秋山登山の行動着は発汗を抑えながら、しっかりと保温ができるレイヤリングが重要になります。そして寒い季節の登山では標高100mで0.6度気温が下がるということ、風速が1メートル増すごとに体感温度が1度下がるということを重要視しレイヤリング、いわゆる重ね着をしっかりと考えることで、様々な状況下において寒すぎず、暑すぎない登山をすることができるようになります。
今回は秋山登山で僕が実行しているレイヤリング方法と、行動着に取り入れるのにおすすめのアイテムを紹介します。
各レイヤリングの役割をおさらい
秋から冬にかけての寒い季節の登山ではレイヤリングと言って、重ね着が大変重要になります。
肌に最も近い場所に着用するのがベースレイヤーです。ベースレイヤーの役割は肌をドライに保つことです。
ベースレイヤーの上、アウターレイヤーの下、いわゆる真ん中に着用するのがミドルレイヤーです。ミドルレイヤーの役割は体が湿った状態を取り除き保温することです。
肌から最も離れた場所に着用するのがアウターレイヤーです。アウターレイヤーの役割は雨や風から体を守り冷えを防ぐことです。
- ベースレイヤー:肌をドライに保つ
- ミドルレイヤー:湿った状態を取り除き保温する
- アウターレイヤー:雨や風から体を守り冷えを防ぐ
ベースレイヤーはメリノウールとポリエステルの混紡がベスト
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秋から冬にかけてのベースレイヤーはメリノウールとポリエステル混紡素材を使ったTシャツ、もしくはロングスリーブがおすすめです。最も汗をかく背中からベースレイヤーが濡れて、それが原因で体を冷やさないようにすることが重要です。化選素材のベースレイヤーは乾きが早く、それによって急激に体を冷やしてしまいます。またメリノウール100%のベースレイヤーは汗の乾きがゆっくり過ぎて、汗が付着した状態が続き、それが原因で体が冷えてしまいます。
これを解決するのがメリノウールとポリエステルの混紡素材で、ゆっくりと乾き調湿機能を備えるメリノウールの特徴と、汗が付着した際に拡散して乾きを早めるポリエステルの特徴を兼ね備えており、特に寒い季節の登山で体を冷やさず行動することが可能です。
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僕が愛用しているのは山旅の速乾メリノウールTシャツで、背中全体と脇がメリノウール50%、ポリエステル47%、ポリウレタン3%のメッシュが備わっているタイプのものです。それ以外の素材はメリノウール50%、ポリエステル50%で肌寒い季節に肌をドライな状態に保ってくれます。
シルエットはレギュラーフィットで、動きを妨げないスッキリとしたシルエットで、日常使いにもおすすめです。
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ロングスリーブタイプとTシャツタイプは発汗量の違いで選ばれると良いと思います。僕は3シーズンから10月中旬までの2000m級の縦走登山ではTシャツ、低山ではオールシーズンTシャツを着用しています。ロングスリーブは10月後半の縦走登山〜厳冬期におけるバックカントリースキーなどで着用しています。どのシーズンでも背中には汗をかくことが多いので、背中がメッシュタイプの山旅の速乾メリノウール・メッシュシャツを着用して、背中の汗の乾きを早めるようにしています。
メッシュレイヤーはベースレイヤーのシルエットで選ぶ
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メッシュ素材のウェアはファイントラックのドライレイヤーとミレーのドライナミックメッシュを使い分けています。
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ファイントラックのドライレイヤーは素材そのものに耐久撥水を施し、汗を吸わずに移動させる特徴があります。汗がドライレイヤーを通過した後に、ベースレイヤーが汗を吸って乾かすという循環なので、ベースレイヤーはシルエットがゆったりのものより、レギュラーフィット、タイトフィットのモデルを着用するようにしています。
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対してミレーのドライナミックメッシュは汗を素早く吸い上げベースレイヤーへと移動させる役割があるため、ベースレイヤーがゆったりとしたシルエットでも気にせず着用することができる利点があります。
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着用して感じるのはどちらも着用することでほんのり暖かく感じます。ミレーのドライナミックメッシュの方が暖かいと感じることが多いので、雪山で着用することが多く、ファイントラックのドライレイヤーは3シーズンの高所登山や冬の低山などで着用することが多いです。汗ばむ陽気の登山ではどちらも着用しない方が快適に感じます。
