1995年に世界初となるチタン製品がエバニューから生まれてから、今年で30年になります。僕が子供の頃、両親に連れられキャンプを楽しんでいましたが、当時クッカーというとアルミかステンレスでした。物心がついて登山をするようになるとチタン製のクッカーは当たり前のようにお店に陳列されていましたが、その歴史はまだ浅く、新潟県燕三条の職人さんの努力なくしては実現できなかったプロダクトです。今回紹介するエバニューのApexcupt0.2は世界初となる0.2mm厚のクッカーです。
今回はこの驚くような薄さのクッカーエバニューApexcupt0.2のスペックと、デザインの特徴、スタッキングアイディアについて紹介をします。
エバニューApexcupt0.2のスペック

まずはじめに0.2mm厚というのがどのような位置付けなのか簡単に紹介します。チタン製カップ、チタン製クッカーと呼ばれている製品の多くが板厚0.4mmのチタニウムを採用しています。僕が使っているスノーピーク「チタンシングルマグ220」は板厚0.4mmで、エバニューの570Cupや400FDは板厚0.3mmです。
そして今回紹介するApexcupt0.2は板厚0.2mmで世界初となるプロダクトに位置付けられます。
重量に換算すると
- 0.3:0.4から25%軽量化
- 0.2:0.3から33%軽量化、0.4から50%軽量化
となります。このカテゴリーにおいては軽さと耐久性はトレードオフの関係にあります。
- サイズ:外径91×内径87×深さ57mm(高さ59mm)
- 容量:300ml
- 重量:29g
スペック上では29gとありますが、実際に測ると25gでした。ウィルドゥのフォルダーカップが約24.5gなので、ほとんど同じ重さです。
Apexcupt0.2は、職人さんから「もっと薄いものを作ることができる」という逆提案から生まれたようです。
エバニューApexcupt0.2のデザインの特徴

板厚0.2mmとなると軽量になる恩恵を授かるだけでなく、熱抵抗が下がるので早くお湯を沸かすことができます。熱伝導率は熱が伝わるスピードを言いますが、熱抵抗は物理的な金属の薄さから熱効率が上がります。これは燃料の消費を抑えることにもつながるので結果、長期縦走であれば小さなガス缶のみで行動することができるという意味で軽量化にも繋がります。
次にサイズです。まずは径から見ていきましょう。

Apexcupt0.2の最も特徴的と言って良いのがOD缶に気持ちよくフィットすることです。OD缶にピタッとフィットさせることができます。

そしてApexcupの最大径91mmは、OD缶の最大径と同等に作られています。Apexcupの最大径91mmは縁巻き部分で、OD缶の最大径91mmはボトムの色がついていない縁部分です。ここの径が同等なので、OD缶が入るスペースにはApexcupt0.2も必ず入るということです。

次に深さと高さです。深さはOD缶を入れた時にOD缶のボトムの色がついていない縁部分に接触しないように作られています。これには理由があって、チタンは錆びない金属なのに対し、ガス缶はスチール製なので、サビが生じます。Apexcupの縁とガス缶の錆びている部分が接触してしまっていると、チタンはそもそも錆びない金属なのに、サビが移ってしまいます。口をつける箇所、お湯が流れる箇所にサビがあると大変問題なので、このようなことがないように深さを調整しています。


また高さはエバニューで最も売れている400FDの中にApexcupをスタッキングした時に、400FDの蓋であるマルチディッシュが浮いてしまわないようにデザインしています。これはエバニューのクッカー同士をスタッキングする時の悩みを解決するもので、Apexcup>400FD>570cupという順番でスタッキングしても蓋ができるようにサイズ調整されています。
エバニューApexcupt0.2のスタッキングアイディア

Apexcupt0.2はエバニュー製品の中では、400FDの中、Mugpot500の中へ、美しい収納が可能です。Mugpot500はガス缶を収納した上にコンパクトなガスストーブの収納が可能であること、400FDにおいては、Apexcupt0.2を収納して、570CUPの中に収納され、マトリョーシカのように複数のクッカーを持ち歩くのに便利です。


Apexcupt0.2をウィルドゥのフォルダーカップがわりに使用すれば、装備をコンパクトにして持ち歩くことが可能です。

僕が気に入っているApexcupt0.2を使用したスタッキングは、Apexcupt0.2の中にOD缶を収納して、VIAUDEの山のうつわ小(サイズは直径9.5cm 高さ4.6cm)で重量が38gです。そしてこのセットを逆さまにして、OD缶を400FDに収納するようにスタッキングします。

Apexcupt0.2で飲み物を飲み、山のうつわは食事用のお皿、400FDは湯沸かし専用クッカーとして使用するという使い方です。

VIAUDEの山のうつわ小の代わりに400FDを食事用のお皿に使い、トランギアのマイクロライトを湯沸かし専用クッカーとして使用するという使い方もおすすめです。OD缶を収納したApexcupt0.2を400FDの中に収納して、それをトランギアのマイクロライトの中にスタッキングします。570CUPでも良いのですが、トランギアのマイクロライトの方がフィット感がよいです。注意が必要なのは400FDはNH(ノーハンドル)か、ハンドルを取るかしないと収納できないです。
このようにApexcupt0.2はコンパクトなクッカーとの相性が良く、様々な使い方が可能です。