登山において、環境に合わせた食事や水分の管理は重要な要素です。気温の低い山の上で温かい食事をとること、あるいは夏山で冷たい飲み物を保冷して持ち運ぶことは、行動中の疲労回復や快適性に直結します。
今回は、保温・保冷・保護機能に優れた新潟発の新ブランド「SHŪHŌ(シューホー)」の「ネスト」シリーズの全容と、アイデア次第で広がるマルチな使い方、そして本格的な味わいが特徴のB.C.FOOD「トレイルそば」をご紹介します。
SHŪHŌ「ネスト」シリーズの特徴


SHŪHŌの「ネスト」シリーズは、高遮熱性の「Tyvek(タイベック)シルバー」と、中綿に断熱材「3Mシンサレート」を組み合わせた構造が特徴です。これにより、保温・保冷性能を発揮します。また、クッション性があるため内容物の保護(緩衝)にも役立ち、透湿性・防水性を備えているため、結露でザック内の他の装備を濡らすリスクも抑えられます。

用途に合わせて「マルチネスト」「フードネスト」「ロングネスト」の3種類があり、それぞれにスモール(S)とレギュラー(R)のサイズ展開があります。マルチネストのレギュラーサイズ(ロールトップ式)を除き、基本的には開口部に粘着力の高いベルクロテープが備わっており、しっかりと密閉して保温・保冷力を高める作りになっています。
マルチネスト:保冷・緩衝・収納の3役をこなす万能ギア

食品や飲料の保冷、精密機器の保護に適したモデルです。

スモール(Sサイズ): 価格4,290円 / サイズ195×265mm / 容量約2.5L / 重量58g
350ml缶が無理なく3本収まります。フラップ式の蓋を採用。

レギュラー(Rサイズ): 価格4,950円 / サイズ260×310mm / 容量約4.5L / 重量84g
350ml缶が6本収まる大容量。シリーズで唯一ロールトップ式を採用し(開口部はベルクロ付き)、内容量に応じて圧縮が可能です。登山帰りに道の駅やスーパーで購入した食材の保冷にも重宝します。
フードネスト:食事の保温とガジェット収納


食事のパッケージを保温しながら食べることに特化しつつ、小物入れとしても機能します。

スモール(Sサイズ): 価格3,080円 / サイズ125×190mm / 容量0.7L / 重量26g
シリーズ最小サイズ。尾西食品のアルファ米や、ジップロックのフリーザーバッグSサイズに適合します。スマートフォン、コンパクトカメラ、モバイルバッテリーなどの収納にも推奨されます。

レギュラー(Rサイズ): 価格3,410円 / サイズ135×205mm / 容量約1.0L / 重量30g
スモールより一回り大きく、B.C.FOODの「トレイルそば」やモンベルの「リゾッタ」、「スモールツイスト」などの大きめのパッケージに対応します。ヘッドランプやLEDライトなどをまとめるスタッフバッグとしても機能します。
フードネストは、フロント部分に設けられたストラップに指を通すことで、食事中に持ちやすい設計になっています。また、サイドのフックを活用すればサコッシュのような使い方も可能です。
ロングネスト:ボトル類の保冷・保温と保護

ソフトボトルやハイドレーション、ワインやウイスキーボトルなどの長尺物を安全に運搬するためのモデルです。

スモール(Sサイズ): 価格3,850円 / サイズ310×170mm / 容量約2.2L / 重量54g
ナルゲンボトルや、プラティパス・エバニューの1Lソフトボトルがジャストフィットします。また、750mlのワインボトル(四合瓶)などの割れ物を保護しながら運ぶのにも適しています。

レギュラー(Rサイズ): 価格4,510円 / サイズ370×225mm / 容量約4.2L / 重量74g
500ml缶を縦に2本、横に2本の合計4本収納可能。ワインボトルなら2本収まります。プラティパス・エバニューの2Lソフトボトルの収納にも適した大容量サイズです。
積雪期には水の凍結防止として、夏場は凍らせた水を入れて保冷バッグのように使用できます。
比較:SHŪHŌフードネストと山旅スタンドコジー
すでにアルファ米やジップロック飯の保温用として「山旅スタンドコジー」を使用されている方も多いかと思います。ここでは、両製品の仕様と使い勝手の違いを整理します。
素材と構造の違い

SHŪHŌフードネスト: 外装に「Tyvekシルバー」、中綿に「3Mシンサレート」を採用。布のようにしなやかで柔らかい質感が特徴です。透湿性と防水性を備えています。
山旅スタンドコジー: 両面にアルミフィルムを施し、内部に空気層(気泡)を持たせた断熱材アストロフォイルを採用。しっかりと自立するハリと硬さがあるのが特徴です。
この素材の違いが、以下の使い勝手や保温力の差に直結しています。
折りたたみやすさと使い勝手

