レインウェアは登山をするうえで非常に難しい装備の1つであり、非常に重要な装備でもあると考えています。登山用レインウェアを検討したことがある人なら一度は目にしたことがあるだろう「耐水圧」「透湿性能」。これらをどのように考えてレインウェアを購入するべきなのか迷われる方も多いのではないのでしょうか?
逆算して考えるレインウェア
1つの道具で全ての登山シーンを賄うというのは非常に難しい事だと思います。気温×高度×日数で持ち歩くレインウェアは変わります。日帰りであればレインウェアを持ち歩かないときもあります。また樹林帯での行動時は傘のほうが快適なときもあります。更にはレインウェアだけで考えずにレインウェアの下に何を着用するかを考えることも大事です。
このように考えると、僕の愛用のレインウェアはこれです!と言い辛いのですが、雨の日の山中に出番が多いのは、ポーラテック ネオシェルを採用したレインウェアです。
ポーラテック ネオシェルのよさ
多くの防水透湿素材の透湿性能ってウェアの内外に湿度の差がないと、湿気は留まったまま、現状維持で何も起きてくれないのです。(※寒い時期はウェア内外に気温差がうまれるので、透湿性能が発揮されるといえます。)それに比べてポーラテックネオシェルは通気が起きているので内外の気温や湿度の差に関係なく、ウェア内部が蒸れれば空気の流れによって、外に湿度を排出してくれます。
こう考えると暑い場所、風が少ない場所ではネオシェルは快適で蒸れづらいです。それでも真夏に雨に降られて、樹林帯を登山しているようなシーンでは、ネオシェルのレインウェアでも暑くて汗をかいてしまうときがあって、その場合は傘がすごく便利だと感じています。
ネオシェルの優れているところ
透湿性能を表すのに、30,000g/㎡というように数値で表されていると思います。この数値が高いから快適、低いから蒸れやすいという考え方は少し違っていると思っています。多くの防水透湿素材は基本的には気圧差がうまれてはじめて透湿がはじまるので、内外に気温差が少ない環境では、一度ウェア内が蒸れないと透湿が起こらないということになります。
でもネオシェルは着た瞬間から透湿がはじまっているので、気圧差に左右されづらく快適に行動できる素材だと感じています。透湿性能が同じ30,000g/㎡でも、最初から透湿性能が発揮されるのか、蒸れてから発揮されるのかの差がレインウェアの素材によって左右されると考えれば良いかと思います。
レインウェアで考えるべきこと
(出所:(財)水資源協会「日本の水 2005」)
世界各国の降水量を比較した図をみてもわかるとおり、日本は非常に降水量の多い国なのです。このように考えると日本において、天気が変わりやすい山ではレインウェアはとても重要な装備と考えるべきだと思います。
そして同時にレインウェアを着込んで行動することで、汗をかく可能性が飛躍的に増えることです。汗をかくということは、それだけ栄養と水分が体から奪われるということ、また汗が乾く過程で体から熱が奪われるということ、こういったリスクを回避するために行動食や水、更には防寒着を持ち歩くことで、装備重量が増し、さらに汗をかきやすい状態を作ってしまいます。
だから汗をかかない状態を登山中、ずっと保つということが非常に大事で、透湿性能による快適性というのは結果、汗をかきづらい環境を作るという事にもつながっていくと理解しています。