雪山登山やスキーでは、雪の付着対策と冷たい風に当たっても体を冷やさない耐候性の高いウェアをレイヤリングに取り入れること
、そして発汗量を抑えるためにできるだけ重ね着をすることが重要です。今回は僕が雪山登山、バックカントリースキーで行っているレイヤリングの考え方、着用しているアイテムと役割について紹介をしていきます。
雪山登山・スキーにおけるレイヤリングの考え方
雪山登山とBCスキー・ゲレンデスキーとでは以下のような違いがあります。
- 雪山登山:上り下りがあり登山開始から終わりまで体を動かしている
- BCスキー:上りは体を動かしているが、下りはスキーなので行動量が少なくなる
- ゲレンデスキー:上りはほとんど行動をしない、スキーは行動量が少ない
このように整理すると
スタイル | 上り | 下り |
雪山登山 | 高負荷 | 高負荷 |
BCスキー | 高負荷 | 中負荷 |
ゲレンデスキー | 低負荷 | 中負荷 |
雪山登山は登山開始から終わりまで高負荷であり発汗量を抑える対策が重要
BCスキーはスキー中は中負荷なので発汗量を抑える対策と防寒対策が必要
ゲレンデスキーは開始から終わりまで低負荷であり防寒対策を中心に考える
僕はいずれのアクティビティも好んで行うので、上記のように整理して行動着を選びレイヤリングをしています。
着用しているアイテムと役割
次に着用しているアイテムを紹介しながら、それぞれのウェアの役割を紹介していきます。
アンダーウェア
雪山登山、スキーではベースレイヤーの下にメリノウール製のアンダーウェアを取り入れています。上半身は以前ファイントラックのドライレイヤー、ミレーのドライナミックメッシュを活用していましたが、今は今期のYAMATABIの新製品となるメリノウール製のタイトなメッシュウェアで様々なシーンでテストを重ねています。
このウェアはめちゃくちゃ調子が良く、汗冷えがほとんどありません。
- ドライレイヤー:撥水加工されたナイロン素材=汗吸わない・吸湿しない・汗の移動に特化
- ドライナミックメッシュ:疎水性のあるポリプロピレン=汗吸いづらい・吸湿しない・汗の移動に特化
- メリノメッシュ:吸水する・吸湿する・素早く汗や湿気を含んで肌から遠ざける
このように違いがあり実際に着用してみて吸湿性があることによる汗冷えの少なさ、肌が継続的にドライに保たれます。
ベースレイヤー
雪山登山におけるベースレイヤーはロングスリーブを選んでいます。そしてベースレイヤーは2種類を使い分けます。
- 1月2月の雪山登山、BCスキーでは気温、風の強さで中厚手か薄手かを選ぶ
- 1月2月のゲレンデスキーの場合は中厚手着用が多い
- 3月以降になると気温が高くなるので薄手着用となる
中厚手のベースレイヤーは
のアスペクトミッドウェイトメリノウールを愛用しています。
このブランドはカリフォルニア州マンモスレイクスを拠点とする小規模な家族経営の会社で、スキーを愛するすべての人がプロレベルのメリノアパレルを利用できることを目的に、非常に細かいメリノウールの糸を使用していて、肌触りが抜群なんです。84%メリノウール、16%ナイロンという混紡比率なので保温力が高く、そして吸湿性が高く、さらには非常に気持ちの良い素材なので、普段着としてもとてもおすすめです。
ベースレイヤーとしては珍しく裾が長めに作られているので、しっかりとお腹と腰を温めてくれます。このシルエットは肌寒い季節において安心できます。
RidgeMerinoは2025年から山旅ショップでも取り扱いを開始するので楽しみにしておいてもらえたらと思います。まずはアンダーウェアと今回紹介している中厚手のベースレイヤーからスタート予定です。
続いて薄手のベースレイヤーはYAMATABIのバックメッシュ・速乾メリノウール・レギュラーフィットを愛用しています。このロングスリーブは汗をかきやすい脇と背中がメリノウール50%、ポリエステル47%、ポリウレタン3%とメッシュ地で素早く汗を吸収し拡散してくれます。
メッシュ以外の素材はメリノウール50%、ポリエステル50%の混紡比率で、高い吸湿効果と防臭効果がありながら、ポリエステルの速乾性と耐久性を備えています。冬の寒い季節ではアンダーウェアとの相性が抜群で、汗の肌離れを促進して肌をドライに保ってくれます。
