森吉山は、秋田県の中央東部に位置する標高1,454mの火山活動によって形成された美しい山です。花の百名山として有名で、初夏から晩夏にかけ野花が咲き乱れる高山植物の宝庫であり、四季折々の風景や豊かな自然環境とも相まって多くの登山客を魅了しています。
本記事では、森吉山の基本情報から登山コース、周辺の観光スポットまで、訪れる際に役立つ情報を詳しくご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
森吉山ってどんな山?魅力とは?
山の名前 | 森吉山(もりよしざん) |
エリア/都道府県 | 東北/秋田県 |
山域 | 奥羽山脈北部 |
標高 | 1,454m |
基本情報 | 森吉山 難易度・天気などの最新登山情報 |
森吉山とは?
森吉山(もりよしざん)は、秋田県北秋田市に位置する標高1,454mの山、日本二百名山です。向岳(むかいだけ)や秋田山(あきたやま)とも呼ばれ、江戸時代の北前船はこの森吉山を見て方角を知ったと言います。
山頂からは白神山地や岩木山、秋田駒ヶ岳そして日本海など、雄大な景色を一望でき、天気が良ければ雲海も見られることがあります。
豊かな自然環境の森吉山は「花の百名山」としても知られ、初夏から秋にかけてミズバショウ、ザゼンソウ、チングルマ、ヒナサクラなど約300種類の高山植物が咲き誇ります。また、周辺には美しい渓谷や滝が点在しており、小又峡や桃洞滝、安の滝などは特に有名です。
裾野にはブナ林を中心とした広葉樹林が広がり、標高1,000mを超えるとオオシラビソ(アオモリトドマツ)の針葉樹林が見られます。この広葉樹林は樹齢約250年~350年に達し、ツキノワグマやニホンカモシカなどの哺乳類、クマゲラやイヌワシなどの希少な鳥類の生息地となっています。
『森吉山は一面モロビ(アオモリトドマツ)が生えている。登った人は、必ずこれをみやげに折って下り、一年中、朝夕、きよめ火に用いる。モロビの香りは穢れを払い、魔除けの効力があると信じられていた。旅立ちの際は、モロビを燻して全身を浄め、旅の安全を祈願した。また阿仁マタギは、結婚式に出た後は、モロビを焚きお祓いしてから猟に出る。』と、こんな風習があったようです。※もちろん今は折って持ち帰ってはいけません。
姫神山や船形山とともに『日本百名山』の後記に書かれたのは「いい山ではあるが少し背が足りない」。森吉山は百名山の基準である1,500m以上に、46cmほど足りずに選定されなかった秋田の名峰なのです。
スノーモンスターって?
冬になれば、阿仁スキー場は秋田県を代表するスキー場に。森吉山のてっぺんまでもがスキー場に変わり、初心者から上級者まで多彩なコースが人気。大パノラマの1,200m付近から滑走する爽快感は格別です。
そして冬のもう一つの魅力が、山形県の蔵王や青森県の八甲田と並び日本三大樹氷のひとつに数えられる「森吉山の樹氷」です。巨大な樹氷群は「スノーモンスター」とも呼ばれ、その迫力ある姿は圧巻。ロープウェイに乗って誰もが気軽に鑑賞できてしまうことでも有名です。
山頂駅の降車場付近では、スノーシューやかんじきを無料で借りることができるのでスノートレッキングに興味があれば試してみるのもいいかも。(数に限りがあります)
▼詳しい情報はこちらから
森吉山阿仁スキー場と周辺の観光情報サイト ANI SKI RESORT
森吉山の難易度別登山ルート
山頂駅~森吉山~一ノ腰|往復コース
ゴンドラ山頂駅から。森吉山をピークハントしてから森吉神社~一の腰をまわります。
必要日数 | 日帰り |
コースタイム | 3時間30分 |
距離 | 7.4Km |
累積標高 | 478m |
難易度 | ★★☆☆☆ |
コースタイム詳細
- のぼりタイム 1時間17分
山頂駅→(42分)→阿仁避難小屋→(35分)→森吉山 - くだりタイム 2時間13分
森吉山→(25分)→阿仁避難小屋→(16分)→石森分岐→(7分)→森吉神社→(15分)→雲嶺峠→(10分)→一の腰→(10分)→雲嶺峠→(20分)→森吉神社→(7分)→石森分岐→(2分)→石森→(21分)→山頂駅
コース詳細
秋田犬「北斗くん」のいる阿仁ゴンドラに乗って山頂駅から。
山頂駅の標高は1,167mで、山頂までの高度差はわずか280m程度です。ゆっくり景色や草花を眺めながら歩くことができます。
