日帰り登山用のザック、皆さんは何を使っていますか?僕は山行プランで20Lクラスのザックを使い分けています。今回は日帰り登山用のザックの選び方をどこよりもわかりやすく徹底解説していきます!まずは必要な日帰り登山装備を洗い出し、次にザックの容量を考えていきましょう。その後、日帰り登山用ザックの選び方と理由を紹介します。
日帰り登山の装備をまずは紹介
日帰り登山は多種多様です。以下はその一例です。
- 山に行く頻度(夏だけ、3シーズン限定、オールシーズン)
- 雪山登山or無雪期登山
- 高所登山or中低山
- 水場や山小屋のありなし
- アクティビティ(登山、ハイキング、ファストハイク、トレイルランニング、バックカントリースキー)
- 山の楽しみ方(ランチ、日の出や日の入り、写真、高山植物、野鳥、BCの下見、100名山)
多種多様ながらも日帰り登山の装備を考える時には大きく3種類に分けることができます。
- 最低限必要な持ち物
- 最低限必要な持ち物の中でも状況に応じて変化する持ち物
- 状況に応じて追加もしくは削除する持ち物
それぞれ必要な持ち物を挙げていきましょう。
最低限必要な持ち物

- サングラス(本体は装着するがケースは持っていく)
- ウインドブレーカー
- ウォーターボトル
- 水筒
- ファーストエイドキット
- エマージェンシーシート
- ヘッドライト
- 登山計画書
- 紙地図
- コンパス
- スマホ
- モバイルバッテリー&ケーブル
- 時計
- 行動食
- 日焼け止め
- トイレットペーパー
- タオル
- ザックカバー
- 貴重品(健康保険証のコピー、現金、鍵など)
最低限必要な持ち物の中でも状況に応じて変化する持ち物

- グローブ
- 帽子
- サンシェード
- レインウェア
状況に応じて追加もしくは削除する持ち物
- トレッキングポール
- 魔法瓶
- ツエルト
- ミドルレイヤー
- ダウンジャケット
- ダウンパンツ
- クッカー
- カトラリー
- 燃料
- ストーブ
- 食料
ザックの容量を考える時に、まず初めに
- 最低限必要な持ち物
- 最低限必要な持ち物の中でも状況に応じて変化する持ち物
を並べてみましょう。状況に応じて変化する持ち物のなかで、容量が変化するものの代表格がレインウェアです。また
- クッカー
- カトラリー
- 燃料
- ストーブ
- 食料
上記はトレイルランニングやファストハイクなど、できるだけ装備を軽くして移動距離を伸ばすようなアクティビティ以外では、「お湯を作ることができる道具」として食事を楽しまなくとも持っていくべきアイテムに数えるべきだと考えています。
また気温が高い3シーズンの低山以外では、防寒着として最低でも
- ダウンジャケット
は持ち歩くべきです。
ザックの必要な容量を考察

必要なザックの容量を考える際、「最も自分が楽しむ回数が多い登山の季節と標高」を想定して選びましょう。ここでは
- 3シーズン
- 無雪期
- 標高は様々
- アクティビティは登山・ハイキング
- ランチを楽しむ
という想定で考えていきます。その上で持ち物を紹介します。僕が持っている装備は比較的コンパクトで軽量なものが多いことを付け加えておきます。
そして多くの季節で「ポーラテックアルファダイレクト90ULジャケット」を持っていくようになりました。今までのミドルレイヤーは軽くても200g弱でしたが、このジャケットは124gと非常に軽量なので、オールシーズンで装備に加えているアイテムです。ダウンジャケットまで必要ないけどちょっと肌寒い時にすごく便利なアイテムです。お持ちのミドルレイヤーが重い場合は加えなくても良いと思います。
- サングラス
- ウインドブレーカー
- ウォーターボトル
- 水筒
- ファーストエイドキット
- エマージェンシーシート
- ヘッドライト
- 登山計画書
- 紙地図
- コンパス
- スマホ
- モバイルバッテリー&ケーブル
- 時計(装着)
- 行動食
- 日焼け止め
- トイレットペーパー
- タオル
- 貴重品(健康保険証のコピー、現金、鍵など)
- ザックカバー
- グローブ(装着)
- 帽子(装着)
- サンシェード(装着)
- レインウェア
- クッカー
- カトラリー
- 燃料
- ストーブ
- 食料
- ダウンジャケット(ドライバッグの中へ)
- ミドルレイヤー
- トレッキングポール
これらの装備をオスプレーのタロンプロ20にパッキングしていきます。