よって全てに50%のメリノウールが混紡されているので、臭い抑制、吸湿性、紫外線から肌を守る役割に優れており、雪山登山だけでなくオールシーズン使える汎用性の高さも魅力です。
ミドルレイヤー
ミドルレイヤーは全てのアクティビティ、気候でYAMATABIのポーラテックアルファダイレクト90ULジャケットを着用しています。ハイクアップで暑いと感じるような陽気は1月の厳冬期における北海道などでもあるし、標高が高い北アルプスの白馬などでもあります。
このような暖かな時間帯でも、1月2月においてはアンダー&ベースレイヤー2枚だけでは寒いので、アルファダイレクト90ULジャケットを着用してハイクアップするとちょうど良いと感じます。
このウェアは約125gと非常に軽量なので動きやすく、フリースと比較しても軽やかに動くことができます。また上からアウターを着用すると素早くアウター内を暖かくしてくれるので寒い季節で、暖かく快適です。
アウター
雪山登山、BCスキーにおけるアウターはウインドブレーカーとハードシェルを使い分けています。
ゲレンテイスキーではハードシェルを着用しています。
降雪や木に雪が付着しているような場所を歩く時は、雪によってミドルレイヤーを濡らしてしまうので、ウィンドブレーカーを着用します。頂上付近に近づいて風が強くなった時は、ウィンドブレーカーの上からハードシェルを着用します。
ウィンドブレーカーはフード付きで防風性の高い約130gのRab「バイタルフーディ」を使用しています。サイズはMサイズで少し大きめが便利です。スキーで滑走時は腕をよく動かすので、ウィンドブレーカーはゆったりしていると突っ張らず快適です。
ハードシェルはアークテリクスのラッシュジャケットを使っています。ゴアテックスプロで、重量は515g。表生地はナイロン80デニールのモストラギッドテクノロジーを採用しています。このテクノロジーは非常に高い摩耗強度を備えており、今では公に歌われていませんが、以前は雪面での滑り止め効果もあると聞いていました。
雪山登山においてはヘルメットをかぶった状態でフードをかぶることができるか?またピットジップが備わっているか?といった機能を重視しています。
3月になるとハードシェルの表生地は60デニールにしてより軽量でしなやかなものに変えています。5月になると30〜40デニールで、透湿性の高い素材を採用したハードシェルやレインジャケットを活用するなどして発汗対策と防風対策のバランスを考えるようにしています。
ボトムのレイヤリング
まずアンダーウェアはRidgeMerinoのボクサーブリーフを着用しています。このアンダーは84%メリノウール、16%ナイロンという混紡比率で、高い吸湿性と保温力、非常に伸びやかな素材と少しタイトなシルエットで体にフィットしたときに、動いていてヨレがなく、汗の拡散にも優れています。
今までスマートウールのボクサー、アイスブレーカーのアナトミカ ボクサー、モンベルのスーパーメリノウール L.W. トランクスなど着用してきましたが、体へのフィット感とアクティビティ中の快適さはRidgeMerinoが最も好みです。
このアンダーウェアの上にはYAMATABIのポーラテックアルファダイレクト90ULタイツを着用し、その上にハードシェルパンツというレイヤリングです。
ハードシェルパンツにはサイドにベンチレーションが設けられているモデルを活用しています。1〜2月の厳冬期シーズンにはアークテリクスのラッシュパンツを使用しています。ベンチレーションで通気を促したときの熱の放出と、ダイレクトに冷気を感じる気持ちよさはアルファダイレクト90ULタイツだからだと思っていて、発汗しそうになった時の体温調整が容易です。
ハードシェルパンツにおいてはジャケットと同様で温かくなるにつれ表生地のデニール数を少なくして発汗対策と防風対策のバランスを考えるようにしています。
アルファダイレクト90ULタイツは山の中で過ごす時のパジャマとしても活用することができ、汎用性の高さが魅力です。