そのため「日本のヨセミテ」とも呼ばれ、花崗岩の岩盤で構成された岩場は、変化に富む様々な難易度のクライミングルート、魅力的なボルダリングスポットが点在、国内外から多くのクライマーが訪れます。
登山の対象としてはマイナーな小川山ですが、その行程にはハシゴやロープ場が多く、変化に富んだルートが楽しめます。山頂は樹林に覆われていて眺望はあまり良くありませんが、途中の岩場からは奥秩父の山並みを望むことができます。
絶景と充実の設備、廻り目平キャンプ場
麓の廻り目平キャンプ場は小川山の麓、長野県南佐久郡川上村に位置する魅力的なキャンプ場です。標高は1,570mと高いので涼しく、下界は酷暑の日でも25℃を超えることは稀。以下にその魅力をご紹介。
自然に囲まれた広々としたキャンプサイト:木々に囲まれたフリーサイトは600張までと広大なスペース、せせらぎの音を聞きながらキャンプを。
美しい渓流での釣り:金峰山川は釣りスポットとして有名で、イワナ釣りが楽しめます。
清潔で充実の設備:トイレは3箇所あり、シャワー棟も完備。また、隣接する金峰山荘の大浴場(500円)も利用できます。
リーズナブルな利用料金:美しい自然・充実の設備ながら入場料500円(登山利用なら100円)。幕営料は1人900円と超リーズナブル料金は人気のキャンプ場になるのは当然、週末の駐車場は朝8時には満車になることも。
約600張までとされるテントサイトは非常に広く、到着が遅くても幕営の場が無くなることはありませんが、お気に入りのキャンプサイトとその近くに駐車を望むなら5時くらいまでの到着が無難です。
宿泊もできる金峰山荘ですが、山梨県にも同じ名前の山荘があります。ご予約/お問い合わせの際は間違え無いようご注意を。
■信州川上郷 金峰山荘 麓の廻り目平キャンプ場 ふれあいの森
■〒384-1401 長野県南佐久郡川上村大字川端下(カワハケ)546-2
■TEL.0267-99-2428
クライミングレポ前にちょっとコマーシャル
この日は新商品の撮影を兼ねての山行きでした。中型ランタンのCL6は600ルーメンの大光量でも優しい光を放ちます。3枚の輝く羽根をたためばコンパクトに収納できます。大人数のファミリーキャンプはもちろん、携帯性でツーリングキャンプまで対応します。
小型ランタンのUL1.5は最大150ルーメンで3時間、3ルーメンなら120時間点灯、48gと実用的なランタンとしては最軽量。こちらも薄く折りたたむことができ、胸ポケットに入る携帯性です。ULソロキャン、テン泊に向きます。こんな枝に単体でぶら下がるランタンは他には無い特技です。
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1日目の課題、高度感がたまらない!「マラ岩クライミング」
この日のクライミングは「マラ岩」を選択。少々ワイセツな名称、形状も名前そのまんまにそびえ立ち、小川山エリアを代表する高さ70~80mほどの岩塔です。
マラ岩までは金峰山荘のある中心部から川沿いを行きます。見渡す限り路肩駐車の車列、横の河原はフリーサイトエリア。そのキャンプ場終点より渡渉します。
15分ほどガレた岩場を登ると「マラ岩」直下に到着。静かな山間に「テンションお願いしまーす」「がんば!」先行の大阪チームの掛け声が行き交います。
課題チャレンジの前に:装備の不備が重大な事故につながるクライミング。ハーネス、ロープ、カラビナなどの装備が正しく機能しているかを入念にチェックし、落下やその他の事故を防ぎます。クライミングはチームで行うことが多いため、一人の装備不備が全体の安全に影響を与えることも。全員が相互に装備チェックを徹底しチームの安全を確保します。
写真はリムーバブルプロテクション=カム(カミングデバイス)。カムはボルトが設置されていない状況でクラック(岩の割れ目)に設置しプロテクション(安全確保)を得ます。スプリングで動く羽根を持ち、これらがクラックの内側に押し広げられ固定、クライマーが落下するとカムローブがさらにクラックに押し付けられ、抜けにくくなる仕組みです.
