今年の登山の振り返りをしては、不快だったこと、課題だと感じたことを洗い出し解決に努めるようにしています。また長年、使用している道具においては経年劣化や故障などで買い換えるようにし、山の中で壊れることがないようにリスクヘッジをすることも大事だと思います。
今回は2025年3シーズンの登山で最も活躍したアイテムを10個紹介したいと思います。なぜ導入することになったのか、以前使っていた装備の課題も踏まえて紹介をしていきます。
ULカーボン・トレッキングポール&ダイニーマ製ショルダーポケット



トレッキングポールは正しい使い方をすれば、登山で体力温存をすることができます。トレッキングポールは1本がよいか2本がよいか?というと、足にかかる衝撃を少なくするのであれば2本がおすすめだし、起伏が激しい登山道を歩いているとポール1本の方が両手がふさがらないので、転倒が防ぎやすい、というメリットがあり、一概に正解がないのですが、僕の場合は高所登山に出かけることが多く、起伏が激しい登山道が多いので1本使いというのが多いです。
岩場が多くなる鎖場が出現するエリアにおいては、ザックを降ろさず素早くトレッキングポールを片付けることができると良いなあ〜と思うことが多かったのが2024年の登山でした。
トレッキングポールは軽量であるだけでなく、仕舞寸法が短いので片付けがとても楽になります。そんな思いで取り入れたのがULカーボン・トレッキングポールです。

このトレッキングポールは、120cmで重量141g。今まで使っていたモンベルのU.L.フォールディングポール120が163gなので、22gも軽く、持った時に驚くような軽さです。トレッキングポールの先のプロテクターを外せば125gです。
仕舞寸法は120cmのポールで30cm、モンベルのU.L.フォールディングポール120が39cmなので、約10cm短いスペックです。
価格もモンベルのアルミ製トレッキングポールで税込8,100円なのに対し、ULカーボン・トレッキングポールはカーボンポールで9,490円です。

軽量で仕舞寸法が短いので、ザックに取り付けられたポールのコードに固定させやすく、ザックにコードがなければ、ダイニーマ製ショルダーポケットに収納させることができるので、岩場や鎖場が多い山道ですごく便利です。
オールメッシュ・速乾メリノウール・Tシャツ&タンクトップ



年々気温が高くなり、2025年は「40度超の危険な暑さ」というニュースを見ることもしばしばです。富士山の気温を調べてみたところ
- 2022年8月:6.3度
- 2023年8月:6.4度
- 2024年8月:6.3度
- 2025年7月:7.5度
2025年は異様な暑さを感じます。登山で汗をかきすぎないように行動するというのも年々重要視されてくると考えています。
僕は大変汗っかきなので、毎年より涼しいベースレイヤーを探し続けては、行動着の改善を続けているのですが、2025年の着用回数が最も多いのが、メリノウール50%、ポリエステル50%のオールメッシュ・速乾メリノウール・Tシャツとタンクトップです。

メッシュという名前の通り、細かい物理的な穴が無数に備わったベースレイヤーなのですが、とにかく透けづらく、一枚で着用することで、快適な登山を実行することができます。
テント泊登山の場合は着替えにTシャツを一枚持っていくのですが、もしも意図しない寒気が入って寒くなっても、オールメッシュの上からTシャツを着用することで体の冷えを抑制できます。
秋冬の季節はアミアミと形容されるファイントラックのドライレイヤーや、ミレーのドライナミックメッシュと同じ位置づけで着用することができるので、1年中着用することができるアイテムです。
BEDROCK SANDALS Cairn EVO(ケルンエボ)

BEDROCK SANDALSのCairn EVOを履いた瞬間、そのフィット感に驚きを隠せませんでした。まず特筆すべきは、3点調整可能なストラップシステム。足を入れてから踵のアジャスターでしっかり固定、次に甲の内側、最後に甲の外側という順番で調整することで、ぴったりなのに窮屈さは一切なく、「自分の足に合わせて作られた」ような感覚が得られます。

長時間の歩行やランニングでも足への負担をほとんど感じさせません。14mmのスタックハイトでありながら、ゼロドロップ設計なので、自身の"自然な姿勢"で地面を踏みしめる感覚を楽しめます。

