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04 | 柳原さんと早朝ドライブ
朝、ちゃんと目覚ましが鳴る前に起きて、ちゃんと余裕を持って準備をして出発することができた。
るん。2時間睡眠の割には元気だった。
柳原さんが時間ぴったりに迎えにきてくれた。行きの車の中では、たくさん話をした。
柳原さんはどうやら話すのが好きな人みたい。
こちらが興味を持てるようにエピソードトークをたくさん交えて話してくれる人だったので、話を聞くのが好きな私としては聞き応えがあって話しててとても満足感があった。
特に話し方と声がよくて、心に余裕のある器のでかい男性特有の話し方で、話し方から人間性が感じ取れるのが最高だった。
たくさん知識があるのに、マウントを取ったりしないし、
知らないことには素直に「知らない!何それ?」と聞くことができる人で、
自分を大きく見せる必要がないくらい自信がある人なんだ、というのがわかって、これから山で一緒に特別な時間を過ごす人がものすごくいい人だってことがとても嬉しかった。
目的地に向かって高速道路を3分の2くらい進んだ時、
「私がテント泊がほぼ初めてである」ということをカミングアウトすることとなった。
「今日の工程大丈夫かな?」という話になり、
「自信ないけど頑張りますぅ」とヘラヘラしていたら、私にはよくわからない会話が2人の中で交わされ、あれよあれよと行き先が甲斐駒ヶ岳に変更された。
甲斐駒ヶ岳は位置的に全然違う場所だと思っていたから、今からルート修正出来んのかと、とてもびっくりした。
知識の豊富さと提案力の凄さに感動した。
「カイコマなら装備背負わなくていいもんね、よかったねユウちゃん」
とジュンに言ってもらって「うん」と返事をしたものの、
私はなぜカイコマだと装備を背負わなくてよくなるのかこの時点では全く理解していなかったが、まあ2人が言うんなら大丈夫だろと思って、よくわかっていないのに心が軽くなって嬉しくなった。
あと、一丁前に「蝶ヶ岳こないだ行ったから違うとこがいいな」と思ってたので、ジュンも私も未踏の百名山に目的地が変わったことが嬉しかった。
柳原さんは車の中で、テンカラの魅力について語ってくれた。
ジュンがテンカラに魅了されているのはわかっていたけど、ジュンがハマるものは私には2年くらい早いと勝手に思っていたので、興味はあるけどまだまだ先かなと思っていた。
でも柳原さんがとても楽しそうにテンカラの話を語るので、むくむく興味が湧き、最後には「やってみたい!!!」となった。
ジュンの方が運動神経がいいこともあって、同じことを初心者として始めたら私の方が絶対出来が悪いんだろうなと思うので、同時に始めた時の差に悲しくなりそう(不機嫌になりそう)とは思うが。
川遊びにはもともと興味があったので、器の小さい自分に蓋をして楽しみたいなと思った。
駐車場に着く直前に柳原さんが
「お金はありがとうの対価だ」
という話をしてくれて、このセリフがなぜか、個人的に私が考えていたことにぶっ刺さって、私の思いの水風船にぷつって穴を開けたみたいに刺さって、水のように言葉がわーーーーって溢れてしまった。
「もう駐車場が見えているので今話すボリュームの話じゃないんですけど、もう話し始めて止まらないからこのまま話すんですけど」
って早口で言いながらなんかすごいいろんなことを言った気がする。
車を降りてからジュンに「すごいねユウちゃん、朝から饒舌だね」と言われて、めちゃくちゃ恥ずかしくなった。
05 | 向かうぜカイコマ
駐車場に着いてみたら、とてもとても広い駐車場にたーーーーーくさん車が停まっていた!!!
混んでいたことよりも、こんなに大勢が行きたいと思う山なんだなって言うのがなんだか嬉しかった。
車を降りると空気がひんやりしていて、山に隠れてまだ刺してこない朝日の匂いが心地よかった!
