雪山登山やバックカントリーで、多くの登山者が愛用している「防寒テムレス」。
1400円台という驚異的な価格ながら、防水性・防風性・保温性を備えたコスパ抜群のグローブとして人気です。
しかしその一方で、雪山で使うには注意すべき "弱点" も存在します。本記事では、防寒テムレスの特性とデメリット、そして 雪山仕様にアップデートするカスタマイズ方法 を詳しく解説します。
防寒テムレスが雪山で人気の理由
防寒テムレスは、もともと作業用手袋として開発されたアイテムですが、そのスペックはアウトドアでも十分通用します。
防水ポリウレタンコーティングで雪を完全に弾く

外側は防水PUコーティングを採用しており、濡れた雪・雨をしっかりガードします。
3層構造で冷たさを伝えにくい
- 内側:起毛アクリル+PU+その他繊維
- 中間:発泡ポリウレタン
- 外側:防水ポリウレタンコーティング
この構造により、冷たい雪を直接触っても手が冷えにくい仕組みになっています。
価格1,400円台と圧倒的コスパ
登山ブランドのウインターグローブが1〜3万円する中、テムレスは圧倒的コストパフォーマンス。
しかし…「防寒テムレス」には雪山での弱点がある
アウトドアブランド製のウインターグローブに比べると、以下の弱点は見逃せません。

透湿性が低く、汗で内部が濡れやすい
テムレスは防水性こそ優れていますが、透湿性は高くありません。
そのため雪山で発汗すると内部が結露 → 手が冷える → 凍傷リスクにつながります。
濡れたら乾かせないためリスクが大きい
冬の山で濡れたグローブを乾かすのはほぼ不可能。
内部が濡れる → 凍る → そのまま使えない
この悪循環がもっとも危険です。
テムレスを外すと素手 → 一瞬で冷える
防寒テムレスは裏地が一体型のため、脱ぐと素手になります。
これが雪山では最も危険なポイントです。
防寒テムレスを雪山向けに変える「カスタマイズ方法」
この弱点を解消するためにおすすめなのが、裏起毛を取り除くカスタマイズです。
カスタムの目的
裏地を外し、代わりに「インナーグローブ」を使用できるようにする
濡れたときはインナーだけ交換できる
保温性・操作性を向上させる
カスタマイズ手順


テムレスを裏返す
空気を入れて、指部分までしっかり裏返す
ハサミで裏起毛をカットし、丁寧に剥がす
残った部分はライターで軽く炙り、繊維を処理
完成!
→ インナーグローブ+テムレス というレイヤリング構造へ
なぜこのカスタムが必要なのか?
通常のテムレス(裏地なし)は指が細いため、インナーグローブを重ねると窮屈になります。
一方、防寒テムレスは裏地がある分、指先に余裕がありインナーを重ねても快適。
裏地を外すことで、最適な"雪山レイヤリング"が完成するわけです。
カスタマイズによるメリット

濡れたらインナー交換で対応できる
雪山の最大リスクである「濡れ」を、インナー交換で回避できます。
最適なインナー素材を自由に選べる
筆者が愛用しているのは「ポッサムメリノグローブ」。
メリノウール+ポッサム毛の中空糸で、
とても軽い
高い保温力
吸湿性が高い
吸着熱によって濡れても暖かい
という雪山向けの特性を持っています。
厳冬期の北海道でも安心して使える
テムレス+上質インナーの組み合わせは、バックカントリースキーのような厳しい環境でも実戦投入できます。
操作性UP:食事・作業時はテムレスだけ外せる
テムレスは厚みのあるため細かい操作が苦手ですが、インナーを残せるので
素手になるリスクをゼロにできる のが大きなメリットです。
まとめ:防寒テムレスは"そのまま使わない"方が安全で快適
防寒テムレスは、価格に対して驚異的な性能を持つ非常に優秀な手袋です。
しかし雪山登山でそのまま使うと、
結露→濡れ→冷え→凍傷リスク
という大きな欠点を抱えることになります。
裏起毛をカットし「インナー+テムレス」のレイヤリングにすることで、
結露対策
操作性の向上
インナー交換による安全性
幅広い気温帯への適応
といったメリットを得られます。
1,400円台のテムレスが、手間をかけるだけで"雪山最強のコスパ手袋"になる。
雪山初心者からバックカントリー愛好者まで、ぜひ試してみたいカスタマイズです。
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