近年装備の軽量化に伴い、重量のある登山靴を卒業して、軽量で足さばきの良いトレイルランニングシューズや軽量なハイキングシューズへの移行を検討している方が多いと聞きます。今回紹介するのは重量528gの、アルトラの中で最もクッション性が高く、さらにグリップ力と安定性に特徴があるオリンパス6のミッドカットモデルを紹介します。
最後までご覧いただくことで「これからより軽量な登山靴に買い替えたいと考えている方にとって、どのような視点でシューズを選べば良いか、理解いただくことができることと思います。登山靴やハイキングシューズの特徴についてより詳しく知りたい人はぜひ最後までご覧ください。
アルトラのシューズについて
アルトラのシューズを語る際に欠かせないのが
- フットシェイプデザイン
- ゼロドロップ
という「自然な走り方」というコンセプトでデザインされた点です。
フットシェイプデザイン
アルトラでは独特な足型のラストのことをフットシェイプと呼称しています。このフットシェイプは足指部分が自然に広がり、リラックスするようにデザインされています。
この写真は足の指がそれぞれ離れ、表面積が広がり、安定性が増しています。
この写真は常につま先の狭い靴を履いている状態が続いたことで母指は外側(外反)を向き、子指は内側を向いていて表面積が少なく、安定感を著しく損なっています。
本来人間が二足歩行を獲得する過程で手に入れた「直立」「歩行」「走行」という状態において、最も効率的な足部の構造をベアフットと呼び、重要とされる3つのアーチを獲得する目的のためにデザインされたのが、アルトラのフットシェイプです。
ゼロドロップ
ドロップとはソールのかかと部とつま先部の厚みの差のことを言います。4mmのドロップというと、4mmかかと部がつま先部よりも高くなっていることになります。
ゼロドロップはその名の通り厚みの差がないことを言い、これによって前方に傾くことなく、まるでシューズを履いていないような姿勢と同等の体勢をとることができます。これによって人間のもっともバランスの取れた自然な状態を作り出すという目的をかなえます。これは「ヒールストライク(踵から着地)」を減少し、着地面積を広げ、自然で正しい姿勢を保ち、着地時の関節、腱にかかる衝撃を劇的に減らす効果がある事が証明されています。
アルトラのシューズを履いたばかりは、この姿勢になかなか慣れるまでに時間がかかりました。例えば長距離歩いているとふくらはぎが痛くなったり、ハムストリングスやお尻が疲れたり、最初はシューズが合っていないのでは?と考えましたが、諦めず履き続けたことで、疲れづらい歩行ができるようになったように感じています。
オリンパス6はアルトラの中でどのような位置づけか?
オリンパス6はアルトラの中で最も高いクッション性を備えた「厚底シューズ」に分類されます。これによってクッション性が非常に高く、また厚底でありながら、非常に広い面積で地面をとらえたデザインによって高い安定性を備えたシューズに仕上がっています。
アルトラの中ではミッドカットモデルの展開があるのが、代表的なモデルを挙げるとティンプ、ロンピーク、そして今回紹介するオリンパスで、この3つの中では最も耐久性が高く、クッション性に優れている点から長期縦走登山などでも活用することができるモデルです。
アルトラのフットシェイプはオリジナル、スタンダード、スリムの3種類に分けることができます。
オリジナルは、アルトラがスタートした際から採用しているラストで、3つの中で最もゆとりのある、ルーミーな履き心地
スタンダードは、3つの中間に位置するフットシェイプで、現在のラインナップで最も採用されています。前足部のゆとりは残しつつ、中足部から履き口にかけてよりフィット感が強くなっています。
スリムは最も細いラストで、ロードカテゴリーのレーシーなシューズを中心に採用されています。
- オリジナル:ローンピーク、ローンピークオールウェザー、オリンパス、オリンパスハイク
- スタンダード:ティンプ、ティンプハイカー、ティンプハイカーGTX、エクスペリエンスワイルド、スペリオール、モンブランカーボン、モンブランボア
- スリム:アウトロード
オリンパス6ハイクミッドゴアテックスをレビュー
ミッドカットモデルのメリットとデメリット
僕は普段ローカットのシューズを履いて登山やトレイルランニングをすることが多いです。オリンパス6ハイクミッドゴアテックスはミッドカットなのですが、ローカットと比較すると踝が守られ、また雨が降った時にシューズの中に雨が入りづらい利点を得ることができると思います。
対して、ローカットと比較するとミッドカットは足首部分の固定がされるので、足首の自由度が若干ではありますが、損なわれる感覚があります。これは逆に足ブレを軽減して疲れづらい歩行を可能にするメリットを得られるのだと思います。実際に同じ山をローカットとミッドカットで歩いたわけではないので、あくまで個人的な見解です。
シューレースを締める時は、ローカットと比べるとミッドカットは煩わしいと感じることが多かったです。これには慣れが必要だと感じました。
圧倒的なクッション性能
クッション性においては硬い岩盤を歩いた時に、また高低差のある場所を下る時に、著しく足裏の疲れを軽減する実感がありました。このことからも登山をして足裏が痛くなり安い人や、疲れを感じやすい人に強くおすすめしたい登山靴です。
ビブラム・メガグリップのグリップ力
ビブラムソールは他の登山靴でも何度か履いてきました。非常に信頼性のあるアウトソールブランドですが、コンパウンドの違いがあるのか、非常に滑りやすいビブラムソールもあれば、高いグリップ力を感じるビブラムソールもあるという実感値を得ています。
オリンパス6ハイクミッドゴアテックスのビブラムメガグリップは滑りやすいと感じる岩盤や濡れた地面で、まるでガムを踏んでしまったかのような地面を掴むようなグリップ力があり、安心して足を置くことができました。
「ここでも大丈夫だろう!」と意気込んで滑りやすそうな大きな木の上に足を置きましたが、滑りました。全てにおいてグリップ力があるというわけではありませんが、今まで様々なシューズを履いてきた中で非常に高いグリップ力があるのは、ソールが地面に向かって扇形に広がるデザインによって、広い接地面を確保しているからという点も見逃せません。
フットシェイプデザイン
オリンパス6が採用している「オリジナル」と呼ばれるフットシェイプデザインは、指を自由に動かせる開放感があります。この開放感から普段27.0cmのシューズをセレクトしているのですが、オリンパス6においては26.5cmをセレクトして、まだ少し余裕を感じるようなフィット感でした。
今回2泊3日で約40km歩いてきたのですが、終わった後は足裏や足首、そして体全体が疲れを感じず、シューズによるサポートがしっかり効いている感覚を味わえました。ただし僕個人的にはやっぱりローカットの方が歩きやすいと感じるシチュエーションもあったので、雨の可能性の高さや、標高差、距離など登山シーンに応じて登山靴を使い分けたいと考えています。