高度が増すと、気温は下がります。それは登山をしていない人でもわかる常識ですが、何メートル登ったら、何度下がるのかを知っていると、登山の事前準備や装備選定に役立つので、知っておくと便利です。
気温は100メートル高くなると約0.6度下がっていきます。ということは平地で25度のとき、2,000メートルの山上では20×0.6度=12度下がります。山上は13度ほどですね。季節に例えるならば、東京を基準にすると、6月の平均気温が約25度で、13度というと10月、11月、3月あたりの季節の変わり目あたりの気温に変わるという事です。平地でTシャツだったけど、セーターを着ても良いくらいな寒さになるということです。
また風速が1メートル増す毎に、体感温度は1度下がるといわれています。同じ2,000メートルの山でも風があるのとないのとでは、寒く感じるのにも差が生じるわけです。
登山での寒さ対策は空気層を利用
体の周りにデッドエアといって動かない空気層をつくることで、体の熱が外に出ていくのを防いでくれます。そしてこの空気層は1つよりも2つ、3つと多いことで暖かくなります。持っているウェアを重ね着することで暖かくなるのは承知の通りですが、ウェアの準備がない場合でも暖かくする工夫は色々と存在します。例えば新聞紙や地図などの紙があれば、服と服の間にはさんでおけば暖かくなります。
また梱包するときによく使うプチプチシートをお腹などの体幹に近いところに当てているだけでも、とっても暖かいです。プチプチシートはそんなに重いものでもなく、またザックの背当てのような使い方をすれば、エマージェンシーキットとしても活用できると思います。
暖かい空気の比重を理解する
家で暖房をかけていても、天井が高いおうちでは、部屋の中が暖まりづらいです。これは冷たい空気が重く、暖かい空気が軽いからです。正しくは温度の変化によって体積、密度が変わり暖かい空気はどんどん上に移動します。
この現象をふまえると、重ね着をして身体を暖かく保っても、首回りからどんどん暖かな空気が逃げていく事がわかると思います。だからスカーフ、タオル、バンダナ、マフラーなどでしっかりと首周りを多く事とセットで行う事で身体をより暖かく保てるわけです。また太い動脈が皮膚のすぐ下を通っている首、手首、足首を温めることで全身を効率よく温める事ができることも知っておくと良いと思います。