5. 3日目石鎚山
翌朝4時半のアラームでちゃんと目覚めたし、ちゃんと5時に宿を出発できた。石鎚山は体力のいる山だと聞いていたので、なるべく時間に余裕を持ってスタートするんだ。ロープウェイは7時から動いている。
5時の高知にグッバイした。路面電車の線路の脇を走る。ものすごく晴れていて気持ちがいいな。今日もずっと川の脇を通る道だった。石鎚山まで2時間。
石鎚山は非常に歩きやすい山で、スポ少小学生のトレーニングの団体などもいた。背中をみると少林寺拳法の子達だった。ジュンは途中の小屋で冷やしあめゆを飲んでいた。
やはり名物の鎖場は渋滞していて、巻道を使う人も多い。試しの鎖、1の鎖、2の鎖までは挑戦したが、2の鎖が混みすぎで怖い思いをしたので3の鎖は周回した。

石鎚山の山頂に着くとガスっており、ありちゃんの絵で見た天狗岳は綺麗には見えなかった。それでも1時間ほど時間を潰していると時折ガスが切れて青空と緑の天狗岳を見ることができた。これこれ、これが石鎚山の景色。
剣山も石鎚山も、ずっと電波が入っているので山頂でありちゃんにラインができて、なんだか変な感じ。

鎖場以外は終始非常に歩きやすい道なので、下山はサクッと。
流石に体力が有り余っておりカラオケ行こーとなったが、今日のゲストハウスは門限は22時だった。それまでに帰ってこられる自信がなく断念。
その代わりしっかり昼寝も夜寝もしたし、おかげで私は帰りの新幹線まで元気が続いた。
ジュンは眠れなかったらしい。夜ご飯は西条市の名物だというナポリタンを食べ、オレンジビールを飲んだ。

6. 帰宅、故郷とは
最終日は愛媛。朝市に行って海鮮をいただき、そのあと今治市のタオル博物館へ。混んでいたので先にお土産を見ようとお土産屋さんを検索。
四国のお土産が全て買えるお店がいいね、と私が探してたどり着いたお土産屋さんは「おみやげ四国」という名前の高島屋に隣接したホテルの宿泊客用の売店だった。
どう考えても私たちが行きたい感じのお土産屋さんじゃないところにたどり着いてしまったことになんだかツボってしまい涙が出るほど大笑いしたが、私以外誰も笑っていなかったので全員ブチギレていた可能性ある。ごめんね。
ということで改めて道の駅を検索して訪れた。正直道の駅のお土産のレパートリーもさっきの売店と別に変わらなかったけど、雰囲気が大事だよねやっぱり。
私はミレービスケットをお土産に買うんだと決めていたが、ここには売っていなかった。
というか気づいたが、四国はみんなで四国だぜみたいな感じが割とない。愛媛にはみかんのお土産しか売ってないし、ミレービスケットは高知にしかない。うどんを推していたのも香川だけだった。信じられない。関東なんて本当にどこででも信玄餅買えるぞ。
四国各県のプライドのせいで、結局私は最後までミレービスケットを買うことが叶わず、職場の人へのお土産が亡きものとなった。まあ仕事休んで行ってるわけじゃないからいいか。
今治タオル博物館は三重で行ったタイル博物館のような雰囲気を期待していたが「何事も描けるキャンバスになれる」というタオルの特性上キャラクターとのコラボが凄まじく、ここでもこれじゃない感が強かった。
自分の想像力が乏しいせいなのに、必死になって他責で旅してる。ジュンは可愛いタオルを見つけて購入していたので、本当に私の感性が浅いだけだ。私は道の駅で、みかんの香りのねり香水を買った。
丸亀市で車を返さないといけないので、再び香川へ戻る。2杯目のうどんも食べた。旅の初めと終わりをうどんで締め括り、この旅が全てうどんになった。

旅行をするとは、誰かの故郷に訪れることだ。
私は地元を愛せないけど、特急「しおかぜ」の窓が汚い四国のことも愛せない。
だけどかつて兄弟と過ごした夏の田んぼ道は愛おしいし、柴犬と母がベッドに横たわって眠るよく風が通る我が家が好きだ。
綺麗な讃岐富士も、モチモチのうどんも、山から見えた瀬戸内海も、秋にはきっともっと綺麗な天狗岳の頂も好きだし、足をつけた祖谷渓の水の色は忘れない。
地元を好きとか、この土地が好きとか、私にとってはそういうこと。自分中心でしか物事を考えられない私の頭の中の地図が、一箇所一箇所塗られて、それがそのまま私の人生になる。深めるというより、自分を広げる感じ。

下の世代に何かえらそうに語ることを一生しないと誓うので、感性で感じ取ったものだけを信じさせてくれ。

