東谷山・冬しか行けない特等席
新潟県湯沢町と群馬県の県境に位置する「東谷山(1,554m)」。この山の最大の魅力は、夏道が存在せず「積雪期(冬)しか登ることができない」特別感にあります。二居集落(国道17号)からのアクセスが良く、周辺のビッグゲレンデとは一線を画す静寂に包まれたクラシカルな山行を楽しめるのが醍醐味。ハイクアップの途中から山頂にかけては、目の前にドカンと佇む谷川連峰の圧倒的な絶景や苗場山のパノラマが広がり、下りにはノートラックを狙える極上のオープンバーンが待っています。道標のない冬限定ルートだからこそルーファイや雪崩リスク管理が不可欠ですが、その分見返りは格別。今回は、この冬しか出会えない東谷山BCの魅力をご紹介。
朝の青空を突いて、冬限定の山へ
2月初旬、予報は「午前中は快晴、午後からは下り坂で降雪」。天気がもつ午前中のうちに登り切る計画で東谷山(1,554m)を目指しました。今回のメンバーは、娘2人と気心知れた信頼できる仲間の4人パーティ。スキーシールとスノーシューをそれぞれ装備し、国道17号・二居エリアの駐車場から手際よく準備を整えて出発します。


序盤:カルバートを抜け、静寂の雪の尾根へ

17号下のカルバート(トンネル)をくぐって取り付きへ。夏道のないこの山は、雪がしっかり付いた冬期だけアプローチが可能です。最初は植林帯の緩斜面をゆっくり登り、高度を上げていくとブナ林の中を行きます。木漏れ日が差し込むトレースを、お互いのペースを確かめ合いながら一歩一歩進んでいきます。




こんな感じの急登が結構長い、眺望も限られるので娘2人の心は折れ気味、2人で「この山キモイ!」と意味不明の合唱を(^^;

稜線へ:視界が開け、谷川連峰の大パノラマ

樹林帯を抜けて尾根に乗ると視界が開け、白銀のワイドな斜面へ。午後の崩れを感じさせない澄んだ青空をバックに、谷川連峰の迫力ある山並みがくっきりと姿を現しました(写真右中央)。風も穏やかで、ノートラックの雪面を踏みしめながらのハイクアップはまさに爽快そのもの(娘はバテ気味)。午後の降雪前に良い雪を滑るべく、冬期限定ルートならではの絶景を味わいながら山頂を目指します。

山頂到着、そして予報通りの天候変化

登り詰めて4時間、無事に東谷山の山頂へ。雄大な山並みを眺めながら、ゆっくり腰を据えてランチ……といきたいところでしたが、山の天気は予報通り。先ほどまでの青空がしだいに灰色の雲に覆われ、雪が舞い始めそうな空模様に。「本降りになる前に滑ろう」と、持参した昼食を手早くかきこみます。


体が冷える前に、いそいそと滑走準備を。シェルを羽織り、ヘルメットやゴーグルを整えます。スノーシューをザックに括り付けてボードをセットし、スキーはシールを剥がしてビンディングを滑走モードへ。気心の知れたメンバー同士、声を掛け合いながら手際よく準備を。
いざ滑走へ、お楽しみの斜面へドロップイン。



斜面へ飛び込めば、そこにはリセットされた極上のパウダースノー。ブナの木々の間を縫うように、スキーもスノーボードも豪快にスプレーを上げながらノートラックの斜面を切り裂きます。



4時間かけてじっくり登ってきた行程も、滑走となればほんの一瞬。浮遊感に包まれた至福の時間はあっという間に過ぎ去り、気がつけばスタート地点の林道や橋が見えてきました。

下山完了、そして本降りの雪へ

無事の下山と同時、大粒の雪が勢いよく舞う本降りの天候へ。良いタイミングでの滑走となりました。冬限定の静寂なルート、大パノラマ、そして極上のパウダーラン。東谷山の魅力を存分に凝縮した、充実のバックカントリートリップ。