サロモンのローカットとスカルパのハイカット。
靴をどっちを履いていくか悩んだけど、せっかく持ってきたので練習がてらと言うことで重い方の靴にした。
(いまだにこの靴のこと「重い靴」って呼んでんの恥ずかしくなってきた)
この時にも柳原さんがたくさん道具の話をしてくれた。
山旅旅のキャップがとても可愛くて、ジュンに似合っていたし、
ジュンのキャップ事情の課題解決になるって言う話がとってもよくて、すごくワクワクした。
柳原さんは人をワクワクさせるのが上手な人だ。
バスを待つ列がとても長かった。
バスは往復しながら登山客みんなを上に運ぶため時刻表の時間以外にも動いてくれているみたいだった。
みんな荷物を置いておにぎりを食べたりしていた。
徐々に顔を出してきた朝日に照らされて、みんなが眩しそうにしているのが、山特有の景色でとても好きだなと思った。
列に並んでいる時、柳原さんが
「山旅旅の柳原さんですよね?」
と声をかけられていてさすがだった。
どちらまでいくんですかトークになった時に、柳原さんが「カイコマに…」と説明したら
「案外オーソドックスなコースなんですね」
と言われていて、圧倒的初心者の私に合わせてもらっているせいで柳原さんのブランディングに傷がついている瞬間を目の当たりにし、とても申し訳ない気持ちになった。
「あ、私に合わせてもらっているんで」と言おうか悩んだけど、なんかそれをいうのも烏滸がましい感じがして何も言えなかった。
柳原さんに「合わせてもらってるのに、すみません」と言ったら
「喉元まで出かかったけど、まあいいかと思ったよ」
と言っていて、マジで器でけ〜と思った。
バス、せっまくて辛かった。
補助席に座らされて、腰に硬い背もたれがギャンギャン当たることに加え、山道だからめちゃくちゃ揺れるし、全員小学生くらい重いザック持ってるもんだから大変だし。
座ると全員ザックに埋まってて、そこはなんかおもろかった。
と、言いつつバスの時間が結構長かったので入眠した。
両隣の人も寝ていて、みんないっぱいいっぱいの態勢だから隣の人に気を使うとかができず、寝ている間ずっと両腕が隣の人に密着していて、人肌があったかくて気持ちよかった。
バス降りる時に、補助席の人から片付いていった方がいいのかなと思って、
ジュン達に続いて頑張ってささっと降りたら、前から数列目のところにいたおじさんに小さい声で「順番だろうが」と言われ、マジで器ちっさすぎて自分の行動は棚に上げてクソむかついた。
思ってても口に出して言うなよ。
私はマウントを取る男と器がちっさい男が世界で1番で嫌い。
ジュンがバスのデザインを、〇〇牛乳(忘れた)みたいだね、
と言っていたけど、その時はよく分からなくて同意できなかった。
でも今思い返すとものすごい牛乳みたいなパッケージの車だったなと思う。
06 | カラフルなテント場の景色
バスを降りて、テント場に向かった。
この時にはすっかり朝日がさしていて、キラキラしてものすごく綺麗だった。
林の向こうに、オレンジとか青とか緑の、パレットみたいにカラフルなテントが見えて、それがとてもとても綺麗で嬉しかった。
今までテント場に張られていてるテント達も、可愛いなあと思いながら景色でしかなかったのだけど、今日は自分もその一部になれるんだということがとても嬉しかった。
自然界の色にはないカラーで、色もごちゃ混ぜなのに、なんでかこの自然の色に馴染んでいて、それがたまらなくファッショナブルだし、たまらなくロマンだ。
なんだかんだ、カラフルなテン場で寝床を探して歩く柳原さんとジュン背中に木漏れ日がキラキラ反射してるのを追いかけていた時の景色が、今回の旅で1番心に残っているかもしれないな。私には、それくらい特別な景色に見えた。
奥に行くと、川の近くのスペースが空いていて、川の音を聞きながら寝られるんだとわかってとても嬉しかった。
柳原さんとそれぞれのテントの場所を決め、2つの完成したテントたちがちょっとだけ紐がクロスする感じで被っていて、
おんなじパーティじゃないとありえない距離感だなと思ってちょっとだけ面白くてフフッとなった。
テント作りに関しては例によって私は無能なんだけど、
ジュンに「ではまず大きい石をどかしてください」と言われ、それだったら私にもできるから頑張って石をどかしたら、ジュンが動かせないと思っていた石を動かせていたらしく、
「ユウちゃんすごいね」と褒められて、とてもうれしかった。
硫黄岳でテント泊をしたとき、テントの下に石があるとすごく痛いということを学んでいたため前回よりも入念に石を取り除くことができ、「学んでるじゃん私」、と思った。
ただ石を取り除く仕事が終わった後はまじで暇になってしまい、ジュンがテントを張るのをなるべく邪魔にならそうなところで見ていた。
しばらく見てたら何もしてないのがバレて何かしらの指示をもらってしまったが、
ジュンの見様見真似でやったら、やっぱりちょっと違ったらしくその後ジュンに直されていた。
タイムラプスで撮っていたテントを建てる様子をあとで見てみたら、何かしら指示をもらっていたおかげであんまりぼーっとしているように見えなかったのでよかったと思った。
テントができたので、山に登るのに必要のないものはテントの中に置いていくことができたが、これに私は少ししゅんとした。
なぜなら、せっかくジュンが綺麗にパッキングしてくれたのに中身を出してしまったら、自分ではさっきの状態をもう再現できないので、またボコボコの荷物になってしまうんじゃないかということが心配だったからだ。
結果的に荷物はめちゃくちゃ軽くなり(そりゃそう)、
そんなに詰め方に気を使わなくてもちゃんと背負える重さになったのでまあよかったと思う。
(本当は荷物少なくなった後もジュンに直して欲しかったけど、そんなことしたらさすがに赤ちゃんすぎるので頼めなかった。)
テン場の入り口のところで水を目いっぱい汲んで登山開始した。
この水が冷たくて、何だか甘い気がして、とても美味しかった。
柳原さんが、「山の水は美味しいはずなのに、持って帰って飲むと美味しく感じないのが不思議だ」と言ったので、帰ってからこの水を家で飲んでみたら何だか苦くて全然美味しくなかったので、本当に不思議だなと思った
これから、甲斐駒ヶ岳に登る。