こんにちわ。たかくら(@takakura3twi)です。

今回は、ニュージーランド縦断3,000㎞ テアラロア『ロングトレイルの道具学』と題しまして、ロングトレイルはじめ長期縦走時に役立つ装備の考え方の記事です。

ギア版とウェア版に分けました。今回はギア版。前半部分は総合的な道具の軽量化についての考え方、後半部分にギアの紹介を書いています。

ウルトラライトは素晴らしい!・・・けども

そもそもウルトラライトとは?Ultra Light=超軽量のことです。とても軽いギアやウェアを選んで、身軽に山旅するスタイル。軽いことのメリットはガンガンすばやく動けて結果として安全につながる、楽しいというようなものなのですが、ULギアは大体の場合、

  • 高価である
  • ちょっと耐久性が落ちる

ということを知っておいたほうが良いと思います。また、軽いものを選んだ結果、「寝袋が薄すぎて眠れなかった」「タープにしたけどサンドフライに無限に攻撃された」こんなケースも見聞きしました。適切な軽量化とは、荒野で安全が確保できて、健康を維持できることを前提にしたものだと思います。

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ニュージーランドに持ち込んだものを並べた。パーマストンノースにて。

ちなみに、私の装備はウルトラライトを極めたものではありません。アウトドアのウェアやギアは日進月歩で次々に軽いものが出ているので、極めるのが難しいというのもあるのですが、私の装備リストは私なりに「安全と健康管理を前提にしてウルトラライトを目指したもの」という程度です。また、出発時点の経済状況に見合った自分なりのベストチョイス。

上の写真は北島を1,500㎞くらい歩いた時点でのもの。ここに40Lのバックパックとごく少数の着替え、食糧と水が加わります。途中で色々と捨てていったので最終のギアリストは少し異なります(本記事後半にギアリストを掲載)。本はスマホで撮影して写真データにしたので持ち歩きはしませんでした。

例えば、テント。ダブルウォールのステラリッジ・テント(mont-bell)を使いました。世の中にはシェルターとして使えるギアが色々あります。ただ、シングルウォールテントは結露問題、タープはサンドフライ問題、ハンモックは腰痛問題、超軽量なテントは高価すぎるしパーツ手配性悪いし…といろいろ考えて釣り合いのとれる最強にして最高の定番に落ち着きました。ロングトレイル後も年間通して山を歩く予定でしたので4シーズン使えることもこのテントを選んだ理由です。テントは破損率の高いアイテム。修理体制やパーツのバックアップ体制が整っているのはモノ選びの大きなポイントです。

できることからやろう。歯ブラシはよく使うので小さく。

「ULを極めようとすると先に財布がULになる」と言われます。市販の最軽量ギアを揃えるとなるともうホントにお金たくさん要ります。まずは、自分の経済状況に合わせてできるだけ軽量化するのが第一歩かと思います。既に持っているギアを工夫魔改造して軽量化を目指すのもあり。素材を買って自作するよりも早い。寝袋のジッパーを切り取ってアジの開きみたいにして軽量化と同時に余計な故障の可能性を下げたり、歯ブラシを超短くしたり、ベルトを体型に合わせてカットしたり。まずはできる範囲で簡単な工夫を施してみるのも一案です。

軽さのデメリットを理解し、自分の安全と健康管理を意識した上で軽い装備リストを目指すのがベスト!だからこそ一人ひとり装備が異なって面白い!

道具選びのポイント

究極のUL(ウルトラライト)。これは全裸になるわけですが、全裸で3,000㎞歩くわけにもいきません。風邪を引いてしまいますし、逮捕されてしまいます。体調を崩さずに健康を維持しながら歩みを進めていかなければなりません。

全裸になるのはその日の行程が終わってから。Roses Hutで冷たいシャワーを浴びながらハイカー仲間を迎える。

ロングトレイルにおいて適切なギアとウェアの条件は、前述の通り健康が維持できてできるだけ軽いことがポイントですが、加えて

  • シンプルなもので
  • 構造よりも素材にこだわる

とさらに良いと思います。シンプルなモノは、万が一故障が起きても現場で修理対応が可能ですし、そもそも壊れにくい。また、シンプル故に多用途です。縫製やファスナー部が多い複雑な構造の専用感の高い(機能がひとつしかない)ものはロングトレイルには向きません。

