世の中、登山装備の軽量化の動きに合わせて、バックパックも進化を遂げています。バックパック本体の軽量化を筆頭に、アクティビティ別の使いやすさをウリとした特徴は見所であり、使い手を楽しませてくれます。今回紹介するバックパックは、アドベンチャーレースが盛んなニュージランドのメーカー、マックパックから昨年発売され、今年アップデートされた「フィヨルド40」です。
おすすめポイント
- 通気性やフィット感を犠牲にしない背面構造
- 腰荷重のバランスに優れた背負心地の良さ
- 収納力が高い
- 少ない荷物でもパッキングしやすいギミック
商品概要
ブランド | マックパック |
商品名 | フィヨルド40 |
商品説明 | アドベンチャーレースのノウハウを詰め込んだ、軽量かつテクニカルな40L容量の中型バックパック |
価格 | ¥26,400 (税込) |
重量 | S2=1.04kg、S3=1.09kg |
素材 | 100D Nylon Titan Grid、500D Cordura Nylon |
管理人の評価レビュー
総合評価 | ★★★★☆ |
快適性 | ★★★★☆ |
軽量性 | ★★★☆☆ |
汎用性 | ★★★☆☆ |
コストパフォーマンス | ★★★★☆ |
僕にとってマックパックといえば、長期縦走で抜群の背負い心地を体感させてくれた「カスケード」というモデルがまず思い浮かび、ずっと使い続けているという理由からもバックパックブランドとして信頼を感じています。フィヨルド40はそんなマックパックのバックパックの中でも特徴的なパックで、軽量パックながら、カスケード同様に重量を負担と感じさせない、面白い工夫が随所に施されています。
マックパック フィヨルド40で悩み解決
フィヨルド40は名前の通り40Lなのですが、サイズが2種類あり、適応身長の目安が152~178cmのサイズ2の容量が40Lで、173~193cmとなるサイズ3の容量が43Lとちょっと増えています。
最近僕が楽しんでいる夏場に楽しむ1~2泊のテント泊縦走では40リットルというのが装備類をパッキングするのに丁度良い大きさで、50リットルともなると、少し大きくて、バックパックの中の空間が気になるほどです。
40Lの容量で収めるために工夫しているのが、寝袋、テント、マットの軽量化です。これらの装備をある程度コンパクトにしたことで、バックパックを40Lのサイズまで落とすことができ、そうすることでパックも軽量になり、装備全体の軽量化が実現できました。
しかし楽しみたい山ごはんの違いで持っていくクッカー、食料が変わり、併せて装備の容量も変わると、バックパックのサイズ選択に悩みます。だけどマックパックのフィヨルド40を使うようになってからは悩むことがなくなり、快適に登山を楽しめるようになりました。
装備容量の変化とバックパックの関係性
装備をバックパックにパッキングする際に気をつけている事は2つあり、1つはできるだけ背中の近いところに重い荷物をまとめるという点、もう1つはザックの中に空間を作らないという点です。
背中から離れた場所に重い荷物があると、重心が後ろに移動してしまい、行動中に身体がブレ、倒れやすくなるわ、疲れやすくなるわ、と危険極まりありません。ファストハイクで早く行動するようなアクティビティでは死に直結します。
ザックの中に空間を作ることも同様で、ザックの中の荷物が暴れれば、意図しない方向に身体が持っていかれ、転倒を助長し怪我につながります。自宅では綺麗にパッキングできていたけれど、2日目はザックの中がグチャグチャとなり、空間ができてしまい、バックパックそのものも嵩張れば、疲れもあって危険が高まります。
自分の体型に合った背負いやすいバックパックを選択するのは当然で、どれだけリスクを軽減できるかという点に重きをおいてパックを選択することも重要だと考えています。
マックパック フィヨルド40の容量圧縮機構
そこで重要になるのがバックパックの容量圧縮機構(コンプレッション)と、重心を高く保つ為の機能だと考えています。
マックパックのフィヨルド40には「ZigZagサイドコンプレッション」というバックパックの両サイドにジグザグに取り付けられたドローコードが備わっており、フロント側のドローコードの付け根には縦方向に芯が入っているので中央の引き手を引っ張るだけで、全体をしっかりとコンプレッションすることができ、サイドの厚みが減少します。
