強い風や気温の変化、雨など、めまぐるしく変わる環境の中で歩みを進めた南アルプスの7日間。長期間にわたり山の中に身を置く時間は充実している反面、少しずつストレスも溜まっていきます。
そうした環境下で行動を続ける中で、「これがあったらよかった」「持ってきて重宝した」「これは必要なかった」という、道具やウェアに対する具体的な気づきや思いが深まりました。
今回の山行で得た気づきは、今後の動画制作や製品づくりにも役立つ貴重な経験になったと感じています。
今回は以下の3つの切り口から、実際の現場で感じたことをご紹介します。
あったらよかった4選
持ってきていてよかった8選
なくてよかった4選
長期縦走に限らず、日帰り登山や1泊2日のテント泊、山小屋泊にも活用できる内容になっていますので、装備選びの参考としてぜひ最後までご覧ください。
1.ヘッドライト:より点灯時間が長く電池も使えるモデル

まず初めにヘッドライトです。夜間行動の安全を左右するヘッドライト。今回持っていったヘッドライトはナイトコア「NU25UL」です。日帰り登山やトレイルランニング、1泊2日のテント泊登山など、さまざまな山行で日常的に使っているアイテムです。
このヘッドライトのスペックは以下の通りです。
重量:約47g
色温度:3色の調整が可能
ハイモード(400ルーメン):約2時間40分
ミッドモード(200ルーメン):約4時間15分
ローモード(6ルーメン):約45時間
今回の縦走では、深夜1時出発というのが最も早く行動を開始した時間でした。基本的には200ルーメンのミッドモードのみを使って行動していました。しかし、1日使うと充電が半分以下になってしまうため、次の日に備えて毎晩確実に充電を行う必要がありました。
充電の管理やモバイルバッテリーの残量を考えると、より点灯時間が長く、乾電池も使えるモデルを持ってくるべきだったと感じました。
たとえばペツル「アクティックコア」のスペックと比較してみます。
重量:NU25ULの約倍となる約88g
ハイモード(450ルーメン):約2時間
ミッドモード(100ルーメン):約7時間
ローモード(7ルーメン):約100時間
実際に歩く場所で岩場が多いところではハイモードを使いますが、ほとんどの場合は100〜200ルーメンの明るさがあれば問題なく歩ける登山道です。そのため、ミッドモードで7時間使えるというのは大きな安心感につながります。
実際、今回同行していた仲間はヘッドライトの充電が切れてしまい、スマートフォンの明かりを頼りに行動していましたが、これは非常に危険だと感じました。
NU25ULがだめなヘッドライトと言うわけではなく、参考日数や行動スタート時間を鑑みてヘッドライトのスペックもしっかりと確認する必要があります。
2.熊除けのための笛(ホイッスル)

今回歩いたコースは、熊の巣があるとされている場所や、熊の出没の可能性があると言われているエリアでした。結果としては一度も遭遇しなかったので本当によかったです。僕は道中ずっと熊鈴をつけて歩いていて、これが効いたのかどうかは不明ですが、鈴以外にも熊スプレーを携行していました。
しかし、夜歩いていて「熊がいそうだな」と感じる場所では、大きな声で歌を歌ったり声を出したりして対策をしていました。その時に「笛があるとよかったな」と感じたのです。ちなみに個体差はあるものの鹿においては、笛を鳴らしても逃げないことが多く、現場で確認できました。
熊に対して笛が効くのかどうかはわかりません。しかし山深い場所で出会う熊なので人間慣れしていない可能性が高く、また鈴や自分の声で対策をした結果として遭遇しなかった可能性も考えられます。ですが、笛があった方が自分自身の不安感はより取り除かれたはずです。
茶臼岳付近でお会いした登山者の方が、「昨日、上河内岳で熊を見たけど、笛を鳴らしたら逃げて行った」とお話しされていたので、笛はすべての熊に効くとは断言できませんが、ある一定の効果はあるのではないかと思います。
熊に遭遇しないための対策については、「クマ鈴は意味がない」という意見など、さまざまな見解があります。出会わない可能性が少しでもあるのであれば、取り入れて対策をするという考え方で臨んでいます。
3.冷やしカップヌードル

今回のお昼ご飯・晩御飯ともに、お湯で戻すカップラーメンを2つ用意し、その他はアルファ米や乾燥うるち米をベースにしたカレーなどを揃えていました。朝ごはんとお昼ご飯兼用でアルファ米を水に戻したものを食べていましたが、連日になるとどうしても飽きてしまい、「お腹は空いているけれど食べたくない」という状態が何度か生じました。
そんな時に仲間が出してくれたのが「冷やしカップヌードルピリ辛キムチ味」でした。彼はこれを3つ持ってきていたようですが、同じく味に飽きてしまったとのことで、僕が持ってきたアルファ米と交換して食べました。
この冷やしカップヌードルの特徴は以下の通りです。
調理時間:水を注いで5分
食感:コシのある麺を楽しめる
フレーバー:ピリ辛キムチ味、トリ塩レモン味の2種類の味がある
水で戻せて、さらにコシのある麺を楽しめるため、良い気分転換になりました。ピリ辛キムチ味は結構辛かったので、僕は入っている粉末スープを使わずに捨て、持参していたフリーズドライのネギスープを入れて水で戻して食べましたが、これがかなり美味しかったです。
実は普通のカップヌードルでも、30分から1時間ほど時間をかければ水で戻すことは可能です。しかし、麺がスープを吸って伸びてしまうため、あまり美味しくありません。
冷やしカップヌードルは、特許出願中のコールドリハイド製法で作られており、わずか5分で戻ります。麺の食感も強いコシとツルツル感があり、冷水でもスープの油が白くどろっと固まらないように設計されているようです。
暖かい季節にお湯を沸かさず冷やしラーメンを食べられるのは、とても画期的な商品だと感じました。
4.バー食品の小分け・ナッツミックス対策

これは「持ってくればよかったアイテム」というよりは、途中で気づいた対策の工夫です。
今回、行動食としてエナジーバーを持って行きました。通常は一度封を開けたらそのまま食べきっていたのですが、途中で満腹になったり、味に飽きたり、他のものが食べたくなったりすることがあります。
そこで、ジップロックのフリーザーバッグ(Sサイズ)の中に、エナジーバーを4等分ほどに折って入れて食べたところ、すべての悩みが解決できました。
味の調整:味の異なるエナジーバーを折って混ぜておくことで、味の変化を楽しめる
量の調整:お腹がいっぱいになったらその時点で食べるのをやめられる
ナッツとの組み合わせ:素焼きのミックスナッツを一緒に入れておけば、満足感が得られる
素焼きのナッツは単体だと味がなく飽きてきやすいのですが、エナジーバーと一緒に食べることで食べやすくなります。甘いものとしょっぱいものを組み合わせて食べるのもおすすめで、「塩味のナッツだったらより美味しかったかもしれない」と感じました。