ミドルレイヤーは通気性が高い軽量なモデルがおすすめ
ミドルレイヤーの進化は著しく、様々な素材が乱立します。保温力に優れ、優れたストレッチ性で動きやすいフリース素材、軽く乾きが早く保温力に優れたアクティブインサレーションが代表的です。
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僕は様々なミドルレイヤーを着用してきてポーラテック素材が非常に好きで愛用しています。そして保温調整が容易な脱ぎ着がしやすいジャケットタイプで、レイヤリングがしやすくアウターレイヤーを着用した時にゴワゴワしない、さらに余計なものを省くことで軽量なポケットやフードがないタイプがおすすめです。
素材はアウターレイヤーを着用した時に優れた保温力を発揮するアルファダイレクトがおすすめです。アルファダイレクトの素材は60,90,120,160と4種類ある中、90という厚みが最も汎用性が高く、保温力と通気性のバランスに優れています。
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このアルファダイレクト90を使った素材のアイテムは色々なブランドから販売されていますが、ジャケットであり、ポケットやフードがないシンプルな作りであり、とにかく軽い着心地の山旅アルファダイレクト90ジャケットはレイヤリングがしやすく、寒い季節の登山はもちろんバックカントリースキー、ゲレンデスキー、冬のキャンプなど様々なシーンで活用することができます。
またとっても軽いのでオールシーズン、テント泊登山のパジャマにもおすすめです。こちらのジャケットは細かな手直しなどを加えて、11月中に山旅ショップで販売します。同じ素材のパンツも販売します。こちらも非常に軽量なアイテムなので様々なシーンで活用することができます。
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また10月中旬に秋の飯豊山に登山をした時に着用したポーラテックのパワードライネットメッシュを使ったHOUDINIのペースフローフーディも非常に通気性に優れた快適なウェアでした。
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こちらはアルファダイレクトよりも通気性に優れ、非常に乾きが早く、汗を吸い上げる特徴を備えているため、発汗量の多いことが想定できる寒い季節の登山でおすすめです。こちらについてはまた別の動画で紹介します。ちなみにこのウェア、ベースレイヤーとしても活用できる魔法のようなアイテムなんです。
アウターレイヤーはウィンドシェルを基本に、時にレインジャケットも活用
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アウターレイヤーはパタゴニアのフーディニをウィンドブレーカーに、レインジャケットはゴアテックスの3レイヤーのものを使用するようにしています。10月に入ると雨が降るような環境下では、冷たい風で体が急激に冷えることが想定できるので、軽量で薄いレインジャケットは選ばないようにしましょう。
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ウィンドブレーカーは行動中に着用することを想定しているので薄くて軽量なもので良いと思います。パタゴニアのフーディニはストレッチしない素材なので、ワンサイズ大きめだと動きやすいです。
早朝はウィンドブレーカーだと寒いので、レインジャケットを着用して行動することもあります。軽量なレインジャケットでウィンドブレーカー兼用としてしまうと、中途半端になってしまい、寒い時の対策が難しくなってしまうので、兼用という考えはしないようにしています。
薄手のパンツを着用し、寒い場合はレインパンツを履いて行動
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パンツのレイヤリングは難しいため、できるだけ薄手のパンツを着用し、寒い場合はレインパンツを履いて行動するようにしています。愛用しているパンツはティートンブロスのスクランブリングパンツで重量はサイズMで約121gです。重量からもわかるように非常に薄いパーテックスのイクイリブリウムという素材を使っています。通気性に優れ非常に涼しい汗をかきづらい快適なパンツです。
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これだと寒いと感じるようなシーンにおいてはパタゴニアのテレボンヌジョガーズをセレクトします。このパンツは重量がSサイズで約151gです。ティートンブロスのスクランブリングパンツよりも少し厚めで目が細かい素材なので防風性に優れていると感じます。
この2つのパンツは秋の中低山ぐらいまで着用していて、雪山になればタイツとハードシェルパンツというレイヤリングに変わっていきます。
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