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硫黄岳 / 赤岳鉱泉に泊まる

硫黄岳 / 赤岳鉱泉に泊まる

これは2023年5月、「山歩きJP」のYouTube活動を始めて2年目の山行記録です。まだ登録者さんが2000人にも満たなかった頃。

01 | ゴールデンウィーク

人生初めてのテント泊。GW最大イベント、もとい、この春の最大イベントとして楽しみに今日を待っていた。

ジュンに前日から我が家にお泊まりをしてもらって、持ち物整理をする。私が大きなザックを持っていないので、ジュンは私の日帰り登山用のULザックにマットをパンッパンに詰め込んでくれた。私は何も手を出すことができない。日帰り登山の用のザックにテント泊用の荷物がみちみちに詰め込まれるのを「なんかイメージと違うな…」と思いながら見ていたら、ジュンも「なんか違う」と取り出していたので、やっぱり違ったんだと思った。

1日目の目的地である山小屋に13時着きたい、そのために10時に登り開始できればいいからと朝7時に家を出発した。しかしGW初日の混み具合がものすごく、片道3時間の予定を結局6時間ぶっ通しで運転することになった。6時間運転していても、5月の良い気候のおかげでエアコン使わず、ガソリンは全然減らない。みんなどこへ行くんだろ〜と思っていたら山梨付近が激混みでさらにそのあとはスイスイだったので、みんなキャンプなんだなって分かったし、アウトドアが流行るのは健康な感じがしてなんかいいなと思った。

高速から八ヶ岳がくっきり見えて、すごくかっこいい。八ヶ岳の山容をこんなにはっきりくっきり見たのが初めてな感じがして、その迫力に圧倒される。「八ヶ岳」ってナイスネーミング。今まで八ヶ岳の形なんて登ったことある蓼科くらいしか意識したことなかったんだけど、この1年の登山歴でだいぶ山の名前覚えてきたからこれが何っていうのが紐づいた。当たり前だけど見る角度によって山の位置変わってくるのが面白いな。なんでかわかんないけど、この高速から見ている八ヶ岳が1番「八ヶ岳」なんじゃないか、と思った。

6時間も運転していたし、昨日準備で寝るのが遅くなってしまっていたので、真っ昼間なのに2人とも深夜テンションみたいに笑いのツボがおかしい。「ジュンは私の恩人…おんち…うんちみたい」っていうので2人で爆笑していたので相当疲れてた。私は八ヶ岳を見れたりして感極まっていたので、「ハァ〜〜〜〜〜〜・・・・・連れてきてくれてありがとう」とため息の後にお礼を言ったら、ジュンが「渋滞がきつくてため息ついたのかと思った」と言っていたので、ジュンが思う以上に私は呑気だった。

結局八ヶ岳山荘の駐車場に13時に到着し、きっかり3時間の遅れになってしまった。ジュンは「硫黄岳は比較的地味めな山だから大丈夫だと思うんだけど…」と言いながらも駐車場が混んでて停められないのでは?とずっと心配していたが、結局余裕を持って停められたので良かった。

02 | 双子登山家

駐車場降りた瞬間からちょっと暑くて、半袖でスタート。今回は動きやすさ重視の格好がいいだろうと思っていたので、お互い普段日帰り登山ではしないピタッとした格好だった。そのためか、丈感とかデザインとか2人ともそっくりで完全に双子コーデみたいになってしまった。双子コーデ嫌なわけじゃないんだけどお互いいい歳なので「あいつら双子コーデじゃん」と思われてしまうということがつい念頭に来てしまい、どうしても恥ずかしい。

でも駐車場代を払うために山荘に寄ったら、受付のお姉さんが可愛く「双子ですか?」と声をかけてくれたのが嬉しくて、「行ってらっしゃい〜」と言われてヘラヘラしながら2人で「はい〜」と言った。

今回の登山のテーマははっきりと決まっていた。「①ユウ初めてのテン泊を快適に過ごす」と「②ユウ初めてのがっちり登山靴に慣れる」の2つ。①の方はいつもの他力本願でジュンがなんとかしてくれるだろうと思っていたんだけど、②の方は本当に心配で、私は先日ジュンに連れて行ってもらったサカイヤで購入したこの新しい靴を本気で重りだと思っているので、こんなものを足につけながら何メートルも歩けるのかドキドキしていた。

ジュンが私にテン泊用のマットをくれて、それをなんとかザックにくくりつけて登ることになっていたんだけど、黄色いマットが頭の上で孔雀みたいにレイヤリングされて、紅白の小林幸子みたいになっていて見慣れるまでずっと面白い。

普段パッキングなんて本当にてきとうだけど、今回は荷物がたくさんあるためにきちんと整理されて入れてもらっていたので、重いんだけど背負いやすいので楽だった。

うちらの後に登山開始した3人組がどうやら目的地が一緒で、ジュンが「よかった、今から登る人もいるんだ」と安心していた。(例によって私はことの重大さがわかっていないので「ほ〜」と思った)