シンプルで素材のよいモノ。例えば、シングルウォールのチタンカップであったり、2mm径の丈夫なナイロン紐であったり、極薄生地で出来た一気室のバックパックであったり、EVAのフォームパッドであったり。

THERMARESTのフォームパッド。元々のサイズをロングトレイル用に半分にカット。エア系のパンクリスクとは無縁。ストレッチもこの上で。

ロングトレイルに向く道具選びのポイントとして「ここ壊れそうだな、やめとこう」とか「ここ壊れたら、フィールドで対応できるかな」とか、そういう視点で見てみると、結果としてシンプルで上質なものに到達すると思います。

ロープワークをいくつか知っていれば、余計なものを多く持たなくて済みます。簡単なもので十分です。

  • ダブルフィッシャーマンズノット 洗濯物干しとか
  • もやい結び カナディアンカヌーのセクションで
  • トラッカーズヒッチ これもカヌーのセクションで
  • 自在結び ネズミ避けで荷物吊り下げる時調整する
  • 徳利結び ボトルを吊り下げたいときに

「覚えていれば便利」なくらいで結構適当でも大丈夫です。一番便利なのはかたむすび。

軽量化の工夫

3,000㎞のトレイル上で出会った様々なハイカーとギア。これが一番小さかったパック。トレイルネームSkippy(スキップするようにトレイルを駆け抜けてゆく。漫画のキャラみたいな化物がいるもんだ)のコレ。Zimmerbuilt社製。

テアラロアのトレイル上では、技術、知識、体力、経験が光るハイカーと出会うことができました。上の写真はトリプルクラウンSkippyのバックパック。6日分の食糧が入って、30L+αくらい。小さくて驚きました。これで3,000㎞…。実に高密度。持たせてもらってみると、ズシっ。岩みたい。丸いのはゆで卵。数日間トレイルを共にしましたが、速すぎて意味不明レベルです。すぐ置いていかれます。PCT、AT、CDTを歩いたトリプルクラウン。彼は流石にすごかった。

Skippyはじめ高度なハイク力をもったハイカーとの出会いは衝撃が走るほどのものでした。一緒にハット(山小屋)で夜を過ごす時は色々と話をします。世界のトレイルや人生観、仕事、お金、ビール飲みたい、おすすめの本、レシピ、栄養。そしてなによりアツいギア談義!

ハイカー仲間に学んだ軽量化の工夫

そんな高度なハイカーと時間を共にすることで色々と勉強させてもらい、いくつか採り入れた工夫があります。

  1. スタッフバッグを使いすぎない
  2. ザックカバーも使わない
  3. やはり、シンプルなものを使う

ということです。

13Lの防水軽量スタッフバッグ。絶対に濡らしたくないものを収納。

スタッフバッグも積もれば重量になります。唯一使ったスタッフバッグは上の写真のSea To Summitのモノのみ。多くのスタッフバッグは「道具を収納するためだけの機能しかない」ので使いすぎないように心掛けることが軽量化の工夫につながります。モノの機能が1しかない専用品よりも機能が2以上あるもののほうが良いということです。例えばチタンのシングルウォールカップはカップとしての機能と、いざとなったら火にかけてお湯を沸かすことができます。

ザックカバーも使いません。インナーに大きなゴミ袋を使って防水します。稜線上で強風に吹かれた時などザックカバーが余計に感じることが多いです。パッキングは外付けをなるべく排除してスッキリ行うことが前提です。外付けはひっかかりや紛失につながります。

backpack 40
キレイにパッキング。

使ったギアリスト

  • テント ステラリッジ・テント1型
  • シュラフ1 ダウンハガー#5(ケープレインガ〜パーマストンノースで入替)
  • シュラフ2 ダウンハガー#3(パーマストンノース〜ブラフ)
  • バックパック アルパインパック60L(ケープレインガ〜オークランドで入替)
  • バックパック バーサライトパック40L(オークランド〜ブラフ)
  • Thermarest Ridgrest 85cmカット
  • 竹の棒(トレッキングポール紛失のため)
  • Sawyer
  • Jetoboil minimo
  • チタンカップ
  • チタンフォールディングスポーク
  • サンダル
  • 三脚(JOBY)
  • PLB
  • Ultra Light Tooth Brush
  • その他小物類↓
人それぞれ異なる小物類。絶対必要なのはリップクリーム。

