今回は多くの登山者にとって身近な選択肢、ユニクロの「ウルトラライトダウンジャケット」と「パフテックジャケット」を、登山で使えるか?という視点で深く掘り下げて比較していきます。
この2つ、値段も見た目も近いので「どっちでも同じじゃない?」と感じる方も多いと思います。
ただ、登山で使うときは細かな違いが快適性にも安全性にも響きます。
今日はその違いを、わかりやすく、そして実際のフィールドで役立つ形で解説します。
結論
軽量性と保温効率を求める登山用途ならウルトラライトダウンが一歩リード。
濡れに強く、扱いやすさで選ぶならパフテックが優秀と考えています。
どちらも"正解"ですが、性格が完全に異なります。
この違いを理解しておくと、自分の登山スタイルに合った最適な選択ができます。
共通点:まずは"ほぼ同じに見える部分"から説明

どちらのジャケットも、ユニクロらしく完成度が高いです。


- パッカブル仕様で持ち運びしやすい
- 収納袋はバックル付きで本体に取り付けて無くしづらい
- 保温力の高いシルエットでゆったりすぎずタイトすぎない
- ポケット配置(ジッパー付きハンドウォーマー、内ポケット)も全く同じ
- 東レのNANODESIGNによる撥水加工で小雨を弾く
- 生産国は違っても、品質管理はほぼ同レベル
これらはすべて"安心できるユニクロ品質"です。
工場はウルトラライトダウンがベトナム、パフテックがバングラデシュですが、 縫製のズレや個体差も極めて少なく、アウトドアブランドのエントリーモデルを超える品質があります。
違い①:裾のストレッチパイピングの有無

パフテックジャケットには、背面側だけストレッチパイピングが施されています。
これがあることで
- 裾からの"冷気の巻き上がり"を軽減
- 動いたときに背面側が浮きにくい
- 体型によっては暖かさがワンランク変わる
というメリットがあります。
登山では風が冷えの大きな原因なので、裾のフィット感は意外と重要です。
違い②:ジッパーの軽量化

ウルトラライトダウンはフロントジッパーが軽量仕様です。
こうした細部の軽量化が積み上がって、240gという軽さにつながっています。


パフテックは標準のYKKビスロンジッパー。
そのぶん信頼性も高いですが、重量は増えます。
この差が結果として55gの差に表れています。
55gはおにぎり半分。
「軽さを武器にするUL装備」では、この差が意外と響きます。
違い③:中綿の特性。ここが最重要ポイント
ウルトラライトダウン

素材:90%ダウン / 10%フェザー
フィルパワー:IDFB法 750FP
ちなみにIDFB法は、羽毛の品質を示す**フィルパワー(FP)を測定するための国際基準の試験方法**です。
フィルパワー750は登山用ダウンでも十分なクオリティがあると思います。
- 3シーズンの登山であれば嵩張りも少ないのでテント泊で寝るときに使いやすい
- 雪山の保温着としては頼りないがジャケットタイプでレイヤリングしやすいシルエットなので、インナーダウンとして使いやすい
ただしダウンの欠点としておさらいですが
- 濡れに弱い
- 汗や結露で保温力が落ちる
ということを覚えておきましょう
パフテックジャケット

素材:100%ポリエステルの中空構造繊維
これが非常に優秀です。
- 髪の毛の1/5の細さ
- 一本一本がストロー状の"中空糸"
- 空気の層をしっかり保持する
アウトドア向けの化繊インサレーション同様に中空糸による軽さと保温力の高さ、また濡れても保温力が失われづらい特徴を備えています。
化繊インサレーション特有の
- 濡れても乾きやすい
- 洗濯機で洗いてメンテナンスが簡単
- 綿抜けがほぼない
- 湿気や汗に強い
このような特徴があるのでアウトドアシーンで適していますが、重量と収納性においてはウルトラライトダウンの方がコンパクトで軽く、ここがトレードオフです。
重量・収納性の違い

- ウルトラライトダウン L:240g
- パフテック L:295g
55gの差ですが、この重量差は登山だと意外と大きいです。
バックパックの軽量化が進むと、100g未満の差でも快適性に直結します。
収納サイズでは


- ULダウン:10×20cm
- パフテック:12×21cm


ダウンは圧縮されやすいため、ザックの中で隙間を埋めやすいメリットがあります。
登山での使い分け
ここが視聴者の方が最も知りたい部分だと思います。
ウルトラライトダウンが向いている場面
- 3シーズンにおける休憩でさっと羽織る軽量保温着
- テント泊での"寝る時の保温着"
- UL(ウルトラライト)志向のハイカー向けの保温着
- 秋冬であれば低山向けの保温着
ダウンは"軽さあたりの保温効率"が高いです。行動着というより保温着という側面が高いです。
アウトドア向けのダウンウェアと比較すると
- フードが付いていないから顔周りの保温は別で対策が必要
- 裾部分のフィット調整機構がないので冷気が侵入しやすい
ということが挙げられます。
パフテックが向いている場面
- 雨、霧、湿度が高い状況における保温着
- 行動中に着る場面が多い人
- 手軽に洗いたい人
化繊の安心感は"日本の山"と相性抜群です。また秋冬であればダウンよりも気兼ねなく行動着として着用できます。
パフテックにおいても
- フードが付いていないから顔周りの保温は別で対策が必要
- 裾部分のフィット調整機構がないので冷気が侵入しやすい
ということが挙げられます。
価格比較
- ウルトラライトダウン:¥7,990
- パフテック:¥6,990
どちらも1万円を切りながら、登山装備として十分すぎる性能を持っています。ちなみにどちらも2024年よりデザインや素材などに違いはほとんどなく、約1000円ほど価格が上がっています。
ウルトラライトダウンは、2024年バージョンのダウンにおいて、モンベルのスペリオダウンジャケットと比較した動画があります。気になる方はぜひご覧ください。
最終まとめ
登山の"軽量保温着"として使うなら、
● より軽くコンパクト、保温効率が高いウルトラライトダウンが優秀。
濡れや汗に強く、扱いやすい一着を探しているなら
● パフテックジャケットが安心です。
どちらもコスパが高く、登山初心者からベテランまで使える優秀な選択肢ですが、
選ぶべきモデルはあなたの山のスタイルによって変わります。
またアウトドアブランドの中綿アイテムは、フィット調整や、よりクオリティーの高いダウンやインサレーションを採用したモデルがあり、これによって保温力の高さと軽さ、コンパクト性能を得ることができます。しかしながらそれなりに価格も高く、ある程度自分の登山スタイルや、これから挑戦してみたい未来が見えてから、ハイクオリティーなプロダクトを購入すると言う考えでも良いと思います。
装備選びの参考にしてもらえたらうれしいです。

