登山やテント泊、ULハイキングで「軽くて、暖かく、持ち運びやすい防寒着」を探すと、必ず候補に上がるのが軽量ダウンフーディーです。
近年は各ブランドが独自の素材や構造で軽量化を進めており、1000フィルパワー(FP)クラスのモデルも珍しくありません。
今回は、個人的に気になっている6つのモデルを比較し、それぞれの特徴や選び方のポイントを整理しました。他のブランドにも軽量なダウンフーディはあると思いますが、全てを紹介できない点についてはご容赦ください。
軽量装備を目指す登山者にとって、納得の一着を選ぶための参考になれば幸いです。
まずはなぜダウンフーディをセレクトしているのか?フード付きがおすすめの理由についてお話しします。
登山でダウンジャケットは「フード付き」がおすすめな理由
登山では、風や寒さに加え、天候の変化への対応力が求められます。そんな環境下では、フード付きのダウンジャケットが圧倒的に優位です。
1. 体温維持において熱が逃げやすい「頭部」を守る
頭部から放出される熱をフードを被ることで防ぐことができます。特に高所や風の強い場所では、フードがあるかどうかで寒さ対策という点で快適さが大きく変わります。
2. フード一体型は「隙間風」を防ぎ、レイヤリング効率が高い
別途ビーニーやバラクラバを被る方法もありますが、フード一体型ダウンは首回りに生まれる隙間をなくし、冷気の侵入を防ぎます。
3. 万が一の悪天候でも即座に対応できる
突風や雪混じりの天候、風の強さなど、登山中は突然の環境変化が起こりやすいもの。フード付きダウンであれば、休憩時の冷えを抑えることができます。
登山向けダウンフーディ比較
| ブランド/モデル名 | 価格(税込) | 重量(Mサイズ) | フィルパワー/ダウン封入量 | シェル生地・特徴 |
| ブラックダイヤモンド メンズ ディプロイダウン0.5フルジップフーディー | ¥72,600 | 約160g | 1000FPグースダウン/非公表 | 超軽量4デニールナイロン使用。ラグランスリーブ+ヘルメット対応フード。ポケッタブル仕様でUL志向の1着。 |
| Rab Mythic G Down Jacket | ¥63,800 | 約277g | 1000FPヨーロピアングース/127g | 7D Atmosナイロン+TILT熱反射裏地。保温力と軽量性を高次元で両立。 |
| モンベル Plasma 1000 アルパインダウンパーカ | ¥41,800 | 約236g | 1000FP EXダウン/封入量非公表 | 7Dバリスティックエアライトナイロン。スタッフバッグ付属で携行性抜群。 |
| ミレー Trilogy Icon Light Down Hoody | ¥77,000 | 約320g | 800FP撥水グースダウン/封入量非公表 | ウルトラダウンプルーフ ナイロン・フロントダブルジッパー開閉 |
| アークテリクス Cerium Hoody | ¥68,200 | 約338g | 850FPグース+Coreloft合成/約102g | 15デニール Arato™ ナイロン&20デニール Arato™ ライナーを使用・湿気がこもりやすい部分には合成インサレーショ |
| アーバンサイド Aileron(エールロン) 900 Pro | ¥59,000 | 約362g(Lサイズ) | 900FP ピュアホワイトグースダウン/138.6g(Lサイズ基準) | Toray Airtastic™ 10D ナイロン。スタッフバッグ付属で携行性抜群。 |
今回比較したのは、ブラックダイヤモンド、Rab、モンベル、ミレー、アークテリクス、アーバンサイドという現在個人的に注目している主要6ブランドの軽量ダウンフーディーです。どのモデルも登山やバックパッキングを想定した設計で、軽量性と保温力のバランスを追求しています。
最も軽量なのはブラックダイヤモンド「メンズ ディプロイダウン0.5フルジップフーディー」で、わずか約160gという驚くほどの軽さを実現。
同じく1000フィルパワーの高品質ダウンを使用するRab「Mythic G Down Jacket」やモンベル「Plasma 1000 アルパインダウンパーカ」も、軽さと暖かさを高次元で両立しています。
ブラックダイヤモンド「メンズ ディプロイダウン0.5フルジップフーディー」については別の記事でも詳しく紹介しています。
一方で、ミレー「Trilogy Icon Light Down Hoody」は800FPの撥水ダウンを使用し、アルパインやクライミングなど行動中の使用も意識したタフな設計。
そしてアークテリクス「Cerium Hoody」**は、ダウンと合成中綿を組み合わせたハイブリッド構造で、濡れに強く、街から山まで幅広く活躍します。
Urban Side の "Aileron Pro 900 UL フーデッドダウンジャケット" は、「超軽量×最高保温×ミニマルデザイン」 を高い次元で実現した一着です。価格も抑えられ、まだ日本に入ってきていない希少性もあり、普段使いしやすいデザインが特徴です。
いずれのモデルも、軽量ダウンの中ではトップクラスの性能を誇り、「携行性」「保温力」「耐久性」のバランスをどう取るかで選択が分かれるラインナップです。
続いて1つ1つのアイテムについて、紹介をしていきます。
圧倒的な軽さ ― ブラックダイヤモンド「メンズ ディプロイダウン0.5フルジップフーディー」

