カテゴリーから探す

山のモノ Wear / Gears

山のコト Experiences

雨の日に青梅をハイキングした話

雨の日に青梅をハイキングした話

01 | 雨の週末、奥多摩へ

10月の週末。
本当は小屋泊で白山に行く予定だったのだけど、私がやっているYouTube「山歩きJP」の相方、ジュンの体調不良が先週から続いてたのと、あまりにも余白のない日々が続いていたから、流石に予定を改めようと、中止に。でもせっかく予定を空けているので、近場でゆるりと日帰りだけでも行こうか、ということで、久しぶりにお友達の直人くんも一緒に三人で、電車で行ける奥多摩の山を探した。
私は電車でゆるゆると訪れる奥多摩の登山が結構好き。東京に住んでいる今じゃないと行かないと思うので、私らの「今」に根付いた山行になるところが特にいい。実家の寄居に住んでいた時には(母に連れられて)北関東ばかり行っていたので、東京に住んでいられる間は、東京の山に行っておきたい。今東京の山にたくさん行っておくことで、もう少し大人になって訪れた時、奥多摩が私にとってエモい場所になればいい、と思っている。

元々土日で登山に行くはずだったことから、土曜日も予定フリーになったから余裕っしょ、という謎の自信から私が「始発で行こう」と提案していたのに、しっかり寝坊した。集合時間を1時間遅らせてもらって、その時間に余裕を持って家を出たのに、改札前でチャージに手こずり、1時間遅らせた電車を逃した。変更した約束の時間にすらも間に合わなくなったので、特急あずさに乗ることで時間をお金で買った。なのに肝心の宮ノ平駅で降りそびれるという超絶ポンコツを発揮し、遅刻に遅刻を重ねる大罪から1日が始まった。先に到着していたジュンと直人くん、2人とも全然怒ってなくて、とても優しいのと私の遅刻に慣れているのと、どちらの側面もあるなと思って、反省した。

奥多摩は雨予報だったのだろうが、今日は自分の中のテーマが「東京電車ゆるハイクの旅」なので、天気が全く気にならなかった。まあ晴れればラッキー?くらいに思ってた。
いつも血眼になって日本地図とにらめっこして晴れてる山探しているのに、このテーマだとこんなに気持ちが緩やかになる。わからないけど、私がおばさんになったら、こういう登山をたくさんするんじゃないかと思った。

02 | 心地よい雨の音

今日はずっとシトシトと雨が降っていて、木の下を歩いている私たちには気にならないけど、ずっとあたりがじんわり湿っているような雰囲気だった。
特にすごかったのが、蜘蛛の巣。どの蜘蛛の巣も、水玉を纏っていて、アクセサリーのように綺麗だった。私は雨の日に蜘蛛の巣を見ると、「雨の日の蜘蛛の巣は、水滴がついて宝石みたいになるね」ってキョロちゃんのアニメで言ってたのを小学生ながらに「ほ〜、いいセリフだな、もらお」って思った過去を思い出して、ちょっとだけ恥ずかしい気持ちになる。ドヤ顔でそのセリフを周りに言っていた記憶も含めて。

いつも実は山の中は蜘蛛の巣だらけなのに、私が気づいてないだけなのかな?って思うくらい、信じられないくらい、山の中は大きな蜘蛛の巣だらけで驚いた。糸に沿って雨粒が輝いているので、遠くからでもものすごく形がよくわかる。どれもすごく大きくて、めちゃくちゃアガった。蜘蛛の巣たちの完成度があまりにも高いのでちょっとだけ意地悪したくなって、拾った木の実を蜘蛛の巣に投げつけてみた。そしたら獲物と勘違いした大きな蜘蛛がものすごい速さで寄ってきて捕食をしようとし始めた。自然の摂理を疑似体験して、すごく微妙な気持ちになった。なんか辛い。

最初民家の隣を通るルートだったんだけど、民家の隣すぎてめちゃくちゃ犬に吠えられた。ルート合ってんのかな?ってYAMAP確認したら、「めちゃくちゃ犬に吠えられる」ってルートの注意に書いてあって、そんなことYAMAPに書くなよ、と思って面白かった。(褒めてる)

今日登る距離400mくらいだからそんなに大変じゃないんだけど、高低差低い時あるあるで、YAMAPの標高全体像みたいなのが、最初に一気に標高上げるせいで垂直の壁みたいになっていた。今日久々登山で不安がってる直人くんと「なにこれ、壁登るってこと?」ってきゃっきゃ言ったのが楽しかった。


雨で湿度が高いからかキノコがめちゃくちゃ生えていてなかなかオツだった。
キノコって、今まで生えてても観察するだけにしてそっとしておいていたんだけど、先日山旅旅の柳原さんからキノコの寿命は思っていたより短いことを教えてもらい、最近は木で突っついて触ったり崩したり引っこ抜いたり、かなり好き勝手遊んでいる。食べないのに、食べ物で遊んでいる背徳感を味わえてかなりイイ。