PLB。パーソナル・ロケイター・ビーコン。ニュージーランドの深山を歩く際は携帯が強く推奨されています。ニュージーランドの荒野ではテアラロア限らず行方不明者がでることも稀にあります。テアラロアのトレイル上では骨折など身動き取れない系の大きな事故が毎年発生しています。そんなときにPLBを使ってレスキューを要請します。高価なギアですが命には換えられません。

ストーブ。ガスを使いました。ニュージーランドのガス缶は高いので、燃費のよいJetboilには本当に助けられました。アルコールも検討しましたがデメリットが目立ってやめました。

ロングトレイルに出る前に色々とトレーニングした。大杉谷渓谷にてバーナーとクッカーの実践練習。

そして、フットウェア。

フットウェアは3足使った

hole footwear
ケープレインガからウェリントンで一足。

多くのロングトレイルハイカーは大体1,000㎞〜1,500㎞でフットウェアの寿命を迎えると言います。決してフットウェアが脆いわけではなく連日の酷使により、アウトソールがすり減ってグリップが効かなくなり安全度が落ちるか、上の写真のように穴があいて小石が入りやすくなった頃に買い替えです。1,500㎞持ったらかなり優秀だと思います。

インソールはぎりぎり穴があかないくらいにペラペラになる。

私の場合は、

  1. ケープレインガからウェリントン
  2. ウェリントンからクイーンズタウン
  3. クイーンズタウンからブラフ

という区切りで3足のフットウェアを使いました。一足目のmont-bellのローカットフットウェアは1,700㎞くらいもちましたが、こちらの二足目(青)は、うーんという感じでした。軽さで選んだのですが、柔らかすぎ、ソール減り速すぎでした。

hole footwear2
Roses Hutで靴を修理。

ニュージーランドでアウトドアギアを買い足すのは結構大変。理由は、まともなラインナップがしっかり揃っている店がほとんどないため。じっくり見ようと思うと、北島でオークランド、ウェリントン、南島でネルソン、クライストチャーチ(テアラロアのルートからはかなり外れる)、ワナカ、クイーンズタウン、テアナウくらい。一番良かったのはワナカ。ついでクイーンズタウン、テアナウの順です。ニュージーランドは、一番近いオーストラリア大陸からも2,000㎞離れている地球の孤島。流通に関わるコストが上代にのってくるので結構高い…。なるべくギアは準備して入国されることをおすすめします。

ちなみにフットウェアは非防水をおすすめします。非防水は防水靴よりも乾きが速いためです。基本的に川を渡る日が多く泥のなかや湿地帯といったウェットな環境が多いので靴下や靴が乾いている日はあまりないので、どちらかというと乾きの速い非防水の方がおすすめです。

2,900km地点。ニュージーランド初冬の泥漕ぎ。

「バウンスボックス」を利用しよう

バウンスボックスの受け取り

バウンスボックスとは、郵便局留めで荷物を先送りするワザ?です。バウンスボックスを使うことで、軽量化に繋げることができます。スーパーなどで「箱ください」で適当な箱をもらい、梱包。2週間後に辿り着く町の郵便局に荷物を送っておいてあとで受け取る、という感じ。PCTなどアメリカでも盛んに行われるテクです。テアラロア上では南島の北部にリサプライが困難なエリアがあります。そういう場合は観光案内所や宿に電話して「荷物を送るから受け取ってくれませんか、○月✕日くらいにつきます」と連絡を入れて、宿に置いておいてもらう形になります。

ウェリントンで約一ヶ月分の食糧を購入。南島の複数のポイントに発送する。パニック状態のハイカー達。

道具を考えて、選んで、はたまた自作して、工夫して健康に山を旅してみてはいかがでしょうか。お役に立てましたら幸いです。

この記事のまとめを英語で

●Ultra-Light makes your life easier.

●Your socks never dry.

●If you walk naked, you could be arrested.

ここまでスクロールしていただきありがとうございます。

おまけ。Taipo Hutの横の小川はキング・オブ・スキニーディッピング・ポイントです。是非皆さんも泳いでみてください。