夏であればルート沿いには、シラネアオイ、マイズルソウ、ミツバオウレン、イワカガミ、ゴゼンタチバナなどが次々と出迎えてくれます。
正面に森吉山が見える石森(1,308m)は分岐点。森吉山は右、一ノ腰方面へ行くには左。左手に森吉山を望みながら湿原を歩きます。
阿仁避難小屋(1,311m)からお花畑の稚児平までは35分ほど。稚児平にはチングルマ、イワカガミが群生しています。避難小屋ではトイレ休憩ができます。
山頂は石仏が並んで立っていたり椅子代わりにできる岩がゴロゴロしています。休憩するにはもってこいの場所ですから、昼食を摂ったり会話を楽しんだり思い思いの時間を過ごせます。
白神山地、岩木山、八幡平そして遠く南に目をやれば鳥海山などの大パノラマ。スケール感に圧倒されること間違いなし。
石森まで戻り冠岩をご神体とする森吉神社へ。100人収容できる避難小屋が隣接されていています。
避難小屋の立派なトイレを利用することはできますが、水場はありませんので注意してください。
一ノ腰(1,264m)周辺にはコメツガの群落がありその数は200本を超えます。そして一ノ腰からの景色も素晴らしいのひと言です。
森吉山登山口~一ノ腰~森吉山|こめつがコース
ゴンドラを使わずに、しっかり登山を満喫するにはこのコース。距離はありますが、安全なルートは景色や花々を眺めながらゆっくり登ることができます。
必要日数 | 日帰り |
コースタイム | 5時間11分 |
距離 | 10.8Km |
累積標高 | 811m |
難易度 | ★★☆☆☆ |
コースタイム詳細
- のぼりタイム 2時間48分
森吉山登山口→(1時間20分)→一ノ腰→(10分)→雲嶺峠→(20分)→森吉神社→(7分)→石森分岐→(16分)→阿仁避難小屋→(35分)→森吉山 - くだりタイム 2時間23分
森吉山→(25分)→阿仁避難小屋→(16分)→石森分岐→(7分)→森吉神社→(15分)→雲嶺峠→(10分)→一ノ腰→(1時間10分)→森吉山登山口
コース詳細
森吉山登山口はこめつが山荘から。みまもりの鐘を突き安全祈願してスタートしましょう。トイレ使用可、登山届もここに提出しましょう。
カラマツ林を進むと旧スキー場のゲレンデに出ます。緩やかなゲレンデの登山道はやがてジグザグの急登に。スキー場分岐の標柱(1,100m)を確認し左手に入ると既存の登山道に合流します。
ブナ林の登山道はやがてオオシラビソ林の急登に変わると、ここから丸石が階段状に積まれ一ノ腰までは約300m。しだいにコメツガ林が現れ灌木林を登りきれば視界が開け一ノ腰(1,264m)に到着です。ここからの素晴らしい眺望を楽しみましょう。
雲嶺峠(1,220m)を経由し森吉神社と森吉避難小屋へは、山頂を望みながら稜線部を歩くパノラマルート。かわいい高山植物たちがエスコートしてくれます。
森吉神社の鳥居が見えたらここが前嶽(1,290m)。神社の後ろにはご神体である奇岩、冠岩があり、ここから石森分岐までは約300m。
石森(1,308m)を経由し山頂までの約2Kmは「花の百名山」の名にふさわしい花の道。トイレが利用できる阿仁避難小屋を過ぎれば、雪田凹地がつくったお花畑の稚児平です。
稚児平から300mほど登れば森吉山山頂に到着。南東に秋田駒ヶ岳、東に乳頭山、岩手山、八幡平を背にした焼山。北東に八甲田の連山、北を目をやれば岩木山を背にした白神山地が見えます。
ヒバクラ岳登山口~山人平~森吉山|往復コース
立川と東ノ又沢を分ける緩やかなブナ林の稜線をヒバクラ岳まで登り、山人平を経て森吉山へ至るコース。
必要日数 | 日帰り |
コースタイム | 5時間37分 |
距離 | 11.7Km |
累積標高 | 794m |
難易度 | ★★☆☆☆ |
コースタイム詳細
- のぼりタイム
ヒバクラ岳登山口→(2時間)→ヒバクラ分岐→(30分)→分岐→(36分)→森吉山 - くだりタイム
森吉山→(26分)→分岐→(30分)→ヒバクラ分岐→(1時間35分)→ヒバクラ岳登山口
コース詳細
登山口から1Km進むとネズコの巨木が迎えてくれます。
稜線を進むと右手に東ノ又沢を眺める展望地(920m)。ちょっとひと休みするにはいい場所です。この辺りからブナ林の背丈は徐々に低くなっていき、アオモリトドマツから灌木林へと移っていきます。