山の中ずっと暗かった。歩いていると、どんどん雨が強くなってきて、でも木のおかげで私たちは全く濡れなくて、雨の音だけ間近で聞いているのがとても心地よかった。

私は、雨の音が落ち着く。雨の音が近くにあると、思考が捗る。いつも文章を書く時は、BGMで雨の音を聞いている。
昨日は山に登らなかったので、友達のビール屋さんが出店しているイベントに行った。家を出ようとしたらなかなかの雨だったので、雨の日に着ると決めているワークマンの撥水ワンピースと長靴を履いて向かったら、「今こんなに雨降ってるけど私は濡れても大丈夫なんだ」って思えて、すごい優越感があった。
友達のビール屋さんは椅子に座ってのんびりするところがなかったので、お腹が空いていた私は一旦近くのパン屋のテラス席でお昼ご飯を食べることにした。屋根はあるものの、雨だからかテラス席は空いていて、私1人だった。
いつも雨の音を聞きながら作業をしているけど、この時に聞こえる雨の音は全部リアルの音で、イヤホンからラジオを流していても、その奥のBGMとして雨の音が聞こえた。とても心地が良かった。

今日は山の中を歩きながら、雨の音を聞いた。トントン、と自分が山を歩く足音も聞いた。耳から感じる情報が、体を循環していく。
今日はいつものメンバーだったし、そんなにたくさんおしゃべりをしたわけじゃない気がするけど、山の中で特に何も考えていなかった気がする。普段こんなにずっとスマホを触って何かしらしているのに、山の中では唯一「何も考えない」ができる。
私にとって山って。なんなんだろう。
っていうのが、まだ言語化できないし、不用意にしたくないなと思う。

03 | 赤ぼっこ

「赤ぼっこ」についた時に、見晴らしが良かったのでベンチで休憩をすることにした。ジュンが、私が誕生日にプレゼントしたタイベックシートをベンチに敷いてくれたんだけど、新しくてパリッとしているからベンチの形に形状記憶されて、どこまでがベンチかわからなくなってしまっていたのが面白かった。

「赤ぼっこ」の由来は「赤土が隆起して下から見たらボコっとしているから」と看板に書いてあった。それを読んで直人くんが「『赤ぼこっ』じゃないんだね。」と言ってきたので、「『っ』で終わる単語ってこの世にある?言い方まで指定されなきゃいけないのおかしいだろ」って言ってみんなで『っ』で終わる単語がないか考えた時間楽しかった。
私はラーメンズが好きなので、変な日本語について考えてる時間、めっちゃ好き。

直人くんが後ろで何回か滑った音を出すんだけど、さっと振り向くと「なにか?」って顔しているのがプロすぎて、直人くんってひょっとして2人いる?となった。
ジュンは集合体恐怖症の方が気持ち悪がりそうな木を見つけて、上までびっちり生えているキノコを「気持ち悪い!!!」と散々コケにした挙句、しっかり撮影していた。撮影するときに体を捻っていたので、何しているのと聞いたら「気持ち悪いのがなるべく多く入るように画角を斜めにして撮った」とカメラの対角線を利用して通常よりも2√2/3倍多くのキノコを入れるように工夫していたの予想外だった。ジュンの変態的感性。
その後撮った写真を満足そうに眺めてから「妹に送ろっ」ってラインを開いていたが、「こういうのはね、なにも言わずに送っちゃダメなの。ちゃんと許可得てから送らないといけないの。」と私が生涯使わないであろうTipsを押し付けられるなどをした。

04 | 街歩きも楽しい

普段の移動手段は大抵車なので下山したらすぐ運転になっちゃうんだけど、今回は下山しても駅までの移動があるおかげで住宅街を通れたりする。住宅街はいい。民家とか、まじまじ見ると相当面白い。今日も「なんでそのデザインにしちゃったん表札」とか「センスの悪い植木」とか「角刈りにされたキンモクセイ」とか「なにも映していないカーブミラー」とかいろんなものにツッコミを入れながら歩いていた。そしたら直人くんが「ちっちゃい「っ」で終わる単語あったよーー」と報告してきた。見たら、マンションの「ハイツ」のツがちっちゃくなってて、日本でここにしかない単語を見つけた瞬間だった。「ハイッ」


クレープの自動販売機、と書いてあったから面白くて見に行ったら普通に奥からおばちゃん出てきて、かなり嫌な気持ちになった。

お昼はとんかつにしたが、隣の席の会話が興味深くてすごい聞いちゃったから味のことあんまり覚えていなくて残念な気持ち。やっぱ下山後はラーメンと餃子と瓶ビールがいいな次からはそうしようね。隣の席、青梅で生まれ育ちましたけど何かって感じのヤンキー家族で、「なあ、妹欲しいよな?」と息子にどうしても妹欲しいと言わせたいパパの攻防をラジオのように聞いていた。

すごく何も覚えてない気もするし、すごくいろんなシーンを鮮明に覚えているような気もする。青梅っていい名前だよなって今日10回くらい思った。
直人くんが来てくれると、気付けることが増えてとてもいいな。また月一くらいは一緒に登ろう。

今回の映像はYouTubeにアップしてます。見てくださる方はこちらから。

Topics

注目記事

Ranking

週間ランキング

Contents

山旅旅のコンテンツ

カテゴリーから探す

SNS

オンラインショップ

Online Shop Yamatabitabi

山旅旅がセレクトする、軽量で使い勝手がいい、普段使いもできるアウトドア用品を扱うオンラインショップです。