SHŪHŌフードネストは素材が柔らかいため、使用後に小さく折りたため、ザックの中でかさばらない利点があります。一方、柔らかい素材ゆえのトレードオフとして、ジップロック(Sサイズ)でカップラーメン等を食べる際、スープがやや飲みづらく感じる場合があります。 対して山旅スタンドコジーは、適度な硬さがあるため手に持った際に開口部を開きやすく、スープが飲みやすいというメリットがあります。
重量とサイズ

山旅スタンドコジー: 重量44g / サイズ:ボトム5.5×12.5cm、高さ13.3cm
フードネストのSとRの中間程度の大きさですSHŪHŌフードネスト: 重量 S:26g / R:30g
重量面では、SHŪHŌフードネストの方が軽量に設計されています。
【保温力の検証】 実際に100度のお湯を入れ、冷蔵庫に入れて3分後の温度を計測した結果は以下の通りです。


SHŪHŌフードネスト:約83.4度
山旅スタンドコジー:約85.6度
保温力に関しては、山旅スタンドコジーに軍配が上がる結果となりました。
フードネストを活用したアウトドア料理のアイデア
フードネストは、お湯を注ぐだけのアルファ米などを保温するだけでなく、アイデア次第で様々な用途に応用できます。ここでは、火を使わずに炊飯を行う方法を紹介します。

発熱剤を用いた炊飯システム 「モーリアンヒートパック」などの発熱剤を使用することで、火器を使わずにご飯を炊くことができます。これは保温性の高いフードネストがあってこそ可能な調理法です。
準備するもの
フードネスト(レギュラー)、米1合、水210ml、モーリアンヒートパック(Mサイズ)、フリーザーバッグMサイズ・Sサイズ
手順

フリーザーバッグSサイズに米1合と水210mlを入れ、15分ほど浸水させます。

フリーザーバッグMサイズの中に、上記のSサイズの袋と発熱剤を入れます。

Mサイズの底にある発熱剤に少量の水を注ぎます。水を注ぐ時はモーリアンヒートパックの袋を活用することで正しい水の量を測ることができます。
モーリアンヒートパック(Mサイズ)は実測33gでした。

約80〜100度の高温の蒸気が発生し、加熱が始まります。

加熱完了後、袋ごとフードネストの中に入れ、10分ほど蒸らせば炊飯完了です。
注意点: 高温の蒸気による火傷に十分注意してください。また、加熱後の発熱剤の残り水は飲めません。加熱中は蒸気とともに水素ガスが発生するため、火気を近づけるのは厳禁です。

この仕組みを応用すれば、肉まんや焼売を入れて温かい状態で食べることも可能です。発熱剤の使用に抵抗がある場合は、クッカーで湯煎したパウチ食品や缶詰をフードネストに入れて保温するという使い方もおすすめです。
本格的な味わい:B.C.FOOD「トレイルそば」

フードネスト(レギュラーサイズ)と相性の良い食品として、B.C.FOODの「トレイルそば」を取り上げます。

袋に直接お湯を注ぎ、4分待つだけで完成する即席麺ですが、冷凍と冷風乾燥を用いたノンフライ製法により、そば粉の豊かな香りと生麺のようなもっちりとした食感を実現しています。


即席麺の枠を超えた本格的な蕎麦を山で手軽に味わえるのは大きな魅力です。


調理にはお湯を400ml使用します。そのため、行動中の水分消費を極力抑えたい状況や、カロリー効率を最優先する登山スタイルには不向きかもしれません。しかし、水場が豊富なテント場など、条件が整う環境においては、ぜひお試しいただきたい一品です。
体を温めてくれるから朝食にとてもおすすめなんです。また乾物やフリーズドライなどをトッピングすることで、食感や栄養を追加するなど気軽に楽しむことができるのもおすすめポイントです。
おわりに
新潟発のブランド「SHŪHŌ」のネストシリーズは、単なる保温・保冷の枠を超え、携行品の保護としての利用、さらには発熱剤を用いた調理の補助など、マルチな使い方が可能です。
フードネストの適切なサイズ選択や、ロングネストとソフトボトルのフィット感を活用することで、パッキングの効率と山での食事の質を同時に向上させることができます。B.C.FOODの「トレイルそば」のような質の高い食品と組み合わせ、山の上でも温かく、あるいは冷たいものを適切に管理する快適なスタイルを、ぜひ次の山行計画に取り入れてみてください。

