登山やバックパッキングで「できる限り荷物を軽くしたい」人にとって、ダウンジャケットの選択は永遠のテーマです。今回紹介するブラックダイヤモンドのダウンフーディーは、まさにその答えのひとつ。4デニールナイロンと1000フィルパワーグースダウンという組み合わせにより、2025年時点で同クラス最軽量を誇るダウンジャケットです。
羽のように軽く、信じられないほど暖かい─そんな矛盾を両立した一着です。
製品名:メンズ ディプロイダウン0.5フルジップフーディー
価格:¥72,600 (税込)
重量:160g(Mサイズ)
ダウン重量:
フィッティング:スリム
素材:[シェル/ライニング]4Dナイロンウルトラライトリップストップ(ナイロン100%、17g/m2)
[中綿]1000フィルパワーグースダウン(ダウン95%、フェザー5%)
圧倒的な軽さと携行性

まず注目したいのは、スペック上でMサイズ160g(実測159.3g)という驚異的な軽さ。プルオーバータイプはさらに軽く、Mサイズで148gという数字を叩き出しています。
この軽さは、超軽量な4Dリップストップナイロンと、余分な調整機構を徹底的に省いた設計によるものです。


一般的な軽量ダウンの多くは、袖口や裾にドローコード、フードにアジャスターを備えていますが、このモデルではそれらを一切排除。その潔さが、圧倒的な軽量化に直結しています。
それでも着心地や動きやすさは損なわれておらず、肩の動きを邪魔しないラグランスリーブ構造や、ヘルメット対応フードなど、登山ブランドならではの実用的ディテールはしっかり残されています。
フードにも収納できるポケッタブル仕様



収納性にも優れており、フードへ折りたたむほか、左のジッパーポケットにコンパクトに収納することも可能。

ポケッタブル後はカラビナループ付きで、ザックの外側に引っ掛けて携行できます。また、左右にはジッパーポケット、内側には深めのポケットを備えており、グローブやスマホなども収納可能です。
高山の夏、低山の冬にちょうどいい保温力

1000フィルパワーの高品質ダウンが生み出す保温力は、数字以上の暖かさ。
その薄さから「インナーダウンでしょ?」と思う方もいるかもしれませんが、実際に着てみるとその考えは一変します。羽織った瞬間、まるでぬるま湯に包まれるような温もりが全身を満たします。
使用シーンとしては、夏前後の高山や冬の低山が適しています。寒がりな人であれば夜明け前の行動中にも重宝するでしょう。
軽さゆえにフリースの代わりとしてミドルレイヤー運用も可能で、寒暖差の大きいシーズンに心強い存在です。
着用感とサイズ選び
筆者(身長179cm・体重65kg)が実際に着用したところ、Sサイズ・Mサイズどちらも着用可能でした。軽量化を最優先するならSサイズ、冬季を含めて幅広く使いたいならMサイズがベストバランス。
ベースレイヤーの上から羽織るだけでも十分な保温性が得られ、行動中でも動きやすいのが印象的でした。
耐久性と素材感への信頼

「4デニール」と聞くと、あまりに薄くて破れやすいのでは?と思う方も多いでしょう。
しかし、実際に1年間を通してマウンテンランニングやテント泊登山で酷使しても、ピリングやピンホール、破れは一切なし。
シェル/ライニングの手触りはハリがあり、頼りなさは感じません。軽さと耐久性を両立した、まさに"実用レベル"のウルトラライト素材です。
軽量装備との相性抜群

アルプスの夏山縦走など、寝袋やマットすら削るようなULハイキング(ウルトラライト登山)では、このジャケットが真価を発揮します。
夜間気温が8℃を下回るような朝晩でも、寝袋の上に羽織ればブースターとして十分な暖かさを発揮。それでいて、パックの片隅に忍ばせてもかさばらないコンパクトさ。まさにUL志向の登山者にとって理想的な防寒着です。
冬季の行動や休憩時にも



運動量の高い雪山の登りではさすがに暑すぎますが、休憩中の保温着としては最高の使い心地です。ハードシェルやソフトシェルの上からさっと羽織るだけで、体温をすぐに取り戻せます。パッキング時も邪魔にならず、残雪期登山や雪板、バックカントリーなど、多様なシーンで活躍してくれます。
比較表:軽量ダウンフーディー対比
※Mサイズ前後/国内価格目安/公称スペック・メーカー記載値もしくは販社記載値を使用。
| ブランド/モデル名 | 価格(税込) | 重量(Mサイズ) | フィルパワー/ダウン封入量 | シェル生地・特徴 |
| ブラックダイヤモンド メンズ ディプロイダウン0.5フルジップフーディー | ¥72,600 | 約160g | 1000FPグースダウン/非公表 | 超軽量4デニールナイロン使用。ラグランスリーブ+ヘルメット対応フード。ポケッタブル仕様でUL志向の1着。 |
| Rab Mythic G Down Jacket(QDB-61) | ¥63,800 | 約277g | 1000FPヨーロピアングース/127g | 7D Atmosナイロン+TILT熱反射裏地。保温力と軽量性を高次元で両立。 |
| モンベル Plasma 1000 アルパインダウンパーカ | ¥41,800 | 約236g | 1000FP EXダウン/封入量非公表 | 7Dバリスティックエアライトナイロン。スタッフバッグ付属で携行性抜群。 |
| ミレー Trilogy Icon Light Down Hoody(MIV10393) | ¥77,000 | 約320g | 800FP撥水グースダウン/封入量非公表 | ウルトラダウンプルーフ ナイロン・フロントダブルジッパー開閉 |
| アークテリクス Cerium Hoody | ¥68,200 | 約338g | 850FPグース+Coreloft合成/約102g | 15デニール Arato™ ナイロン&20デニール Arato™ ライナーを使用・湿気がこもりやすい部分には合成インサレーショ |
ブラックダイヤモンドの「メンズ ディプロイダウン0.5フルジップフーディー」は、約160gと圧倒的な軽さを誇る超軽量モデル。4デニールナイロンと1000FPの高品質グースダウンを採用し、UL(ウルトラライト)登山やテント泊での携行に最適です。


同じく1000FPクラスのダウンを使うRab Mythic G Down Jacketやモンベル Plasma 1000 アルパインダウンパーカは、保温力を確保しながらも軽量で、厳しい環境下でも高い信頼性を発揮します。

一方、ミレー Trilogy Icon Light Down Hoodyは800FP撥水ダウンを封入し、フロントダブルジッパー仕様でアルパインアクティビティに対応。

アークテリクス Cerium Hoodyはダウンと合成素材を組み合わせたハイブリッド構造で、湿気の多い環境でも安定した保温性能を発揮します。
まとめると:
最軽量・UL志向なら → ブラックダイヤモンド
バランス重視で保温力も確保したいなら → Rab・モンベル
厳冬期やアルパイン用途なら → ミレー
オールラウンドに使いたいなら → アークテリクス
まとめ:史上最軽量クラスの「使える」ダウン
ここ数年、パタゴニアやアークテリクス、Rabといった主要ブランドでは「極限まで軽量化したダウン」はあまり見かけなくなりました。
モンベルも選択肢に入りますが、シルエットやフードがないデザインは好みに合わない人も多いでしょう。
そんななかで登場したこのブラックダイヤモンドのダウンフーディーは、軽量性・保温性・実用性を極限まで高めた稀有な存在です。
軽さを求める人にも、寒さに強いギアを求める人にも刺さる、まさに次世代のULダウン。
一度袖を通せば、その暖かさと軽さにきっと驚かされるはずです。
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