まもなく東ノ又沢の源流部(1,150m)に到着する、とヒバクラ岳の岩峰が見えてきます。
ここからの急登を上り詰めれば視界は一気に開け、焼山、八幡平、岩手山などが目に飛び込んできます。
ヒバクラ岳北側の肩をまわればヒバクラ湿原。爽やかな風に吹かれながら300mほど進めばヒバクラ分岐に到着です。ヒバクラ岳をバックにニッコウキスゲの群落が咲き乱れます。
アオモリトドマツ林を抜ければ山人平(1,324m)。チングルマやイワカガミの見頃は6月中旬から下旬にかけてがベスト。
そして山頂直下東斜面に発達した雪田地帯で、雪渓の形が鶴が翼を広げたようになるため鶴ヶ岱と呼ばれる場所。花の百名山の名に恥じない森吉山一番のお花畑がここです。
鶴ヶ岱の急登を約30分登れば森吉山山頂に到着です。
森吉山のQ&A
Q:秋田県内の登山について、登山者の多い山を教えて下さい。
初心者の一人登山なので熊対策等、回りに人がいる方が安心できます。鳥海山は人多かったですが、他の山を知りません。よろしくおねがいします。
A:紅葉がきれいな山は人気、だから人が多いとは言える。
太平山、森吉山、八幡平、乳頭山、秋田駒ヶ岳、虎毛山、栗駒山、鳥海山あたりは観光スポットでもありますから、そこそこ人がいると思います。 熊の出没状況については、地元の役場のウェブサイトにも出ているかもしれませんが、最新情報は電話で問い合わせるのが確実です。
ツキノワグマ情報|秋田市公式サイト (akita.lg.jp)
Q:秋田の紅葉についておすすめは?
10月21日の質問
北秋田市森吉山周辺を歩きたいのですが、 ①ゴンドラで森吉山 、②太平湖遊覧船で小又峡 、③安の滝のいずれかで迷っています。 ①と③は春に行ったことがあります。 ②はどのくらいの時間でどの辺まで行けるかわかりませんが、行ってみたいです。 紅葉はどこがオススメですか?また、見頃が過ぎたところはありますか?
A:森吉山山頂の見頃は終わり
10月17日~20日まで森吉山周辺を楽しんできました。 18日はクマゲラの森や桃洞滝などを見て、19日は立又渓谷で一ノ滝、二ノ滝、幸兵衛滝と中ノ又渓谷へ行って安の滝を見てきました、そして20日は森吉山に登ってきました。 森吉山は山頂は紅葉は終わり、中腹が見頃で麓がこれから見ごろでしょう、滝がある桃洞渓谷や立又渓谷そして中ノ又渓谷は見頃です、小又峡も今が見頃でしょう。 最後に中ノ又渓谷の「安の滝」は良い景色でした、さすが日本の滝百選の2位になったことに納得しました。
登山口駐車場へのアクセスと各種情報
森吉山 阿仁ゴンドラ山麓駅(阿仁スキー場)
冬はスキー場として営業していますが、夏季と秋季もゴンドラが営業しています。山頂駅(1,167m)まで雄大な景色を眺めながら片道20分で移動できます。(乗車定員は6名)
駐車台数 | 100台以上 |
駐車料金 | 無料 |
標高 | 538m |
トイレ | 有り |
住所 | 〒018-4624 秋田県北秋田市阿仁鍵ノ滝79−5 |
マイカーでアクセス
- 秋田自動車道の五城目八郎潟インターチェンジから国道285号
⇒県道214号および国道105号などを経由して61㎞
⇒森吉山の西側にある森吉山阿仁スキー場の駐車場
ニアミーでアクセス
阿仁合駅から森吉山阿仁スキー場まで、森吉山周遊乗合タクシーBコースでアクセスできます。また、2024年1月からネット予約ができるようになり、ますます便利になりました。
利用料金は、大人1,900円 子ども950円です。
▼ニアミーはこちらから
森吉山シャトル (nearme.jp)
ゴンドラ情報
- 運行期間:
6月3日〜8月20日(毎日)
8月21日〜9月30日(土休日のみ)
10月1日〜10月29日(毎日) - 営業時間:
6月〜9月:8時45分〜16時
10月:8時45分~15時30分 - 乗車料金:
往復:大人2000円/小学生900円
片道:大人1400円/小学生600円 - 詳細:阿仁スキー場Webページ
※スキー場の横の道を車で登って行くとブナ岱キャンプ場があり、そこの登山口にも駐車することができます(ブナ岱キャンプ場駐車場・ブナ帯登山口)。ゴンドラに乗らず徒歩で森吉山を目指す場合にはこちらを利用しましょう。
森吉山登山口 こめつが山荘駐車場
