024年から本格的にスタートするYAMATABIのウェアコレクション。中でも代表的なスタンダードシャツとなる「ULウール・フライフロント・ロングスリーブ・シャツ」を非常に特徴ある素材、デザイン、登山やハイキングで使用した際のレビューをしていきます。
YAMATABIULウール・フライフロント・ロングスリーブ・シャツが使用している素材
まず初めにこのシャツの最も特徴的な素材についてお話をしていきます。
YAMATABIのロングスリーブ・シャツは製品名からもわかるように、ヴァージンウール77%,ポリエステル23%の生地を使用したシャツです。
ウール100%だとどうしても毛羽立ちと、重さ、そして汗や湿気を吸った時に乾きづらく重くなりやすいことから、ウールとポリエステルの混紡素材というものにYAMATABIはこだわっています。
この生地はTechnicalHybridYarn"MANERD®"と呼ばれる複合糸の頂点として進化し続けているマナードを使用しています。
マナードとは長繊維のポリエステルの間に、短繊維であるウールをブレンドしています。
長繊維:長い繊維のことを言い、薄くて、光沢があり、滑らかで、カッチリと締まった生地を作ることができる繊維
短繊維:短い繊維を紡績(ボウセキ)によって撚り合わせているので、体積が増えて、嵩高感(フワフワ感)が増します。
長繊維は形状を自由に変えられるほど薄い生地を作ることができ、強度や柔軟性に優れていることがあげられます。短繊維は通気性や保温性が求められる生地と相性がよいとされています。
ウールの糸は、細くなればなる程糸切れを起こしたり、毛羽が目立ったりしやすいのですが、均一複合のマナードは、長短繊維が均一に混繊されているので美しく強い糸構造となっています。
このマナードを糸に使用した生地であることで
●糸切れを抑え、ウールのふくらみと温かみがある上品な素材感。先染めで絶妙なシャンブレーを表現しています。
●高強力で耐摩耗性に優れています。
●防シワ性が高く、洗濯機を使って洗うことができるイージーケアです。
●毛羽立ちが非常に少なく、ピリングを軽減しています。さらにやさしい肌触りです。
毛羽数を通常の糸を使用した生地と比較すると
10mの糸の中に
- 1mmの毛羽:マナード514個、通常紡1243個
- 3mmの毛羽:マナード33個、通常紡126個
- 5mmの毛羽:マナード3個、通常紡22個
糸強度の比較
- マナード300g
- 通常紡220g
という試験結果からもよくわかります。
同じ素材を使用したショートスリーブ・シャツが2024年春夏からスタートしていますが、ロングスリーブでは新たにスレートグレーというカラーを追加し、さらにロングスリーブだけれどもショートスリーブのような上半身の動きやすさを追求したパターンと軽量性に特徴を持たせたデザインに仕上がっています。
YAMATABIULウール・フライフロント・ロングスリーブ・シャツのデザイン
続いてYAMATABIのロングスリーブ・シャツのデザインについて紹介をしていきます。
メリノ製のロングスリーブ・シャツの中では世界最軽量級の約201g(M)で非常に軽やかな着用感です。着用した際の透け感はほとんどありません。Mサイズは今僕が着用しているサイズです。
身長179cm・体重67kgの男性:SlateGray-Mサイズ着用した写真
身長179cm・体重67kgの男性:Gray-Lサイズ着用した写真
身長162cm・体重50kgの女性:SlateGray-Mサイズ着用した写真
身長162cm・体重50kgの女性:Black-Mサイズ着用した写真
※着用しているものは未洗濯状態のものです。洗濯をすることで2cmほど縮みが起こる可能性を踏まえて大きめに作っています。
今回展開するサイズはM、Lサイズのみで、カラーは3色となっています。
フロントボタンはスナップボタン仕様なのでグローブをした状態でも開け閉めが容易です。またフライフロント(比翼仕立て)ですので、スナップボタンが見えません。これによってカジュアルすぎず、安っぽく見えないデザインに仕上げています。
襟の隅にはボタンが備えられ、襟を立てた後にボタンを止めることで、首の保温、首の日焼け対策を行えます。
袖口はスナップボタンが2箇所備わっていて、手首の太さによってボタンの位置を調整することができ、腕まくりも容易です。
登山やハイキングで使用した際のレビュー
素材は実際に着用するとよくわかりますが、高い通気性を備えているのでウィンドブレーカーのように着用することもできるし、吸水性と吸湿性を備えているので、薄手のベースレイヤーの上に着用することで肌をドライに保つことを助けるミドルレイヤー、暑い季節であればアウターレイヤーのような着用が可能です。
例えば僕の場合は3シーズンの高所登山で腕と首の日焼け、冷たい風に当たった時の防風対策として、メッシュレイヤーやタンクトップの上からYAMATABIULウール・フライフロント・ロングスリーブ・シャツを着用して非常に気持ちよく登山ができました。
真夏日ではロングスリーブではなくショートスリーブがとても気持ちよかったです。
晩秋の中高山、冬の低山では汗っかきの人であればバックメッシュの速乾メリノウールTシャツ、寒がりの人であればバックメッシュの速乾メリノウールロングスリーブTシャツをベースレイヤーにして、その上からロングスリーブ・シャツというレイヤリングで、発汗量を抑えて登山をすることができます。
スナップボタン式のシャツなので、全開すれば冷たい風を直接体の中に取り入れることができるし、真ん中だけ止めれば、シャツの中にこもった熱気を外に逃がすようなことができて、体温調整が容易です。
ウィンドブレーカーやジャケットタイプのフリースなど、脱がないと暑い、でも脱いじゃうとすぐ寒くなる、といったことが起きやすいのですが、シャツであれば、微調整ができて、脱ぎ着をする必要もなく、行動しながら安易に体温調整ができるのが良いところです。
そしてさらに強くおすすめしたいのが、登山やハイキングだけでなく普段使いができるという点です。スナップボタンがフロント部分に全部見えているとカジュアルすぎて個人的には安っぽく見えるのであまり好きではないのですが、YAMATABIのロングスリーブ・シャツはフライフロントでスナップボタンが見えないのがすごく好みで、カジュアルでもフォーマルでも着用できる高級感のあるデザインです。