このザックはメインコンパートメント以外に、ジップ付きポケットがザック上部に備わり、ストレッチ素材のフロントポケット、ストレッチ素材のサイドポケット、左右にウエストベルトポケットが付いており、日帰り登山用ザックとしては、ポケットの数が多く、扱いやすいモデルです。
まずはじめに最も登場回数が少ないドライバッグに収納したダウンジャケットをボトムに収納します。ザックの中で隙間を作りたくないので、ギュウギュウに空気を抜いてコンパクトにする必要はありません。
このドライバッグは山旅の「リップストップ3Wayドライバッグ」で、ストラップを取り付ければ、登山終わりのお風呂セット、買い物バックとしても活用できます。また外側にデイジーチェーンがついているので、ザックの外側に装着することができる拡張バックにもなります。帰りに温泉に入りたい場合はこの中に着替えを入れておくこともできます。
続いてクッカー、ガス缶、ストーブ、五徳、カトラリー、食事を暖かくして食べるためのスクリューロックコジーとこの中に食料としてカレーメシを入れています。これだけだと足りないという場合に追加でカップラーメンも入れています。さらに食後にゆっくりとした時間を過ごすために、テーブルとフォール・ダ・カップ、モンベルのトレールチャhイをEASYワイドオープン・スタッフサックMに収納しています。
このスタッフサックはこれらを収納して、取り出すのに便利な構造で作られています。

続いて水を入れたウォーターボトルを背中側にパッキングします。暑い季節で且つ水場がない場合はプラティ2Lボトル、それ以外はおおよそ1Lのプラティパスのソフトボトルを選んでいます。
続いてファーストキットポーチとトイレットペーパーを収納します。ファーストエイドキットポーチの中には登山計画書、コンパス、モバイルバッテリー&ケーブルなども収納しています。

続いてレインウェアとザックカバーを収納します。レインウェアは夏山だともっと軽量なものになりますが、今回は僕が使っていて最も汎用性が高いと考えている、ゴアテックス・パックライト素材の軽量でしなやかなレインパンツ(約180g)と、非常に透湿性が高いRabファントムプルオン(約86g)を選んでいます。冷たい雨に当たった時ファントムプルオンでは頼りないと感じた時は、アルファダイレクト90ULジャケットを着用します。
このアイテムを持っていないときはゴアテックス・パックライト素材のレインジャケット(約280g)を使っていました。
メインコンパートメントの最上部にはアルファダイレクト90ULジャケットとウィンドブレーカーを収納します。これらは体温調整のためにザックから盛んに出し入れする可能性が高いことを想定しています。また登山開始に装着するキャップ、グローブ、サンシェードも収納しておきます
続いてザック上部に備わっているジップ付きポケットには、サングラスケース、ヘッドライト、防風ミトン、紙地図、予備の行動食を収納します。
残ったのはスマートフォン、行動食、水筒、タオル、日焼け止めです。これらはザックのサイドポケットに収納しても良いのですが、取り出しづらいので、ショルダーハーネスに山旅スマホポーチ、ショルダーポケットを取り付けます。こうすることで登山中の取り出しやすさが圧倒的に変わります。
サイドポケットには何も入れていない状態なので、この場所にトレッキングポールを収納します。この時点でザックのフロントポケット、左右のウエストベルトポケットは使用していない状態です。
重量はザックが1.03kg、水1.5Lと食事を入れてパックウィトが約4.7kg、ザックを抜いて約3.7kgです。
もしも日帰りで雪山登山も楽しみたいと考える場合は
- より保温性に優れたダウンジャケット
- レインウェアからハードシェルへの変更
- アイゼンやピッケルなどの道具
- お湯を携帯するための魔法瓶
- ツエルト
- 予備のグローブ
と道具の変化と追加が必要になります。これらを踏まえると20Lのザック容量では厳しく30L前後の容量が必要になります。
日帰り登山用ザックの選び方
日帰り登山用ザックを選ぶ時に、「最も自分が楽しむ回数が多い登山の季節と標高」を想定する必要があります。そして無雪期の登山と雪山登山とでは装備の内容が大きく異なるので、両方を兼ねるようなザックは選ばないようにしています。理由は容量が大きく変化すること、それによってパックウェイトも大きく変化するからです。
必要な容量が20Lから30L前後に
フレームは雪山登山ではあるべき機能
僕が日帰り登山向けザックを選ぶ時に重視したポイントは以下です。
- 20L前後の容量
- フレームあり
- ショルダースタビライザーあり
- コンプレッションあり
- 背面構造の汗抜け
- ショルダーハーネスにポケットがない
- メインコンパートメントは大きく開く構造
- 購入しやすい価格帯
- 耐久性のある素材
フレームありの思考
フレームがあるとザック重量は増しますが、歩いていてとにかくザックがブレません。これによって歩きやすさは格段に異なると感じています。例えばフレームがない500g前後の軽量なザックの中に約4kgの登山装備を入れると、パッキングの仕方によって肩や背中の負担が大きく変わるし、勾配が少しでもキツくなり歩きづらい登山道に差し掛かると左右にザックが揺れて歩きづらく感じます。フレームありなしの500gは、体への負担を考えると決して重くないと思います。
フレームがないザックを選ぶ方は
- 2〜3時間のハイキングや登山
- 標高差500m程度の低山歩き
- 体幹がしっかりしている
- パッキングが上手である
- 装備重量を減らす技術が備わっている
- そもそも装備重量を減らして距離を伸ばすことを重視している
- ザックのフィット調整が上手である
このような登山や思考であれば良いと思いますが、そうでなければフレームがあるザックを選ぶべきだと思います。
ショルダースタビライザーありの思考