30リッターぐらいの装備の場合、フィヨルド40の中に空間ができ、それによって重い荷物が背中の近くから離れてしまう…なんていう心配も、この「ZigZagサイドコンプレッション」を使用すれば心配無用です。
単純に空間を無くすコンプレッションではなく、バックパックの厚みを減らしコンプレッションをするので、バックパックの中の荷物が背中全体にくっついているようなかたちになります。これによって重心が高く保て、重い荷物が背中の近いところに分散された状態でまとめられます。
これだけではないのがフィヨルド40の面白いところです。それがボトム部分に備えられたストラップ(ウエストスタビライザー)で、大半のバックパックが背中の近い位置にあるのに対して、フィヨルド40の場合は背中のもっとも離れた位置に取り付けられています。これによってボトム部分を背中に引き寄せると同時に、ボトム部分のコンプレッションにも役立っているのです。
ファストハイクを楽しんでいると、これらのシステムのおかげで疲れにくく、前へ前へと移動するのが非常にラクになりました。
マックパック フィヨルド40が快適に背負いやすい理由
マックパックのフィヨルド40のディテール部分に目を向けてみたいと思います。まずはヒップハーネスですが、初見は薄くて心配があったのですが、細いストラップがクロスするように施されていることで非常にフィット感がよく、バックルも小型で使いやすいです。
そしてこのヒップハーネスは本体から引き抜き、外すことができます。トップリッドも同様に外すことができるので、この2つを取り外せばバックパック本体の重量が1kgを切る軽量化が実現できます。装備の容量次第で、使い方を工夫できるのは、アドベンチャーレースのノウハウを詰め込んだマックパックならではの考え方だと思います。
バックパックの背面は汗っかきな僕としては強くこだわりたい部分です。というのもバックパックを背負っている最中に背中が暑いと感じて、余計な発汗を助長するような作りは背負う気持ちになれません。汗をかかずに登山をするというがとても大事な心がけだと思っているので、背負っていても風通りの良い工夫は重要です。
フィヨルド40の背面は、速乾性の高いメッシュを採用しており、背中にあたる部分のパッドが波を打つような形状になっているので、風通しがよく作られています。
そしてこのパッドもバックパックから取り外すことができるので、テントマットとして利用することもできるし、テント場で食事をする際の座布団のような使い方も可能です。
マックパック フィヨルド40の収納力
メイン気室以外にもマックパック フィヨルド40には必要最低限のシンプルな収納が備わっています。その1つがヒップハーネスに付いているポケットで、マチがあり収納力が高いです。行動食、財布、スマホ、コンデジなどはもちろん、軽量なウインドブレーカーなども押し込めば仕舞うことができてしまう容量が確保されています。
バックパックのフロントとサイドにはメッシュポケットがあり、フロントのポケットには直ぐに取り出したい軽量なウェアなどを入れておくと便利です。雨が降ったとき、直ぐに着用できるようにレインウェアを仕舞っておいたり、休憩時に寒くなって、サッと羽織れるシェルを入れておいたり、ファーストエイドなども仕舞っておけます。ここにあまり重量が出てきてしまうと、バランスが悪くなってしまうので気をつける必要があります。
サイドのポケットは1Lのナルゲンボトルがすっぽり入る大きさです。ガブガブ水を飲みたい派の僕には、この大きさのサイドポケットは非常にありがたいです。
わずか約1キロの本体重量ながら、重心を高く保つ圧縮機能を追加し、背負い心地と使いやすさを犠牲にしない作りは完成度が高いといえます。またフィヨルド28という、わずか870gの小型バックパックも発売されており、テント泊の予定はなく、小屋泊や日帰り登山をメインに楽しむ方には、こちらの小さいサイズの方がより軽量で便利かもしれません。
バックパックの軽量化を検討している方や、ファストハイクを楽しもうとしている方は是非、このマックパックのフィヨルドシリーズをチェックしてみてください。
マックパック フィヨルド40