ブラックダイヤモンドの超軽量モデル「ディプロイダウン0.5フルジップフーディー」は、重量わずか約160gという驚異的な軽さを誇ります。

4デニールの極薄ナイロンシェルとライニングを採用し、完全なトレーサビリティを確保した1000フィルパワーのグースダウンを封入。超軽量ながらも確かな保温性能を発揮します。


ラグランスリーブ構造で肩の動きを妨げず、ヘルメット対応の立体フードが頭部を包み込む設計。さらに、ハンドポケットに収納できるポケッタブル仕様(カラビナループ付き)で携行性も抜群です。軽さと暖かさのバランスが非常に高く、冬以外のシーズンでも快適に使用できる万能レイヤー。「フリースより軽く、しっかり暖かい」-そんな理想を叶えた一着です。
| ブランド/モデル名 | ブラックダイヤモンド メンズ ディプロイダウン0.5フルジップフーディー |
| 価格(税込) | ¥72,600 |
| 重量(Mサイズ) | 約160g |
| フィルパワー/ダウン封入量 | 1000FPグースダウン/非公表 |
| シェル生地・特徴 | 超軽量4デニールナイロン使用。ラグランスリーブ+ヘルメット対応フード。ポケッタブル仕様でUL志向の1着。 |
高品質ダウンと確かな保温力 ― Rab「Mythic G Down Jacket」

英国ブランドRabの「Mythic G Down Jacket」は、1000FPヨーロピアングースを127g封入した高性能モデル。重量277gと軽量ながら、冬季縦走や高山域でも頼れるほどの保温力を持ちます。

特筆すべきは、Rab独自のTILT(Thermo Ionic Lining Technology)。ボディマップド構造により、体の熱を反射して保温性を高めつつ、行動中のムレを抑制します。

ステッチスルー構造で軽量化と通気性を両立し、動きやすさも抜群。また、フィット感を高めた立体裁断スリーブと伸縮性のある袖口が、快適な着心地を実現しています。

フードはダウン入りで保温性が高く、開口部は伸縮素材でフィット性を確保。YKK製ジッパーやチンガードなど細部の仕立ても丁寧で、冷気の侵入をしっかり防ぎます。登山、アイスクライミング、バックカントリーまで幅広く活躍する、軽量ダウンの完成形のひとつです。
| ブランド/モデル名 | Rab Mythic G Down Jacket |
| 価格(税込) | ¥63,800 |
| 重量(Mサイズ) | 約277g |
| フィルパワー/ダウン封入量 | 1000FPヨーロピアングース/127g |
| シェル生地・特徴 | 7D Atmosナイロン+TILT熱反射裏地。保温力と軽量性を高次元で両立。 |
コストパフォーマンスと実用性 ― モンベル「Plasma 1000 アルパインダウンパーカ」

日本ブランドのモンベルは、1000FP EXダウンを採用しながらも価格を抑え、¥41,800/約236gという優れたコストパフォーマンスを実現しています。軽量性と保温性のバランスが取れた万能モデルで、登山者の定番アイテムとなっています。

シェルには7デニールのバリスティックエアライト・ナイロンを使用し、強度と軽さを両立。さらに独自のキルティング構造により、ダウンの片寄りやコールドスポットを抑えて効率的に熱を閉じ込めます。

肩や上腕にはボックス構造を採用しており、運動中もダウンが偏りにくい設計です。インナーとしてもアウターとしても活躍でき、寒冷期にはハードシェルの下にレイヤリングしても快適。

「軽くて暖かく、価格も抑えめ」-登山初心者から上級者まで幅広く選ばれる理由がここにあります。
| ブランド/モデル名 | モンベル Plasma 1000 アルパインダウンパーカ |
| 価格(税込) | ¥41,800 |
| 重量(Mサイズ) | 約236g |
| フィルパワー/ダウン封入量 | 1000FP EXダウン/封入量非公表 |
| シェル生地・特徴 | 7Dバリスティックエアライトナイロン。スタッフバッグ付属で携行性抜群。 |
登攀を想定した機動的ダウン ― ミレー「Trilogy Icon Light Down Hoody」

ミレーの「Trilogy Icon Light Down Hoody」は、800FPの撥水グースダウンを使用したアルパインモデル。細身のシルエットで身体に密着し、軽量ながら高い保温力を発揮します。

撥水加工を施したダウン素材と、フロントのダブルジッパー仕様による優れた通気性。登攀中でも熱をこもらせず、状況に応じて開閉調整ができます。

また、ハーネスと干渉しない位置に設けられたハンドウォーマーポケット、大きめのチェストボックス構造による高い保温性、調整可能なフード、裾のドローコードなど、山岳活動を熟知したディテールが満載。