ショルダースタビライザーのないザックを背負うと、登山をしている最中誰かにずっと肩を後ろへ引っ張られているような感覚になります。だから上半身が丸まってしまって背中や肩が痛くなることが多いです。またガレた登山道を歩いていると上半身が振られやすく歩いていて不安定だと感じることが多くなります。
ショルダースタビライザーがあると、ザックの重さを背中の真ん中から上に引きつけることができ、それによって体が安定します。この経験からトレイルランニングやファストハイクなどの距離を伸ばすアクティビティ以外ではショルダースタビライザーがあるザックを選ぶようにしています。
コンプレッションありの思考

コンプレッションはザックの中の空間を減らし、ザックの中で装備が動かないようにすることができます。これによって登山装備が少ないとき、多いときでも1つのザックで対応することができ、汎用性に優れているだけでなく、登山中にザックの揺れを抑制することができます。
背面構造の汗抜けの思考

登山をしていて最も汗をかく場所が背中だと思います。これを放置してしまうとベースレイヤーが汗でどんどん濡れてしまって、発汗量が多いときはパンツまで濡らしてしまいます。ザックをずっと背負っていると背中に熱が溜まるし、濡れたウェアは乾かないし、誰かに見られると恥ずかしいし良いことがありません。
だから登山中に出た背中の汗は乾かしながら行動したいし、背中が涼しいと非常に気持ちが良いので背面構造がフラットで発汗量が増えてしまうザックは、トレイルランニングやファストハイクなどのアクティビティ以外では絶対選ばないようにしています。
ショルダーハーネスにポケットがない

トレイルランニングやファストハイク向けのザックはショルダーハーネスにポケットが備わっていますが、容量が少なく、ポケットの大きさが好みではないことがほとんどです。また左にはスマホを、右には水筒や行動食といった好みも無視されるので、ショルダーハーネスはポケットがないシンプルなものを選ぶようにしています。
僕はショルダーハーネスには自分好みのショルダーポーチを取り付けたい派です。この思考については人それぞれだと思います。
メインコンパートメントは大きく開く構造

メインコンパートメントが大きく開かない場合は、一度全て装備を出さなければいけないことが生じます。雨が降っている時にザックのボトム部分にある装備を出したいと考えた時に、装備が雨ざらしになってしまいます。また単純にメインコンパートメントから物を出す時に大きく開くと便利です。ダブルジッパーであるというのも重視しています。
購入しやすい価格帯

日帰り登山用ザック1つで税込3万円以上というのは、僕の中ではコスパが悪いという判断です。登山を純粋にリスクなく楽しむのであれば、ザックはマスプロダクトを選ぶべきだという思考です。様々なテストを数十、数百人規模でテストを繰り返したザックというのは「流石!」と思わされることが多いです。そして機能性に優れた素材、フレーム、ベルト構造など踏まえて2万円台が妥当ではないかと思っています。
耐久性のある素材

最近では素材の進歩が目覚ましく、耐久性がありながら軽量性に優れているものが多く出回っています。非常に価格が安いザックは耐久性を備えるために単純に分厚い生地を使っている場合があります。また分厚い生地は水を含みやすいため、使用している素材にも注目するようにしています。
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