こめつが山荘は通常営業しておらず、宿泊することはできません。駐車場の1㎞手前と500m手前の分岐には看板が出ているので案内に従って進んでください。
駐車台数 | 40台 |
駐車料金 | 無料 |
標高 | 868m |
トイレ | 有り |
住所 | 〒018-4511 秋田県北秋田市 |
マイカーでアクセス
- 秋田自動車道の五城目八郎潟インターチェンジから国道285号
⇒県道214号および県道309号などを経由して58㎞
⇒森吉山の北側にある旧森吉スキー場、こめつが山荘の駐車場
ヒバクラ岳登山口駐車場|森吉山登山口
ヒバクラ岳から山人平を経由して森吉山へ向かうルートの駐車場です。
駐車台数 | 10台 |
駐車料金 | 無料 |
標高 | 813m |
トイレ | 有り |
住所 | 〒018-4511 秋田県北秋田市森吉 |
マイカーでアクセス
- 秋田自動車道の五城目八郎潟インターチェンジから国道285号
⇒県道214号および県道309号などを経由して72㎞
⇒森吉山の東側にある青少年活動センターから西へ2.5㎞の駐車場
森吉山周辺の山旅スポット
マタギ資料館|秘湯の宿 打当温泉マタギの湯
マタギ(狩猟で生計を立てる人々)に関する資料を展示している博物館。厳しい規律と自然の掟を守りながら雪深い山奥で暮らしたマタギの知恵・文化、その伝統的な狩猟道具や生活様式を学ぶことができます。
資料館利用時間 | 9:00~17:00 |
資料館利用料金 | 一般200円 小人100円 |
立ち寄り入浴時間 | 9:00~21:00(最終入館 20:30) |
立ち寄り入浴料金 | 大人600円 小人200円 |
定休日 | 不定休(館内点検や清掃のため) |
TEL | 0186-84-2612 |
公式ホームページ | マタギの館│秘境の宿 打当温泉 マタギの湯 |
湯の沢湯本 杣(そま)温泉旅館
日帰り入浴
営業時間 | 8:00~20:00 |
入浴料金 | 大人400円 小人200円 |
TEL | 0186-76-2311 |
住所 | 秋田県北秋田市森吉字湯ノ沢7 |
公式ホームページ | 湯の沢湯本杣温泉旅館 |
森吉山の山すそを流れる小又川の上流、うっそうとした原生林、野鳥のさえずる深山にひそむ秘境の温泉。主人はマタギでもあり、冬はキジや熊の別注鍋料理もある。
岩盤から直接湧き出る温泉は野趣満点。春は山菜、秋はきのこ、熊肉や天然鮎、イワナが味わえる温泉宿。とりわけ鯉料理は人気があります。旅館の前にある伏流水「杣神水」はおいしいと評判です。熊鍋は予約必要。
森吉山周辺の紅葉スポット
- 安の滝・立又渓谷(一ノ滝・二ノ滝・幸兵衛滝)へつながる道路及び林道が工事を行っているため、令和6年度中は、安の滝・立又渓谷への通行はできません。
なお、通行止めは自動車等だけでなく、徒歩での通行も不可となっております。
(令和6年5月27日更新)
安の滝(やすのたき)【令和6年度中は通行止め】
8Kmにわたって奥阿仁の最深部を形成する中ノ又渓谷の上流部、落差90mで阿仁の自然美を代表する2段構造の滝。「日本の滝100選」の人気投票で2位に選ばれたほどの名瀑です。
立又渓谷(たちまたけいこく)【令和6年度中は通行止め】
椈森1,015mの佐渡湿原を源流域とする西麓の縁に、屏風上に発達した標高300mの渓谷。
柱状節理を下る落差38mの一ノ滝(いちのたき)、階段状の美しい滝である落差20mの二ノ滝(にのたき)、山肌を一気に清流が滑り落ちる落差108mの豪快な幸兵衛滝(こうべえだき)を楽しむことができます。
桃洞滝(とうどうだき)
桃洞渓谷(とうどうけいこく)・赤水渓谷(あかみずけいこく)は、太平湖・小又峡上流部のノロ川 源流部に位置しています。森吉山野生鳥獣センターから4.2Km歩かなければ出会えない滝です。
なだらかなU字渓谷に大小のおう穴と滝が点在し、清流のきらめきと稜線の鮮やかな彩りの中を散策するコースは「天国の散歩道」と呼ばれています。
太平湖(たいへいこ)と小又峡(こまたきょう)
太平湖は、森吉ダムの完成によってできた周囲30Km、面積195ha、深さ58mの人造湖です。湖には大小13の渓谷渓流が注ぎ、サクラマス、イワナ、コイ、ワカサギ等が多く生息し、渓谷の探勝や釣リ人でにぎわいます。
6月1日の湖水開きから遊覧船が運行し、新緑から10月の紅葉シーズンまで秘境小又峡トレッキングが楽しめます。