アウトソールには高機能Vibram®のXSTrek EVOを採用。水辺でもぬかるみでも、濡れた路面でもしっかりグリップする信頼感があり、耐久性にも優れているため、岩場や未舗装の山道など、タフな環境でも安心して歩けます。加えて、グリップ溝が深すぎない設計なのも気に入っています。細かな凹凸が土や小石を払い落としてくれるため、常にソールが地面に馴染んで滑りづらいです。
さらに、ソール表面には「グラナイトグリップ」と呼ばれるダイヤモンドパターンが施されていて、裸足で履いても汗でぺたつかず、いつもさらっと快適。水に濡れたときでも、この構造によって水が逃げ場を見つけてくれるので、不快感がありません。インソール(フットヘッド)は、つま先部分がワイドに設計されていて、足指を自然に広げて地面をしっかり掴めるようになっている点も◎
うめラル&メモリ付き登山用ウォータボトル485ml

年々気温が高くなることによる、もう一つのリスクが熱中症です。熱中症対策のために今まで塩熱サプリを行動食に取り入れていたのですが、できれば水分補給の時に一緒に塩分を取り入れたいと考え、うめラルを導入しました。
このうめラルは、梅、紫蘇、塩だけで甘くなく、水と混ぜる量を調整することで味の濃さも決めることができます。そしてスポーツドリンクは甘くて美味しいので飲み過ぎてしまいがちであること、また行動食も甘いものを食べていると口の中がベタベタしてしまうことから、甘くない酸っぱい梅ジュースというのがとても好みです。
紫蘇が入ることで、華やかな香りと、紫蘇による殺菌作用で保存性を高め、解熱効果があるらしく登山でとても良い食品だと考えています。
梅干しは熱中症対策に良いとされていて、以前は梅干しやレモンをジップロックに入れて持って行くことがありましたが、種が出るし、手がベタベタになりやすいのが課題でした。

またコンビニでおにぎりを購入して山で食べるとき、全体的に味が薄いと感じること、おにぎりの中心の具に到達するまで塩味がないのが悲しく感じることから、おにぎりを食べる時にうめラルを付けて食べています。
ここで僕が最近やっているおすすめレシピを紹介します。このレシピでコンビニおにぎりを卒業できます。家でお米を炊いたら1合のお米に対し、うめラル大さじ2、細かく刻んだネギ多め、白胡麻少々、胡麻油大さじ1をボールで混ぜて、持っていきます。
このおにぎり、美味しいだけでなく、ごま油のカロリーも摂取できるので、山の食事としてすごくおすすめです。
アルファダイレクト60ジャケット

わずか98g(Sサイズ)という、世界最軽量級のミドルレイヤーを目指して開発された一着で、余分なものを削ぎ落とし、ポケットもフードもない究極にシンプルなフルジップ仕様です。
8月といえども高所では意図せず寒くなることもあるので、念のために持って行きたいのがミドルレイヤーだと思います。フリースで軽量なもので、例えばパタゴニアのR1エア・フルジップ・フーディで約366gだから、アルファダイレクト60ジャケットに変えると約260gも軽量化することができます。
おまけにウィンドブレーカーと組み合わせれば様々なレイヤリングが可能なので、行動中の体温調整も容易に行えます。
さらに3シーズンだけでなく冬になればハードシェルと組み合わせたり、日常では部屋着、テント泊登山用のパジャマにも使えます。ダウンジャケットだと、体の熱がシュラフに移動しづらいのですが、アルファダイレクトであればシュラフに熱が移動し、シュラフの機能を最大限活かすことができます。
アルファダイレクト60はアルファダイレクトの中で最も軽量で、暑がりな人向け、秋冬の中低山登山のミドルレイヤーとして最適です。
山の帆布工房帆布と熊鈴