リードクライミングとは
クライマーとビレイヤー :クライマーは壁を登る人、ビレイヤーは地上でロープの長さを調整してクライマーの安全を確保する人です。二人一組で行います。
ロープとクイックドロー :クライマーは登りながら、壁に設置されたクイックドロー(ヌンチャク)にロープをクリップしていきます。これにより墜落時の落下距離を短くし、安全を確保します。
登る過程 :クライマーは自分でロープを引き上げながら登り、クイックドローにロープをクリップしていきます。最上部の支点にロープをかけると完登(トップアウト)となります。
マスター :最初に登り設置されてるボルトにクイックドローを掛けるマスター。その日の状況・注意点をチェックしながら登ります。命を預ける仲間との綿密なコミュニケーションとツールのチェック、チームワークあればこその安全な登り、クライミングは知性のスポーツ。
ビレイヤーの役割
ロープ管理:クライマーが登るときにロープを送り、降りるときに引き込む。
安全確保:クライマーが落下した場合にロープをブレーキして止める。
掛け声:クライマーと掛け声を使って明確にやり取りする。
休憩サポート:クライマーが休憩する際に、ロープをテンション(固定)して安定させる。
ビレイグラス:ビレイヤー用の上向き眼鏡は、クライミング中にビレイヤーが首を痛めずに済む便利なアイテム、プリズムを利用して上方のクライマーを見やすくするため、ビレイヤーが長時間上を見続ける必要がなくなり、首や肩の負担を大幅に軽減します。
筆者も登ってみました、マラ岩クライミングはこんな景色。かなりの高度感ですがチームリーダーに入念にチェックされたボルトとクイックドロー、装備。経験豊富な仲間のサポートで危険な要素は全くありません。プロテクション無しで登る通常登山の岩場・ガレ場の方がはるかに危険でしょう。
マラ岩トップアウトからの景色、写真ではなかなか伝わりませんが、高度感と達成感が最高です。でもハーネス無しでこんなとこは絶対に行けません。
正解はひとつではなく人それぞれ異なる方法。決して諦めずに先を読みつつ自分の登り方でクリアしていくのはパズルやチェスに似た感覚、難題を楽しめる精神。それは鍛え上げた体よりも重要なことと感じました。
クライミング終え帰路の渡渉、写真真ん中の岩峰が妹岩で上が姉岩、その右に木立に少し隠されてるのがマラ岩、あんなとこ登ってたんだー。
金峰山荘の大浴場で汗を流してさっぱり、備え付けの石鹸類は無いのでご用意を。12時から19時まで利用できます(受付終了は18時30分まで)
フロント前の売店ではアルコールとスナック類、CB/OB缶、薪も売られてます。
これが楽しくて生きてる!お楽しみのキャンプ飯!!!
廻り目平・ふれあいの森キャンプ場は直火も可、焚き火をしながらのキャンプは最高です。今日の課題についての振り返りや山談義、チームリーダーによる「これでもか!」の高カロリー旨々の山飯に美酒。標高が高いので盛夏でも夜は涼しく、おこしの際は薄い防寒着のご用意を。
照明を創るメーカースタッフのお仲間たち、山の灯りには困りません。この広さでもCL6なら一灯もあれば十分なのですが贅沢に3灯。
リブボーンに投入される前にのチーズブロックを照らすCL6。吊下げるための工夫はUL1.5に近いCL6ですが、3枚の導光パネルが放つ目に優しい光はテーブルランタンとしても理想の配光です。
クライマーたちの夕べを照らすHEXAR UL1.5、150lm・120h点灯(3lm )の実用性で48gは世界最軽量クラス。ストラップの工夫は太めの枝やタープポールのどこにでも巻き付きます。大きなサイトでは補助として、ソロ一泊でしたら十分メインランタンとして使えます。
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2日目の課題「涙岩」「ダンボ岩&ひょっとこ岩」に挑戦。
清々しい空気の中、美味しい朝ご飯からスタート。
キャンプ場駐車場より10分ほど美しい白樺林の中を行きます。ここは秋の黄葉も実に素晴らしいのです。
「涙岩」でのボルダリングからスタート、小さな岩ですがガバは無くムズイです。
ボルダリング・クライミングにおいて課題への挑戦とその達成と喜びは、必ずしも高さや規模に比例しません。真の価値は、どれだけ高く登ったかではなく、自分自身の限界に挑み、それを乗り越えた瞬間にこそあります。
ダンボ岩・ひょっとこ岩と場を移しクライマーたちのチャレンジは夕暮れまで続きます。
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