冬になると普段からアウトドアシーンに至るまで、着用機会が多くなるのが、アークテリクスのカイヤナイトジャケットとカイヤナイトパンツです。着用したらわかる気持ちよさから、僕の中ではリラックスウェアの大定番です。今回はアークテリクスのフリースの中でカイヤナイトがどのような位置づけなのか、また他のブランドのフリースと比べてどのような違いがあるか、さらにカイヤナイトジャケットとカイヤナイトパンツの考えられたデザインについて、着心地の良さを踏まえてレビューをしていきます。
アークテリクスのフリースの中でカイヤナイトがどのような位置づけなのか
アークテリクスのフリースは最も軽量なジャケットタイプで平均重量240gの「デルタ」、プロテクションが高いフーディタイプで平均重量595gの「コバート」、そして汎用性が高く中間的な位置にあるジャケットタイプで平均重量395gの「カイヤナイト」というように大別できます。
僕は普段着にコバートカーディガン、普段着〜冬登山のミドルレイヤー、3シーズンのアウターにカイヤナイトを愛用しています。
カイヤナイトはアークテリクスのフリースの中では唯一ポーラテックの素材を使用した快適な着心地が特徴です。ポーラテックの中でもストレスのない着用感が特徴のパワーストレッチプロを採用しています。
この素材は高いストレッチ性で動きを妨げず、裏生地で素早く汗を吸い上げ、表生地に汗を移動し、拡散して乾きを促す特徴があり、さらにパワーストレッチプロは、表面素材にポリエステルではなくナイロンを使うことで耐久性を向上させた素材であり、レイヤリングがしやすく、まさしく登山やスキーにおけるミドルレイヤーとして最適な素材です。
最も軽量なデルタはトリムフィットで、胸からウエストまでややスリムに裁断しており、レイヤリングした時にかさばらず体にフィットする特徴があります。
カイヤナイトとコバートは、レギュラーフィットで胸からウエストまで標準的なフィット感で単体で着用しやすく、ミドルレイヤーにもアウターにも使用しやすい特徴があります。
他のブランドのフリースと比べてどのような違いがあるか
アークテリクスのカイヤナイトと比較になるアイテムを列挙してみました。
ブランド | モデル名 | 価格 | 平均重量 | フィット |
アークテリクス | カイヤナイトジャケット | ¥29,700 | 395g | レギュラー |
パタゴニア | R1 サーマル・ジャケット | ¥27,500 | 411g | スリム |
パタゴニア | R1エア・フルジップ・フーディ | ¥24,750 | 366g | スリム |
モンベル | クリマエアジャケット | ¥9,460 | 383g(M) | レギュラー |
ファイントラック | ドラウトソルジャケット | ¥24,200 | 410g(M) | レギュラー |
マムート | アコンカグアライトMLジャケット | ¥18,700 | 280g(M) | スリム |
ティートンブロス | グラフェンジャケット | ¥28,600 | 395g(M) | レギュラー |
カリマー | GRPNトレイルジップアップ | ¥22,000 | 370g(L) | レギュラー |
HOUDINI | パワー アップ ジャケット | ¥33,000 | 474g | スリム |
Rab | モデュラスフーディー | ¥17,600 | 423g | スリム |
全てのブランドを網羅したわけではありませんが、購入時に比較したいくつかのフリースです。
このように見てもらうと価格はHOUDINIに次いで高価ではありますが、モンベルとマムートを抜きにすれば「普段着としても活用しやすいデザイン」という側面から見ると、個人的見解ではありますが価格差が少なくコストパフォーマンスに優れていると思います。
またHOUDINIと並んでポーラテックのパワーストレッチプロを使用しており、着心地の良さだけでなく機能面にも優れていると思います。様々なフリースを着用してきましたが、ポーラテックは実際に山で着用すると機能性の素晴らしさを感じます。
400g前後のフリースは薄すぎず、厚すぎない汎用性が特徴で、冬にはミドルレイヤー、肌寒い春・秋のシーズンにおける登山ではアウターとして着用することができる厚みです。
考えられたデザインについて、着心地の良さを踏まえてレビュー
アークテリクスのウェアは裏返すと細かなパネルの組み合わせで体の形に沿った立体裁断がなされていることがよくわかります。腕を振った時の突っ張り感の無さ、動かない時に感じるウェアの重量感の少なさ=着用感が少ない体への程よいフィット感が特徴で、これは着心地の良さだけでなく着用した時の見た目の良さにも貢献しています。
素材のポーラテックのパワーストレッチプロは4ウェイストレッチで、大きく動いても突っ張り感がなく、それが所以で非常に軽い着心地をもたらしてくれます。さらに「プロ」という名称がつくと、表面に耐摩耗性と耐久性に優れたナイロンを使用しているので、ミドルレイヤーとして使用する時にアウタージャケットと擦れても毛玉になりづらいです。
内側は柔らかく起毛していて暖かく気持ちの良い着心地です。この裏の起毛素材は素早く汗を吸い上げ、表生地に汗を移動する構造なため拡散して乾きを促すミドルレイヤーで力を発揮する素材です。
さらにカイヤナイトジャケットは、風が当たって寒くならないようにお腹から胸の部分にはメッシュ素材がはられています。
衿にはミドル丈のカラーで、表側は目の詰まったハードフリースがついているので冷たい風に当たっても首をしっかりと温めるように設計されています。
そしてフロントジッパーにはNoSlipZipが使われています。このジッパーは例えば首元をちょっとだけ開けていたのに、いつのまにか胸元まで開いているといったようなことがないので体温調整がしやすいミドルレイヤ、アウターとして着用する時に便利です。
ジッパートップの裏側にはチンガードが備わっています。これはファスナーの金具が顎や口元、喉部分に直接触れず、不快感を軽減してくれるもので、内側に目立たないような形でついています。
ポケットにはジッパー付きのハンドウォーマーポケットが備わっています。ポケットのジッパーはラミネート加工で取り付けられていて、これが見た目の特徴にもなっています。
袖口と裾にはストレッチ性のあるバインディングが施されており、ほどよく体にフィットします。余計なものがついていないシンプルさによって上品な見た目とウェアの重量に貢献しています。
サイズ感
身長180cm、体重67kgでMサイズを選びました。少しシルエットはゆったり目で、普段着として着用するのに好みのサイズ感です。Sサイズと非常に悩みましたが、Sサイズは体にフィットしてレイヤリングもしやすくアクティビティとしての使用には良いと思いましたが、見た目が少しテクニカルウェアっぽく感じました。