2025年の熊の出没件数は過去最多となり、山の中に入るアクティビティでは今まで以上に警戒が必要になってきました。熊スプレーはもちろん、熊鈴やホイッスルなども必須装備に加えて行動するようにしています。熊鈴は使っても意味がないという意見もあると思いますが、僕は全ての場所や熊に対して効果があるとは考えておらず、効果があるシーンもあるぐらいと考え、熊が出そうなエリアでは片手に熊スプレー、片手にトレッキングポールと熊鈴というような出立ちで歩いています。
熊スプレーは風下に居てはスプレーが熊に届かないこともあるしと考え、武器としてのトレッキングポールぐらいで考えています。
最近手に入れた山の帆布工房の「帆布と熊鈴」は、「あの角を曲がって急に出てきたらどうしよう?」と勘を働かせて、意図して熊鈴を鳴らせるように、親指に通して使えるようにデザインされています。
このループ部分にカラビナを引っかければザックにぶら下げておくこともできます。
視界が広がったエリア、街に出て熊鈴を鳴らしたくない時は、ストラップの中に内蔵されたネオジム磁石に熊鈴をくっ付ければ音が鳴らなくなるというユニークなデザインです。さらにロゴが刺繍された袋の中にもネオジム磁石が内蔵されていて、これを鈴の中に入れることで音が鳴らない状態でしっかりと固定します。
この袋は神社のお守りをイメージしたデザインにもなっていて、機能美にも優れたプロダクトだなあと感心します。
手拭い

手拭いは山でマルチに使えるアイテムで、持っているとあって良かったと思うことが多いです。シンプルに使う時は汗拭きタオルとして首に巻いたり、チェストベルトに引っ掛けたりして使用します。
日差しが強い場所で休憩する時は頭の上からかぶせて首や耳の日焼け防止になります。
マスクのように巻けば口元の日焼け対策、また二酸化炭素は多くの昆虫にとって重要な誘引物質であり、特に蚊やアブなどの吸血性昆虫は、人の呼吸によって排出される二酸化炭素に強く引き寄せられるので、アブや蚊が多い場所でマスク代わりとして手ぬぐいを使うのはとても有効だと思います。
また凍らせたペットボトルを手ぬぐいに積んでおくことで、手ぬぐいが断熱材になり、さらに結露を拭く役割も果たしとても便利です。包帯のような使い方、手首に巻いて汗拭きにも使えます。
汚れて処分するのではなく、雑巾のような使い方をすれば、本当にボロボロになるまで使うことができます。
虫除けスプレー

今年は過去一番暑い季節で、虫除けスプレーは非常に重宝しました。僕は虫除けスプレーを自作していて、イカリジン85、ハッカ油10、シトロネラオイル5ぐらいのバランスで調合して、小さなスプレーボトルに入れています。ハッカ油の配合を多くすると、虫に対する忌避効果は増します。しかしながら多く入れすぎると肌に付着した時にヒリヒリするので注意が必要です。
また顔の周りにたかられるのが嫌で、ハッカ油の配合が強い虫除けをスプレーをすると、目が開かなくなるほど痛くなってしまうので、顔に付着させたい時は一度手につけて耳、頬、顎に叩いてつけるような使い方をしています。
シトロネラオイルは特に蚊除けに強い効果を感じます、それ以外もハエ、登山道に舞う正体不明の羽虫にも効果を感じます。ハッカ油は忌避効果があり、イカリジンは虫除けというより人間や動物が発する二酸化炭素や体温、匂いなどの情報を感知する能力を撹乱させ、吸血行動を阻止する効果があるとされています。
またイカリジンはディートと同様の効果がありますが、ディートはコーティングされている様々な衣類、道具に影響を及ぼす可能性があるので、使わないようにしています。ディートが配合された虫除けスプレーをテントやザックに振りかけている人を見ますが、これは絶対やめた方がいいと思います。
モンベル ロールアップドライショルダー

モンベルってたくさんの商品があるので、結果としてあまり目立たない良い商品というものが存在する面白いブランドだと思います。僕が今年購入したロールアップドライショルダーはイワナを釣った時にテント場まで活かして持っていくために購入したものなのですが、本来の使用は濡らしたくないカメラやスマートフォンなどのガジェットを収納することができるサコッシュのような使い方ができるプロダクトです。

なので内側には緩衝性のある3Dメッシュ素材がライニングされていたのですが、僕の場合は必要がないのでカットしてしまいました。ドライバッグのような使い方ができて、それを肩掛けして持ち歩けるアイテムというのはなかなかなく、濡らしたくないものを持ち歩くのに便利だと思います。