
■谷川岳定番、ぐるっと一周「谷川岳馬蹄形縦走」の半分
ガチ山屋の定番、谷川馬蹄形とは谷川岳から一ノ倉岳、茂倉岳、武能岳を経て蓬峠(よもぎとうげ)へ下り、さらに笠ヶ岳、白毛門を通って土合へ戻るというロングルート。距離も標高差も大きく"試練の山旅"。谷川連峰の壮大な地形やスケール感をまるごと体感できる名コースは約25キロを15時間以上かけて巡ります。1泊でもハードですが日帰りする猛者も。
ただ、ガチ山勢じゃない自分や娘には、ちょっとハード……。そんな人にぴったりなのが「馬蹄形の東半分ルート」。茂倉岳から武能岳を経て、茂倉沢や武能沢を下り、湯檜曽川沿いに帰るコース。行動時間も馬蹄形より短く、体力的にも無理ないのに谷川連峰の"真髄"ともいえるダイナミズムをしっかり味わえます。
稜線では360度の大パノラマ、沢に下ればブナ林と清流の癒し。滑りやすい箇所もあるけれど、慎重に歩けば問題なし。「試練」ではなく、「体験」としての山歩きを楽しみたい人に、もってこいのルート! と、、、書きましたが茂倉岳から土合まで14キロ、9-10時間の行程はそれなりの装備と入念な天気予報予習が必要なことは言うまでもありません。

■茂倉岳の夜明け茂倉岳(しげくらだけ)は標高1,978m。谷川連峰の主脈に位置し、谷川岳から一ノ倉岳を経てたどり着く穏やかな山容のピーク。晴天時には苗場山や越後三山、遠く北アルプスまで望めることもあります。山頂直下には茂倉岳避難小屋が建ち、我々はそこに宿泊。水場にトイレ有りと谷川連峰縦走の中継点として最高に良いとこです。




小屋から10分少々、一ノ倉岳から登る朝日を。この日、2024年10月27日の日の出は5時58分。


■谷川連峰 静と動─茂倉岳から武能岳、稜線が紡ぐ天空の縦走路
茂倉岳の頂から武能岳へと続く稜線は、谷川連峰の中でも静かで重厚な空気に包まれた縦走路。岩稜と草原が交錯する道は、展望に恵まれながらも人影は少なく、秋には紅葉が稜線を彩ります。武能岳に近づくにつれ、岩肌に張り付くような赤が際立ち、低山とは思えない迫力。


武能岳の重厚な山容が迫ります。




茂倉沢を昇る錦の紅葉が実に美しい、、、写真では感動の半分伝わらない。

■谷川連峰の隠れた名峰─武能岳、紅葉に染まる岩塊
山頂まで長くはないけどがっつり登り。武能岳(ぶのうだけ)は、谷川連峰の一角にそびえる標高1760mの山。2000m未満とは思えない重厚な山容と、秋に岩肌へ張り付くように染まる紅葉が印象的。燃えるような赤が岩壁を彩ります。雪崩地形が生んだ急峻な斜面と、静けさに包まれた稜線歩きは、低山とは思えないスケール感。山に静かで力強い美しさを求めるなら武能岳は隠れた名峰です。

振り返ると茂倉岳を仰ぐ素晴らしい眺め、なんて美しい。


急峻な斜面を越えると、山頂からの大展望が待っています。周囲の峰々を見渡すと、谷川連峰の雄大さを実感。







■谷川連峰の静寂を辿る──武能岳から土合へ、沢沿いの縦走路
武能岳から土合駅へと至る登山道は、白樺沢と武能沢の間を縫うように進む、谷川連峰の静かな裏ルート。武能岳の重厚な山容を越えると、沢沿いの道へと下り始める。武能沢では岩壁に沿って紅葉が張り付き、秋の彩りが静寂の中に映える。白樺沢では苔むした岩と滝の音が心を癒し(滑りやすくて怖い(^^;です)、沢の流れに寄り添うように進む道は、変化に富んだ地形と自然の美しさを存分に。やがて谷川岳ロープウェイの見張小屋を過ぎ、土合駅へとたどり着くこのルートは、喧騒無く谷川連峰の奥深さを知ります。



■仰ぎ見る笠ヶ岳──紅葉が彩る谷川連峰の静寂
目の前に広がるのは、紅葉に染まる笠ヶ岳・白毛門の穏やかな山容。赤や黄に彩られた斜面が秋空に映え、谷川連峰の荒々しさとは対照的な静けさを湛えます。


幾度となく訪れる小さな沢の徒渉は滑りやすく結構厄介。

白樺避難小屋は、谷川連峰の稜線上にひっそりと佇む無人の避難施設。白樺林に囲まれ、秋には赤や黄の葉が小屋を包む。緊急時のみ使用可能.




晩秋の彩の極みを見れます。







昨日はあの頂の稜線を歩いてた訳です。


小屋からここまで10キロ、あと3キロもあるのか、、、9時間近く歩いた身には長い、、、、





早朝から歩くこと14キロ、10時間、晩秋の紅葉に彩られた谷川岳・馬蹄形ハーフ縦走を無事に完歩。日没と日の出に染まる無限の稜線、一ノ倉ノゾキの緊張感、武能岳からの大らかな稜線に心が躍りました。2日目の快晴で白毛門 に笠ヶ岳、谷川連峰の紅葉斜面はさらに鮮やかに。親子で歩いた特別な2日間の山旅でした。
■ 下山後のお楽しみ 鈴森の湯
下山したらとにかく風呂!なにより風呂! 一刻も早く風呂でしょう。水上の阿能川沿いに佇む鈴森の湯。ぬる湯の源泉かけ流しが心地よく、木の香り漂う内湯や渓流を望む露天で、日常の疲れや登山の疲れをゆっくりほぐせます。四季折々の景色と湯けむりが、体も心もそっと癒してくれる温泉です。

住所:群馬県利根郡みなかみ町阿能川1009-2
入浴料(2時間・入湯税・消費税込):大人900円、小学生500円、幼児(3歳以上)400円。
営業時間:11:00~20:00(最終受付19:00/季節変動あり)
定休日:毎週水曜日(祝日の場合は翌日休み)
泉質・特徴:カルシウム-硫酸塩泉(低張性弱アルカリ性低温泉)、源泉かけ流し。
■ 腹ペコ親子は大満足「だるま」
水上の路地裏に、昭和の香り漂う「だるま」。海鮮丼のネタは新鮮で、焼き鳥丼は香ばしくてたまらない。ぶっきらぼうに見える店主も話してみると気さくで、地元に通じた裏話も聞け、思わず長居したくなるあたたかさ。下山後ふらりと立ち寄りたい、そんな味と空気のある店です。お洒落とか全く無縁、若いカップル向きではないのはご承知おきを。



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