収納ポーチ付きで携行性も高く、環境配慮の無染色デザインも好印象です。冬のバックカントリーや雪山登山など、動きながら暖を取りたいシーンに適しています。
| ブランド/モデル名 | ミレー Trilogy Icon Light Down Hoody |
| 価格(税込) | ¥77,000 |
| 重量(Mサイズ) | 約320g |
| フィルパワー/ダウン封入量 | 800FP撥水グースダウン/封入量非公表 |
| シェル生地・特徴 | ウルトラダウンプルーフ ナイロン・フロントダブルジッパー開閉 |
万能で信頼性の高い一着 ― アークテリクス「Cerium Hoody」

アークテリクスの「Cerium Hoody」は、軽量ながらも高い耐久性と防湿性を兼ね備えたハイブリッド構造が特徴。850FPのヨーロピアングースダウンと合成中綿Coreloftを組み合わせ、濡れやすい部分には化繊を、熱を逃したくない部分にはダウンを配置しています。

これにより、悪天候下でも安定した保温力を発揮します。シェルには15デニールと20デニールのAratoナイロンを採用。軽量でダウンプルーフ性能に優れ、植物由来のライナー素材を使うなど環境面にも配慮しています。

立体構造のパターン設計によって動きやすく、タイトなトリムフィットでレイヤリングも容易。重量約338gと今回の中ではやや重めですが、登山から日常使いまでカバーする「信頼性重視」の一着です。
| ブランド/モデル名 | アークテリクス Cerium Hoody |
| 価格(税込) | ¥68,200 |
| 重量(Mサイズ) | 約338g |
| フィルパワー/ダウン封入量 | 850FPグース+Coreloft合成/約102g |
| シェル生地・特徴 | 15デニール Arato™ ナイロン&20デニール Arato™ ライナーを使用・湿気がこもりやすい部分には合成インサレーショ |
6. 圧倒的な保温力の高さ-アーバンサイド「Aileron(エールロン)900 Pro」

アーバンサイドの「Aileron(エールロン)900 Pro UL フーデッドダウンジャケット」は、900フィルパワーのポーランド産ピュアホワイトグースダウンを採用した超軽量・高保温モデルです。

シェルには一般的な15〜20デニール生地よりも圧倒的に軽く、しかも高密度でダウン抜けや風抜けを抑制する東レのAirtastic™ 10Dナイロンを使用し、わずか約362g(Lサイズ)という軽さながらも抜群の保温力を誇ります。表地は撥水加工+ダウンプルーフ処理済みで、雪や湿気の多い環境でも安心。肩部補強ステッチ、ハンドポケット、調整式フードなど、行動時の使いやすさも考慮されています。

重量は他の5つのモデルと比較すると若干重いですが、ダウンの充填量や使いやすいポケットの大きさ、フィット調整、内側ポケットの存在、体を包み込むようなシルエットを採用した構造などを考えると納得感があり、また保温力が高いので寒い場所におけるダウンフーディとしての安心感が高いです。またマットな質感と洗練されたシルエットは街でも自然に馴染みます。
| ブランド/モデル名 | アーバンサイド Aileron(エールロン) 900 Pro |
| 価格(税込) | ¥59,000 |
| 重量(Mサイズ) | 約362g(Lサイズ) |
| フィルパワー/ダウン封入量 | 900FP ピュアホワイトグースダウン/138.6g(Lサイズ基準) |
| シェル生地・特徴 | Toray Airtastic™ 10D ナイロン。スタッフバッグ付属で携行性抜群。 |
各モデルの使い分けと選び方
ニーズ | 最適モデル | 特徴 |
とにかく軽く、UL装備を極めたい | ブラックダイヤモンド | 160gで圧倒的軽さ。携行性と即暖性に優れる。 |
軽量かつ高い保温力を確保したい | Rab | 1000FP+封入量127gで冬期登山にも対応。 |
コスパ重視・軽量で万能に使いたい | モンベル | 1000FP EXダウン採用。価格・性能バランス◎。 |
動きながら使いたい、登攀中心 | ミレー | 撥水ダウン+ダブルジッパー構造で行動着向き。 |
濡れへの耐性・耐久性を重視 | アークテリクス | ハイブリッド構造で全天候対応。 |
まとめ:軽量化と保温力の最適バランスを見極める
軽量ダウンフーディーは、登山のスタイルや目的によって選ぶべき方向性が大きく変わります。
最軽量・UL志向ならブラックダイヤモンド。圧倒的な軽さとシンプルな構造で、携行用ダウンとして最適。
軽さと暖かさを両立した万能モデルを求めるならRabやモンベル。どちらも1000FPダウンを採用し、寒暖差の大きい環境に対応可能。
行動中の着用やアルパイン志向ならミレー。800FPの撥水ダウンを使用し、アルパインやクライミングなど行動中の使用も意識したタフな設計。「動きながら暖かい」を実現。
信頼性・耐久性を重視するならアークテリクス。ハイブリッド構造で、濡れやすい環境や長期使用にも強い。
登山における軽量ダウン選びは、単に「軽い」だけでなく、使う季節・標高・活動スタイルに合わせた最適化が鍵です。今回紹介した5モデルはいずれも、軽量装備を目指す登山者にとって信頼できる選択肢となるでしょう。