03 | 硫黄岳の川

私はここ最近の登山でオーバーペースのためにしんどくなってしまったという経験と、今回の靴に不慣れで苦手意識があるということから、とにかくビビりまくっていた。ジュンが急いでるのわかっていたけど「絶対ゆっくりになっちゃうごめんね」と念押ししておき、めちゃくちゃ無理のないペースで登山開始。だが、結論これがとてもよかった。ゆっくりなので息も上がらずおしゃべりをする余裕もあるし、景色を楽しむ余裕もある。休憩を取る必要がないから水分補給とゴープもぐもぐタイムに立ち止まるくらいでOK。結果的にロスタイムがほとんどなく、ジュンが「3時間半くらいかな」と見立てていた今日のコースを3時間切るペースで無理なくゴールすることができた。私の中で何か掴めた感じがして、すごくすごく嬉しかった。

前半戦、車が通れるようなじゃり道をずっと歩く道で、本当に登っているのか疑問だった。後からYAMAPで確認したらしっかり傾き1/3の1次関数になっていて、登っている感覚がほぼないからお得だなと思った。登山口のところから先に赤岳山荘とか色々駐車場があって、こっちにも車停められたのかな、と思った

途中から登山道らしい森に入り、橋で川をあっちこっちに行き来するルートでとても楽しかった。川の音が心地良い。「硫黄岳」というだけあって、秋川渓谷の川と違って少し濁りがあるというか、白濁というほどではないけど少し色がついていて、綺麗。川幅自体は細いんだけど、流れが雄大で、音が心地よくて、色はカラフルで。鉱物の関係で川底はオレンジ色のところが多かった。石を触ってみると、手にオレンジ色がついた。時間が遅くなっているため山全体が若干夕日っぽい色合いになっているので、川の色とマッチしていた。

歩きながら「学生時代ジュンとこんなに仲良くなると思っていなったよ」と言ったら、ジュンが「私も学生時代ジュンとこんなに仲良くしてくれると思ってなかったよ」と言っていて、そこは「学生時代ユウとこんなに仲良くなると思ってなかったよ」でいいのにそう言わないところがジュンらしくて面白かった。

ジュンは今回で3回目の硫黄岳で、前2回は雪山シーズンで来ており、なんなら雪山デビューは硫黄岳だったらしく、ジュンの思い出の山だった。どこもかしこも雪山の時とは形が違くなっているので、ジュンも新鮮に楽しんでいる感じがした。

川の色が登っていくに従って変わっていく。オレンジの川の暖色がだんだん強くなり、赤、赤茶、茶色と変化していっていて、面白かった。

04 | 赤岳鉱泉

そんなこんなで全然疲れもせずに赤岳鉱泉に到着。テン場をこんな近くでみるのが初めてだったんだけど、カラフルでかわいかった。可愛いテントたちだけを撮りたかったんだけどジュンが画角にいて邪魔だったので「そこどいて」と言った。今まで写真に写ってほしい指示はあれどどいてほしい指示は初めてだったので、ちょっとだけジュンが拗ねてて面白かった。

着いた時間は16時すぎ。時間のせいだと思うけど初めてのテン場は妙な静けさで、大声で喋ったらいけない図書館みたいな雰囲気。みんなでこの山の空気を守ってる感じがして神聖な場所な感じがした。

赤岳鉱泉は私の中で定義していた山小屋のイメージからすると、だいぶ綺麗だった。山小屋って何かしらを我慢しながら滞在するイメージだったんだけど、全然快適に過ごせるじゃん、と思った。山小屋のディティール1つ1つが手作りな感じがする。赤岳鉱泉にジュンの知り合いが働いていて、2人が久々の再会を喜んでいて、よかった。

初めてのテント張り。ジュンが持ってきてくれたテントを全く主体性なく言われるがまま、張る。かなりスムーズにできたが、きっとジュンがかつてこれが本職だったからスルーンとできているんだろうな〜(鼻ほじほじ)と思った。私はジュンにポールを持って来ることを任せてもらっていたんだけど(てかジュンが私のザックに詰めた)、ここに来るまで何回も「ポール持った?」と確認されていた。その度に「持ったよーん(軽)」と言っていたんだけど、ポール忘れって結構あるあるミスなことを教えてもらったし、実際にテント組み立ててみたらめっちゃくちゃ重要なパーツだったから、私が運んだパーツが重要だったということに誇らしい気持ちになった(単純の極み)。

テント張りは楽しかった。私が何もしなくてもするする立っていくから。完成したジュンのテントめちゃ可愛かったし、ジュンのザックの中にこんなのが入っていたと思うと四次元ポケットみたいで楽しいなと思った。私の小林幸子と寝袋も無事テント内に敷かれたけど、どう見ても明らかに私の方が快適な寝床になっていたので「ジュン…君ってやつは…」となった。ジュンに何か指示をされてテントの中に入ったんだけど、その際に靴を脱がなかったのでジュンに「テントに土足で入る人初めて見た」と言われた。

05 | 山小屋の夜

テントが貼れたら、すぐに夕飯!この日のメニューはステーキで、ステーキがいいなと思っていたので嬉しかった。ご飯をおかわりしたら、お腹がいっぱいになった。ステーキは自分で焼くんだけど、ひっくり返さなきゃいけなくて、私がひっくり返すセンスが無さすぎて肉がめちゃくちゃに暴れており、ジュンの肉は綺麗に整列できていたので、差を感じて悲しくなった。

私たちと同じテーブルにカップルが座っていたんだけど、私がトイレに行っている間にジュンが話しかけたれたらしく、めちゃくちゃ褒められたと言っていた。「お姉さんたちがテン場に現れた時カッコ良すぎてオーラありすぎてめちゃくちゃ目立ってました。隣のテントだったので、話しかけたいなーどうしよと思ってたら席も隣だったので、話しかけちゃいました」みたいな内容だったらしく、嬉しすぎ!?となった。私いないとこで話しててずるい。お姉さんに言われたことがうちらの中でヒットしすぎて、今年の我々の目標が「オーラをつける」になった。

ジュンの提案でCOEDOビールを持参していたんだけど、これがもうめっっちゃよくて、大して歩いていないのにビールで流し込むご飯がめっちゃくちゃ美味しかったこと。コエドビールは水場のところでしっかり冷えていて、気持ちよかった。ご飯食べる時って黙々と食べた方が美味しいし楽しいって最近思う。食リポとかいらん。動画的には必要なんだけど。

ご飯の後、テントに戻っておつまみ持って談話室に行った。さっき声かけてくれたお姉さんたちがいてまた話ができた。カップル二人がとても絵になっていたから、写真を撮らせてもらった。山にいると絵になる人すごくたくさん見るから、実際に撮りたいと思った構図で撮らせてもらえて嬉しかった。

談話室、Wi-Fi繋げられてどんだけ便利やねんと思った。でもそのおかげで知り合った方々とSNS交換ができた。今回山では読書するつもりでKindleで本を購入していたけど、そこまでは叶わなかった。談話室で話しかけてくれた男性2人と話をした。YAMAP交換しましょうと言ったら、みんなYAMAPよりインスタをあげているらしく、今時みんなインスタなのかーと思った。その後、さっきのカップルも合流して話して最高の夜だった。知り合った男性が私たちに飲み物をご馳走してくれることになり、さっき売店で見て「いいなー」と言っていた地ビールを買ってもらった。2つ合わせると八ヶ岳の山容が見えるデザインだった。

ジュンが「今回で3回目の硫黄岳なんです」と言ったら、みんなに「えっ、そんなに若いのに?だってまだ10代でしょ?」と史上最強に若く見られており、「えっと、一応来年で30です…」と言った。ジュンが今までの登山や仕事での経験を語ったらみんなすごく驚いていて、「じゃああなたが1番すごいじゃない」と言っていて、私からしたらジュンが経験豊富で頼れるのはもはや当たり前のことなので「やっぱジュンってすごいのか」と再認識した。

ビールを飲みながら「今まで登った中で1番最高だった経験は?」と聞いたら、「尾瀬で、何かの流星群が来る日にたまたまテン泊した時に見た空が忘れられない」と話してくれて、実際に見たわけでもないのにその景色が頭から離れなくなってしまった。林の端から林の端へ、一本の線で繋がるように流星が見えるらしい。そんなことってある?人生で1番の絶景に、私もいつか出会いたい。

夜に食堂へ行ったら赤岳鉱泉のスタッフさんたちが夕飯を食べていて、それが骨付き肉だったので山賊っぽくてかっこよかった。

21時にテントに戻ってもそもそと着替え、就寝した。寒かったけど、インナーシュラフと寝袋にくるまったら暖かかった。インナーシュラフのこと、なんだこのペラペラな布と思って舐め散らかしてテキトーにくるまっていたんだけど、ジュンに注意されてちゃんと使ったらめちゃくちゃ暖かくてごめんと思った。道具ってすごい。テントの頭側のに水場があるので、雨の日みたいに頭の上で水の音がずっとしていて、それが静けさを際立たせている感じがした。修学旅行の夜みたいなテンションになって動画を撮ってみたら盛れていたので「盛れてる!」と言ったら声がでかくてジュンに怒られた。

ジュンは私がきちんと寝られるか心配していたけど、そんな心配も露知らず。家よりしっかり眠くなって、さっさと入眠した。

続く。

こちらの文章の山行動画はこちらです。

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